【2年で年商6倍】経営成功事例【従業員・顧客の価値ある声を拾う】

遠くの音を聞く男性 経営実践戦略
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短期間で経営を成功させる手法を知りたいですか?

たった2年間でスーパーマーケットの年商を6倍にした経営者の成功事例をご紹介!

経営がうまくいかなかった時に、従業員や顧客の価値ある声を拾い、大成功を収めたという具体例を学びたい方必見です!

 

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【2年で年商6倍】経営成功事例

愛知県岡崎市のとある小さなスーパーマーケット、26歳の若き経営者・大山皓生社長がたった2年間と言う短期間の内に、このスーパーマーケットの売上を6倍に伸ばし、大成功を収めたということで、なぜ成功したのかについて分析してみましょう。

まず大山社長が親から引き継いだスーパーマーケットは、2018年当初は赤字続きで倒産しかけていました。しかし小山社長が就任した直後から売上は上昇し続けました。そして最終的には東洋経済の記事によると、このスーパーマーケットに大山社長が就任した2018年から2020年までの2年間の年商の推移は以下の通りです。

社長に就任した2018年の年商は1億円。翌2019年は3億円。そして、2020年は6億円。と、年を追うごとに倍増している。このコロナ禍でも順調に売り上げを伸ばしているのは、フルーツサンドというテイクアウトメニューを主力商品にしたことや、インスタなどのSNSを効果的に使っていることなどの理由が挙げられる。

出典 東洋経済新報社

この記事によると、この社長がスーパーマーケットの代表に着任した2018年に、まず始めたことは1日50人を目標に顧客の名前を覚えて顧客の名前で呼びかけると言う、古くから伝わる手法です。相手の名前を覚えることにより、相手に大きな影響を与えることができるという点は、世界的なデール・カーネギーの名著「人を動かす」にも記載されている一般的なマーケティング手法です。

人に好かれる原則3|名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない。

出典 D・カーネギー.人を動かす文庫版(Kindleの位置No.1278-1279).創元社.Kindle版.

1日50人を目標に顧客の名前を覚えて、顧客を名前で呼びかけるという方法は経費もかからないし特別な教育を施す必要ありません。きっと当初はかけるお金がないから、まず手軽に大きな効果を上げたいと考え、この方法を思いついたということが伝わってきます。

この記事にも、以下のような記載があります。

お客様が会いたい、話がしたいと思うような魅力ある人間になれば、大手スーパーと対等に渡り合えるかもしれないと思いました。そこで、1日50人を目標にお客様の顔と名前を覚えることを自分に課しました。何しろ、お金は一切かけられませんから、それしか思いつきませんでした」

出典 東洋経済新報社

またさらに、大山社長は経費をかけずして売上を伸ばす策として、インスタの公式アカウント開設しました。

SNSを使った効果的なマーケティングについて、詳しく学びたい方はこちらの記事をどうぞ。

【生命保険営業】SNSを使った効果的なマーケティング【費用対効果】
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そして大山社長は、ダイワ新聞と言う名前の、その時期のおすすめ商品や、顧客への思いを手書きで綴ったチラシを毎月発行することにしたと、記事では以下のように述べられています。

インスタの公式アカウントを開設するのと、その時季のオススメ商品や私のお客様への思いを手書きでつづった『ダイワ新聞』を毎月発行することにしました。

出典 東洋経済新報社

きっと大山社長が行った手作りチラシを配布するマーケティング戦略は、マーケターの神田昌典氏や竹田陽一氏が紹介している、中小企業が勝つための戦略に沿っていると思われます。手作りチラシを使ったマーケティングについて、詳しくはこちらの書籍をご覧ください。

ここまでの

  • 「お金が無い」、
  • 「倒産しかけている」

というスーパーマーケットを回復させるために大山社長が取った策は、全て一発逆転を狙ったギャンブルの戦略ではなく、地味な戦略です。しかしここで紹介した地味な戦略を継続し続けることによって、後に長期で継続することにより、安定的な収益を生むことにつながったはずです。例えばこれらの戦略の結果としては、東洋経済の記事にはこれらの地味な戦略を継続したことにより1日の平均来店数が200人から250人程度だったのが300人を突破したと記載があります。

次の章では、さらに大山社長がとった経営戦略について詳しく見ていきましょう。

 

【2年で年商6倍】経営成功事例【従業員・顧客の価値ある声を拾う】

2018年の入社当初に大山社長が目指した目標は、自社のスーパーマーケットの前に顧客の行列を作ることでした。そして行列を店の前に作りにはどうすべきかを考えた結果、考えついたのは、野菜のかき氷を831 円で売り出すという方法です。記事には以下のように記載があります。

大山さんが考案したのは、氷の上に茹でたホウレン草とニンジン、スライスしたキュウリとトマトをのせてドレッシングをかけた「野菜のかき氷」。野菜にちなんで831円で出した。やはりというか、当たり前というか1つも売れなかった。

出典 東洋経済新報社

このアイデアはなかなか上手くいかず、売上が思ったよりも伸びませんでした。そこで、大山社長はどうすべきかを Instagram のフォロワーに意見を求めた結果、野菜ではなく果物を使うべきであるという考えに至りました。

そこで野菜ではなく、果物を使うことに。とはいえ、フルーツを使ったかき氷はどこにでもある。大山さんはインスタのフォロワーに意見を求めた。当時、フォロワーは400人程度だったが、親切にアドバイスをしてくれた。

出典 東洋経済新報社

ここが重要で、何か問題が発生した時に自力で解決しようとせずに、顧客等に広く意見を募り、そこから重要な情報を自分でピックアップし、改善をするという方法です。多くの人は自分の考えに固執してしまい、何か問題が発生した時にうまくいかない方法を改善しようとせず、つい今までと同様の方法継続しがちです。このような傾向を、サンクコストと言います。サンクコストとは例えば、「せっかく考えたアイデアなんだから、現状のままうまくいくまで継続しよう」として固執してしまう傾向が人にはあるという傾向です。サンクコスト効果の事例について学びたい方は、こちらの記事をご参照ください。

404 NOT FOUND | 経営戦略の武器
戦略とは、何をやらないのか(=資源配分)を選択すること

大山社長はサンクコスト効果に惑わされず、自分の考えに固執せずに他人の意見をうまく取り入れることができる点で、優秀な経営者であるとも言えるでしょう。

話を元に戻すと、大山社長は上記の Instagram のフォロワーに意見を求めた結果、メロンを半分にカットして種を取り除いたメロンの皮を器にして、氷にメロンシロップをかけて、さらにメロンをたっぷりのせる、と言うアイデアを得たと以下のように説明されています。

「あれは5月の下旬でした。市場に並び始めたメロンを使ってみようと思いました。半分にカットして種を取り除いたメロンを器にして、その上に氷をのせてメロンのシロップをかけました。これをインスタに載せたところ、フォロワーさんから『おいしそうだけど、ちょっと物足りない』という意見をいただき、氷の部分にもカットしたメロンをたっぷりとのせることにしました」

出典 東洋経済新報社

大山社長は、なぜ年商がたった2年で6倍にすることに成功したのかと言うと、ここで言うフルーツを入れたメニューをきっかけに大成功したと言えます。しかし忘れてはいけないのが、ここまで紹介してきた、顧客の名前を覚えるなどの小さな取り組みがあったからこそ、功を制したしたと言えるでしょう。

ではこのスーパーマーケットが成功した経緯の続きですが、この大山社長はメロンをふんだんに使ったかき氷を「八百屋の作る本気のかき氷」というキャッチコピーでインスタにアップしました。そして、あるインスタグラマーがそのかき氷をアップした結果、6000ものいいねがついたと言います。

メロンをふんだんに使ったかき氷を「八百屋の作る本気のかき氷」というキャッチコピーとともにインスタにアップした。2週間ほど経ったとき、あるインスタグラマーが食べに来た。かき氷の写真がアップされると、6000もの「いいね!」がついた。その日だけでフォロワーが一気に3000人に増えた。その翌日、大山さんが目標として掲げていた「店の前に100人行列を作る」ことが実現した。

出典 東洋経済新報社

ここまでの話で、他のスーパーマーケットが大山社長の手法を真似したとしても、おそらくうまくいきません。例えば、顧客の名前を覚えてメロンを器にしたかき氷を導入すれば、どんなスーパーマーケットでも店の前に100人以上の行列ができるのかと言うと、そんなはずがあるはずないですよね?なぜなら、ここで紹介されている手法以外にも、様々なマーケティングを組み合わせたからこそ成功したはずだからです。例えば、きっとダイワ新聞を長期で継続しつつ、なおかつ Instagram の内容とスーパーマーケットの宣伝をリンクさせ、さらにインスタグラマーとのコミュニケーションを適切に取って、何らかの顧客のニーズとのタイミングが合致したからこそ、スーパーマーケットの前に 100人以上の行列が出来たと言えるはずです。言い換えるとこの東洋経済新報社の記事をすべて鵜呑みにするべきではなく、他にも大山所長は試したけどうまくいかなかった施策は多数存在するはずです。つまり大山社長は影の努力を継続したからこそ、100人の行列が出来たと言えるはずです。したがってここで再現性のある「経営の成功した鍵」というのは、

  • Instagram という経費のかからないマーケティング施策をうまく活用したことと、
  • 顧客の価値ある声(アドバイス)をすくいあげて、
  • 自分が考えたプランを即実行し、
  • 適宜修正し続けた

からこそ、成功したと言えるでしょう。

さらに東洋経済新報社のこの記事によると、かき氷は夏だけの商品であるため、他の策としてフルーツサンドを考え出したことが、このスーパーマーケットの経営の大成功に繋がったと言います。それに関する記事は以下の通りです。

かき氷の売れ行きは好調だったが、季節商品である以上、夏の終わりとともに売り上げも落ちていくのは目に見えていた。この行列をずっとキープし続けるには、季節を問わず通年用意できる新たな商品が必要だった。

「あれは7月上旬でした。コンビニでフルーツサンドが売られているのを見たんです。『八百屋の作る本気のフルーツサンド』として、日本中どこにもないフルーツサンドを作ろうと思いました。調理師学校を出た社員に頼んで、フルーツの味を邪魔せず、引き立てる日本一の生クリームを作りました」

出典 東洋経済新報社

ここで注目すべきなのは、フルーツサンドの監修を務めたと言う「調理師学校を出た社員」は一流のシェフではなく、調理師専門学校を卒業しただけの普通の若者である可能性が高いという点です。大ベストセラーメニューとなる店の中核をなす商品を考案したのが、帝国ホテルに10年勤務したベテランシェフではなく、調理師学校を出ただけの多分20代ぐらいの若者であるとは驚きです。ここで大山社長を褒め称えるべき点は、手元にある武器、ここで言う調理師学校を卒業した人が身近にいるという点を最大限利用し、多くの利益を生み出す「フルーツサンド」というベストセラー商品を作り出すことができたという点です。

多くの経営者は、手元にある武器の価値に気づくことができないだけなのかもしれません。具体的に言うと、大山社長がスーパーマーケットの年商を2年間で6倍にすることができたのは、多額の経費をかけて新しいもの手に入れることではなく、すでに手元にあるものを最大限活用したからこそ成功したと言えそうです。

さらに驚くべき点は2018年には従業員数は14人だったところ、その2年後の2020年には70人に増えている点です。たった2年間のうちで従業員数を5倍に増やすというのは、かなりのハイピッチで採用活動を続ける必要があります。きっと2年間のうちに辞める従業員も多数いたでしょうから、単純に5倍に従業員数が増えたということであればその場合の人親とた可能性もあります。さらに以下の通り、平均年齢はたった24歳とのことで、非常に若い会社であることからも、常にアルバイトや社員の新規採用に注力し続けたことも伝わってきます。

14人だった従業員(パート含む)も2年で70人に増えている。しかも、平均年齢は24歳と若い。

出典 東洋経済新報社

きっと大山社長が経営の事で相談する相手は、優秀なコンサルタントではなく兼業主婦として働いているパートの50代女性などだったはずです。それにもかかわらず成功したことから優秀なコンサルタントに多額のコンサルティング費用を払ってまでうまくいかない経営を、従業員として働いている人たちや、顧客から価値ある声をすくい上げるということがどれだけ難しくどれだけ大きな効果を得られるか、ということが理解できます。

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