マーケティング精鋭集団「刀」の代表を務める森岡毅さんは、日本を代表するマーケターであると同時に、ベストセラー作家でもあります。
彼が倒産の危機に直面していたUSJの業績をV字回復させた経緯を知れば、誰もが感動を覚えずにはいられないでしょう。
そこで、森岡毅さんが手がけたおすすめ本6冊を紹介していきます。
なお、森岡毅さんの経歴と業績についてはこちらの記事で時系列に紹介していますので、併せてご覧ください。
![[森岡 毅]の苦しかったときの話をしようか](https://i0.wp.com/images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51xcKZdqiCL.jpg?resize=346%2C500&ssl=1 "苦しかったときの話をしようか")
ＵＳＪのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか？
まず、彼の処女作である「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」について解説します。
この本はUSJが赤字に陥り、倒産する可能性すらあるという危機から業績をV字回復させた森岡毅さんの奇跡の経緯が綴られています。
具体的に言うと、この書籍では主に定性分析について説明されています。
定性分析というのは、物事を論理的に整理して、
- 問題が発生する原因は何か、
- あるいはどこにお宝が眠っているのか、
などということを論理立てて考えていく思考方法です。
定性分析について、詳細は「【森岡毅】定性分析でマーケティングをするコツ【MECEフレームワーク】」をご参照ください。
金をかけなくても、アイデアで感動は作り出せる
書籍「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」で、私が最も感銘を受けたことといえば、「金をかけなくても、アイデアで感動は作り出せる」という定性分析です。その定性分析を用いて、実際にどのような施策を考えだしたのかをご紹介します。
トリックアート
彼はUSJがマーケティングに割くお金も時間も無いという極限状態において、トリックアートという戦略をひねり出します。
これは目の錯覚を利用した絵などの作品のことです。
例えば、見方を変えると立体的に絵が浮かび上がってくるというような仕組みで、Instagramのスポットに若者が集まってくるという戦略を練りました。
フラッシュ・バンド・ビート
フラッシュ・バンド・ビートというのは、いわゆるフラッシュモブのことです。
仕事中の従業員が急に楽器を鳴らし始めてそれに釣られて他の従業員が集まってきたかと思いきや別の楽器を鳴らしながら加わり、さらにダンスと演奏のハーモニーで観客を魅了するというものです。
ハロウィーン・ホラー・ナイト
ハロウィーン・ホラー・ナイトというのはスタッフがゾンビの格好して、町中を練り歩くというようなもので、これには全くのお金がかからないにも関わらず、40万人以上を追加集客することに成功しました。
モンスターハンター・ザ・リアル
森岡毅さんは消費者視点を体験するため、モンスターハンターのゲームを400時間以上もプレイしました。
その結果、これをイベントにしたら面白いんじゃないかと発想を得ることができました。
そこでカプコンと提携し、高さ20 メートル級の等身大のモンスターや武器や防具などを展示しまし、大きな集客効果を得ました。
世界一の光のツリー
クリスマスの集客効果を高めるためには、 USJ にしかない特別な何かが必要だ。
そう考えた森岡毅さんは、当時高さ36メートルのツリーに33万個の LED をつけたギネス認定のクリスマスツリーを作りました。
世界一多いイルミネーションで飾られたクリスマスツリー大きな話題を呼び大きな集客効果を残しました。
ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド ～バックドロップ
また極めつけは、お金がない状況で頭を振り絞って考え抜いた挙句に森岡毅さんは、ジェットコースターを後ろ向きに走らせるという奇策をひねり出しました。
ジェットコースターを後ろ向きに走らせるだなんて、あまりに危険だと当初は大反対を受けたのですが、技術部門と話し合った結果、技術的には可能であるということが分かってきました。
そこで彼がさまざまな部門と悪戦苦闘した挙句にジェットコースターを後ろ向きに走らせることに成功した経緯が書籍の中で綴られています。
その結果、日本の最高記録である待ち時間9時間40分という超長蛇の列に並んででも、ジェットコースターに乗りたいという程、爆発的な人気を出すことに成功しました。
これらのアイデアはたまたま考え付いたものではなく、森岡毅さんの戦略的思考によって思いついたものです。
あなたが戦略的なアイデアにより、あなたの人生を変えたいと願っているのであれば、この書籍を一読されることを強くおすすめします。
ＵＳＪを劇的に変えた、たった１つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
書籍「ＵＳＪを劇的に変えた、たった１つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」は2番目に出版された本です。
この本は、森岡毅さんのマーケティングの本の中でも、MBAの教科書のようにフレームワークが多く記載されているものです。
MBAの知識について詳しく知りたい方は、この書籍がおすすめですが、森岡毅さんの前職であるP&G時代に身に付けたマーケティングの手法を主に解説してるような印象を受けます。
前作と一部重複している内容がありますが、USJをどのような施策を元にV字回復させたのかという経緯が綴られています。
この本のいいところは単なる成功体験について説明しているのではなく、フレームワークに落とし込んで説明しているところです。
例えば、どのようなフレームワークを使って問題を解決に導いたのか。
あるいはどのような時にどんなフレームワークを使えばいいのかなどを分かりやすく説明しているので、あなたもフレームワークについて物事を考える習慣が持てるようになることです。
森岡毅さんのマーケティングのフレームワークの全体像について、こちらの記事でまとめていますので、参考にされてください。
確率思考の戦略論 ＵＳＪでも実証された数学マーケティングの力
書籍「確率思考の戦略論」では、主に統計学を使った定量分析の方法について説明されています。
森岡毅さんP&G時代からの盟友である、今西聖貴さんとの共同執筆の上で作成されているため、文章量が多いという点も特徴的です。
この本には、2019年4月24日現時点において3,110円という高額な書籍の値段に見合うだけの価値があります。
というのも、具体的な統計学の数式まで詳細な戦略の記載があり、森岡毅さんの定量分析の戦略を詳しく知ることができるからです。
この本のいいところは、統計学を使ってビジネスをやってみたいと考えられるようになってしまうぐらい、定量分析を実戦で活かすということをテーマに様々な説明がされているところです。
統計学というととっつきにくいですが、それをビジネスで具体的に一流のマーケターがどのように統計学を使ってビジネスを実践しているのかを知ることができるので、その意味でもこの本は非常に画期的な本です。
この本を読むことによって、ビジネスというのは定性分析だけではなく、定量分析がいかに重要であるかということを知ることができるので、定量分析について興味のある方は購入されることをオススメします。
また定量分析について詳しい記事はこちらですが、森岡毅さんの書籍の欠点についても触れていますのでご参照ください。
USJをV字回復させた森岡毅の実戦マーケティング３部作【３冊 合本版】
未だ、森岡毅氏のUSJ関連の書籍である、
を1冊も持っていないとしても、この本はオススメできません。
なぜなら、全く割引がされていないからです。
一般的な感覚だと、本は個別で揃えるよりも、まとめて購入した方が安上がりだと思いますが、書籍「USJをV字回復させた森岡毅の実戦マーケティング３部作【３冊 合本版】」の場合は、
- 3冊合本版を購入しても、
- 各1冊ずつ購入し3冊を揃えても、
なぜかどちらも同じ値段なのです。
なお、各書籍のKindle版の価格は以下の通りです。
上記の3部作を足し算すると、1361+3110+622=5093円になります。
USJをV字回復させた森岡毅の実戦マーケティング３部作【３冊 合本版】 (角川文庫) Kindle版
￥ 5,188
つまり、全く値引きされていないどころか、なぜかより高額な価格となっています。。。
（2020年3月追記 : その後価格が修正されたようで、現時点ではどちらも同額の5,188円になっていました。）
そのため、書籍は3冊合本版ではなく、1冊ずつ購入することをおすすめします。
たしかにこの3冊合本版は、1冊に連なっていてコンパクトであるというメリットはあります。
しかし、Kindle本は実物の紙の書籍とは異なりコンパクトである必要がありません。
それゆえ、メリットはほぼ皆無であると思われるので、3冊合本版は購入すべきではないと思われます。
マーケティングとは「組織革命」である。
書籍、「マーケティングとは「組織革命」である。」は、森岡毅さんが USJ を退職し、株式会社刀を創業してから初めて出版した本です。
この本では、個人が会社全体を動かすためにはどうすればいいか、という組織論について語られています。
森岡毅さんは他の本でも、部門間ごとの確執があるということを述べられてきました。
そのため、部門間ごとの確執をどうすれば解消することができるのかという点について、深く掘り下げて説明されている書籍となります。
森岡毅さんは、自分起点で周囲を説得して、周りを動かすことが大事であると主張されています。
苦しかったときの話をしようか
2019年4月10日に発売された本は、森岡毅さんの著作の中でも、最もカジュアルな印象を感じる内容で、我が子に向けて伝えたいことをまとめたものです。
また4人の子供を持つ親としての、森岡毅さんの人間的な側面も多く伝わってきます。
この書籍を含め、森岡毅氏が自身の娘に関する本を執筆した理由について、詳しくは「【森岡毅が娘を本に出した訳】USPとブランド戦略【強みは多子世帯】」をご参照ください。
森岡毅のキャリア論
森岡毅さんはUSJに来てからというもの、毎年の冬は血尿生活であったと他の著書でも述べられています。
つまり、USJで偉業を達成したことと同じくらい、多大なストレスが彼を襲っていたはずです。
そんな森岡毅さんを動かしていたのは、自分のキャリアに関する長期的なビジョンです。
自分の長期的なキャリアビジョンがあったからこそ、すべての困難を乗り越えられたのだと言っても過言ではありません。
森岡毅さんが描いた、長期的なキャリアビジョンを大学生になる我が子に伝えるために、就活や昇進、転職、起業などのキャリアに関する文献を書きためていたものを出版しました。
なお、血尿と聞いて、最近森岡毅氏が痩せたのは病気のせいでは？と心配される方も多いと思われます。森岡毅氏が激やせした理由について、詳細は「【森岡毅が痩せた理由】ダイエット成功要因は病気?まるでライザップ」をご参照ください。
森岡毅さんが解く、資本主義の本質
また、森岡毅さんは資本主義社会について触れており、資本主義社会には2種類の人がいるといいます。
一つは自分の時間を使ってお金を稼ぐ人と、もう一つは他人の時間を使ってお金を稼ぐ人です。
そして、資本家というものは後者であり、大きなお金を稼ぎたければ、資本家になるべきであるという主張です。
森岡毅さんはUSJの株式を会社から給料として受け取り、会社をV字回復させたことで、大きな軍資金を得ました。
そのお金を元に、株式会社刀を創設したと言います。
株式会社刀の資本金は350億円～467億円にものぼりますが、森岡毅の刀と大和証券の資本提携について、詳しくは「森岡毅の刀と大和証券の資本提携発表【沖縄テーマパーク計画に投資】」をご参照ください。
大きく儲けたければ資本家になれ！
P&Gで働いている人は優秀かもしれませんが、サラリーマンに過ぎず、資本家ではありません。
そのため、もしあのまま森岡毅さんがP&Gで働き続けていたら、資本家で儲けることを知らずに人生を過ごしていただろうと言っています。
そこで資本家の視点があるということを教えてくれたのが、当時のUSJの社長であったグレン・ガンペルであり、その後の森岡毅さんのUSJでの偉業を成し遂げたきっかけにもなります。
ダイヤモンド社からの評価
この本の出版元であるダイヤモンド社の説明によると、1年に1冊の傑作ビジネス書！と大絶賛されています。
大学生だけではなく、社会人や経営者も、キャリア形成という点で大いに参考になる内容です。
私が読んだ率直な感想としては、今までの作品と同様に面白く興味をそそられる内容でした。
今回もベストセラーとなる可能性が高いと思われるので、あなたも書籍を購入されることを強くお勧めします。
誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命
「誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命」は、2020/12/10に発売されて以来、Amazon 売れ筋ランキングトップを維持しています。
今度は森岡毅さんのリーダーシップ論です。森岡毅さんは、リーダーシップを発揮するためには、生まれながらの特別な才能は不要であり、後天的に誰でもリーダーシップの能力は身につけられると主張しています。
森岡毅さんは、何度も失敗を繰り返したからこそ、人を活かす、人を本気にさせるスキルを身に着けることができたといいます。
なお、本書の目次は以下の通りです
【目次】
はじめに リーダーシップは身につけられる!
第1章 リーダーシップは“特別な人”の能力ではない
① それは生まれつきではなく、意識して、身につける力である
② 「T型」と「C型」のリーダーシップ
第2章 「人を動かす力」の根源は「欲の強さ」である
① 欲とは何か?
② リーダーシップを身につけて得られる絶大なメリット
第3章 欲が足りない人はどうすればよいのか?
① 「3WANTSモデル」でやりたいことを探す!
② 「脳」を慣らせば、「欲」は出やすくなる
③ “討死”も慣れればどうということはない
第4章 日本人のリーダーシップはなぜ育たないのか?
① 「日本でしか使えない日本人」問題
② 日本人女性が抱えるダブルパンチ
③ “羊気質”“痛がり屋さん”から脱却しよう
第5章 リーダーシップを育成しやすい環境へ泳げ!
① リーダーシップを伸ばしやすい3つの環境
② 「大企業の仕事は大きい」という幻想
第6章 仲間を本気にする関係性をどうやって築くのか?
① 共依存関係とは何か?
② 褒めることのリスク
第7章 私自身の悪戦苦闘のリーダーシップ
① 暗黒のリーダーシップ
② 人を活かす存在になれ!
③ 「一緒にやる」ということ
④ リーダーシップとは何か?
第8章 危機時のリーダーシップ ~コロナ災厄から脱するために~
① コロナ問題の本質とは何か?
② みんなで一緒に沈む国
③ プロなら100と0の間で解を見つけよ
④ “責められる覚悟”のない大人たち
⑤ コロナ災厄の出口戦略とは何か?
おわりに 未来は我々がつくる!
コロナウイルスの蔓延による日本経済を切り抜けるためには、自らの意思と選択でリーダーシップを発揮することが重要だと説いています。
彼が論じるコロナ禍からの出口戦略は必見です！
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