【④ファクトフルネス直線本能】右肩上がりグラフに注意【回避方法】

ファクトフルネス 経営実践戦略
【④ファクトフルネス直線本能】右肩上がりグラフに注意【回避方法】
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ファクトフルネス10の思い込みの一つ、「直線本能」について知りたいですか?

右肩上がりのグラフをみた時は直線本能に注意すべきという点を踏まえ、思い込み回避方法をご紹介!

直線本能を身近なものに例えると何が当てはまるのかを理解し、思い込み回避を実践したい方必見!

この記事を読み進める前に、まずはファクトフルネスの意味や著者の主張、全体像を把握しておきたい方は「【ファクトフルネスまとめ】意味/主張/本の内容/クイズ/思い込みとは」の記事をご参照ください。

【ファクトフルネスまとめ】意味/主張/本の内容/クイズ/思い込みとは
ファクトフルネスのまとめ記事です。ベストセラー書籍ファクトフルネスとは何か、意味や著者の主張、チンパンジークイズを踏まえ、本の内容を日常のたとえ話と共にご紹介!錯覚しがちな10の思い込みや回避方法を学び、身近な生活でファクトフルネスを実践したい方必見!

 

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【④ファクトフルネス直線本能】10の思い込みのおさらい

直線本能について学ぶ前に、ファクトフルネス10の思い込みとはどのようなものなのかをおさらいしておきましょう。10項目は以下のとおりです。

分断本能ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能過大視本能パターン化本能宿命本能単純化本能犯人探し本能焦り本能

この中の一つ目、「分断本能」については前々回の記事「【②ファクトフルネスクイズ】人をチンパンジー以下にする分断本能」で詳しく説明しています。具体的には、人にはドラマティックに物事を2つに分類したがる思考の癖(分断本能)があり、その癖を回避するコツを学ぶ必要があるというものです。詳細はこちらの記事をどうぞ。

【②ファクトフルネスクイズ】人をチンパンジー以下にする分断本能
ファクトフルネスクイズについて知りたいですか?書籍ファクトフルネスで出題されるクイズの質問1と2を踏まえ、人の正解率はチンパンジー以下という点をご紹介!人はドラマティックに物事を2つに分類したがる思考の癖(分断本能)があり、その癖を回避する方法を説明します。

次に、10項目のうちの2つ目の「ネガティブ本能」は前回の記事「【③ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能【要約・感想】」で解説しましたが、物事は悪化するニュースが取り沙汰されますが、実際には世界で減り続けている悪い事と、増え続けている良い事があります。その正しい情報を入手するためのコツは、ネガティブ本能を回避する5つの方法を知る必要があるというものでした。詳しくは以下の記事をご参照ください。

【③ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能【要約・感想】
ファクトフルネス10の思い込みの一つ、「ネガティブ本能」について知りたいですか?ネガティブ本能を断ち切るため、実際には世界で減り続けている悪い事と、増え続けている良い事を確認していきましょう!図の解説や要約・感想を踏まえ、ネガティブ本能を回避する方法をご紹介!

そして今回の記事は、ファクトフルネス10の思い込みの3つ目「直線本能」について解説します。さっそく、直線本能とはどのようなものかについて具体的にみていきましょう。

 

【④ファクトフルネス直線本能】右肩上がりのグラフには注意

ファクトフルネス10の思い込みの一つ、直線本能とは、一言でいうと右肩上がりグラフには注意しましょうというものです。というのも、その直線のグラフはその後、永久に右肩あがりに伸びていくとは限らないことが多いからです。では具体的にどのようなグラフかというと、例えば以下の紀元前8000年から現在までの世界人口の推移グラフです。

世界の人口(紀元前8000年から現在まで)

世界の人口(紀元前8000年から現在まで)

出典

ハンス・ロスリング;オーラ・ロスリング;アンナ・ロスリング・ロンランド.FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣(Kindleの位置No.1150).日経BP社.Kindle版.

世界人口の推移を紀元前から見てみると、紀元前8000年の時点では世界人口は500万人でした。イメージとしては、この時は農業が始まった1万年前であるとのことです。この頃はそれ以前の狩猟採集の時代から一歩踏み出した頃ですね。そして2017年現在は、世界人口は76億人です。つまり、500万人から76億人を比較すると、人口は1520倍になったということです。このグラフをみると、だいたい1800年時点ぐらいから、急激に人口増加が加速していることがわかります。恐ろしい勢いですね!

あなたはこのグラフを見て、率直にどう思いますか?

もしかしたらこのグラフを見た人の中で、「大変だ!このまま行ったら人口は増え続けていって地球が人で埋め尽くされて、いずれは満員電車のように身動きが取れなくなってしまうんじゃないの!?何とかして、月や火星に移住する計画を今のうちに考えておこう!」などと思う人も中にはいるかもしれません。しかし結論から言うと、その心配はありません。というのも今後、必ずしも人口は直線に伸び続けていくことはないだろうと予測できるからです。次章では、その根拠を踏まえ、直線本能を回避する方法を詳しく説明します。

 

【④ファクトフルネス直線本能】右肩上がりのグラフには注意【回避方法】

このように物事が今後も悪化して、右肩上がりの直線のグラフが伸びていくように推移していってしまうのではないかと無意識的に思い込んでしまうことを、ファクトフルネスの著者は直線本能と呼んでいるのです。この直線本能を回避する方法は単純です。直線のグラフをみたら、本当にそのまま右肩上がりに推移していくのだろうか?と疑い、反証となる正しい情報を集めることです。

今後の世界人口の増加の推移について、なぜ今後人口は直線に伸び続けていくことはありえないだろうと予測できるのかと言うと、子供の数は減ることが予測されているからです。以下の国連が予測する「未来の世界の人口」に関するグラフをご覧ください。

未来の世界の人口(国連予測)

未来の世界の人口(国連予測)


ハンス・ロスリング; オーラ・ロスリング; アンナ・ロスリング・ロンランド. FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 (Kindle の位置No.1196). 日経BP社. Kindle 版.

現在において、人口増加の原因は大人が増加してるから人口が増えています。具体的に言うと、15歳から74歳までの層が増加しているのです。しかし子供の数は増えておらず横ばいです。だから、今後の急激な人口増加推移は緩やかになるだろうと予測できるということです。

また、ファクトフルネスの本の著者によると、急激な人口増加を止めるには、極度の貧困を無くし、教育と避妊具を普及させることであると言います。例えばソマリアなどの地域に住む人たちは、子供をどれだけ出産しても、子供が5歳になるまで生き残る人は少数であり、その大半は病気や食糧不足などで死亡してしまいます。だから貧困地域に住む人々は、できるだけ多くの子供を産む必要性が出てくるのです。具体的に言うと、ソマリアやマリ、チャド、ニジェールなどの極度の貧困に暮らす家庭は乳児死亡率が最も高い地域なので、子供を労働力としてみなしたり、子供が5歳までに病気で命を落としやすいために、女性一人当たりの子供の数が5人~8人と多いです。先進国は女性一人あたりの子供の数は2人なので、2~4倍もありますね!もしかしたら言葉が適当ではないかもしれませんが、「数撃ちゃ当たれ」とでも言わんばかりに、多くの子供を出産するのです。このことにより、貧困国の人口が急激に増加するといいます。しかし一方で先進国に住む人々は平均初婚年齢も上がるし、子供を産む平均人数も減少する傾向があります。

しかしながら、前々回の記事の「世界人口を4つの所得レベルに分類する例」の章でも説明した「貧困層」と呼ばれるレベル1に該当する人たちは、長い歴史で見てみると世界的にどんどん減ってきています。だから今後も、世界の人口が右肩上がりに増え続けるということはないだろうと予測することができるのです。

 

【④ファクトフルネス直線本能】身近なものに例えると?【回避方法】

さてここで、ファクトフルネスの著者が主張する直線本能についての理解を深めるため、「これって身近なものに例えると何が当てはまるの?」と考えてみましょう。そうすることで、身近な物事において発生しうる直線本能を回避することに繋がります。あなたの周りの物事に当てはめて、直線本能回避を実践していきましょう。

新型コロナ感染拡大で人類は滅亡する

ファクトフルネスの直線本能の例として、例えば最近話題となっている新型コロナウィルスの蔓延も当てはまります。2020年12月25日の時点で、「このまま感染が拡大していったら全世界の死者数が67億人に達し、人類は滅亡してしまうのではないか」と考える人もいるかもしれません。なぜなら、新型コロナウイルスの感染者数の増加推移の予測が、直線本能によって影響を受ける可能性もあるからです。具体的に言うと、2020年2月21日から2021年1月7日までの期間における、日本国内の1日あたり新型コロナ新規感染者数の推移グラフは以下の通りです。

国内コロナ感染者数2021年1月9日

国内コロナ感染者数2021年1月7日

出典 Google

このグラフの2020年3月末あたりのコロナ感染拡大の初期の頃を見てみると、右肩上がりに感染者数が増加しているのがわかります。しかしその後4月に入ってから緊急事態宣言が発令され、5月には一旦感染者数は減少しました。つまり3月末の時点ではコロナ新規感染者数の推移を予測した人の多くが、直線本能によって今後も感染者数が増加し続けると思い込んでしまうことを手伝った可能性があるということです。さて2020年12月に入ってから新型コロナウイルス新規感染者数が増加傾向にありますが、直線本能というものを理解しておけば、おそらくこの感染者数が永遠に右肩上がりに増加し続ける可能性は、必ずしも高くはないと冷静に状況を見極めることが出来るはずです。つまり直線本能を回避することにつながるのです。

嫌な出来事が連続した時の不安感

他にも、直線本能が人を不安にさせてしまう場面としては、嫌な出来事が連続して起きた時などが当てはまるでしょう。例えば、2週間前に大切なものを外出先に置き忘れてきてしまったばかりなのに、今日もまた別の物を紛失してしまった。きっとこれからも立て続けに物を忘れてきてしまうのではないだろうか、などと不安に感じてしまうのです。確かにその人にとって短期的にみた場合、最近の出来事としては困ったことが連続して起きているのかもしれません。しかし例えば過去10年間という長い期間で見た場合、そのような物を紛失して困ったことになる経験は長期で継続することはないと言うことが分かると思います。つまり直線本能というのは新たに経験する不快な事に対して自分のマイナス意識も手伝って今後も現場が継続するのではないだろうかという不安から発生するということがわかります。この点についてはファクトフルネスの前回の記事で説明したネガティブ本能と似ています。

【③ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能【要約・感想】
ファクトフルネス10の思い込みの一つ、「ネガティブ本能」について知りたいですか?ネガティブ本能を断ち切るため、実際には世界で減り続けている悪い事と、増え続けている良い事を確認していきましょう!図の解説や要約・感想を踏まえ、ネガティブ本能を回避する方法をご紹介!

株式投資の運用益は必ず継続するとの思い込み

しかしファクトフルネスの直線本能というのは、マイナスの物事に対してのみ発生するものではありません。具体的に言うと、株式投資の運用益は、今後も右肩上がりに継続するだろうという思い込みも、直線本能がもたらすものであると言えるからです。具体的に言うと、株式投資というのは将来の運用益が100%保証されているというものではありません。したがって過去に運用益が100万円もたらされたからといって、今後も必ず継続するというものではありません。しかし右肩上がりに直線でひかれた推移グラフの資料を、証券会社の営業マンから、饒舌なトークとともに差し出されて閲覧してしまうと、それを見た一般顧客は、まるで今後も右肩上がりに株式投資から得られる運用利益が必ず継続していくだろうと思い込んでしまう可能性もあります。したがって直線本能というのは、マイナス意識によってのみもたらされるものではなく、直線で描かれたグラフを視覚的に見た場合に、今後も直線の先は伸び続けていくに違いないと思い込んでしまう、錯覚であると理解する必要があります。そのため、あなたも今後、右肩上がりの直線で描かれたグラフを見た時には、瞬時にファクトフルネスの直線本能という言葉を思い出し、ファクトフルネスを用いて「本当にそのグラフの推移が右肩上がりに伸びていくのだろうか?」と懐疑的になるべきです。そして正しい情報を集め、正しい判断が出来るようにするのです。そうすることで、直線本能を回避することにつながるはずです。

ここまでの説明で、直線本能がどのようなものなのかという点と、ファクトフルネスにより回避する方法についてはご理解いただけたかと思います。そこで、次はファクトフルネス10の思い込みの一つ、恐怖本能についても「【⑤ファクトフルネス恐怖本能】過剰報道【リスクを適切に判断する】」の記事を通して理解を深めましょう。

具体的に言うと、メディアは恐怖本能を利用する傾向があるという点を踏まえ、コロナや自然災害、飛行機事故の偏った報道をご紹介します。保険や起業等、身の回りに存在するリスクを適切に判断できるようになりたい方必見!

【⑤ファクトフルネス恐怖本能】過剰報道【リスクを適切に判断する】
ファクトフルネス10の思い込みの一つ、恐怖本能について知りたいですか?メディアは恐怖本能を利用する傾向があるという点を踏まえ、コロナや自然災害、飛行機事故の偏った報道をご紹介!保険や起業等、身の回りに存在するリスクを適切に判断できるようになりたい方必見!

 

もっと知りたい

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それを回避するには判断の根拠となる数字にだけ注目するのではなく、他の数字との比較や割り算をし判断する必要があります。詳細は「【⑥ファクトフルネス過大視本能】80対20の法則【数字の比較割り算】」の記事をご覧ください。

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