新型コロナウイルスのワクチン接種効果について知りたいですか?
ワクチンはどのくらい予防効果があるかという点や、持続期間、年齢や基礎疾患の有無による違い、接種後に感染するのかをご紹介!
変異株への効果や妊娠中に摂取すると新生児は免疫がつくのかを学びたい方必見!
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コロナワクチン副反応や接種後健康調査、症状への対処法については、「【コロナワクチン副反応と接種後健康調査】ファイザー・モデルナ・アストラゼネカ【症状対処法】」をご覧ください。
また、コロナワクチン副反応疑い報告について、SNS誤情報に惑わされるべきでないという点について学びたい方は「【コロナワクチン副反応疑い報告】SNS誤情報に惑わされるな【報告事例と評価】」の記事をどうぞ。
コロナワクチンの効果
新型コロナワクチンの予防効果について説明します。
新型コロナウイルスワクチンの効果は、高い発症予防効果があり、さらに重症化を予防する効果も期待されています。
厚生労働省のホームページを元に詳しく見ていきましょう。
【コロナワクチン】発症予防効果と持続期間
新型コロナウイルスワクチンを摂取した場合、発症予防効果、持続期間はどのくらいなのかを説明します。
発症予防効果
まずは新型コロナウイルスワクチンを接種場合に、発症予防効果がどのくらいあるのかについて説明します。
厚生労働省によると、以下のように説明されています。
Q 日本で接種が進められている新型コロナワクチンにはどのような効果(発症予防、持続期間)がありますか。
A 日本で接種が行われている新型コロナワクチンは、いずれも、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています。効果の持続期間や、感染を予防する効果についても、時間の経過や接種者数の増加に伴い、研究が進んでいます。
(出典:厚生労働省)
日本において、新型コロナウイルスの発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されているとのことです。
では具体的に、どのくらい高い発症予防効果があるのかについては以下の通りです。
日本では現在、ファイザー社、武田/モデルナ社、及びアストラゼネカ社(※)のワクチンが薬事承認されており、予防接種法における接種の対象となっています。
(※)アストラゼネカ社のワクチンは原則40歳以上の方(ただし、他の新型コロナワクチンに含まれる成分に対してアレルギーがあり接種できない等、特に必要がある場合は18歳以上の方)を対象としています。現時点では、アストラゼネカ社のワクチンの接種を行う機会は限られており、通常は、皆さまに、ファイザー社又は武田/モデルナ社のワクチンを接種いただいています。
いずれのワクチンも、薬事承認前に、海外で発症予防効果を確認するための臨床試験が実施されており、ファイザー社のワクチンでは約95%、武田/モデルナ社のワクチンでは約94%の発症予防効果が確認されています。また、アストラゼネカ社のワクチンは、海外で実施された複数の臨床試験の併合解析の結果から、約70%等の発症予防効果が確認されています。
(出典:厚生労働省)
つまり、海外でコロナワクチンによる発症予防効果を確認するための臨床試験が実施されており、単純にワクチンによる発症予防効果をメーカー別に比較すると
- ファイザー社
- 約95%
- 武田/モデルナ社
- 約94%
- アストラゼネカ社
- 約70%
とのことです。
ファイザー社や、武田/モデルナ社、アストラゼネカ社コロナワクチンの特徴を詳しく学びたい方は以下3つの記事をそれぞれご覧ください。
重症化予防効果と解釈の注意点
さらに、新型コロナワクチン接種後の、重症化予防効果と解釈の注意点について説明します。厚生労働省によると、コロナワクチン接種後の重症化予防効果や解釈の注意点については以下の通り説明しています。
重症化予防効果については、薬事承認前に行われた臨床試験では症例数が十分ではなく解釈に注意が必要ですが、実施された臨床試験や、承認後に実際に接種された人の情報を集めた研究等から、これらのワクチンの重症化予防効果を示唆する結果が報告されており、効果が期待されています。
(出典:厚生労働省)
重症化予防効果は診療試験の症例数が少ないから解釈に注意が必要だけれども、重症化予防効果を示唆する結果はでているので、重症化予防効果が期待されているとのことです。
他方、厚生労働省はコロナワクチンによる発症予防効果については以下の通り言及しています。
感染を予防する効果については、いずれのワクチンも承認前の臨床試験では確認されていませんが、現在、多くの国又は地域でこれらのワクチンの接種が進められることでデータが蓄積されつつあります。一部の国で実施された研究では、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを接種した人の方が、接種していない人よりも感染者(有症者・無症候性感染者のいずれも)の発生が少ないことを示唆する結果が報告されています。なお、これらのデータは臨床試験と異なり、同じ条件の対照群を置くことが困難なこと等から、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことに注意して解釈し、今後の様々な研究結果を見ていく必要があります。また、ワクチンの発症予防効果は100%ではないことを踏まえると、接種後も引き続き、感染対策を継続することが重要です。
(出典:厚生労働省)
つまり、ワクチンの発症予防効果は100%ではないから、ワクチン接種後も引き続き、感染対策を継続することが重要とのことです。
なお、新型コロナワクチンの誤情報については「【コロナワクチン誤情報】死亡・不妊・臨床試験・動物実験【SNS・根拠・因果関係・デマ・偽】」の記事をご覧ください。厚生労働省が公表している情報に基づき、コロナワクチン接種が死亡や不妊につながるのか、臨床試験(治験)が終わっていないのか、動物実験の結果についての正しい情報を紹介しています。SNSのワクチン偽情報に振り回されたくない方必見!
効果の持続期間
そして、新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合の効果の持続期間について説明します。厚生労働省は以下のように説明しています。
効果の持続期間については、例えばファイザー社のワクチンの場合、海外で実施された臨床試験後の追跡調査の結果によると、2回目接種後6ヶ月の発症予防効果は91.3%であったという報告もあります。また、武田/モデルナ社のワクチンの場合、同様の調査において、2回目接種後6ヶ月の発症予防効果は90%以上と発表されています。今後も引き続き、集積される様々なデータを見ていく必要があります。
(参考資料)
ワクチンの効果等に関する知見(第20回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)
CDC. April 2, 2021; 70(13);495-500
(Interim Estimates of Vaccine Effectiveness of BNT162b2 and mRNA-1273 COVID-19 Vaccines in Preventing SARS-CoV-2 Infection Among Health Care Personnel, First Responders, and Other Essential and Frontline Workers — Eight U.S. Locations, December 2020-March 2021)
N Engl J Med. 2021; 384:1412-1423
(BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting)
Lancet. 2021; S0140-6736(21)00947-8
(Impact and effectiveness of mRNA BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infections and COVID-19 cases, hospitalisations, and deaths following a nationwide vaccination campaign in Israel: an observational study using national surveillance data)
(出典:厚生労働省)
つまり、
持続期間について2回目接種後6ヶ月の発症予防効果は、
- ファイザー社
- 91.3%
- 武田/モデルナ社
- 90%以上
であるとのことです。
先程触れましたが、ワクチン接種直後の発症予防効果は、
- ファイザー社
- 約95%
- 武田/モデルナ社
- 約94%
ですので、2回目接種後6ヶ月の発症予防効果は約4%低下するということがわかります。つまり、6ヶ月間で約4%しか低下しないのですから、持続期間は長い可能性があります。
しかしコロナワクチンの持続期間についてはまだまだ調査段階にあるので、今後も引き続き集積される様々なデータを見ていく必要があります。例えば、2021年8月25日に発表された藤田医科大学による調査結果では、海外の調査結果とは大きく異なる結果が出ており、1回目の接種から3カ月後の抗体の量は、2回目の接種から14日後と比べ、約4分の1にまで減少したとのことです。詳しくは以下の記事引用をご覧ください。
新型コロナウイルスのワクチンの接種から3カ月後に、抗体の量が減少したとの調査結果を、愛知県豊明市にある藤田医科大学が発表しました。 愛知県豊明市にある藤田医科大学は、ファイザー社製のワクチンを接種した大学の教職員209人を対象に、血液中のウイルスに対する抗体の量を調査しました。 1回目の接種から3カ月後の抗体の量は、2回目の接種から14日後と比べ、約4分の1にまで減少しました。 「接種後3カ月ぐらいの時点で割と急激な減衰がみられて、その後少しずつ下がっていく」(藤田学園 新型コロナ対策本部 土井洋平 対策本部長) また年代別や男女別で抗体の量の平均値を比較したところ、年代・性別を問わず、同様の減少がみられました。 藤田医科大学は「ワクチンの効果が時間とともに低下している可能性を示している」としています。 一方で、土井対策本部長は「海外の研究では、接種から6カ月後でも発症や重症化を予防する効果が示されている」とも話した上で、抗体の量の減少がどの程度ワクチンの効果に影響しているかは、今後も研究が必要だとしています。
したがって、海外の調査結果と藤田医科大学のいずれの調査結果が正しいのかに関わりなく、コロナワクチン接種により油断するのではなく、マスク装着やソーシャルディスタンス等の感染予防対策を引き続き徹底すべきであると言えるでしょう。
新型コロナワクチンの仕組みについて知りたい方は、「【コロナワクチンの仕組み】予防接種・どんな種類・集団免疫・筋肉注射は痛いか・mRNA」の記事をご覧ください。厚生労働省が公表している情報に基づき、ワクチンの仕組みとして、ワクチンや予防接種とは何か、ワクチンはどのようなものかあるか、集団免疫とは何か、筋肉注射とは何か(痛いのか?)という点をご紹介しています。
【コロナワクチン】どの会社のワクチンが一番効果があるの?
次にファイザー、モデルナ、アストラゼネカ社製のワクチンのうち、どの会社のワクチンが一番効果があるのかについて説明します。
新型コロナウイルスのワクチンは複数あり、地域によってはどの種類のコロナワクチンを摂取するのかを自分で選択することが可能です。そのため、どの会社のワクチンが最も効果があるのかと疑問に感じる人も多いことでしょう。その点について、厚生労働省は当然のことながら、どのワクチンも予防効果があるという前置きの上で、以下のように説明しています。
Q どの会社のワクチンが一番効果がありますか。
A 現在、日本ではファイザー社と武田/モデルナ社のワクチンを接種できます。いずれも、同程度の高い発症予防効果が確認されています。また、アストラゼネカ社のワクチンも、原則40歳以上の方(特に必要がある場合は18歳以上の方)を対象に接種可能となっています。
現在、日本ではファイザー社、武田/モデルナ社、及びアストラゼネカ社のワクチンが、予防接種法における接種の対象となっています。有効性については、いずれのワクチンも、海外で数万人単位の大規模な臨床試験が実施されており、発症予防効果は、ファイザー社のワクチンが約95%、武田/モデルナ社のワクチンが約94%と、高い効果が確認されています。
また、アストラゼネカ社のワクチンは、海外で実施された複数の臨床試験の併合解析の結果から、約70%等の効果が確認されています。
(出典:厚生労働省)
つまり新型コロナウイルスワクチン接種による発症予防効果は、
- ファイザー社
- 約95%
- 武田/モデルナ社
- 約94%
- アストラゼネカ社
- 約70%等
とのことなので、ファイザー社製のワクチンが一番高い予防効果が得られ、次にモデルナ社製、最後にアストラゼネカ社製ということです。しかし、これはまだ調査中であるため、必ずしもファイザー社が優れているというわけではないのでご注意ください。
また厚生労働省によると、通常は、ファイザー社又は武田/モデルナ社のワクチン接種を受けてもらっていると以下のように補足説明しています。
なお、アストラゼネカ社のワクチンは、原則40歳以上の方(ただし、他の新型コロナワクチンに含まれる成分に対してアレルギーがあり接種できない等、特に必要がある場合は18歳以上の方)を対象としています。現時点では、アストラゼネカ社のワクチンの接種を行う機会は限られており、通常は、皆さまに、ファイザー社又は武田/モデルナ社のワクチンを接種いただいています。
(出典:厚生労働省)
なお、モデルナ社コロナワクチンの異物混入問題が気になる人はこちらの記事をどうぞ。
また厚生労働省は、ファイザーとモデルナとアストラゼネカのワクチンの性質の違いと効果を以下のように説明しています。
ファイザー社及び武田/モデルナ社のワクチンはmRNAワクチンと呼ばれ、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだワクチンです。このワクチンを接種し、mRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このmRNAを基に、細胞内でスパイクタンパク質が産生され、そのスパイクタンパク質に対する中和抗体産生や細胞性免疫応答が誘導されることで、新型コロナウイルスによる感染症の予防ができると考えられています。
また、アストラゼネカ社のワクチンは、ウイルスベクターワクチンであり、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子をサルアデノウイルス(風邪のウイルスであるアデノウイルスに、増殖できないよう処理が施されています。)に組み込んだワクチンです。このワクチンを接種し、遺伝子がヒトの細胞内に取り込まれると、この遺伝子を基に細胞内でスパイクタンパク質が産生され、そのスパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、新型コロナウイルスによる感染症の予防ができると考えられています。
(出典:厚生労働省)
コロナワクチン供給と接種の見通しについて詳しく知りたい方は「【コロナワクチン】供給と接種の見通し【日本への供給数・どのような研究開発】」の記事をご参照ください。
またコロナワクチン開発については「【コロナワクチン開発】見通し/種類/国内/AMED/国際貢献/生産体制/早期実用化」の記事をどうぞ。
【コロナワクチン】年齢による効果や副反応
また、新型コロナウイルスのワクチンを接種する人の年齢によってコロナワクチンの効果や副反応に違いがあるのかを説明します。
厚生労働省によると年齢による効果や副反応を以下のように説明しています。
Q 年齢によって、ワクチンの効果や副反応に違いはありますか。
A 今回のワクチンは高齢者に対しても高い発症予防効果があります。一方、若年者に比べて高齢者の方が少し副反応が出にくいことが分かっています。
(出典:厚生労働省)
ワクチンは高齢者に対しても高い予防効果があり、若者に比べて高齢者のほうが副反応が少しでにくいとのことです。つまり高齢者はより安心してコロナワクチンを接種することができるということです。
また厚生労働省は、最新のワクチンを従来のワクチンと比較して以下のように説明しています。
従来のワクチンでは、高齢者は若い方に比べてワクチンの効果が劣る場合がありました。しかし、日本で承認されたファイザー社のワクチンでは、大規模な臨床試験やイスラエルの実社会での疫学研究において、高齢者に対しても9割以上の発症予防効果があることが報告されています。武田/モデルナ社のワクチンについても、海外での臨床試験において、65歳以上で約9割のワクチン有効率が報告されています。
(出典:厚生労働省)
つまり、従来のワクチンとは違って日本で承認されたファイザー社のワクチンは高齢者に対しても9割以上の発症予防効果があり、武田/モデルナ社のワクチンについても、65歳以上の高齢者へのワクチンは、9割以上の発症予防効果があるとのことです。
しかし、前の章で新型コロナウイルスワクチン接種による発症予防効果は、
- ファイザー社
- 約95%
- 武田/モデルナ社
- 約94%
- アストラゼネカ社
- 約70%等
と説明した通り、ファイザーとモデルナは65歳以上の高齢者であったとして、同じくらいの予防率であることがわかります。一方アストラゼネカ社の場合、65歳以上の高齢者で90%のワクチン有効率が報告されているとのことなので、65歳以上の高齢者へのワクチン接種は若者と比較して約20%高い予防効果が期待できるということがわかります。
さらに、アストラゼネカ社の高齢者へのワクチン有効性や副反応については、以下のように詳しく説明されています。
また、アストラゼネカ社のワクチンは、海外で実施された複数の臨床試験を併合して解析した結果から、約70%等の発症予防効果が確認されています。高齢者については、解析に含まれた例数が限られていたことから有効率は明らかではありませんが、他の年齢層と同様に、新型コロナウイルスに対する中和抗体価(ウイルスの感染力又は毒素の活性を中和できる抗体)の上昇傾向が見られたこと等から、高齢者でも有効性があると期待されています。
一方、副反応については、接種部位の局所の副反応も、発熱や倦怠感、頭痛などの全身性の副反応も、若年者より高齢者の方が少し頻度が低いことが報告されています。
(参考資料)
N Engl J Med. 2020; 383:2603-2615
(Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine)
N Engl J Med 2021; 384:1412-1423
(BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting)
(出典:厚生労働省)
【コロナワクチン】基礎疾患(持病)の有無による効果や副反応の違い
高血圧や糖尿病などの基礎疾患の有無によってコロナワクチンの効果や副反応に違いがあるのかについて説明します。
厚生労働省によると以下のように説明しています。
Q 基礎疾患(持病)の有無によって、ワクチンの効果や副反応に違いはありますか。
A 今回のワクチンは、基礎疾患をもっている方も含めて臨床試験が行われ、高い効果があることが分かっています。過去に重いアレルギー症状を経験されたことがある方は、接種会場で30分間様子をみることが大切です。
ファイザー社及び武田/モデルナ社の新型コロナワクチンは、高血圧、糖尿病などの基礎疾患をもっている方も含めて臨床試験が行われ、高い発症予防効果があることが分かっています。ただし、免疫抑制剤を内服されている方や重い免疫不全がある方は臨床試験の対象とはなっておらず、他の方と同等の効果があるのか、はっきりとは分かっていません。アストラゼネカ社の新型コロナワクチンについても、概ね同様の知見が得られています。
(出典:厚生労働省)
つまり、ファイザー社と武田/モデルナ社とアストラゼネカ社のコロナワクチンは、基礎疾患(持病)の有無によって効果に違いはなく、高い発症予防効果があるとのことです。
しかし、免疫抑制剤を内服されている方や重い免疫不全がある方に限っては、臨床試験の対象とはなっていないので効果は不明とのことです。
またコロナワクチン予防接種において、アナフィラキシーについては注意が必要です。
具体的には、過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を引き起こしたことがある人で、やや起こりやすい可能性があると以下のように説明されています。
稀な副反応であるアナフィラキシーについては、過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を引き起こしたことがある人でやや起こりやすい可能性があります。過去に重いアレルギー症状を引き起こしたことがある方は、ワクチン接種後 30 分程度は接種会場で様子をみることが大切です。アナフィラキシー以外の副反応については、臨床試験において基礎疾患の有無による頻度の違いは報告されていません。
(参考資料)
N Engl J Med. 2020; 383:2603-2615
(Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine)
N Engl J Med. 2021; 384:1412-1423
(BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting)
(出典:厚生労働省)
コロナワクチンを接種できない人とはどのような人か知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
また、更に詳しく新型コロナワクチンの安全性と副反応について知りたい方は以下の記事をどうぞ。
【コロナワクチン】接種後に感染するの?
新型コロナウイルスワクチンを接種した後に、コロナに感染してしまうのかどうかという疑問点について説明します。厚生労働省によると、ワクチン接種後であったとしても、感染する可能性はあるから注意べきだと以下のように説明しています。
Q ワクチン接種後に新型コロナウイルスに感染することはありますか。
A ワクチン接種後でも新型コロナウイルスに感染する場合はあります。また、ワクチンを接種して免疫がつくまでに1~2週間程度かかり、免疫がついても発症予防効果は100%ではありません。
ワクチン接種後でも新型コロナウイルスに感染する可能性はあります。
(出典:厚生労働省)
また、ワクチン接種後に免疫獲得まで1週間か2週間かかるようです。
そしてファイザーのコロナワクチンの2回目接種については以下の通りです。
ファイザー社の新型コロナワクチンは、通常、3週間の間隔で2回接種します。最も高い発症予防効果が得られるのは、2回目を接種してから7日程度経って以降です。体の中である程度の抗体ができるまでに1~2週間程度かかるため、1回目の接種後から2週間程度は、ワクチンを受けていない方と同じくらいの頻度で発症してしまうことが論文等でも報告されています。また、臨床試験においてワクチンを2回接種した場合の有効率は約95%と報告されており、100%の発症予防効果が得られるわけではありません。
(出典:厚生労働省)
つまり、ファイザーのワクチンを二回接種しても95%の予防率なので、5%の確率で新型コロナウイルスに感染してしまうということです。
他方、武田/モデルナ社の新型コロナワクチンは、通常、4週間の間隔で2回接種し、予防率は約94%であると以下のように説明されています。
武田/モデルナ社の新型コロナワクチンは、通常、4週間の間隔で2回接種します。臨床試験において、本ワクチンの接種で十分な免疫が確認されたのは、2回目を接種してから14日以降となっています。また、ワクチンを2回接種した場合の有効率は約94%と報告されており、100%の発症予防効果が得られるわけではありません。
(出典:厚生労働省)
さらに、アストラゼネカ社の新型コロナワクチンは、通常、4~12週間の間隔で2回接種し、約70%の予防効果が得られると以下のように説明が続きます。
アストラゼネカ社の新型コロナワクチンは、通常、4~12週間の間隔で2回接種します。臨床試験において、本ワクチンの接種で十分な免疫が確認されたのは、2回目の接種を受けてから15日以降です。また、ワクチンを2回接種した場合の有効率は、複数の臨床試験を併合して解析した結果から約70%等の結果が確認されており、100%の発症予防効果が得られるわけではありません。
(参考資料)
N Engl J Med. 2020; 383:2603-2615
(Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine)
N Engl J Med. 2021; 384:1412-1423
(BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting)
(出典:厚生労働省)
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【コロナワクチン】変異株への効果
新型コロナウイルスワクチンは、変異株に対して効果があるのかについて説明します。
厚生労働省によると変異株に対するワクチンの有効性を以下のように説明しています。
Q 変異株の新型コロナウイルスにも効果はありますか。
A 一般論として、ウイルスは絶えず変異を起こしていくもので、小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではありません。それぞれの変異株に対するワクチンの有効性がどのくらいあるのかについても、確認が進められています。
(出典:厚生労働省)
つまり、変異株に対しても、コロナワクチンは有効であるとのことです。
変異株に対してもワクチンが有効な理由として、たとえ新型コロナウイルスが変異してしまったとしても、そんなに大幅に変異してしまうわけではないのだから、変異株に対するワクチンの効果がなくなるわけはないということです。
さらに詳細な情報として、変異株に対してもワクチンが有効である理由として、厚生労働省は以下のように説明しています。
ウイルスは常に一定の頻度でその遺伝情報(新型コロナウイルスの場合はRNA)に変異を起こすものですが、現在世界中で懸念されている変異株とは、新型コロナウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要となるスパイクタンパク質(1,273個のアミノ酸残基で構成)の一部が変化することで、ウイルスの感染性や病原性、ワクチンの有効性等に影響を与えることが懸念されるものを指しています。
変異株に対するワクチンの効果の確認に当たっては、いくつかの方法があります。
一つは、ワクチンを接種した人の血清を用いて、血清中に存在する抗体が、ウイルスの細胞への感染をどの程度中和する(妨げる)ことができるかを測定する方法です。
ファイザー社や武田/モデルナ社のワクチンにおいては、様々な変異スパイクタンパク質に対し、ワクチンを接種した人の血清中の抗体が中和活性を有するかが確認されました。その結果、B.1.351(ベータ株。南アフリカ共和国で最初に検出され、N501YやE484K等の変異を有する系統。)への中和作用が少し弱いものの、いずれの変異に対しても一定の中和活性があることが確認されています。また、5月25日付けのWHOの報告では、B.1.351(ベータ株)に加え、P.1(ガンマ株。ブラジルで最初に検出され、N501YやE484K等の変異を有する系統。)でも、中和活性はみられるものの、少し低下する旨の報告がありました。
なお、この測定方法は実験室内で行うものですが、実際に人での感染や発症を確かめるものではなく、抗体の中和活性の低下と免疫力の関係が十分明らかになっているわけではないことから、結果の解釈に留意が必要です。
(出典:厚生労働省)
また厚生労働省は、ファイザー社のワクチンについて、アルファ株やベータ株、デルタ株等への有効率がどのくらいなのかについて以下のように説明しています。
もう一つは、実際にワクチンを接種した人と接種していない人の感染や発症の状況を調べる方法です。例えばファイザー社のワクチンは、B.1.1.7(アルファ株。英国で最初に検出され、N501Y等の変異を有する系統。)ではワクチンの有効率に大きな低下は見られませんでした。B.1.351(ベータ株)やB.1.617.2(デルタ株。インドで最初に検出され、L452R等の変異を有する系統。)では、有効率が少し低下するものの、ワクチンは有効であったという報告もありました。
また、英国公衆衛生庁(PHE)が公表した、ファイザー社のワクチンを実際に接種した後の状況に基づく研究結果によると、発症予防効果に係るワクチン有効率は、B.1.1.7(アルファ株)で約94%、B.1.617.2(デルタ株)で約88%、また、デルタ株による入院を予防する効果は約96%と報告されています。
ただし、このような実臨床での観察研究等は、流行状況など別の要因が結果に影響するなど、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことから、結果の解釈に留意が必要です。
(出典:厚生労働省)
つまり変異株に対するワクチン有効率として、
- ファイザー社のワクチンによる予防率
- B.1.1.7(アルファ株)
- 約94%
- B.1.617.2(デルタ株)
- 約88%
- デルタ株による入院を予防する効果
- 約96%
- B.1.1.7(アルファ株)
ということです。
しかし厚生労働省は、流行状況など別の要因が結果に影響するなど、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことから、結果の解釈に留意が必要と注意も呼びかけています。
さらに厚生労働省は、アストラゼネカ社のワクチンについては以下のように説明します。
アストラゼネカ社のワクチンについては、2回の接種が完了した被験者の血清を用いて様々な変異株に対する中和活性を測定したところ、B.1.351(ベータ株)に対する中和活性は、初期に流行したウイルス株に対する中和活性と比較して約9分の1に低下すると共に、一部の検体では中和活性が認められませんでした。また、B.1.351(ベータ株)に対するワクチン有効率が10.4%にまで低下することも確認されており、接種に当たって留意する必要があります。 一方で、英国公衆衛生庁(PHE)が公表した、実際に接種した後の状況に基づく研究結果によると、発症予防効果に係るワクチン有効率は、B.1.1.7(アルファ株)で約75%、B.1.617.2(デルタ株)で約67%、また、デルタ株による入院を予防する効果は約92%と報告されていることから、一定の防御効果を示す可能性があると考えられています。
(出典:厚生労働省)
つまり変異株に対するワクチン有効率として、
- アストラゼネカ社のワクチンの予防率
- B.1.1.7(アルファ株)
- 約75%
- B.1.617.2(デルタ株)
- 約67%
- デルタ株による入院を予防する効果
- 約92%
- B.1.1.7(アルファ株)
であるということがわかります。
そして、世界中で新たな変異株が出現しているため、引き続きワクチンの有効性については情報収集が必要であると補足しています。
現在、変異株に対応したワクチンの開発や臨床試験も実施されています。世界各国で様々な変異株が出現していることを踏まえると、引き続き、ワクチンの有効性に関する情報を収集していく必要があります。
(参考資料)
変異株への有効性(第20回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)
変異株に関するQ&A(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ(国立感染症研究所)
N Engl J Med. 2021; 384:1466-1468
(Neutralizing Activity of BNT162b2-Elicited Serum)
Coronavirus disease (COVID-19) Weekly Epidemiological Update and Weekly Operational Update(WHO)
Lancet. 2021;S0140-6736(21)00947-8
(Impact and effectiveness of mRNA BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infections and COVID-19 cases, hospitalisations, and deaths following a nationwide vaccination campaign in Israel: an observational study using national surveillance data.)
(Effectiveness of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine against the B.1.1.7 and B.1.351 Variants.)
MedRxiv. 2021. doi: 10.1101/2021.05.22.21257658
(Effectiveness of COVID-19 vaccines against the B.1.617.2 variant.)
N Engl J Med. 2021; 384:1885-1898
(Efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 Covid-19 Vaccine against the B.1.351 Variant)
(Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2(Delta) Variant.)
Vaccines highly effective against hospitalisation from Delta variant
(出典:厚生労働省)
コロナワクチンを接種できる人とはどのような人か知りたい人は「【意外!?コロナワクチン接種できる人】蜂・薬飲んでる・妊娠授乳計画中・感染した・寝たきり在宅介護」をご参照ください。厚生労働省が公表している情報を踏まえ、意外なことに過去に蜂に刺されたことがある人や薬を飲んでいる人、妊娠中・授乳中・妊娠を計画中の人はワクチン接種をすることが可能であるという点をご紹介!過去にコロナに感染したことのある人や、寝たきり(在宅介護)の人でもワクチン接種は可能か気になる方は必見です!
【コロナワクチン】妊娠中の接種で新生児に免疫はつくのか?
妊娠中に新型コロナウイルスのワクチンを接種すると、生まれてくる新生児にコロナの免疫はつくのかという疑問点について説明します。
厚生労働省は以下のように説明しています。
Q 妊娠中にワクチンを接種した場合、生まれてくる新生児に免疫はつきますか。
A 妊娠中(特に妊娠後期)にワクチンを接種することで、新生児にも抗体が移行する可能性があると報告されています。
(出典:厚生労働省)
なんと、母親から新生児へ抗体が移行する可能性があるということです。そのため、妊婦の方は積極的にコロナワクチンを摂取するべきであるとも言えます。
ワクチン摂取による母親から新生児へ抗体が移行する仕組みについて、詳しくは以下の通りです。
海外で、妊娠中にmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを接種した方の臍帯血(胎児の血液と同じ)や母乳を調べた研究では、臍帯血や母乳中にも、新型コロナウイルスに対する抗体があることが報告されました。こうした抗体が産後の新生児の感染を減らすかどうかまでは分かっていませんが、母親から新生児へ抗体が移行する可能性があります。
(参考資料)
妊娠中の方・妊娠を計画中・授乳中の方について(第21回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)
American Journal of Obstetrics and Gynecology. 2021 March, Epub
(Coronavirus disease 2019 vaccine response in pregnant and lactating women: a cohort study)
(出典:厚生労働省)
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