ファクトフルネス10の思い込みの一つ、焦り本能について知りたいですか?
焦り本能の特徴は、身近な私生活で頻出するという点や長期でみたら悪影響を及ぼす点です。
その具体例を踏まえ、焦って得をすることはめったに存在しない点をご紹介!
この記事を読み進める前に、まずはファクトフルネスの意味や著者の主張、全体像を把握しておきたい方は「【ファクトフルネスまとめ】意味/主張/本の内容/クイズ/思い込みとは」の記事をご参照ください。

【⑪ファクトフルネス焦り本能】
焦り本能というのは、詳しい説明は不要であるほど、誰しもが経験のあることだと思われます。焦ってしまい、ミスが起こるということは、誰しも直感的に分かりますよね?以下に引用するファクトフルネスの著者の言葉を借りると、「今すぐに決めなければいけない」と焦ることで思考停止状態に陥り、判断を誤る可能性が高まることを焦り本能といいます。
ファクトフルネスとは……「いますぐに決めなければならない」と感じたら、自分の焦りに気づくこと。いま決めなければならないようなことはめったにないと知ること。焦り本能を抑えるには、小さな一歩を重ねるといい。●深呼吸しよう。焦り本能が顔を出すと、ほかの本能も引き出されて冷静に分析できなくなる。そんな時には時間をかけて、情報をもっと手に入れよう。いまやらなければ二度とできないなんてことはめったにないし、答えは二者択一ではない。●データにこだわろう。緊急で重要なことならなおさら、データを見るべきだ。
さらに理解を深めるため、私が考えるわかりやすい具体例を挙げて、焦り本能をどう回避すべきかを説明していきます。
前回までの記事で説明したファクトフルネス「10の思い込み」とその回避方法を再確認しておきたい方はこちらの記事をご覧ください。
- 【②ファクトフルネスクイズ】人をチンパンジー以下にする分断本能
- 【③ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能【要約・感想】
- 【④ファクトフルネス直線本能】右肩上がりグラフに注意【回避方法】
- 【⑤ファクトフルネス恐怖本能】過剰報道【リスクを適切に判断する】
- 【⑥ファクトフルネス過大視本能】80対20の法則【数字の比較割り算】
- 【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【回避方法・細分化・逆の例】
- 【⑧ファクトフルネス宿命本能】物事は変化しない【回避方法・批判】
- 【⑨ファクトフルネス単純化本能】専門知識が邪魔をする【回避方法】
- 【⑩ファクトフルネス犯人探し本能】失敗・成功要因はシステム全体
【⑪ファクトフルネス焦り本能】特徴【身近で頻出・長期的に悪影響】
まず焦り本能の大きな特徴について説明すると、ファクトフルネス10の思い込みの中で最も注意するべき錯覚であると言っても過言でありません。というのも身近な私生活において、焦り本能を刺激するものは、そこらかしこに存在するからです。また、焦り本能は長期的には悪影響を及ぼされる可能性が高いという点において要注意です。具体例を挙げて説明します。
焦って得をすることはめったに存在しない
焦り本能を刺激された結果、焦って得をすることはめったに存在しないということを説明します。
例えば、テレビをつければテレビコマーシャルは「今すぐご購入ください」と視聴者に促し、焦り本能を刺激してきます。インターネットを閲覧していると、「あと3日以内にセールは終了する」と告知がされ、焦り本能が刺激されます。
そしてサラリーマンの人の場は、会社に出社すれば「今すぐ最大限の努力をして、成果を残しなさい」と上司から叱咤激励を受け、焦り本能を刺激されるのです。
このように、焦り本能はそこらかしこに存在するからこそ、焦って得をすることはめったに存在しないということをまずは理解しましょう。確かに、中には焦ることにより得られるメリットも存在します。しかし、焦った結果得られるメリットが存在する場面は極めてまれであり、100回中1回程度だということを理解しましょう。しかもその一回を見逃してしまったとしても、長い人生においては大損失を被ることはほぼありません。つまり、焦って得をすることはめったに存在しないのです。
多くの人にとって、焦りを感じている時というのは、正しい決断を下せないことが多いので、そんな時は無理に考えようとするのではなく、時間をかけてより多くの情報を集めるように徹しましょう。
セールスマンに「今すぐ購入すべき」と言われた時の例
例えばセールスマンが、あなたに商品を売りつけようと営業をかけてきたとします。その説明をされた最後に、「在庫が最後のひとつなので、今すぐこの商品を購入しなければ、他の人に買われてしまうかもしれません!」と言われた時、「あー、この人は焦り本能を刺激しているんだな」と認識することで、今すぐ決めなければならない理由などどこにもないと自分に語りかけるようにしましょう。そうすることで正常な決断を下せる可能性が上がるはずです。もちろん、そのセールスマンが言ってることが正しい場合も中にはあります。しかしそのセールスマンの言うとおりにしないで後悔する可能性よりも、焦って今すぐ決断を下して(商品を購入してしまい)後悔する可能性の方が高いということを理解すべきです。というのも一般的にいって、焦って得をすることよりも、損をすることの方が圧倒的に多いからです。そのため、損をしたくなければ焦り本能を抑え、無理に考えようとするのではなく、時間をかけてより多くの情報を集めるようにしましょう。
焦り本能は諸刃の剣
また、焦り本能を利用して他者に働きかける行為というのは、諸刃の剣のようなものです。具体的に言うと、ときには相手を焦らせることで、短期的は相手を興奮させて行動を促すことができ、あなたは利益を得られることもあるかもしれません。しかし長期的にみれば、相手にとってもあなたにとってもマイナスの効果をもたらしかねません。そのため、焦り本能を刺激しようとすることは、長期的な視野で見た場合は、できるだけ控える必要があります。
中学生の勉強の例
例えば中学生の勉強を奨励する言葉としてあなたの将来のために勉強しなさいと言ったとしますしかし中学生のその子の立場からしてみれば、自分の将来にどう繋がるのかがいまいちピンとこないはずですそ。のためモチベーション維持するのを苦労してしまい、途中で勉強することに挫折してしまうのです。そのような時に、「今日中に宿題を終わらせなければ夕食は抜きだよ!」などと厳しく叱りつけたとします。しかし短期的には、その結果その子はしぶしぶ勉強に取り組むかもしれませんが、長期的にみるとなぜ宿題をやるのかが理解できないため、むしろ焦り本能を刺激されて強制された勉強を嫌いになってしまい、長期的に見たら勉強から離れていく可能性があります。このように焦り本能というのは諸刃の剣のようなものであると言えるので、焦り本能を刺激することは、長期でみたら悪影響であるということを理解しましょう。
社会人の例
では中学生の例ではなく社会人の具体例で考えてみましょう。長時間労働をして仕事に成果は出るかもしれませんが、長期的に見たらマイナスの効果がもたらされる可能性が高いです。というのも体調を崩してしまったり、疲労が蓄積してミスが立て続けに起こる可能性があるからです。ミスをして、そのミスを取り返すためにまたさらに時間を費やすことになれば、全体的に見たら大きなマイナスに繋がります。だからこそ、焦り本能に従って仕事をすることは、長期的に見たらマイナスの効果がもたらされるのです。そのため、もし今後焦り本能を自分を感じているのではないかと感じた場合、ファクトフルネスによっていま自分がやらなければいけないと感じていることは、焦り本能を刺激されたことからくるものではないかと自問自答するようにしましょう。また、今すぐやらなければいけない、今すぐ決めなければいけない物事というのは、めったにないということを理解しましょう。そうすることで焦り本能を回避することにつながるはずです。
将来予測には注意
ファクトフルネスの著者は、未来予測については焦り本能によって誤った決断をしないように特にに注意するべきであると主張しています。例えば株式投資などに関しては短期的な将来予測をすることはほぼ不可能です。したがって最高の結果がもたらされた場合だけではなく、最悪の結果をもたらされた場合も十分に考慮する必要があります。多くの人は、最高の結果ばかりに目を取られてしまい、最悪の結果に目を向けようとしません。そこで、自分が予測している「極端に良いケース」が過去にどのぐらい外れていたのかを考えることで、より冷静な判断を下すことができる可能性が高まります。つまり、データに基づいて決断を下すべきなのです。その結果、株式投資でどのぐらい自分が損失を被っても耐えることができるのかを事前に考慮することにより、自分がどのぐらいまでのリスクであれば追うことができるのかを検討するのに役立ちます。
またあなたが何かの問題を抱えている時は、大胆不敵な対策はできるだけ取らないようにしましょう。というのも大胆不敵な対策というのは、メリットだけではなくデメリットの方が大きいからです。したがって抜本的な改革よりも、むしろ小さな改革を積み重ねていくことのほうが抜本的な改革につながることでしょう。したがって、大きな行動よりも小さな行動の方を大切にするよう心がけましょう。
コメント