ファクトフルネス10の思い込みの一つ、「ネガティブ本能」について知りたいですか?
ネガティブ本能を断ち切るため、実際には世界で減り続けている悪い事と、増え続けている良い事を確認していきましょう!
図の解説や要約・感想を踏まえ、ネガティブ本能を回避する方法をご紹介!
この記事を読み進める前に、まずはファクトフルネスの意味や著者の主張、全体像を把握しておきたい方は「【ファクトフルネスまとめ】意味/主張/本の内容/クイズ/思い込みとは」の記事をご参照ください。
【ファクトフルネス10の思い込み】
ファクトフルネス10の思い込みについて説明します。
大ベストセラー本ファクトフルネスで紹介されている10の思い込みというものがあります。10の思い込みというのは、多くの人がこれらの本能によって正しい判断を誤ってしまう、つまりバイアスがかかってしまう可能性が高いというものです。10の思い込みを一覧にすると以下の通りです。
分断本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人探し本能、焦り本能
この中の一つ、分断本能というのは前回の記事で紹介したとおりです。具体的には、人はドラマティックに物事を2つに分類したがる思考の癖(分断本能)があり、その癖を回避する方法について学びたい方は「【②ファクトフルネスクイズ】人をチンパンジー以下にする分断本能」をご参照ください。
【ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能
では具体的に、ファクトフルネス10の思い込みの一つ、ネガティブ本能というものはどのようなものなのか、詳しく説明していきます。
ネガティブ本能というのは一言で言うと、人はメディアを通じて、コロナウイルスの蔓延により多数の死者数が出ていることや経済の停滞、また凶悪事件のニュースなどを頻繁に見聞きすることで、世界はだんだん悪くなってきていると思い込んでしまう癖のことです。
しかし正しいデータに基づいて考えてみると、現状は悪くなっているどころか良くなっている面も多々あります。そこで、人にはネガティブ本能があるということを理解し、ネガティブ本能を回避する方法を学べば、あなたは今以上に物事を前向きに捉えられるようになるはずです。
次の章では、具体的に世界はだんだん悪くなってきているのではないかという思い込んでしまうネガティブ本能から脱却するために、実は世界は良くなってきているという複数の正しい情報に触れてみましょう。
【ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能【減り続けている悪い事】
では実際にファクトフルネス10の思い込みの一つ、ネガティブ本能を理解するため、世界で「減り続けている16の悪いこと」の件数や量などを示す以下のグラフをご覧ください。このグラフをみることで、「長い歴史において、世界は良くなってきている」と認識することができるようになり、自分がいかにネガティブ本能に惑わされていたのかと気がつくことができるはずです。
出典
上記は「減り続けている16の悪いこと」のうちの1~8です。グラフの単位は、様々な数や量を示しています。さっそく右上のグラフから順に詳しく見ていきましょう。
まず、石油流出事故は1979年がタンカーから流出した油の量が636トンであったとすれば、2016年はたったの6トンにまで減りました。1/100以下に減少していることがわかりますね。
また HIV 感染者数はピーク時期の1996年は百万人当たりの HIV 感染者数が549人でしたが2016年には241人にまで減少しています。約半分といったところでしょうか、かなり大幅な減少であると言えます。
次に戦争や紛争の犠牲者に関しては、戦争や紛争による犠牲者数10万人当たりの数で見てみると、1942年は201人であったのに対し2016年はたったの一人です。つまり201分の1にまで減少しました。これも劇的な減少であると言いますね。
次に有鉛ガソリンが合法な国の数を見てみると、1986年は195カ国中193カ国が有鉛ガソリンを合法とみなしていたのに対し、2017年はたったの3か国に過ぎません。環境破壊が叫ばれている昨今において、ここまで大きな改善が見られていることを公表したところでニュースが大きく取り上げることはないかもしれません。というのも、良いニュースは悪いニュースと比較して、人々の関心を惹かない傾向があるからです。
次に合法的な奴隷制度に関しては、強制労働が合法的な国又は政府による強制労働が行われている国の数で比較して見てみると、1800年には195カ国中193カ国が奴隷制度を合法と認めていました。しかし2017年にはたったの3カ国にまで減少しています。これは人類の大きな進歩であるとも言えるでしょう。
次に高価なソーラーパネルの平均価格で見てみると、1 Wp (ワットピーク)あたりの価格を見てみると、1976年は66ドルでしたが2016年には0.6ドルにまで単価が下がっています。つまり、ソーラー発電に要するコストが大幅に削減することができたことで、環境への配慮がしやすくなったと言えるでしょう。
そして乳幼児の死亡率を見てみると、5歳までに亡くなる子供の割合は1800年には44%でした。子供が100人生まれたら44人が死亡するということなので、6歳まで生存できるのは狭き門。
子供がそんなに多く亡くなるのを想像するだけで悲しくなりますね。しかし2016年には乳幼児の死亡率はたったの4%にまで減少しました。つまり乳児死亡率は約十分の一になりました。しかし、昨今は児童虐待などで死亡する乳幼児の事件がメディアで大きく取り上げられて報道されるので、頻繁にニュースなどで見聞きすると、「きっと乳児死亡率は高いんだろうなぁ」と思い込んでしまう恐れがありますが、1800年と現代を比較すると、乳児死亡率は劇的に改善されていることがわかります!
次に死刑制度についてみてみると、1863年は死刑制度がある国の数は、195カ国中で193カ国でした。しかし2016年は89カ国にまで減少しています。死刑廃止論が大きく叫ばれた結果だと言えます。
ここまでが「減り続けている16の悪いこと」の前半、1~8でした。
そして、「減り続けている16の悪いこと」の後半である9~16は以下の図の通りです。
出典
児童労働や核兵器の数、大気汚染や飢餓と言った点、または飛行機事故の死者数や災害による死者数、また天然痘やオゾン層の破壊などといった点においても大幅な改善が見られます。これらの改善点を知ったことで、最近はだんだん世界が悪くなってしまっているというのは思い込みに過ぎないと、ネガティブ本能に気がつくきっかけになるはずです。
【ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能【増え続けている良い事】
では次に、ファクトフルネス10の思い込みの一つ、ネガティブ本能を回避するために、世界で増え続けている16の良いことの例をあげます。
出典
自然保護や新しい音楽の数、または農作物の収穫やオリンピックに出場した国やチームの数、そして新しい映画の本数や女性参政権が与えられている国の数、さらに1年間に発表される科学論文の数や識字率、といった点で世界は大きく進歩し続けています。
それ以外にも増え続けている良いことの例としては以下の図の通りです。
出典
初等教育を受ける年齢の女子のうちで、学校に通う子供の割合や電気を利用する人の割合、安全な飲料水や予防接種を受ける一才児の割合、また小児がんの5年生存率、さらに絶滅危惧種の保全に努めている種の数や、携帯電話を持っている人の割合、最後にインターネットを利用できる人の割合などは長期間の歴史で見た場合は増え続けており、大幅な改善が見られています。
ファクトフルネスの著者によると、これだけ世界は進歩しているのにもかかわらず、多くの人は世界は悪くなっているか、さほど変わっていないと感じている。この原因こそが、ネガティブ本能のせいであると主張しています。では、そのネガティブ本能を回避するためには、具体的にどうするべきなのでしょうか?次の章では、その方法について説明します。
【ファクトフルネス10の思い込み】ネガティブ本能を回避する5つの方法
ファクトフルネス10の思い込みの一つである、ネガティブ本能を回避する5つの方法を著者は以下のように説明しています。
「悪い」と「良くなっている」は両立するという考えを持つ
まず、その方法は大きく分けると5つあります。一つ目は、「悪い」と「良くなっている」は両立するという考えを持つことです。悪いというのは現在の状態であり、良くなってるのは変化の方向であると著者は主張しています。だからこそ悪いとよくなっていることは、両立し得ることを理解しましょう!この二つを見分けられるようになればネガティブ本能を回避できます。
良い出来事はニュースになりにくい
二つ目は、良い出来事はニュースになりにくいという点です。残酷な事件などのニュースは世間で大きな注目を浴びますが、良い出来事は滅多に報道されません。あなたが今後悪いニュースを見たら、「もし同じぐらい良いニュースがあれば、自分に報道されるのだろうか」と考えることでネガティブ本能を回避するきっかけになるでしょう。
ゆっくりとした進歩はニュースになりにくい
最後の三つ目は、ゆっくりとした進歩はニュースになりにくいという点が挙げられます。長期的な進歩が見られるにもかかわらず、短期間で見てみると後退したり足踏みしたりしている場合は、人々に気づかれにくくなってしまいます。したがってゆっくりとした進歩にも注目して、「物事は長期的に見れば決して悪化していないのではないだろうか」、と疑問を抱くことによりネガティブ本能を回避できるようになります。
悪いニュースが増えたからといって、悪化しているとは限らない
また四つ目は、悪いニュースが増えたからといって、悪化しているとは限らないという点にも注目しましょう。というのも、世間の監視の目がより届くようになったから、悪いニュースがよく報道されているのであって、必ずしも世界が悪くなったからではないと考えるようにすべきだからです。
そうすることで、ネガティブ本能を回避する可能性があがります。
美化された過去に気をつける
最後に5つ目は、美化された過去に気をつけましょう。例えば、あなたのおじいちゃんおばあちゃんは、過去の美化された歴史をよく口にする人もいるかもしれません。例えば高齢者が、「自分が若い頃は、周りの人もこんなにひ弱じゃなかったよ」などと口にしたり、「自分が小学生の頃は多くの生徒たちは今よりも生き生きしていたよ」、などといった考えを主張された場合、話を信じ込んで「自分はなんて駄目なんだ…」などとネガティブになるのではなく、その話自体が美化されていないか疑うべきです。
しかし高齢者に限らず、若い人であれ、多くの人は過去を美化したがるという点を覚えておくことで、あなたがネガティブ本能を回避するきっかけになるはずです。
【ファクトフルネス10の思い込み】もっと知りたい
ファクトフルネスについてもっと詳しく知りたい方向けに、おすすめ記事をご紹介します。
ここまでの説明で、ファクトフルネス10の思い込みの2つ目、「ネガティブ本能」については理解いただけたかと思います。そこで、3つ目の「直線本能」についても学ぶことで、ファクトフルネスについての理解をより深めることができます。具体的にいうと、右肩上がりのグラフをみた時は直線本能に注意すべきという点を踏まえ、思い込み回避方法を「【④ファクトフルネス直線本能】右肩上がりグラフに注意【回避方法】」の記事で紹介しているのでご覧ください。
また、ファクトフルネスの思い込み「恐怖本能」についても、メディアは恐怖本能を利用する傾向があるという点を踏まえ、コロナや自然災害、飛行機事故の偏った報道の事例を学びたい方は、「【⑤ファクトフルネス恐怖本能】過剰報道【リスクを適切に判断する】」の記事をどうぞ。保険や起業等、身の回りに存在するリスクを適切に判断できるようになりたい方は必見です!
さらに、ファクトフルネスの思い込み「過大視本能」とは、目の前にある数字を過大視し、重要な物事を見落とす傾向です。
それを回避するには判断の根拠となる数字にだけ注目するのではなく、他の数字との比較や割り算をし判断する必要があるという点を学びたい方は「【⑥ファクトフルネス過大視本能】80対20の法則【数字の比較割り算】」の記事をご覧ください。
ファクトフルネス10の思い込みの一つ、パターン化本能について知りたいですか?
私達は無意識的に、一つの具体例が他の全てのものにも当てはまると思い込む傾向をご紹介!
パターン化本能の回避方法として、物事の細分化や、逆の例はないか?と問いかける必要性を学びたい方は「【⑦ファクトフルネス】パターン化本能【回避方法・細分化・逆の例】」の記事をご覧ください。
ファクトフルネス10の思い込みの一つ宿命本能について知りたいですか?
宿命本能とは、物事は変化しないという錯覚を指します。
ファクトフルネスの著者の説明は内容が薄いという批判を踏まえ、私の言葉を含ませた錯覚回避方法をご紹介!
上手くいかない原因を他人のせいにしがちな人は「【⑧ファクトフルネス宿命本能】物事は変化しない【回避方法・批判】」の記事をご参照ください。
ファクトフルネス10の思い込みの一つ、犯人探し本能について知りたいですか?
物事が上手くいかない時は、個々ではなくシステム全体の欠陥を探すべきという点を踏まえ、成功要因もシステム全体に注目すべき点をご紹介!
身近な具体例をもとに、ファクトフルネスを実践したい方は、「【⑩ファクトフルネス犯人探し本能】失敗・成功要因はシステム全体」の記事をご参照ください。
ファクトフルネス10の思い込みの一つ、焦り本能について知りたいですか?
焦り本能の特徴は、身近な私生活で頻出するという点や長期でみたら悪影響を及ぼす点です。
その具体例を踏まえ、焦って得をすることはめったに存在しない点を学びたい方は、「【⑪ファクトフルネス焦り本能】特徴【身近で頻出・長期的に悪影響】」の記事をご覧ください。
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