ベストセラー書籍「FIRE最強の早期リタイア術」の要約を紹介します!
進路として大学の学部・学科選びはコスパで選ぶべき理由を踏まえ、「借金の怖さ」は72の法則で理解できるという点や、苦痛を回避しつつ支出を抑える方法(幸福感を下げる支出を特定する)を説明します。
早期リタイアしたい人必見!

FIREとは
まずこの本に出てくるFIREとは経済的自立と早期リタイアを意味しており、「Financial Independence, Retire Early」の略です。つまり、多額のお金を貯蓄した上で投資にまわし、不労所得を得ることで早期リタイアするという考え方です。
「FIRE最強の早期リタイア術」の著者クリスティー・シェンは100万ドル(=約1億円)を貯蓄し、なんと31歳という若さで早期リタイアすることができました。そのための方法として、高給の仕事につき、若いうちに収入の大半を貯蓄と投資に回すことによって一生分のお金を蓄えるのです。つまりFIREとは、人生逃げ切り型のスタートダッシュ戦略とでも言うとわかりやすいでしょう。
もちろんFIREに必要な投資額は、各人の必要とする生活費用によって異なります。例えば、1億円ではなく35000万円あれば十分な人もいます。
どうすれば著者のようにFIREが実現できるのかを具体的に説明していきます。
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進路として大学の学部・学科選びはコスパで選ぶべき理由
「FIRE最強の早期リタイア術」の著者クリスティー・シェンの主張を踏まえ、進路として大学の学部・学科選びはコスパで選ぶべき理由を説明します。
著者は、大学の学部や学科などの専攻を選ぶ時に、情熱に従ってはいけないと主張しています。

ここで言う大学の専攻選びというのは、高校生時代にどの大学の、どの学部・学科に進学するべきかを考えることを言います。つまり、「誰しも将来の夢を思い描いて、熱い情熱に従いさえすれば、ふさわしい進学先が見つかる」などという言葉は大きな間違いだということです。
多くの人は、進路をコスパで選ぶと聞いて、なんとも夢のない話だと思うかも知れません。しかし、この本の著者の子供時代を知っている人からみたら、「夢のない話とは、なんて失礼な!」と反論するに違いありません。
つまり、著者本人が貧困の中で子供時代を過ごしたため、大人になってから他の人とは異なったお金に対する見方を持っているのです。具体的には、著者が貧困な幼少期の経験と欠乏マインドを持っていたからこそ、31歳で億万長者としてリタイアできた点は素晴らしいです。欠乏マインドとは、既に得られる限界が定まっており、誰かが得ることで、他の人は得られなくなるという貧しい考え方のことです。つまり、貧乏や欠乏こそが著者を強くしたということですので、先進国に住んでいる多くの読者にとっても大いに参考になるはずです。
進路として大学の学部・学科はコスパで選べ
著者クリスティー・シェンは、まずはお金が重要であるから、お金の費用対効果に基づいて大学の学部や学科を選ぶべきであると主張しています。
この本の著者はやけに「お金、お金」と口にしますが、それもそのはずこの人はものすごい貧困の中で子供時代を過ごしました。
具体的に言うと著者の子供時代は医療器具が破棄されている場所を漁っていたと言います。というのも、おもちゃ屋さんなどのお店に行って、親に買って欲しいとねだったところで、決して自分の思いは達成されないからです。それであれば、誰にも咎められないゴミ捨て場を あさっている方が、よっぽど楽しいという理由からそうしていたようです。
具体的なこの著者の生い立ちとしては、中国で生まれ貧しい中国の農村地帯で子供時代を過ごしました。父親も貧困の中で育ったようで、飢餓の中友人も多数亡くなったようです。そのような環境で育ったため、大学に進学する際にお金に非常に苦慮していたようです。だからこそ、どの大学の学部や学科に進学するべきかということは、自分の夢や情熱を追い求めて選択するべきではないと判断したとのことです。

一見すると、費用対効果で自分の将来の職業や夢を選ぶということは、マイナスの意味で捉えられそうです。しかし著者にとっては、せっかく手に入れた大学進学というチャンスは、一度限りの貴重なチャンスであり、費用対効果で将来の職業や夢を選ばざる得ないということです。
またこの本の著者は、情熱に従っても失業したり、就業に満足しなかった場合、人は幸福にはなれないということを一貫して主張しています。つまり食うもの着るものに困って生活し続けていたら、人は十分に幸福を享受できないということです。

つまり就職したところで
- 後に失業してしまったり、
- 得られる賃金が低いために結局転職してしまったり
した場合は、 元から費用対効果で大学の学部を選ぶべきだったと後悔することになるということです。
そう考えると、「たしかに大学の学部や学科を、費用対効果で選ぶのもありだな」という気持ちにさせられます。
大学の学部や学科を費用対効果で選択する方法
では具体的に、どうやって大学の学部や学科を費用対効果で選択すべきかについて見ていきましょう。
例えば医師は年収が高く、高給取りの職業です。
しかし、「FIRE最強の早期リタイア術」の著者クリスティー・シェンは費用対効果の面で見てみると、医師は医学部の学費も高いから選択すべきではないということを言っています。
参考程度に記載しておくと、 日本における医者の平均年収や学費は以下の通りです。
医者の平均年収は1169万円。これは、厚生労働省による「2019年賃金構造基本統計調査」から試算した、従業員10人以上の職場における数字です。算出した医師の平均値は以下のようになっています。
平均年齢 男性:41.6歳 女性38.2歳
文系(文学部)の約360万円に対し医学部は約2,074万円なので、学部の違いで約1,714万円の差があります。
上記のデータをみてみると、医者の年収は1169万と高給取りですが、医学部の学費が合計で2,074万円もかかるとのことがわかります。また、文系との差が約1,714万円とは驚きです。
つまり、貧乏な家庭で生まれ育った人にとって、奨学金を借りて医学部の学費を2,074万円も支払って、やっと医師免許を取得したとしても、学生ローン地獄に陥る可能性もあるということです。
なぜなら、累進課税で所得税がかかってくるので、手取り給与額は少なくなってしまうからです。
著者によると、大学の学部・専攻毎に年収中央値から最低年収を差し引いて、残りを学費の総額に割ったものがPOT(Pay Over Tuition)スコアといいます。このスコアの算出式は以下の通りです。
POT(Pay Over Tuition)スコア = (職業の年収中央値 – 職業の最低年収) ÷ 学費の総額
つまり、POTスコアというのは、大学をコスパで選択する際に、大学でどの学部に進学するべきかを考える時の費用対効果のことを指します。本書に記載されている大学の学部・専攻をPOTスコアが優秀な順に並べると、以下のようになります。
配管工 > コンピューター・エンジニアリング > 会計 > 法律 > 美術 > 医学 > 役者 > ダンス > ライティング
つまり、上記のPOTスコアに基づいて進路を考える場合、配管工というのは穴場の職業であるため、学費と収入のコスパを考えるのであれば、ぜひとも進学すべきだということです。なぜなら、会計士や弁護士などと比較してもコスパがいい学部だからです。
しかしもちろん、その人の特性があるでしょうから、全ての人が配管工を選択して、必ずしも幸せになるとは一概には言えません。そうはいっても、このようなスコア順に並べて、コスパを念頭に自分の進路を考えることも重要なことであると、著者は主張しているのです。
また「FIRE最強の早期リタイア術」の著者クリスティー・シェンは、子供の頃から図書館に行くのが好きで、将来の夢としてライティングの仕事がしたかったようです。しかし、お金がない貧乏な家庭に生まれ育ったことにより、その選択肢は消えました。だから上記のように費用対効果でどの大学の専攻をすべきかを分析しました。その結果お金を優先し、この本の著者は億万長者になった後に、ライティングつまり本の執筆家となり夢を叶えたようです。(絵本作家と、本書の執筆。)
以下は著者の名言です。
「心から好きなことをすればお金は後からついてくると期待するのは危険です。まずお金を追いかけましょう。好きなことはその後でもできるのです。
クリスティー・シェン; ブライス・リャン. FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド (Kindle の位置No.635). ダイヤモンド社. Kindle 版.
つまり、統計的にみて、自分のやりたい事を仕事にしても、低賃金や幸福ではない生活が待っています。だから、まずはお金を最優先に考えて、お金持ちになった後に自分のやりたいことを仕事にしましょう!ということがこの本の主張です。
この「好きなことを仕事にするべきではない」という考え方は、ベストセラー書籍「科学的な適職 鈴木祐 (著)」でも述べられており、共通しています。
「好きなことを仕事にするべきではない」という考え方について、詳細は「①【要約】科学的な適職の探し方【ダメな例→好きなこと/給料/適正/職種】」の記事をご覧下さい。

それとは反対に、仕事の幸福度を決める「7つの徳目」については「②【科学的な適職の要約】仕事の幸福度を決める7つの徳目【自由・達成感・タイプ・価値観・多様性・仲間】」の記事をどうぞ。

やりたい事は変わりゆくもの
ハーバード大学とバージニア大学の心理学研究によると、研究対象者1万9000人のうち、ほぼ100%の人が、過去10年の間に自分の情熱を注ぐ対象が大きく変わったと回答したと言います。
ここから、やりたい事は変わりゆくものであるということが分かります。確かに、多くの人が心当たりがあると思いますが、多くの人にとって、子供の頃は名探偵コナン等の謎解き漫画やサッカー漫画を読んでいた時に、将来自分も探偵orサッカー選手になりたいと夢みたものでしょう。
しかし多くの人はそれから10年後に、探偵やサッカー選手になりたいとは微塵も思いません。なぜなら別の自分の情熱を注ぐ対象が見つかるからです。
「やりたい事は後に変わりゆくものである 」という前提があるのであれば、職業選択の仕方も変えるべきです。例えば大学4年生の22歳で就職する業界を選ぶということは、小学6年生の頃にやっていたゲームのみを365日やり続けるようなものです。今30代・40代の人は子供の頃にプレステやスーパーファミコンのゲームをやっていた人も多いことでしょう。 しかし現在もそれらゲームを365日やり続けたいのかと問われれば、そんなことないはずです。なぜなら大人になるにつれて、人生の楽しみはゲームだけではないということがわかるはずだからです。
つまり、小学6年生の子供の頃と、22歳の大人になった時点とでは、感性がまったく異なるから、必ずしも昔のやりたいことは現在の参考にならないということです。
したがって、高校3年生の18歳の時、あるいは大学4年生の22歳の新たな進路に進む時に、ある仕事に対する情熱に従って職業選択をしたとしても、どうせ後に方向性が変わる可能性があります。そこで、まずは経済面で優れている高給取りに就ける可能性の高い、大学の学部や職業を選択するべきであるということが著者の主張です。
なお、著者クリスティー・シェンは情熱を注ぐことができないと感じていたITエンジニアの道に進みましたが、最終的には31歳で億万長者になりました。
POTスコアの問題点
しかし「FIRE最強の早期リタイア術」の著者の考えにも、客観的にみて問題点があります。
それは、この本で出てくる、前述のPOTスコアの問題点として、生涯年収ではみていないという点があります。著者は31歳という若さで早期リタイアしてしまったわけなので、他の人がたとえPOTスコアに基づいて判断して就職したとしても、その後も仕事をしていた場合に成功しているのかは定かでは有りません。
また、たしかに初任給は低くても、勤続年数があがるごとに年収が増える職業もあるはずですし、その反対の職業もあるでしょう。例えば、看護師は初任給は高いですが、その後の年収の伸び率は高くありません。
また、ITにエンジニアは高給取りかもしれませんが、仕事が嫌になってやめて転職してしまっては元も子もありません。つまり職業選択は人にもよるだろうから、POTスコアだけで仕事を選ぶのは危険です。特に高校生は、一人の主張やアドバイスにとらわれず、複数の意見に耳を傾けると言いでしょう。また安易に考えることなく、よく考えて進路を決めるべきでしょう。
「借金の怖さ」は72の法則で理解できる
この本の著者クリスティー・シェンは「72の法則」を用いて、消費者ローンなどの高利貸しの借金は非常に危険だから、絶対に手を出すべきではないと主張しています。
この記事をお読みの方も、近所の書店に行くと、よく「億万長者になるためには投資をしましょう」など主張する本が並んでいますよね?たしかに投資はお金を増やすための大きな武器となることは間違いありません。そのため投資をすることで、その人の人生が加速度的に裕福になる可能性はあるでしょう。

しかしそれと同様に、高利貸しの消費者ローンなどに手を出してしまうと、人生を破滅に追いやるリスクが加速度的に一気に高まるということも言えます。著者は、お金持ちになるためには、そのような借金をして首が回らなくなるリスクを回避する事がとても重要と説いています。
72の法則
では具体的に72法則を使って、どのぐらいのスピードで資産や負債が増えるのかを計算してみましょう。
72の法則とはどのようなものなのかについて、金融広報中央委員会によると以下の通りです。
72の法則とは
お金が2倍になる期間が簡単にわかる便利な算式。「72÷金利≒お金が2倍になる期間」となる。
たとえば、金利18%でお金を借りた場合、「72÷18=4」となるので、約4年で借りたお金が2倍になることがわかる。金利12%でお金を借りた場合には、「72÷12=6」となるので、約6年で借りたお金が2倍になることがわかる。この法則を知れば、たとえば消費者金融でお金を借りる場合(10万円以上100万円未満を借りる場合、法律上の上限金利である18%が通常適用される)や、クレジットカードの分割払いやリボルビング払いを利用する場合(通常12~18%が多い)に、どの程度の速さで借金が2倍になるかがわかるため、利用に慎重になることが期待される。
なるほど、72の法則を用いれば、何年後に資産・負債が2倍になるのかが分かるということです。
例えば7.2%の金利であれば、72÷7.2=10年後 つまり、10年後に2倍になります。
日本の普通預金の金利の平均は0.001%なので、72÷0.001=72,000年後 つまり、72,000年後に2倍になるということがわかります。(出典:日本銀行)
だから、あなたの資産100万円を7.2%の金利で運用した場合、10年後には2倍の200万になるということは、とても短い期間で急速にお金が増えるということが分かります。 しかし、これはあくまでも投資をした場合です。それとは反対に 7.2%の金利で100万円の借金をした場合はどうなると思いますか?投資と同様に、借金も100万円から200万円へと、短期間で急速に増えてしまいます。だから借金は怖いのです。
代表的な三つの借金(消費者・学生・住宅ローン)
つまり、投資が複利で急速に増えるのと同様に、借金も複利で増えてしまうから、借金をする時は特段の注意が必要であると著者クリスティー・シェンは主張しています。
著者が主張する代表的な三つの借金とは、
- 消費者ローン
- 学生ローン
- 住宅ローン
です。それらの借金を、一般的な金利の高い順に並べると以下の通りということです。
一般的に借金の金利が高い順
消費者ローン(20-10%) > 学生ローン(4-8%) > 住宅ローン(3%)
本当かどうか調べてみると、金融庁によると、消費者ローンの金利は以下の通りです。
消費者ローンの金利 上限20% 出典:金融庁HP
消費者ローンについては、たしかに本書の主張は正しいです。しかし学生ローンについては異論もあります。
例えば、本書には学生ローンは4%から8%と記載されていますが、日本学生支援機構の中には、無利子で奨学金を借りることができるものも存在するため、一概に言えません。
住宅ローンも同様です。したがって、上記はあくまでも目安として捉えましょう。つまり、ローンについて、詳しくは個別のローン毎に設けられている細目・重要事項説明書等を必ずチェックするようにしましょう。
返済の優先順位の付け方=金利が4%を超えているかどうか
またこの本の著者クリスティー・シェンは、借金返済の優先順位として、借金の利息の目安として4%の金利を超えているかどうかで判断するべきだと主張してます。
具体的に言うと、もし借金の金利が4%未満であれば、手元資金から最低限を借金の返済で支払い、残りの余ったお金は投資するべきであると言っています。
一方で、もし借金の金利が4%より高ければ、投資はせず、手元にある余剰資金は借金返済のために最優先で使うべきだと主張してます。
もちろん、これはあくまでも目安でしかないので、各個人のキャッシュフローを元に判断するべきではありますが、ひとつの目安としては役立つはずです。
苦痛を回避しつつ支出を抑える方法(幸福感を下げる支出を特定する)
幸福感を下げる支出を特定することで、苦痛を回避しつつ支出を抑える方法を説明します。
「FIRE最強の早期リタイア術」の著者クリスティー・シェンは、脳が期待値をリセットするのはドーパミンのせいだと主張しています。
どういうことかと言うと、ある子供が両親に新しいゲームを買ってもらった結果、最初はとても大きな満足感を得られます。
しかしその後に二つ目、三つ目のゲームを買っても、最初ほどの満足感は得られなくなるということです。
この傾向は、子供だけではなく大人にも当てはまります。具体的に言うと、買い物において、高額なブランド品であるシャネルのバッグ・財布などを買うと、最初はとても大喜びしたのに、二度目以降の購入は、最初ほどの満足感を得られなくなるというようなことです。高額な財布を買った後に、再び高額な財布を買っても満足しないということは、まるでコカインのように、強い刺激を追い求めることと似ています。
このことを、この本の著者は以下のドイツの研究を踏まえ、科学的に説明しています。
2006年のドイツの神経学者が行なった脳の側坐核に関する実験結果によると、脳の仕組みは非常に複雑 であることを浮き彫りにしています。具体的に言うと、100%勝てると思われている勝負に勝ったところで、ドーパミン受容体の活動は活性化されません。しかし、20%という低確率で勝つことができる勝負に勝った場合には、ドーパミン受容体が活性化されるとのことです。つまり脳はプラスの刺激に対して反応するだけではなくて、刺激に元々抱いていた期待に対しても反応するから、ドーパミンの絶対量ではなくて、脳の側坐核にかける期待値に左右されるということです。
麻薬常用者は一度麻薬の摂取をすると麻薬の効果が減退してしまいます。 そのため2回目以降は一回目よりも摂取量を増やす必要があるので、どんどん麻薬依存性が高まってしまいます。
これと同様に、物に対してお金を払うと最初は満足したのに、そのうちだんだん満足しなくなっていくという現象が見られます。これは脳の仕組みがそうさせているので、自分の支出を見直すことによって何に対して過剰にお金を費やしてしまっているのかが分かると著者は主張します。
ここから言えることは、多くのものを所有するほど人間は不幸になってストレスも増大するということです。
一方で、少ない物を所有したり、旅行や新たな技術を獲得するなどの経験をすることにお金を使ったりすれば、人間は幸福になり、さらに人生にも満足すると言っています。
もし高価なものを買えば、そのものが壊れてしまった場合に、高額な修理代がかかります。つまり、より高額なものを所有することにより、想定外のコストが生ずる可能性があるということです。例えば住宅を購入した場合、住宅費用に加えて、損害保険や生命保険、さらに修繕費用が発生します。このように、物に大してお金を支払っても、一時的にはドーパミンが脳内で放出されて幸福感を得られるかもしれないが、側坐核が慣れてしまうので、いずれは興奮するでしょう。
一方で、経験にお金を使った人の場合は、幸福感はお金を使うたびに上昇していきます。さらにたとえ旅行の経験を終了しても、手元には何も残りはしないので保管費用が不要であるという点も見逃せません。
全ての支出が平等ではないので、自分の支出を見直すことによって幸福感を下げている原因となっている支出が明確になり、その支出をカットすることによって、より幸福度が増します。つまり支出を切り詰めることによって、我慢しなければいけなくなり幸福度が下がると思いきや、実は幸福度を下げている支出をカットすることによって幸福度が上がるということです。このことから、あらゆる節約に対して同等の苦痛が伴うというわけではないことが分かります。
無駄が多い支出を切り詰める例としては、
- 銀行の預金を引き出す時にかかる手数料や、
- 全く使っていないサブスクリプション契約(Spotifyなど)、
- あるいは全く見ていないテレビ契約などの固定料金や、
- 使っていない携帯のデータ通信量プランや
- 固定電話代金
等を見直すなどです。
「FIRE最強の早期リタイア術」の著者の個人的な体験例としては、ストによって公共交通機関が使えなくなってしまい、職場までジョギングをすることによって、交通費を節約できるし、運動もできるので一石二鳥である、というのが不要なものを切りつめた例です。もしかしたら、人によっては職場まで自転車で行ったりすることで、不要な交通費用をカットできるかもしれません。
別の人にとっては、外食を節約するべきであったり、全く通っていないトレーニングジムの月額会員費用であったりするかもしれません。
更に著者は、既に持っている高額なものを減らすことも重要だと主張しています。代表的なものは車と住宅です。
車の場合は高価なものであるほど保険も高額になります。また住宅も広い家に住むほど、保険代や掃除をする手間や時間や修繕費用、つまり維持費用がかかるということです。
さらに自分が節約することに成功した場合、節約することで浮いたお金を自分にご褒美として与えることも大事だと主張しています。例えば旅行以外にも、新たな経験に大してお金を支払う、例えばスキューバダイビングや有名人のオンラインサロンなどにも参加してみるのもいいかもしれません。
「FIRE最強の早期リタイア術」の書評の続きとして、こちらの記事をご覧ください。

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