新型コロナワクチンの誤情報について知りたいですか?
ワクチン接種により不正性器出血(不正出血)や月経不順が起こるのか?という点を踏まえ、ワクチン接種は変異株への感染を重症化させるのか?(=抗体依存性感染増強)という点を説明します。
コロナワクチンは臨床試験(治験)が省略されているのか?と気になる方は必見です!
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新型コロナワクチンの誤情報
新型コロナワクチンの誤情報について説明します。
コロナワクチンは未知の部分も多いため不安な人も多いはずです。その結果コロナワクチンに対して誤った情報を鵜呑みにしてしまう人がたくさんいます。 具体的に言うと、以下の三つが挙げられます。
- ワクチン接種は変異株への感染を重症化させるのか?(抗体依存性感染増強)
- ワクチン接種により不正性器出血(不正出血)・月経不順が起こるのか?
- コロナワクチンは臨床試験(治験)が省略されているのか?
実際、これらはすべて誤った情報です。具体的に根拠を踏まえて説明していきます。
ワクチン接種により不正性器出血(不正出血)・月経不順が起こるのか?
コロナワクチン接種により不正性器出血(不正出血)・月経不順が起こるのか?という点について説明します。
確かに女性の方で、もしワクチンを接種した後に不正性器出血があったら、やっぱりワクチンのせいだ!などと思いたくなる気持ちも分かります。85歳のおばあちゃんが「ほら、だから言ったじゃない!」なんて言うかもしれません(笑)しかし実際、その考えは間違いであり、不正性器出血はワクチンのせいではありません。
厚生労働省は以下のように説明しています。
Q ワクチン接種により不正性器出血(不正出血)や月経不順が起こるのは本当ですか。
A mRNAワクチンが直接的に不正性器出血(不正出血)や月経不順を起こすことはありません。(出典:厚生労働省)
つまり、mRNAワクチンが不正性器出血(不正出血)や月経不順を起こすことはないとのことです。
その根拠を、厚生労働省は以下のように説明しています。
不正性器出血(不正出血)とは、ホルモンの異常や様々な病気により、月経(生理)とは別に、性器から出血することです。また、月経不順とは、月経の時期がずれることです。
女性の月経周期は、様々な環境ストレスや生活の変化からの影響を受けます。mRNAワクチンが生殖器に直接作用して、不正性器出血をおこしたり、月経不順を起こすことはありません。月経周期は様々な要因に影響を受けるので、副反応による発熱や体のだるさなどのストレスで月経周期が乱れたり、不正性器出血が起こる可能性は考えられます。なお、米国産婦人科学会は月経周期によって接種のタイミングを変更する必要はないとしています。
不正性器出血や過多月経(経血量が多いこと)は、子宮筋腫、子宮がんなどの病気が原因のことがあります。必要に応じ、産婦人科を受診し相談しましょう。
(参考資料)
不正出血(公益社団法人 日本産科婦人科学会)
ACOG. COVID-19 Vaccination Considerations for Obstetric-Gynecologic Care
女性のみなさまへ 新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)Q&A(日本産婦人科感染症学会)(出典:厚生労働省)
要するに、副反応による発熱や体のだるさなどのストレスで月経周期が乱れたり、不正性器出血が起こる可能性は考えられるが、直接的に不正性器出血を起こさないということです。また、米国産婦人科学会は月経周期によって接種のタイミングを変更する必要はないということです。
つまりワクチン接種と不正性器出血は、「私がおならをしたら、なぜかフィリピンで大地震が発生した!」というぐらい、関連性のない事柄であると言えるでしょう。
なお、不正性器出血や過多月経(経血量が多いこと)の原因は、子宮筋腫、子宮がんなどの病気である可能性もあり得るので、産婦人科に相談すべきです。
コロナワクチンの仕組みについて詳しく知りたい方は、「【コロナワクチンの仕組み】予防接種・どんな種類・集団免疫・筋肉注射は痛いか・mRNA」の記事をご覧ください。

ワクチン接種は変異株への感染を重症化させるのか?(抗体依存性感染増強)
コロナワクチン接種は変異株への感染を重症化させるのか?(抗体依存性感染増強)という点について説明します。
コロナウイルスの変異株はアルファ株、デルタ株、ガンマ株、ミュー株等など次から次へと生まれていますが、英国や南アフリカで確認された変異株については、重症化しやすい可能性も指摘されています。(出典:株式会社日本医学臨床検査研究所)
そこで、ワクチンを接種すると、変異したコロナウイルスに感染したら重症化しやすくなってしまうのではないかと考える人もいるかもしれません。
しかし厚生労働省は、ワクチン接種によりそのような重症化の報告はないと、以下のように説明しています。
Q ワクチンを接種した人が変異ウイルスに感染すると重症化しやすい(抗体依存性感染増強(ADE)になりやすい)のは本当ですか。
A 現在までに、新型コロナワクチンを接種した方で抗体依存性感染増強(ADE)が生じたという報告はありません。(出典:厚生労働省)
でも、ここに出てくる専門用語として、そもそも抗体依存性感染増強(ADE)とは何なの?と疑問に感じる方も多いと思います。そこで、国立研究開発法人日本医療研究開発機構によると抗体依存性感染増強(ADE)とは以下の意味です。
抗体はウイルス感染防御に重要な機能を担う一方で、ウイルスに対する抗体によって感染が増悪する現象が知られており、その現象は抗体依存性感染増強(ADE)*4と言われている。
なるほど、抗体依存性感染増強(ADE)とは、ウイルスの感染やワクチンの接種によって体内にできた抗体が、ウイルスの感染をむしろ促進してしまうという現象のことをいうのです。
厚生労働省はコロナワクチン接種と抗体依存性感染増強(ADE)について、以下のように詳しく説明しています。
これまで新型コロナワクチンを接種した方で、ADEのために重症化してしまったという報告は、臨床試験でも実用化後でも、現時点において確認されていません。各国規制当局の会議で、動物実験(非臨床試験)やヒトでの臨床試験の段階から、ADEの可能性に注意しながら開発する必要性が指摘され、新型コロナワクチンを開発する製薬企業には、動物実験や臨床試験において、ADEを起こす可能性があるかどうかを、①中和抗体の誘導や、②Th1とTh2という免疫のバランスを検証する(ADEの起きる時にはたらくTh2が優位でないことを確認する)、といったことが求められました。
現在、日本で接種が進められている新型コロナワクチンにおいても、開発段階で様々な実験動物を使用して中和抗体の誘導やTh1とTh2のバランス等が確認されており、ヒトにおける疾患増強リスクについても、引き続き実用化後も情報収集していくことが薬事承認審査の過程で求められました。
今後も、新たな変異型が出現した場合には、ワクチンを接種した人でADEが生じるかを観察する必要はありますが、現時点ではADEの懸念はないと考えられます。
(参考資料)
FDA.Development and Licensure of Vaccines to Prevent COVID-19
ICMRA 第2回COVID-19ワクチン開発に関する世界規制当局ワークショップ(PMDAホームページ)
PMDAの審査報告書(ファイザー社のワクチン)
PMDAの審査報告書(武田/モデルナ社のワクチン)
PMDAの審査報告書(アストラゼネカ社のワクチン)(出典:厚生労働省)
要するに、今後もコロナウイルスの変異株が出現した場合にワクチン接種により抗体依存性感染増強が生じてしまうのかを観察する必要はあるが、現時点では懸念はないから安心してもよいということです。
コロナワクチン接種の安全性と副反応について詳しく学びたい方は以下3つの記事がおすすめです。



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コロナワクチンは臨床試験(治験)が省略されているのか?
開発開始から一年足らずで実用化されたコロナワクチンは、臨床試験(治験)のプロセスが省略されているのか?という点について説明します。
新型コロナウイルスが流行し始めたのは2020年の2月頃ですが、1年も経過せずにコロナワクチンが開発され、世界的なワクチン接種が進んでいます。したがって、「こんなに早くワクチンができるだなんて、詳しく実験していないんじゃないの!?」と考える人がいても不思議でありませんね。
そもそも、一般的に臨床試験(治験)とはどのくらい掛かるのかというと、平均期間は600日前後です。(出典1・出典2)そのため、コロナが流行してから1年足らずでワクチンが開発されたので、確かに少し早い気がしますね。
しかしご安心ください。厚生労働省は、治験プロセスを省略してはいないと以下のように説明しています。
Q 通常の臨床試験(治験)のプロセスが省略されているのは本当ですか。
A 新型コロナワクチンは、医薬品開発に必要な臨床試験(治験)のプロセスを経て世界中で承認されています。
開発開始から一年足らずで実用化された新型コロナワクチンに対して、「臨床試験(治験)のプロセスが省略されているのでは?」という誤解がありますが、今回の新型コロナワクチン開発において臨床試験のプロセスが省略されたという事実はありません。(出典:厚生労働省)
つまり必要な臨床試験のプロセスを全てクリアした上で、ワクチン接種が始まったということです。これを知って、安心してワクチン接種ができるようになる人も多いことでしょう。
コロナワクチンの異物混入問題が気になる人はこちらの記事をどうぞ。

でも次にもう一つ疑問が生まれてきます。医薬品開発に必要な臨床試験(治験)とはどのようなものなのか?という疑問です。そこで、更に詳しく厚生労働省は、ここでいう「医薬品開発に必要な臨床試験(治験)」とはどのようなものなのかについて、以下のように具体的に説明しています。
一般的な医薬品開発の場合、研究室における試験管内での実験や動物実験を経て、人を対象とした「臨床試験」が行われます。臨床試験にもステップがあり、人での忍容性や安全性を確認する第I相試験、有効性の確認や最適な投与方法を見出すための第II相試験、そして第II相試験で見出された有効性を科学的に証明したり、どのような副作用(副反応)が起きうるのかを確認するための第III相試験が行われます。ここまでに得られたデータは企業によりまとめられ、各国の医薬品承認審査機関に提出されます。さらに、申請されたデータや製品の品質管理などに間違いや偽りがないかといった、様々な調査も行われています。
現在日本で承認されている新型コロナワクチンでは、上記のプロセスが省略することなく実施され、信頼性が確認されたデータによりワクチンの有効性や安全性が示されています。承認審査に当たっては行政機関のみならず、独立した第三者委員会による議論も世界各国で行われています。
(参考資料)
ICH-E8 臨床試験の一般指針
ワクチンの安全性及び有効性担保に関するICMRA共同声明
PMDAの審査報告書(ファイザー社のワクチン)
PDMAの審査報告書(武田/モデルナ社のワクチン)
PDMAの審査報告書(アストラゼネカ社のワクチン)(出典:厚生労働省)
つまり、まず有効性の確認や最適な投与方法を見出すための第II相試験(←これは多分I相試験の誤りだと思われます)、そして見出された有効性を科学的に証明する第II相試験も行われて、さらにどのような副作用(副反応)が起きうるのかを確認するための第III相試験も行われて、その上で各国の医薬品承認審査機関に提出し、さらにさらに申請されたデータや製品の品質管理などに間違いや偽りがないかといった様々な調査も行われてから、新型コロナワクチン接種が日本で承認されたとのことです。
しかも、承認審査に当たっては行政機関だけではなく、独立した第三者委員会による議論も世界各国で行われているので、「治験が行われていないからコロナワクチンは怪しい」などというのは全くの誤りであり、誤情報であると言えますね。従って、安心してワクチン接種を行うようにしましょう!
日本で接種が行われているファイザー社や、武田/モデルナ社、アストラゼネカ社コロナワクチンの特徴を詳しく学びたい方は以下3つの記事をそれぞれご覧ください。接種回数と接種間隔、有効性や安全性、受けられない人や注意が必要な人を紹介しています。



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