【格差社会日本の現状】「拡大原因」と「問題を是正するための対策」

スラム街 社会経済戦略
格差社会問題の解決策
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格差社会日本の現状を知りたいですか?

日本の格差の現状としては、健康保険や生活保護制度などがあるため、アメリカより低いといえます。

また、格差が拡大する原因や、格差社会問題を是正するための対策を説明していきます。

社会経済の基礎を理解したい方は必見です。

 

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格差社会とは

格差社会とは、資産や所得に関して、富裕層と貧困層の差が大きいことをいいます。

また、少数の人達が世の中の大部分の富を手にして、それ以外の人たちは貧しい生活を送らなければいけないというような経済的な社会の状況を言います。

成員が、特定の基準から見て隔絶された階層に分断された社会。特に、所得・資産面での富裕層と貧困層の両極化と、世代を超えた階層の固定化が進んだ社会。

出典 コトバンク

格差社会(カクサシャカイ)とは? 意味や使い方 - コトバンク
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格差社会日本の現状

日本は以前と比較して、格差が拡大してきました。

しかしこれから将来は、日本の格差はさらに拡大していくはずです。

なぜなら、日本は経済的に停滞しているからです。

もし社会の変化に合わせてあなた自身も変化しなければ、取り残されてしまうでしょう。

そこで、まず日本の格差社会問題の現状に関して理解を深めましょう。

日本は健康保険があるため、アメリカほど大きな格差は無い

格差社会としての日本の現状は、アメリカと比べれば格差の度合いは低いと言えます。

というのも、日本に住む人はすべて、国民皆保険の憲法の下に、健康保険への加入が定められているからです。

アメリカには健康保険のような、全ての人が加入する義務のある保険は存在しません。

そのため、民間の医療保険で疾病時のリスクをカバーする必要があるので、民間の保険会社が多数存在しているのです。

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例えば、アメリカではスラム街に目を向けると、極度の貧困で治療費すら賄えず命を落とす危険性すらある人がたくさんいます。

しかし日本では健康保険で医療費の大半は国費で賄われるので、命を落とす危険性がある、大きな病気や怪我の治療ができない人は少ないです。

日本の格差が少ないのは、生活保護制度が充実しているから

日本においては、健康で文化的な最低限度の生活が、日本国憲法で保障されています。

日本の刑務所で暮らしている人ですら、アメリカのスラム街の人たちよりも豊かに生活できています。

つまり、日本の生活保護制度は充実しているのです。

例えば、アメリカの生活保護に似たような制度は、アメリカ国民しか受給することはできず、在米外国人は受給することは不可能です。

その一方で、日本の生活保護は、在日外国人でも日本人と同様に生活保護を受給することができます。

また生活保護で受給できる金額も、日本と比べアメリカは少額です。

また、申請する際の手続きも煩雑です。

それゆえ、日本の生活保護制度は充実しているおかげで、日本はアメリカよりも格差の度合いが低いといえます。

最低賃金の引き上げによる格差の減少は、正社員の働く意欲を削ぐ

  • 2018年10月に東京都最低賃金を27円上げて985円へと、
  • 2019年10月に東京都最低賃金をさらに28円上げて、1,013円へと

改定されました。

出典

地域別最低賃金の全国一覧

前年の2017年10月にも最低賃金が引き上げられたので、今後も最低賃金は上昇していくだろうと思われます。

最低賃金が引き上げられ、アルバイトやパートで働く人達の所得が上がるということは、正社員とアルバイトの所得が近づいていくということです。

もし正社員で勤務しているにもかかわらず、アルバイトと同等の収入しか得られないのであれば、正社員で働く人の意欲を削がれてしまうでしょう。

また副業を持つことが認められる会社が広がってきているので、お金を稼ぎたいのであれば、正社員でなければいけないという理由が少なくなってきています。

つまり、最低賃金が引き上げられることで、所得格差は減少するかもしれません。

しかし正社員たちの働く意欲を削がれて、日本のGDP(国内総生産)まで減少してしまうのではないかと私は懸念しています。

 

格差社会が拡大する原因と対策

1万円札

格差社会が拡大する原因と対策について説明します。

格差社会が拡大する原因

格差社会が拡大する原因は、実力主義が社会に浸透するからです。

例えば近年、日本が格差社会へと変貌してきている原因は、企業で実力主義が重視されてきているからであると言えます。

昭和の頃と違って、日本の平均収入は下がってきているので、経済的にどんどん貧しくなってきたと言えます。

その結果、企業は売上を上昇させるために、採用する人材においてコネ入社を減らし、実力を重視するようになりました。

その結果、優秀な人材が利益を生み出したら、その分だけ給料を多く受け取れるような報酬体系が一般的に浸透していきました。

これは外資系企業によく見られるような報酬体系です。

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もし今後日本という国家財政が困窮していった場合、さらに格差が拡大し、優秀な人材に報酬が集中するような報酬体系を導入する企業が増えていくでしょう。

格差社会問題への対策

格差社会において格差を減らすためには、どのような対策が講じられるべきかを考えていきます。

底辺層を手厚く保護すれば、全体の経済が停滞してしまうデメリットが生ずる

一般的に失業率が高まることによって、働きたくても働けない人が増えてしまいます。

その結果、社会で利益を生み出す機械を失ってしまうということが起こります。

そのため一般的には失業率を低下させることが格差社会をなくすためには重要です。

しかし失業率について論ずるのであればそれは下の層の話であり、お金を稼いでいるエリート層はその底辺にいる人達の何100倍ものお金を1部のエリート層は稼いでいます。

アメリカはそのエリート層に富を集中させるため、優秀な人材はどんどん様々な事に挑戦できる機会があります。

例えばシリコンバレーに代表されるように若手のベンチャー企業が盛んに起業されています。

一方で、日本で起業する人達はアメリカと比べたら少ないです。

そのため、社会的利益を生み出さない底辺層を手厚く方をすることによって、日本全体の経済が起業に挑戦する人材が不足してしまいます。

その結果、全体の経済が停滞してしまう可能性もあります。

そこで底辺層ではなく別の層をケアする方法を考える必要が出てきます。

上位層の賃金を中間層に振り分けることで、中間層を上位層へと成長させる

そこで改善するべきなのは、底辺層ではなく中間に位置する中間層です。

中間層を上の層に成長させることによって、社会全体をプラスの方向に発展させることができるようになります。

日本はみんなで、足並みをそろえて同一賃金で一つの会社を盛り上げていこうという方法が好きなので、飛び抜けて優秀な人材がなかなか育ちません。

そこでトップの人達が受け取っている賃金を減らし、中間層に振り分けることによって、ミドルからトップに上り出ることができる人材をピックアップするのです。

子育て世代の中間層は、資金さえあれば上位層に上り詰める可能性がある

優秀な人材は結婚して子供をもうけるから資金がなくなる

中間層の中には資金がもう少しあれば、さらに飛躍して上位層に上り詰めることができる人たちはたくさんいます。

例えば30歳前後の子育て世代において、結婚して子供をもうける人はもともと優秀な人材が多いはずです。

なぜなら、生涯未婚率が上昇している中で、正社員の男性ほど婚姻率が高くなる傾向があるからです。

つまり優秀な男性であるほど、結婚して子供を産む機会に恵まれる傾向が高くなるということです。

しかし、優秀な人材も、子育てに多くの資金を費やす必要があるので、

  • 自己投資などに振り分けることができる資産が不足してしまったり、
  • 起業することによって子供の学費を貯められなくなる

リスクを避けてしまいがちになります。

子育て世代の中間層を助ける対策

そこで中間層の人材に、国家は多額の投資をしていると言えます。

具体的にいうと2019年10月から始まる、保育の無償化が挙げられます。

消費税を8%から10%に増税する代わりに幼稚園の授業料を0円にしたり、無認可保育園に保育料の助成金を捻出します。

これらの対策は格差社会を減らす為に底辺の人達だけではなく、子育て世代の中間層の人たちを助成していくという考えに基づいています。

少子化対策について、詳細はこちらの記事をどうぞ。

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格差社会問題の根本的な解決策

格差社会問題の根本的な解決策を、経済と精神の2つ面から説明します。

経済的に豊かになる

経済的に豊かになるというのは、例えば昭和のバブルの頃のように日本経済が再度盛り上がるということです。

しかし、昭和時代になぜあそこまで経済が伸びたかというと、ただ単に人口増加によって経済が活性化されたという考えもあります。

今後日本は少子高齢化が必ず加速していくはずなので、少子高齢化問題を解決しない限りは、昭和の頃のように経済が盛り上がる可能性は極めて低いと思います。

精神的に豊かになる

精神的な豊かさというのは、自殺率にも見られます。

例えばフィンランドは、幸福度という点では対象となる156カ国中、2018年・2019年と2年連続で世界ナンバーワンです。

出典

World Happiness Report 2019

World Happiness Report 2019
The World Happiness Report is published by the Wellbeing Research Centre at the University of Oxford, in partnership wit...

一方で、日本の幸福度は58位でした。

日本は世界でトップの経済的な豊かさを手にしているにもかかわらず、精神的には貧しい国だと言えます。

なぜなら、自殺率が先進国の中でトップの座を維持してしまっているからです。

自殺率の中でも特に気になるのが、働き盛りの中高年層の自殺率が高いということです。

日本経済の根幹を支えている中高年層の人達が、仕事を楽しめていなかったり、家庭環境がうまくいっていないことの表れだと思われます。

そのため働き方改革を通じてワークライフバランスを整える必要が出てきます。

そこで具体的なワークライフバランスの整え方に関しては、こちらの記事で紹介していますので、参考にされてください。

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格差社会の拡大を是正するため、ブラック企業を減らすべきである

格差社会が拡大すると、戦争が発生します。

例えばアメリカは南北戦争が発生しました、これによって、黒人達が白人に対して奴隷として搾取されていた状況を一変させました。

これと似ているのが、日本に蔓延するブラック企業です。

ブラック企業で働いている人は、日本人だけではなく、アジア人たちが低賃金で働かされています。

つまり、本来受け取るはずだった賃金を受け取れないから成り立っているような企業は、存在する価値などないのです。

それにも関わらず、弱者から不当に搾取することによって、会社は倒産せずに成り立っており、経営者だけはより豊かになっていきます。

そのためブラック企業を減らすことによって、格差社会は是正されるはずです。

つまり、格差社会によってもたらされる戦争をなくすためには、ブラック企業を減らすべきであると言えるほど、ブラック企業は格差社会を増長するのです。

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