【2020少子化社会対策大綱】海外の成功失敗事例と日本【出生率】

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【2020少子化社会対策大綱】海外の成功と失敗事例
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少子化について知りたいですか?

2020少子化社会対策大綱を踏まえ、日本が少子化対策に今すぐ取り組むべき理由、参考にすべき海外の事例をご紹介!

フランスやスウェーデン、ドイツの成功例、アメリカの失敗例を元に、日本はそれを鵜呑みにすべきでない点を学びたい人必見!

[河合雅司]の未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

少子化問題と対策について、全体像と具体例をわかりやすく学びたい方はこちらの記事も併せてご参照ください。

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【2020少子化社会対策大綱】日本が今すぐ取り組むべき理由

日本政府は、長期的な視野に立って、少子化対策に今すぐ取り組むべき理由を、少子化社会対策大綱において以下のように説明しています。

(長期的な展望に立って、総合的な少子化対策を大胆に進める)

少子化は今この瞬間も進行し続けており、少子化への対応は遅くなればなるほど、将来への影響が大きくなる。したがって、早急に取組を進めることが必要である。一方で、少子化対策は、その効果が表れるまでに一定の時間を要する。少子化の進展に歯止めをかけるため、長期的な展望に立って、必要な安定財源を確保しながら、総合的な少子化対策を大胆に進めていくことが必要である。

(出典:内閣府HP 「少子化社会対策大綱-令和2年5月29日閣議決定」

 

つまり、 少子化は現在進行形で悪化してきているから、少子化対策を早く実行しないと将来はもっと悪化してしまいますよ!だから早く取り組みましょう!ということ言っています。つまり少子化が、それだけ既に進行してきてしまっているから、今すぐ始めないと後になって取り返しのつかないことになるということを指しています。日本の少子化対策の失敗について、詳細はこちらの書籍をどうぞ。

しかし今すぐ少子化対策をしたところで、すぐに効果はでないとも言っています。だから少子化対策に必要なお金を蓄えながら、様々な面における少子化対策を同時に実行していくべきだ、と言っています。

しかしながら、なんだかこれは、「早く取り組もう」の一点張りの印象を受ける文章でもありますが、それだけ日本の少子化が進んでいるということの表れなのでしょう。もしこの調子で日本の少子化が続けば、2065年頃までに何が起こるのか、時系列に沿って学びたい方はこちらのベストセラー書籍をご覧ください。

また、少子化対策における政府の基本目標を把握したい方は「【2020少子化社会対策大綱】政府の少子化対策の基本目標とは?」の記事をご参照ください。

 

【2020少子化社会対策大綱】海外の成功・失敗事例

次に内閣府は少子化社会対策大綱で、海外の成功事例を参考にするべきだと主張しています。具体的にみていきましょう。

フランスやスウェーデンの成功事例

参考にすべき「少子化対策が成功した事例」として、フランスやスウェーデンの成功事例を紹介しています。

 

(諸外国の取組に学び、長期的な少子化対策を実践する)

フランスやスウェーデンは、出生率が一時期 1.5~1.6 台まで低下したが、国民負担を求めながら、経済的支援を含む子育て支援策の充実や仕事と育児の両立支援策など、長期間にわたり継続的かつ総合的な取組を進めてきたことにより、2000 年代後半には 2.0 前後まで回復し、現在も比較的高い出生率を維持している。

(出典:内閣府HP 「少子化社会対策大綱-令和2年5月29日閣議決定」

 

フランスやスウェーデンは、いっときは出生率が約1.52まで低下してしまいましたが、

  • 国民に負担を共有してもらい、
  • なおかつ経済的な子育て支援策や、
  • 仕事と育児の両立

などを図ったことで、2000年代後半には出生率が約2.0まで回復したと言います。ちなみにここで出てくる「出生率」という言葉は、合計特殊出生率です。

しかし、ここで示している「出生率が約0.5増えた」ということが、どのくらい凄いことなのかよくわかりませんよね?そこで、参考までに日本の2018年の出生率はいくつなのかと言うと、なんと1.42です!(出典:厚生労働省「第1表 人口動態総覧」

つまり、以前フランスやスウェーデン(出生率約1.52)は、今の日本(出生率1.42)と同じくらい少子化が進んでいました。しかし色々な対策を行った結果、それが見事に功を奏して、フランスやスウェーデンの出生率が0.5も増えて、約2.0へと改善したということです。これで「出生率が約0.5増えた」ということがいかにすごいことか、おわかりいただけたことでしょう。この事を知れば、日本も人口減少問題に関して、なんとなくわずかな希望が見えてくるのではないでしょうか?日本の人口減少問題について学びたい方はこちらのベストセラー書籍をどうぞ。

ドイツの成功事例

そして次に少子化社会対策大綱で紹介されているのは、ドイツの成功事例です。

 

また、日本同様、長期間出生率が低迷していたドイツでも、男女の家事育児負担の平等化と女性の職場復帰を促したことにより、近年出生率の回復が見られ始めている。

(出典:内閣府HP 「少子化社会対策大綱-令和2年5月29日閣議決定」

 

以前ドイツも今の日本と同様に出生率が低下して困っていたところ、

  • 男女間の家事・育児負担を平等化したり
  • 女性の職場復帰を推奨したり

した結果、なんと出生率が回復してきたと言います。このことから、日本もドイツを見習い、女性にばかり押し付けている家事・育児を、男性も分担する経済的・精神的な余裕が必要であるとも言えます。それと同時に男性の家庭内の意識も変える必要がありそうです。

また女性が出産を機に、

  • 産前産後休業や
  • 育児休業

などを取得し、その後に職場復帰せずに退職してしまう事例が、ドイツでは多数発生しており、それが出生率の低下を招く原因だったということも指摘しています。だから日本も女性が出産した後に今の職場を離れずに、安心して働き続けられるような社会改革が必要であると言えます。そのためには、

  • パワーハラスメントや
  • マタニティハラスメント

などの規制が必要であるとも言えるでしょう。さらに男性も育児休業を女性と同じように取得して家事・育児への積極参加が求められるでしょう。

少子化の原因については「【2020少子化社会対策大綱】少子化の原因と結論【わかりやすく】」の記事をご参照ください。

【2020少子化社会対策大綱】少子化の原因と結論【わかりやすく】
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アメリカの失敗事例

ここまでは海外の「少子化対策を行った結果、出生率が上昇した」という成功事例の紹介でした。しかしその一方で、アメリカの場合なかなかうまくいっていないという現状を、以下のように紹介しています。

 

一方、アメリカは、1990 年代から 2000 年代にかけて 2.0 前後の高い出生率を維持してきたが、近年出生率が漸減している。長期的な少子化対策を実践していく際には、こうした諸外国の取組を研究し、社会経済や国民負担の在り方の差異に留意しつつ、どのような施策が効果的で優先されるべきかという観点から、我が国の少子化対策を検討し、できることから速やかに着手することも重要である。

(出典:内閣府HP 「少子化社会対策大綱-令和2年5月29日閣議決定」

アメリカの合計特殊出生率(2018 年)は 1.73 となっている。

(出典:内閣府HP 「少子化社会対策大綱-令和2年5月29日閣議決定」

 

アメリカは1990年代から2000年代において約2.0の高い出生率を維持してきました。この数値は、2018年の日本の現在の出生率1.42と比較すると、とても高い数値であることがわかります。しかし近年アメリカは出生率がだんだん減ってきており、2018年の出生率は1.73だったとのことです。なぜアメリカの出生率が減ったのかと言う理由まで詳しくは触れてはいません。しかし、これを例えばの話として、少子化対策が

  • 成功した国(フランス・スウェーデン)と
  • 失敗した国(アメリカ)

との違いや、

  • 日本経済
  • また日本国民負担のあり方

などの違いに注目して、

  • どんな施策を行えば日本の少子化を改善できるのか、
  • また何を優先するべきなのか

などを検討した上で、できることから即実行することが重要だよ!と主張しています。

おそらくアメリカも、フランスやスウェーデンと同様の少子化対策を行ったにも関わらず、少子化対策がうまくいかなかったのでしょう。その原因はアメリカの

  • 社会経済や
  • 国民の考え方
  • 慣習・文化

など多岐にわたるから、日本はそれを鵜呑みにすべきではないし、よく検討してから施策を行うべきだ、ということを言っています。

では実際に、日本は今までどのような少子化対策を行ってきたのかについては、こちらの記事をご参照ください。

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