ブースター接種とは何か知りたいですか?
ブースター接種の意味を踏まえ、コロナの場合どんな事を指すのか、米・日・イスラエル・英のブースター接種の実施や、ブースター接種の副反応をご紹介!
ブースター接種により中和抗体の量が増えるという嬉しい点や、WHOが「救命胴衣の二重装着」と批判している点を学びたい方は必見です!
関連記事
コロナワクチン接種後の生活について、こちらの記事も併せてご覧ください。
【ブースター接種とは】意味
ブースター接種とはどのような意味なのかを説明します。
ワクチン接種や病気にかかって免疫をすでに持っている人が、さらにワクチンを受けることで追加免疫を獲得することを「ブースター効果」といいます。
関連記事
コロナワクチンと免疫について、詳しく学びたい方はこちらの記事をどうぞ。
【ブースター接種とは】コロナ
ブースター接種とは、コロナウイルスの場合どのようなことを指すのかを説明します。
2021年9月現時点では、新型コロナワクチンは2回接種で免疫が得ることができるとされています。なぜなら、コロナワクチンの効果を向上させるために、ファイザー社や武田/モデルナ社、アトスラゼネカ社ワクチンの2回接種が前提とされているからです。ワクチン効果についてはこちらの記事をどうぞ。
新型コロナワクチンの2回の接種が完了した後に、3回目のワクチン接種を行うことによって追加免疫を得るための接種が「ブースター接種」と呼ばれています。
関連記事
各社コロナワクチンの特徴についてはこちらの記事をご覧ください。
アメリカ
アメリカでは、3回目の新型コロナワクチン接種(=ブースター接種)が2021年9月以降に開始されています。
アメリカのFDA(食品医薬品局)の委員会は2021年9月17日、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種(ブースター接種)の必要性についてファイザーのワクチンを対象に検討を行いました。そして9月22日、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種(ブースター接種)について、65歳以上や重症化リスクの高い人を対象に承認すると発表し、一方、16歳以上65歳未満の追加接種については、承認を見送りました。出典日本経済新聞
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、2021年9月23日の時点で65歳以上の83%がワクチンの2回目接種を完了しています。
またアメリカ政府は新型コロナウイルスワクチンの効果が、接種から時間がたつにつれ低下する可能性が高いとして、接種を終えてから一定の期間がたった人について追加の接種(ブースター接種)を行う方針を示しています。出典:NHK 2021年9月18日 記事
関連記事
ファイザー社コロナワクチンが5~11歳へ対象年齢を拡大することについてはこちらの記事をどうぞ。
日本
一方、日本では厚生労働省が2021年9月17日に、3回目接種(ブースター接種)を認めることを決めました。(出典:朝日新聞)
3回目接種は2回目までと同じワクチンを使うことが一般的です。(例えば、もし1回目ファイザー社ワクチンを接種するであれば、2回目にモデルナ社やアストラゼネカ社のワクチンではなく、1回目と同様のファイザー社ワクチンを接種する必要があります。)
しかし3回目接種は、2回目から8カ月以上の期間をあける方向で検討されています。例えばファイザー社ワクチンは1回目の接種から3週間、武田/モデルナ社ワクチンは1回目の接種から4週間の期間を空けるので、3回目接種(ブースター接種)の場合は2回目接種からかなり長い期間をあける必要があるようです。
ブースター接種の対象者は今後検討されます。2021年2月に先行接種が始まった医療従事者104万人には、早ければ2021年12月中にもブースター接種が始まる見通しです。出典朝日新聞
また厚生労働省は2021年9月22日、高齢者らを対象とするブースター接種は年明けからの見通しで、自治体に準備を求めました。
なお、首相官邸が2021年9月22日に更新したデータによると、日本国内でワクチンの2回目接種を完了した割合は、9月19日時点で日本の全人口の54.8%となり、同日までに54.7%だった米国を上回りました。出典日本経済新聞
関連記事
日本におけるワクチンの対象者や優先順位について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
イスラエル
いち早く3回目接種(ブースター接種)を開始したのは、世界有数の速さで接種を進めたイスラエルです。
イスラエルは2021年8月1日に、2回目接種から5カ月間が経過した60歳以上の人を対象に、ブースター接種を本格化しました。その後は、対象を順次引き下げて12歳以上にも拡大しました。出典
なぜイスラエルでは、ブースター接種がここまで進んでいるのでしょうか?
その答えは、イスラエルで実施された調査結果にあるようです。イスラエルの調査によると、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種が、デルタ変異株による感染増加や重症化を大きく抑制する可能性があるということが示されました。
具体的にはイスラエルの保健省や主要研究機関の研究者らによると、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンのブースター接種を行うと、ブースター接種から12日以上経過した時点で、コロナ感染のリスクは、2回の接種のみの人との比較で11.4倍も低下したというのです。(出典ブルームバーグ)
また3回目接種(ブースター接種)は、重症化リスクを少なくとも10倍低下させる可能性があるということです。この研究結果は2021年8月27日に公表されました。
これらの自国の調査結果も手伝って、イスラエルは世界に先駆けて高齢者を対象にブースター(追加免疫)接種の開始をスピーディーに決定したのでしょう。
なお、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の各製薬会社は3回目のブースター接種によって、デルタ株の働きを抑える中和抗体の値が増加すると以下のように公表しています。
ブースター接種による中和抗体の値の変化は、ファイザー社ワクチンは2回目接種1ヶ月後との比較で、55歳以下が5倍以上、65歳から85歳が11倍以上に上がります。(抗体とは何のことなのか知りたい方はこちらをご覧ください。)
またモデルナワクチンでは2回目接種6-8ヶ月後比で、中和抗体は約42倍に増加します。
そしてアストラゼネカワクチンも中和抗体が増加と報告されています。
ここまで抗体が増加するのであれば、ワクチンの研究が進むにつれて、今後もしかしたら4回目、5回目のブースター接種もあり得るかもしれません。
関連記事
コロナワクチン開発についてはこちらの記事をどうぞ。
イギリス
イギリスでは冬場の感染再拡大に備え、医療従事者や介護施設のスタッフなどを対象に、2021年9月16日に新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種(ブースター接種)が始まりました。出典TBS NWES
イギリスでのブースター接種は、近いうちに50歳以上や重症化リスクの高い基礎疾患のある人たちに対象を拡大します。2021年9月の時点で、イギリスでは人口のおよそ65%が2回のワクチン接種を終え、16歳以上の約80%が2回の接種を受けています。過去にイギリスで議論されていた12歳から15歳についても、親の同意を前提に1回のワクチン接種が行われる予定です。
しかしブースター接種は、全員には必要ないとイギリスのオックスフォード大学のサラ・ギルバート教授は主張しています。彼女は2020年初め、新型コロナウイルスのアストラゼネカ製ワクチンの開発に携わった経験を持ちます。そんなコロナワクチンの専門家が、ブースター接種は一部の人にとっては必要だが、その他の大半の人には不要であると言っているのです。
具体的に、サラ・ギルバート教授は、抵抗力の弱い免疫力がない人や、高齢者はブースター接種が必要となる場合があると言います。しかし、それ以外の大半のケースでは、コロナワクチンの効果は高く持続するわけだから、イギリス等の先進国がブースター接種を行うべきではなく、途上国の人にワクチンが供給されるように支援すべきであると主張しています。
関連記事
コロナワクチン副反応や接種後健康調査、症状への対処法についてはこちらの記事をご覧ください。
WHO
前述の英オックスフォード大学のサラ・ギルバート教授と同じ意見として、ブースター接種を「救命胴衣の二重装着」と批判する人もいます。それはWHOです。
世界保健機関(WHO)の緊急対応の責任者であるマイク・ライアン博士は2021年8月18日、新型コロナウイルスのワクチンの追加接種で免疫を高める「ブースター接種」に言及しました。そして、ブースター接種のことを、救命胴衣を既に着用している人物にさらに新たな救命胴衣を与えるようなものだと批判をにじませる見解を示しました。出典:CNN
これはどういう意味かと言うと、発展途上国(経済的に貧しい国)は先進国(経済的に豊かな国)と比較してワクチン接種率が低く、まだワクチン接種をしていない人が大勢いるという批判です。つまり、WHOは先進国のことを、「救命胴衣を1着も身に付けていない人物が溺れるのを放置している」と批判しているのです。
WHOによると、2021年9月時点でアフリカ大陸で接種を終えた人は人口の3%余りにとどまるようです。
つまり、先進国と途上国の間で、接種を受ける機会の格差が広がっているのです。さらにWHOは「倫理的な観点から現実をとらえた場合、2着目の救命胴衣を配っている一方で、自らを守るすべがない膨大な人数の人間を置き去りにしている」と批判を繰り返し主張しています。出典:CNN
しかし、これは私個人の意見ですが、性能の優れたファイザー・モデルナ・アストラゼネカのワクチンは、各製薬会社の研究者たちが、ワクチン開発競争で経済的な利益を確保するため、しのぎを削った結果もたらされたものです。なぜなら、コロナワクチン開発に失敗し、大きな経済的損失を被った企業も多数存在するはずだからです。もしかしたらワクチン開発失敗の結果、企業が倒産の危機に瀕したり、ワクチン開発の研究からくるストレスで自殺した人も中にはいるかも知れません。
つまりブースター接種は、先進国がまるで「2着目の救命胴衣を配っている」かのように見えるだけなのであって、実際は先進国は多大な犠牲を払った上で、市場原理によってただブースター接種を行っているにすぎないという見方もできるかもしれません。言い換えると、WHOは資本主義経済である先進国を批判し、共産主義経済になるべきだと主張しているだけじゃないか、とWHOを批判する人もいることでしょう。
もちろん、WHOと先進国のどちらが正しいことをしているのかを断定することは困難であり、ブースター接種に関する問題点は、解決が難しいとも言えるでしょう。
関連記事
日本において、新型コロナワクチン接種を受ける方法についてはこちらの記事をご参照ください。
ブースター接種の副反応
しかし、気になるのはブースター接種の副反応です。たとえどれだけコロナウイルスの発症予防に効果があるとしても、副反応が強くては不安ですよね?しかしご安心ください。副反応は高くはないようで、海外におけるブースター接種の副反応と、2021年9月21日時点の日本国内でのワクチン供給については以下の表の通りです。
つまり、ブースター接種の副反応は、ファイザー製とアストラゼネカ製では2回目までと比較して頻度が同程度か低く、モデルナ製は「容認できる」レベルとされたとのことなのでひとまず安心です。
関連記事
新型コロナワクチンの安全性と副反応について詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ。
コロナワクチン副反応疑い報告について、SNS誤情報に惑わされるべきでないという点について学びたい方は以下の記事をどうぞ。
ブースター接種により、中和抗体の量が大幅に増える
また、コロナワクチン3回目接種(ブースター接種)は、ワクチンによって体内に作られ感染を防ぐ中和抗体の量が大幅に増えるという嬉しいデータが示されています。
抗体とは
そもそも抗体とは、私たちの体に侵入した細菌やウイルスなどを無力化したり働きを弱めたりする免疫のはたらきの一つです。免疫は細菌やウイルスなどが身体に侵入しようとしたときに異物として攻撃してくれます。また免疫は病気にかかるのを防いで、体を守ってくれたりします。抗体がついたウイルスは他の細胞に侵入できなくなったり、抗体の作用でウイルスを弱体化させたりします。
中和抗体とは
そして、中和抗体とは特定のタンパク質の活性を中和できる抗体のことで、ウイルスのタンパク質に結合して感染を防ぐ作用を示します。
新型コロナウイルスの変異株は、回復者やワクチン接種者が獲得する中和抗体から逃避するリスクが懸念されています。抗体応答は、時間と共に抗体の質を変化させることが可能であるものの、新型コロナウイルス変異株への結合性にどのような影響があるのか、詳細は不明でした。しかし、研究の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)回復者が変異株に交差結合する抗体を獲得し、この抗体の質(中和比活性・交差性)は時間と共に向上することを発見しました。(出典:国立感染症研究所 日本医療研究開発機構「新型コロナウイルス変異株に対する中和抗体の質が時間と共に向上することを発見」)この現象は、変異株へのワクチン戦略に重要な知見になります。
米ファイザーは2021年7月下旬、3回目の接種によりデルタ株への中和抗体が若年層で5倍以上、高齢者層で11倍以上になると発表しました。(出典 産経新聞)したがって、日本においても今後、三回目接種がすすんでいくことが予想されます。
関連記事
モデルナ社コロナワクチンの異物混入問題が気になる人はこちらの記事をどうぞ。
もっと知りたい
コロナワクチンについてもっと詳しく知りたいという方向けに、おすすめ記事を紹介します。
コロナに感染した人はワクチン接種できるのか気になる方はこちらの記事をどうぞ。
コロナワクチン接種の努力義務についてはこちらの記事をご参照ください。
コロナワクチンを接種できる人、できない人はそれぞれどのような人か知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
新型コロナワクチンの誤情報については以下の記事をご覧ください。
新型コロナワクチンの仕組みについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
コロナワクチン供給と接種の見通しについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
コロナワクチン職域接種についてはこちらの記事をどうぞ。
コメント