【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【回避方法・細分化・逆の例】

【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【回避方法・細分化・逆の例】 経営実践戦略
【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【回避方法・細分化・逆の例】
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ファクトフルネス10の思い込みの一つ、パターン化本能について知りたいですか?

私達は無意識的に、一つの具体例が他の全てのものにも当てはまると思い込む傾向をご紹介!

パターン化本能の回避方法として、物事の細分化や、逆の例はないか?と問いかける必要性を学びたい方必見!

この記事を読み進める前に、まずはファクトフルネスの意味や著者の主張、全体像を把握しておきたい方は「【ファクトフルネスまとめ】意味/主張/本の内容/クイズ/思い込みとは」の記事をご参照ください。

【ファクトフルネスまとめ】意味/主張/本の内容/クイズ/思い込みとは
ファクトフルネスのまとめ記事です。ベストセラー書籍ファクトフルネスとは何か、意味や著者の主張、チンパンジークイズを踏まえ、本の内容を日常のたとえ話と共にご紹介!錯覚しがちな10の思い込みや回避方法を学び、身近な生活でファクトフルネスを実践したい方必見!

 

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【⑦ファクトフルネス】パターン化本能

ファクトフルネス10の思い込みの一つ、パターン化本能とは、一つの具体例が他の全てのものにも当てはまるという思い込み(錯覚)を指します。

例えば、他の国から見ると日本人は礼儀正しいと指摘されることがあります。しかし実際に日本人の視点で自国の民族を見てみると、確かに礼儀正しい人もいれば、失礼な人もいるし、千差万別であるということがわかります。このように情報をパターン化することで複雑な情報を整理するのに役立ちますが、時として錯覚に繋がりかねません。つまり一つの例だけで物事の全体像を捉えてしまうことは、誤った思い込みに繋がりかねないから注意する必要があるという点が、ファクトフルネスの著者の主張です。

ダメ出しする女性

ファクトフルネスの著者はパターン化本能の例を説明するため、過去に自身が以下のような文化の違いを経験したことを挙げています。

  • 食事
    • ネズミの丸焼きや、幼虫を食べる文化と食べない文化
  • エレベーター
    • エレベーターの安全装置がある文化とない文化

まず1つ目の食事に関しては、あるサバンナに住む経済的に貧しい民族は、ネズミの丸焼きを喜んで食べるといいます。そしてその民族は、食事のデザートとして大きな幼虫を食べる食習慣もあり、ファクトフルネスの著者はその民族と一緒に食事を食べた時に吐き気を催したと言います。その民族の男性は、喜んでネズミの丸焼きや幼虫を食べても、先進国においてネズミや幼虫を食べる人は珍しい、というよりむしろ皆無でしょう。このように、先進国に住む人達にとっての、ネズミなんて食べるはずがないという考えは、単なるパターン化本能による思い込みでもあるということです。

そして2つ目に関しては、経済的に貧しい国の人々にとってみたら、エレベーターに安全装置が備わっているというのは当たり前のことではありません。例えばエレベーターの安全装置というのは、もしエレベーターに急いで後から乗り込もうとする人がエレベーターのドアに挟まってしまった場合に、安全装置が作動し、ドアが開くという機能です。このエレベーターの安全装置の機能は、先進国に住む人にとってみたら当たり前のことです。むしろ、先進国でエレベーターの安全装置がうまく作動せず、怪我をした人が発生した場合は、おそらく大問題としてニュースに取り上げられることでしょう。 しかし経済的に豊かでない一部の国では、エレベーターの安全装置がついていないことが当たり前であり、エレベーターの安全装置という概念すらない国もあります。

このように国が変われば文化も変わります。多くの企業のマーケティング担当者は世界はレベル2の経済力しかない人たちが、今後の2040年にはレベル4まで成長するということを知りません。(レベル4という言葉の意味について、詳細は「世界人口を4つの所得レベルに分類する例」をご参照ください。)従って、先進国で暮らし、目の前の豊かな生活に慣れきってしまうと、途上国と呼んでいるの人たちの生活がどれだけ進歩してきているのかを見過ごしてしまう可能性があります。

例えば、パターン化本能により思い込みが生じることを示すためファクトフルネスの著者は、世界の10大銀行で働く有能な職員71人に対し、以下のような質問をしたと言います。

 

世界中の1才児の中で、何らかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?

A20% B50% C80%

 

正解はCの80%です。つまり、貧しい国に住む子供たちの中の大部分が、何らかの予防接種を受けているということです。最も多くの人が選んだ選択肢は、Aの20%だというから驚きですね!つまりみんな大きな勘違いをしているということです。実際には88%の子供が予防接種を受けているのに、多くの投資家たちはたった20%しか予防接種受けていないと思い込んでいたことから、彼らは大きな投資のチャンスを見逃しているため、プロの投資家として失格であると否定されかねないともいえるでしょう。

さらに具体的に言うと、上記の金融エリート達のうち、なんと85%が予防接種を受けている子供は世界でも少数だと思い込んでいたということです。金融エリートたちは、予防接種は先進国でしか受けられないものだと、勘違いしていたようです。

金融のエリートたちですら、世界の状況を正しく読み取れておらず、パターン化本能により錯覚に陥っているということですから、一般人はいわずもがなです。この金融エリート達には、頭の中に経済的な後進国と先進国の二種類しか存在せず、自分以外の人達は後進国だから経済的に貧しいのだろうと、パターン化本能により錯覚してしまっていたということです。

このように、このパターン化本能により錯覚が生じる事から、思い込みを回避する方法を学ぶ必要が出てきます。次の章ではパターン化本能の回避方法について、具体例を挙げて説明します。前回までの記事で説明したファクトフルネス「10の思い込み」とその回避方法を再確認しておきたい方はこちらの記事をご覧ください。

 

【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【回避方法】

ここまでの説明で、パターン化本能が私たちの判断を誤らせることがあるという事例を説明してきました。しかし、いくらパターン化本能についての知識があろうとも、実践で活かせなければ意味がありません。そこで次は、ファクトフルネス10の思い込みの一つである、パターン化本能を回避する方法を考え、実践で活かせるようになりましょう。

また、もし私たちがこのパターン化本能を回避する方法を学ぶことで、より広い視野で世の中を見ることができるようになるはずです。

パターン化本能を回避する方法として、ファクトフルネスの著者は、たったひとつの具体例を根拠に集団の全体に対し結論付けようとしている人がいたら、もっと他にも具体例を挙げるように頼んだ方がいい。あるいは、逆の例を尋ねてみるべきだと以下のように主張しています。

ひとつの例を根拠に集団全体に対して結論を出そうとしている人がいたら、もっと例をあげるように頼んだほうがいい。逆の例を尋ねてみるのもひとつの手だ。たとえば、逆の例から反対の結論が出るかどうかを聞いてみよう。

ハンス・ロスリング;オーラ・ロスリング;アンナ・ロスリング・ロンランド.FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣(Kindleの位置No.2433-2434).日経BP社.Kindle版.

でも、この著者の説明は、すこし抽象的な説明であるとも感じるので、もっと具体的に身近な例でパターン化本能を回避する方法を考えてみましょう。

ファクトフルネス10の思い込みの一つ、パターン化本能の回避方法について、細分化すべきであるという点を説明します。

高齢者はスマートフォンを使いこなせない、という思い込み

例えばある民間企業で、70歳以上の高齢者はスマートフォン使いこなせないからビジネスチャンスがない、とマーケティング関係者が考えていたとします。しかし本当に高齢者はスマートフォンを使いこなせないのか、他にも具体例はないのかとより深く検討するべきです。

実際、高齢者の中でもスマートフォンを使いこなしている人たちもいれば、全くスマートフォンに触ったことがないという人もいることでしょう。

今でも現役の高齢者エンジニア

またある高齢者はスマートフォンに触ったことはないが、同居している娘や孫がスマートフォンについて使い方を教えてくれる、などと身近な人の支援がある人などに分類できる高齢者もいるかもしれません。

つまり高齢者はスマートフォンを使いこなせないというパターン化された考え方は、十分に適切に分類がなされていないだけであり、高齢者も千差万別だから、より細かく分類することでスマートフォンを使いこなす高齢者も使いこなせない高齢者も様々であるという見方ができるようになるはずです。

つまり、たった一つの根拠をもとに集団全体の特徴を結論付けようとしている場合、他にも例があるのではないか、細分化できるのではないか、などと自問自答し、結論付けようとしている人に対して他にも具体例を挙げてもらうべきです。そうすることで新たなアイディアを思いついたり、様々な視点から物事を捉えられるようになる可能性があります。

嫌いな人の意見は価値がない、という思い込み

他にもパターン化本能により思い込みが生じてしまうケースとして、自分の意見を批判された場合があります。人を不快な気持ちをできるだけ避けたがる生き物です。したがって嫌な感情が生じた時にパターン化本能により、不快な気持ちを避けるように行動しがちであると言えます。誰しも自分の嫌いな人の意見を聞かずに自分の好きな人の意見だけ聞く傾向があります。というのも嫌いな奴の話を聞くと不快な気持ちになるからです。しかしながら、自分が嫌いな人の中にも正しい意見を言ってくれる人はたくさんいます。相手が自分に対していった否定的な意見を採用するかどうかを、自分にとっての快 or 不快で決定するのではなく、相手が主張している意見が正しいかどうかという基準で見定めることも必要です。つまりより細分化することによりパターン化本能を回避することができます。

【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【回避方法】「逆の例」

では上記の説明で、たったひとつの具体例を根拠に集団の全体に対して結論付けようとしている人がいた場合の対処法は理解できたと思います。では次に、前述の通り「逆の例を訪ねてみるべきだ」というパターン化本能を回避する方法についてはいまいちピンとこないと思う人もいることでしょう。そこで具体例を挙げて説明します。

例えば、ある高校生が、通っている学校を中退してミュージシャンになりたいと親に打ち明けたとします。親はそれに反対し、「おまえがミュージシャンとして成功できるはずがない。自分の周りの知っている人の中で、学校を辞めてミュージシャンを志した人で成功した人なんて聞いたことがない」などと自分の子供の考えを批判したとします。その時に、その高校生がファクトフルネスを用いるとしたら、両親に対し「逆の例はどんな場合なのか?」と尋ねてみると良いでしょう。逆の例としては、例えばもしお父さんの周りの知ってる人の中で一人でもミュージシャンとして成功する人がいれば、他のすべての人は成功するのかどうか、という質問です。つまりこのお父さんはパターン化本能によりミュージシャン=失敗すると思い込みを抱いている可能性があるということです。(もちろんこの子の場合、だからといって高校を中退してミュージシャンを志すことが、必ずしも正しいことだというわけでありません。)

【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【7つの回避方法】

さて、実際の日常生活やビジネスでファクトフルネスを活かすために、ここでパターン化本能についての回避方法の例を7つ挙げます。

ファクトフルネスの著者の考えを頭の中に叩き込んで、実践で活かせるようになりましょう。

まずパターン化本能の回避方法の1つ目は、たったひとつの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたらそれに気がつくように注意するということです。パターン化による先入観は錯覚を生み出しやいです。だから間違ったパターン化をしないように努力しましょう。

そしてパターン化本能の回避方法の2つ目は、パターン化本能を回避するには分類の仕方を疑うことです。分類の仕方というのは例えば同じ集団の中にある違いを探しましょう。例えば高齢者とひとくくりにせずに、高齢者の中でも様々な分類の仕方があるように、あなた興味を持つ集団も別の分類の仕方があるかどうかを考えるようにしましょう。

次にパターン化本能の回避方法の3つ目として、違う集団の間の共通項を探すようにしましょう。全く違う集団の間に共通点を見つけたら今まで自分が行った分類方法が正しかったのかどうかを再検証するようにしましょう。

パターン化本能の回避方法の4つ目として、違う集団の間の違いも探すようにしましょう。一つの集団例えば日本人について言えることが、アメリカ人にも当てはまると思い込んではいけません。それぞれの間の違いも探すようにしましょう。

パターン化本能の回避方法の5つ目は、過半数に気をつけるようにしましょう。過半数というのは55%なのか95%なのかその間にどこかなのかを確かめた方が良いです。そうすることでパターン化本能を回避することにつながるでしょう。

パターン化本能の回避方法の6つ目は強烈な印象に惑わされないようにしましょう。強烈なイメージというのは記憶に残りやすいですが、このイメージは例外なのかもしれないというように疑うことで、パターン化本能を回避できます。

パターン化本能の回避方法の7つ目として自分以外の人は頭が悪いと決めつけないように心がけましょう。謙虚になることがパターン化本能に陥ることを回避する鍵です。自分以外の人で自分の考えに批判的な人がいたら、もちろん感情的には自分の方が正しいと思うかもしれません。しかし相手の方が賢いやり方なのかどうかを検証するようにしましょう。 

 

もっと知りたい

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本記事のここまでの説明により、ファクトフルネス10の思い込みの一つ、パターン化本能については理解いただけたかと思います。次のステップとして、ファクトフルネス10の思い込みの一つ、宿命本能についても「【⑧ファクトフルネス宿命本能】物事は変化しない【回避方法・批判】」の記事で理解を深めておきましょう。

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