新型コロナワクチンの仕組みについて知りたいですか?
厚生労働省が公表している情報に基づき、ワクチンの仕組みとして、ワクチンや予防接種とは何か、ワクチンはどのようなものがあるか、集団免疫とは何か、筋肉注射とは何か(痛いのか?)という点をご紹介!
mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと既存ワクチンの違いを学びたい方必見!
ワクチン接種効果については「【コロナワクチン効果】予防・持続期間・年齢・基礎疾患・接種後感染・変異株・妊娠中免疫」の記事をどうぞ。

コロナワクチンの仕組み
新型コロナワクチンの仕組みを説明します。
ワクチンや予防接種とは
新型コロナワクチンの仕組みとして、そもそもワクチンや予防接種とは何なのかという点について説明します。
厚生労働省によると以下の通りです。
- Q ワクチン、予防接種とは何ですか。
- A 予防接種とは、感染症の原因となる病原体に対する免疫ができる体の仕組みを使って、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために、ワクチンを接種することをいいます。
一般に、感染症にかかると、原因となる病原体(ウイルスや細菌など)に対する「免疫」(抵抗力)ができます。免疫ができることで、その感染症に再びかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりするようになります。
予防接種とは、このような体の仕組みを使って病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために、ワクチンを接種することをいいます。
(出典:厚生労働省)

コロナワクチンの副反応について、詳しく学びたい方は以下の記事をご覧ください。





ワクチンにはどのような種類があるのか?

- Q ワクチンにはどのようなものがあるのですか。
- A 病原体(ウイルスや細菌など)そのもの又は、病原体を構成する物質などをもとに作ったワクチンがあります。
病原体(ウイルスや細菌など)そのもの又は、病原体を構成する物質などをもとに作ったワクチンを接種することで、その病原体に対する免疫ができます。具体的には、以下のようなものがあります。
• 生ワクチン
病原性を弱めた病原体からできています。接種すると、その病気に自然にかかった場合とほぼ同じ免疫力がつくことが期待できます。一方で、副反応として、軽度で済むことが多いですが、その病気にかかったような症状が出ることがあります。代表的なワクチンとしては、MRワクチン(M:麻しん、R:風しん)、水痘(みずぼうそう)ワクチン、BCGワクチン(結核)、おたふくかぜワクチンなどがあります。• 不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン
感染力をなくした病原体や、病原体を構成するタンパク質からできています。1回接種しただけでは必要な免疫を獲得・維持できないため、一般に複数回の接種が必要です。代表的なワクチンとしては、DPT-IPV:四種混合ワクチン(D:ジフテリア・P:百日せき・T:破傷風・IPV:不活化ポリオ)、DT:二種混合ワクチン(D:ジフテリア・T:破傷風)、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチンなどがあります。• mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン
これらのワクチンでは、ウイルスを構成するタンパク質の遺伝情報を投与します。その遺伝情報をもとに、体内でウイルスのタンパク質を作り、そのタンパク質に対する抗体が作られることで免疫を獲得します。今回、新型コロナウイルスの表面にあるタンパク質に対するワクチンが国内外で承認を受け、日本でも接種が開始されています。(出典:厚生労働省)
- 生ワクチン
- 不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン
- mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン
具体的なワクチンの種類や企業について、詳しくは「【コロナワクチン開発】見通し/種類/国内/AMED/国際貢献/生産体制/早期実用化」の記事をご覧ください。厚生労働省が公表している情報を元に、コロナワクチン開発の見通しや開発中のワクチンの種類、国内の開発状況やAMED支援のワクチン開発を説明しています。

集団免疫とは
- Q 集団免疫とは何ですか。
- A 人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなる状態のことです。
感染症は、病原体(ウイルスや細菌など)が、その病原体に対する免疫を持たない人に感染することで、流行します。ある病原体に対して、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなり、間接的に免疫を持たない人も感染から守られます。この状態を集団免疫と言い、社会全体が感染症から守られることになります。
(出典:厚生労働省)
集団免疫とは、人口の一定以上の人が免疫を持てば感染症が流行しなくなる状態のこととあります。しかし、医療関係者ではない一般人にとってはいまいちピンと来ないかもしれません。
そこで集団免疫について、さいたま記念病院が「集団免疫が人口の60%の免疫獲得で達成されるとしたら・・・」と題し、以下のように分かりやすく説明しているのでご覧ください。
集団免疫が人口の60%の免疫獲得で達成されるとしたら・・・パンデミックの終息には集団免疫が役立ちます。
1億人の人口の国があるとしましょう。島国なので検疫がそれなりの役割を果たすとしましょう。
仮に人口の60%が免疫を持てば、残りの40%に免疫がなくても集団免疫によってその国はパンデミックを免れるとします。
自然感染だと6千万人が感染し、死亡率が0.3%(33万人あたり1000人)だとすると20万人が亡くなって初めてその国の集団免疫が達成されます。ようやくその国ではパンデミックが終息します。海外でのデータによれば95%有効だとするワクチンがあるとします。このワクチンを人口の2/3が受ければ、60%強すなわち6千万人余りが免疫を獲得できます。これによって集団免疫が達成され、残りの4千万人近くはワクチンを受けなくても感染せずにすみます。
ワクチンを受けた6667万人のうちアナフィラキシーショックが10万人に1人起きるとします。つまり、667人がアナフィラキシーショックとなります。幸い、ほとんどはアドレナリンの注射でことなきを得ます。しかし、ひょっとすると1%が死の転帰をとるかもしれません。その場合、7人が亡くなります。ワクチンがなければ20万人の死亡で集団免疫が達成されます。ワクチン接種では7人の犠牲によって集団免疫が達成されます。ワクチン接種の有無にかかわらず4千万人にとっては「知らぬまに」パンデミックが終息することになります。
60%強の中に入ろうとして積極的にワクチンを受ける人がいます。
他の人の接種状況を見てからワクチンを打つかどうか決めたい、という人もいます。
ワクチンは信用できないから絶対に打たない、という人もいます。あなたの考えはどれでしょうか。
なるほど、集団免疫というのは、例えば人口の6割が免疫を持てば残りの4割に免疫がなくても集団免疫によってパンデミックを免れることができる仕組みのことだとわかります。
また別の言い方をすると、もしかしたら急いでワクチン接種を受けなくても、人口の6割くらいの人たちがワクチンを接種して国全体で集団免疫が獲得できさえすれば、残り4割の人たちは「知らぬまに」パンデミックが終息する可能性があるということでもあります。
具体的に言うと、ワクチン接種の副反応であるアナフィラキシーショックがどうしても怖いという人は、たとえワクチン接種を他の人に任せたとしても、集団免疫の獲得によってコロナにかからなくてもすむかもしれないということです。
しかしながら、厚生労働省は新型コロナワクチンによって、集団免疫の効果があるかどうかは分かっておらず、分かるまでには時間を要すると以下のように説明しています。
なお、感染症の種類によって、集団免疫を得るために必要な免疫を持つ人の割合は異なります。また、ワクチンによっては、接種で重症化を防ぐ効果があっても感染を防ぐ効果が乏しく、どれだけ多くの人に接種しても集団免疫の効果が得られないこともあります。
新型コロナワクチンによって、集団免疫の効果があるかどうかは分かっておらず、分かるまでには、時間を要すると考えられています。
(出典:厚生労働省)
新型コロナワクチンの誤情報について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。


筋肉注射とは(痛いの?)
新型コロナワクチンの仕組みとして、筋肉注射とはどのような注射なのか、痛いのか?という点について説明します。
厚生労働省によると、筋肉は皮膚と比べて痛みを感じる神経が少ないから痛みが強いという証拠はないと、以下のように説明しています。
- Q 筋肉注射とはどのような注射でしょうか。痛いのでしょうか。
- A 筋肉注射とは、ワクチンなどの医薬品を皮下脂肪の奥にある筋肉に注射する方法のことを指します。一般的に筋肉注射は皮下注射よりも特別に痛みが強い注射方法ではないと考えられています。
- (出典:厚生労働省)
このことを知れば、コロナワクチン接種の痛みは特別なものではないと安心することができます。
しかしさらに厚生労働省は、筋肉注射は皮下注射に比べてむしろ痛みが少なかったという報告すらあると、以下のように説明しています。
筋肉注射とは、ワクチンなどの医薬品を皮下脂肪の奥にある筋肉内に直接注射する方法のことを指します。ファイザー社のワクチン、武田/モデルナ社のワクチン、及びアストラゼネカ社のワクチンは、通常、肩の筋肉(三角筋)に接種を行います。筋肉は皮膚と比べて痛みを感じる神経が少ないともいわれており、皮下注射と比べて痛みが強いという証拠はありません。世界的にはインフルエンザワクチンなども、筋肉注射で行われている例が多くあります。皮下注射と筋肉注射を比べた臨床研究では、筋肉注射は皮下注射に比べてむしろ、注射した部位の痛みといった局所反応が少なかったという報告もあります。
(参考資料)
Vaccine. 2007; Volume25, Issue25, 4767-4774
(Comparative reactogenicity and immunogenicity of 23 valent pneumococcal vaccine administered by intramuscular or subcutaneous injection in elderly adults)
Vaccine. 2006; Volume24, Issue13, 2395-2402
(Reactogenicity and immunogenicity of an inactivated influenza vaccine administered by intramuscular or subcutaneous injection in elderly adults)
Vaccine. 2015; Volume33, Issue6, 789-795
(Comparison of intramuscular and subcutaneous administration of a herpes zoster live-attenuated vaccine in adults aged ≥50 years: A randomised non-inferiority clinical trial)(出典:厚生労働省)
この事実を知ることで、「筋肉注射は皮下注射に比べて痛くない可能性もあるのだから、特に怖がる根拠はないんだな!」などと勇気が湧いてきますね。それでも、コロナワクチンの異物混入問題が気になる人はこちらの記事をどうぞ。

つまり、注射の痛みを過度に恐れることなく、コロナワクチン接種を行うようにしましょう。
日本で接種が開始された、ファイザー社や、武田/モデルナ社、アストラゼネカ社コロナワクチンの特徴について詳しく学びたい方は以下3つの記事をそれぞれご覧ください。接種回数と接種間隔、有効性や安全性、受けられない人や注意が必要な人を紹介しています。



mRNAワクチンと既存ワクチンの違い
新型コロナワクチンの仕組みとして、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと既存ワクチンの違いを説明します。
- Q mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは新しい仕組みのワクチンということですが、どこが既存のワクチンと違うのですか。
- A ウイルスのタンパク質をつくるもとになる情報の一部を注射します。それに対する抗体などができることで、ウイルスに対する免疫ができます。
これまで我が国において使用されていたワクチン(不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチン)はウイルスの一部のタンパク質を人体に投与し、それに対して免疫が出来る仕組みでした。
mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンでは、ウイルスのタンパク質をつくるもとになる情報の一部を注射します。人の身体の中で、この情報をもとに、ウイルスのタンパク質の一部がつくられ、それに対する抗体などができることで、ウイルスに対する免疫ができます。
(出典:厚生労働省)
なるほど、既存ワクチンは、ウイルスの一部のタンパク質を人体に投与し、それに対して免疫が出来る仕組みでした。
一方で、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは、ウイルスのタンパク質をつくるもとになる情報の一部を注射します。そして、人の身体の中で、この情報をもとに、ウイルスのタンパク質の一部がつくられ、それに対する抗体などができることで、ウイルスに対する免疫ができるということがわかります。
コロナワクチン供給と接種の見通しについて詳しく知りたい方は「【コロナワクチン】供給と接種の見通し【日本への供給数・どのような研究開発】」の記事をご参照ください。厚生労働省が公表している情報をもとに、Q&A形式で日本の新型コロナワクチン供給や接種は今後どうなるのか?、どのようなワクチンが開発されているのか?という点を説明します。

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