【②ファクトフルネスクイズ】人をチンパンジー以下にする分断本能

ファクトフルネス 経営実践戦略
【②ファクトフルネス】クイズ【チンパンジー・分断本能を回避せよ】
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ファクトフルネスクイズについて知りたいですか?

書籍ファクトフルネスで出題されるクイズの質問1と2を踏まえ、人の正解率はチンパンジー以下という点をご紹介!

人はドラマティックに物事を2つに分類したがる思考の癖(分断本能)があり、その癖を回避する方法を説明します。

この記事を読み進める前に、まずはファクトフルネスの意味や著者の主張、全体像を把握しておきたい方は「【ファクトフルネスまとめ】意味/主張/本の内容/クイズ/思い込みとは」の記事をご参照ください。

【ファクトフルネスまとめ】意味/主張/本の内容/クイズ/思い込みとは
ファクトフルネスのまとめ記事です。ベストセラー書籍ファクトフルネスとは何か、意味や著者の主張、チンパンジークイズを踏まえ、本の内容を日常のたとえ話と共にご紹介!錯覚しがちな10の思い込みや回避方法を学び、身近な生活でファクトフルネスを実践したい方必見!

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【ファクトフルネス】クイズ 質問1【チンパンジーとの比較】

ファクトフルネスの著者によると、多くの人は世界に対する見方が誤っていると主張しています。具体的に言うと、本の冒頭に13個のクイズが掲げられています。

クイズに答えている男性のイラスト「マル」

読者がこのクイズに答えることによって、自分がどれだけ誤った世界の見方をしているのかが実感として読者に伝わるようになっています。例えばファクトフルネスクイズの一つ目の質問は以下の通りです。

質問1

現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?

A20% B40% C60%

引用元

ハンス・ロスリング;オーラ・ロスリング;アンナ・ロスリング・ロンランド.FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣(Kindleの位置No.86-88).日経BP社.Kindle版.

現在、低所得国で暮らしている女の子の何%が初等教育、つまり小学校を卒業しているでしょうか?という質問で、選択肢としては20%、40%、60%の3つがあります。

さっそくあなたも、このファクトフルネスのクイズの答えを考えてみてください。あなたはどの選択肢が正しいと思いますか?

赤いランドセルを背負う小学生のイラスト(女の子)

ちなみに、私はAの20%を選びましたが、あなたはどれを選びましたか?

先に答えを言ってしまうと、正しい答えはCの60%とのことです。私は不正解でした。

著者によると、このクイズを解いた人たち全体の正解率はわずか7%であるとのことです。そして、大半の人はAの20%の選択肢(最もひどい貧困状態にあるという選択肢)を選んだといいます。

クイズに答えている男性のイラスト「バツ」

でも実際は、たった20%の女子しか小学校を卒業できない地域というのは、戦争や紛争が勃発している地域しか存在しないから、低所得国に対するイメージとしてこのクイズの選択肢Aを選んでしまった人は、最も大きな勘違いをしているとのことです。言い換えると、低所得国の女の子の小学校の卒業率は20%であるという選択肢は、正しい選択肢である実際の女子の小学校卒業率60%に対し、3倍も過小に見積もっていると言えます。言い換えると、皆が思っているほど低所得国はそんなに貧しくはないとも言えますね。

多くの人がそのように感じてしまった要因として、メディアが過剰に低所得国の一部の惨状を、強調した報道をしているということもあると思われます。

アフリカの難民のイラスト

誰しもが以下のようなCMをテレビで目にしたことがあるはずです。「貧困国は少量の食事も摂取できないし、清潔な水も飲めないし、さらに病気が蔓延している、だからあなたが◯◯円寄付することによって多くの人の命を救うことができます、などというCMで惨状を目にしたら誰でも低所得国は皆こんな感じなのだろうな、という印象を感じてしまったとしても無理はありませんよね。だからそのような極端な物事を目にしたら、ファクトフルネスによって状況を冷静に考える必要があるということです。

また、たしかにファクトフルネスクイズの質問1は3択クイズなのに、正解率がたったの7%という数値は異常に低い値だと言えますよね?というのも、問題すら読まずに目をつぶってランダムに3つの選択肢の中から1つを選んだしたとしても、33%の確率で正解するためです。この本ファクトフルネスでは、ランダムに回答した場合という言葉の表現を使わずに、33%の確率で正解を選べるチンパンジーに選択肢を選ばせるという「チンパンジーがクイズに回答した場合」というユーモアのある表現を使っています。

道具を使うチンパンジーのイラスト

たしかに、チンパンジーの33%の正解率と、人間の7%の正解率を比較すると、思い込みや先入観によって26%もの差が生じています。そこで、事実に基づいた冷静なものの見方、ファクトフルネスを実践する必要性が出てくるわけです。

つまりこの本の著者の主張は次のとおりです。

多くの人は、思い込み、先入観、錯覚によってこのクイズの正答率がチンパンジーと比較して26%も低くなってしまっているんだから、この本の読者であるあなたも日常生活において誤解してしまっている物事は多々存在するはずだ!だから、ファクトフルネスによって世の中を正しく捉えられるようになりましょう!

【ファクトフルネス】クイズ 質問2【分断本能を回避しよう】

では次に、ファクトフルネスクイズの質問2を見てみましょう。

質問2

世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?

A低所得国 B中所得国 C高所得国

引用元

ハンス・ロスリング;オーラ・ロスリング;アンナ・ロスリング・ロンランド.FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣(Kindleの位置No.494-495).日経BP社.Kindle版.

世界で最も多くの人が住んでいるのは、私の直感としては低所得国なのではないかと思い、私はAを選択しました。しかし正解はBの中所得国とのことです。なんと、世界は私が思っている以上に豊かになっているということです!

お財布のキャラクター(喜ぶ)

ちなみに、世界全体の75%を中所得国が占めています。さらに、世界の高所得国と中所得国に住む人口を足し合わせると世界人口の、91%になるそうです。裏を返すと、低所得国はたったの9%にすぎません。つまり、私は大間違いをしてしていたということです。

分断本能(2つに分類したがる思考の癖)を回避する方法

ファクトフルネスを用いて、分断本能(2つに分類したがる思考の癖)を回避する方法を具体的に説明します。

ファクトフルネスの著者は、多くの人は分断本能があると主張します。分断本能というのは、世の中の物事はドラマティックに黒か白かの2つに分類することができると、勝手に思い込みたがる人間の思考の癖を指します。

海を割るモーセのイラスト

この思考の癖のせいで、人は前述のファクトフルネスクイズでチンパンジー以下の正解率になってしまっているのだとも言えるでしょう。

では分断本能とはどのようなものかを理解するために、私なりに身近なものに置き換えてわかりやすく説明しましょう。たとえば、料理の技術について、分断本能に基づいて2つに分類したがる思考の癖を説明すると、料理が上手い人と料理が下手な人のどちらかに人間の思考は自動的に分類したがるということです。

料理を差し出しているシェフのイラスト(男性)

しかし、実際は料理が下手だといっても、包丁すら握ったことがない人もいれば、包丁はある程度使いこなすことができるが、めったに自炊をしないので料理が下手な人に分類されるというケースもあることでしょう。また、料理が上手いと一口に言っても、高級ホテルで働く一流のシェフもいますし、毎日家族6人分の食事を作る主婦の方もいます。後者の主婦の場合、自炊は頻繁にするので料理にはある程度自信があるが、当然のことながら一流の料理人というほどではないという人もいることでしょう。

このように世の中の物事は、単に2つに分類すればよいというものではないのだ、という点がファクトフルネスの考え方です。

ファクトフルネスの著者は、例えば物事を2つに分類したがる「分断本能」という人間の思考の癖を、発展途上国と先進国という言葉を例に説明し、この考え方(言葉)自体が誤って居るのだといいます。

世界人口を4つの所得レベルに分類する例

具体的に言うと、世界を2つのうちのどちらかに分類するのではなく以下のようにレベル1からレベル4の4段階に分類して考えるのが正しいと言います。この本の著者は読者にわかりやすく伝えるために、一人当たりの1日あたりの所得(USドル)と画像を用いて、レベル1からレベル4に分類して以下のように説明しています。

引用元

ハンス・ロスリング;オーラ・ロスリング;アンナ・ロスリング・ロンランド.FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣(Kindleの位置No.518).日経BP社.Kindle版.

4つの所得レベルと題したこの図は、世界人口70億人において、所得に関して最も簡略化された世界の縮図であると言えます。私は個人的に感じたこととして、著者によるシンプルで分かりやすい説明には驚きました。全世界の人口を、たったこれだけで表現してしまうとは!「世界が7人の村だったら」、などとタイトルをつけても良いかもしれませんね。

外国人の子供達のイラスト「世界の少年少女」

図の中の人の記号は、一人当たり10億人を示しています。この図を見てみるとレベル2が最も多く、次にレベル3の人が多いことに気がつきます。著者によると、レベル2であれば、生きるために必要なものはほとんど揃うといいます。

なお、ドルの価値がどのくらいなのか、いまいちピンとこないという人のために補足すると、2020年12月23日の1ドルの為替レートは約103円ですので、1ドルとは大体100円くらいなのだと簡略化して捉えると理解しやすくなると思います。

レベル1

まずこの図はレベル1の人たちが最も貧しく、1日あたりの所得は2ドル未満です。たとえば1日あたり100円しか稼げないとすれば、一ヶ月あたりの月収でいうとたったの3000円です。月収3000円では、食べ物や飲み物もまともに買えないことになります。レベル1の生活をしている人は世界に10億人います。

アフリカの難民のイラスト

レベル2

そしてレベル2の人たちは、1日あたりの所得が2ドル以上8ドル未満を指します。例えば1日あたり500円稼げるのであれば、一ヶ月あたりの収入は1万5000円となるため、おにぎりやパン、水くらいは手に入るといったイメージでしょうか。レベル2の生活をしている人は世界で30億人います。また、4つの分類の中で、レベル2の人が最も多いです。

レベル3

そしてレベル3は1日あたりの所得が8ドル以上32ドル未満です。例えば日給2000円くらい稼げれば、一ヶ月あたり6万円稼げるため、最低限の食べ物や水は購入できるし、歯ブラシや石鹸等の日用品も買う余裕が出てきますね。レベル3の生活をしている人は世界で20億人います。

レベル4

最後にレベル4は最も豊かで、1日あたりの所得が32ドル以上であることを示しています。これは説明しなくとも、なんとなくわかるはずです。というのも、日本人のほとんどはこのレベル4の生活水準であるため、この図をパッと見て、「アメリカや日本はきっとレベル4だろうな」ということは誰しも直感的に分かりますよね。具体的に言うと、1日あたり6000円稼げれば、一ヶ月あたりの収入は18万円となります。18万円稼げれば、食料や水、生活用品、また贅沢をしなければ貯金もできるでしょう。レベル4の生活をしている人は世界で10億人います。

豪華な食事をする家族のイラスト

この図をみると、たしかに途上国と先進国という2つの区分だけでは、世界を分類するには不十分であるということはわかります。

つまり、あなたに何かの物事や問題を分析する際に、分断本能に惑わされることなく、現在ある情報を4つに分類して思考する癖をつけることにより、本文中の言葉を借りれば「事実に基づく世界の見方」、ファクトフルネスを実践することができるようになるということです。

【ファクトフルネス】もっと知りたい

ファクトフルネスについてもっと詳しく知りたい方向けに、おすすめ記事をご紹介します。

本記事でここまで説明してきた分断本能というのは、ファクトフルネス10の思い込みの中の、一つ目にあたる項目「分断本能」でした。

では次に、ファクトフルネス10の思い込みの2つ目である「ネガティブ本能」を理解し、ネガティブ本能を回避する方法を学びたい方は「【③ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能【要約・感想】」の記事をご覧ください。

また、右肩上がりのグラフをみた時は直線本能に注意すべきという点を踏まえ、思い込み回避方法を学びたい方は「【④ファクトフルネス直線本能】右肩上がりグラフに注意【回避方法】」の記事をご参照ください。

ファクトフルネス10の思い込みの一つ恐怖本能については、「【⑤ファクトフルネス恐怖本能】過剰報道【リスクを適切に判断する】」の記事をどうぞ。メディアは恐怖本能を利用する傾向があるという点を踏まえ、コロナや自然災害、飛行機事故の偏ったメディアの報道について説明します。身の回りに存在するリスクを適切に判断できるようになりたい方必見!

また、過大視本能とは目の前にある数字を過大視し、重要な物事を見落とす傾向です。

それを回避するには判断の根拠となる数字にだけ注目するのではなく、他の数字との比較や割り算をし判断する必要があります。詳しくは「【⑥ファクトフルネス過大視本能】80対20の法則【数字を比較し割り算】」の記事をご参照ください。

さらに、私達にはパターン化本能というものが存在し、無意識的に一つの具体例が他の全てのものにも当てはまると思い込む傾向があります。

パターン化本能の回避方法として、物事の細分化や、逆の例はないか?と問いかける必要性を学びたい方は「【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【回避方法・細分化・逆の例】」の記事をご覧ください。

宿命本能とは、物事は変化しないという錯覚を指します。

ファクトフルネスの著者の説明は内容が薄いという批判を踏まえ、私の言葉を含ませた錯覚回避方法をご紹介!

上手くいかない原因を他人のせいにしがちな人は「【⑧ファクトフルネス宿命本能】物事は変化しない【回避方法・批判】」の記事をご参照ください。

ファクトフルネス10の思い込みの一つ単純化本能について知りたいですか?

自分の専門知識で問題解決できるはずという誤った思い込みを踏まえ、単純化本能は政治思想にもみられる点やその回避方法をご紹介!

多面的な物事の捉え方をできるようになりたい方は、「【⑨ファクトフルネス単純化本能】専門知識が邪魔をする【回避方法】」の記事をご参照ください。

ファクトフルネス10の思い込みの一つ、犯人探し本能について知りたいですか?

物事が上手くいかない時は、個々ではなくシステム全体の欠陥を探すべきという点を踏まえ、成功要因もシステム全体に注目すべき点をご紹介!

身近な具体例をもとに、ファクトフルネスを実践したい方は、「【⑩ファクトフルネス犯人探し本能】失敗・成功要因はシステム全体」の記事をご参照ください。

ファクトフルネス10の思い込みの一つ、焦り本能について知りたいですか?

焦り本能の特徴は、身近な私生活で頻出するという点や長期でみたら悪影響を及ぼす点です。

その具体例を踏まえ、焦って得をすることはめったに存在しない点を学びたい方は、「【⑪ファクトフルネス焦り本能】特徴【身近で頻出・長期的に悪影響】」の記事をご覧ください。

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