【入院給付金とは】 いくらに設定すべき?【限度日数・免責・費用】

保険証券 年金・保険戦略
この記事は約22分で読めます。

入院給付金について知りたいですか?

入院給付金とはどのようなものかを、

  • 支払限度日数や
  • 免責日数
  • 平均在院日数

等を踏まえてご紹介。

入院給付金日額をいくらに設定するべきかを、入院時にかかる費用に基づいて学びたい人は必見です。

保険相談」を希望される方はこちらをご覧ください。

保険チャンネル

 

スポンサーリンク

入院給付金とは

入院給付金とはどのようなものかを説明します。

入院給付金は、病気やケガで入院したときに保険会社から支払われるお金のことです。一般的に、医療保険といえば「入院給付金」を指すことが多いです。なぜなら、入院が伴う病気や怪我というのは症状が比較的重症であり、治療に伴い多額の費用が発生する可能性があるためです。入院給付金について詳しく説明していきます。

入院給付金の目的

入院給付金の目的について説明します。

入院給付金は、入院による経済的損失を補うために加入します。その具体例を挙げると、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 入院に伴い生ずる一時的な出費
    • 入院中のパジャマや洗面用具などの日用品
    • テレビカード
    • インターネット接続をするため、大容量通信のための無線ルーター等の契約
    • お見舞いをもらったら退院後のお見舞い返し費用
  • 入院期間中の収入の減少

この中で、例えば「入院期間中の収入の減少」という項目に関しては、特に個人事業主に当てはまります。会社員や公務員の場合は、長期入院をして仕事を休んだとしても、公的医療保険から傷病手当金が支払われるため、個人事業主と比較すれば経済的損失は少ないです。 しかし個人事業主は傷病手当金を受け取ることができないので収入の減少に対して、入院給付金等で備えておく必要があります。

関連ページ

【傷病手当金とは】支給条件と期間・金額【申請や退職後の受給方法】
傷病手当金について知りたいですか? 就労不能時に受け取る傷病手当金を、支給される 条件と 期間 を踏まえてご紹介。 傷病手当金の支給金額を計算できれば、就労不能時の家計収支も予測できます。 傷病手当金の 申請方法や 支給停止になる場合、 退...

入院給付金額は、医療保険の加入者が契約時に、入院1日あたり3,000円~15,000円程度の範囲で設定します。

医療保険の入院給付金額には年収制限があります。したがって、年収が高い法人の代表者や個人事業主などは、例えば20,000円を超える入院給付金でも申し込むことができます。

入院給付金額は、保険商品によっては100円刻みで設定することも可能で、例えば、入院日額

  • 3,300円
  • 7,900円
  • 12,100円

などの給付金額を設定することが可能です。

そのため例えば、保険加入者が希望する保険料支払額から逆算し、保険を検討することも可能です。たとえば、保険に割ける予算として、「月々の保険料支払金額を7,000円以下に抑えたい」などと保険外交員に伝えた上で、自分に適した入院給付金額を提案してもらい、保険を検討していくこともできます。そうすることで、予算(保険料)をオーバーしない範囲で、入院保障額を効率的に検討することができます。

なお、入院給付金が支払われる条件としては、病気やケガの治療を目的に入院した場合です。そのため、検査入院など治療を目的としない入院では支払われません。ただし例外的に、検査入院をした結果病気等が発覚し、治療を行った場合は検査入院をした日まで遡って入院給付金が支払われる可能性があります。具体的に言うと、ガンの検査入院をしてガンが発覚した場合は、この事例に該当します。

また、

  • 病気による入院給付金と
  • ケガによる入院給付金

の両方の支払要件を満たしている場合、どちらか片方の入院給付金が支払われます。

入院給付金の支払限度日数

入院給付金の支払限度日数について説明します。

入院給付金の支払限度日数が何日間であるのかという点は重要です。なぜなら、それによって給付金額や保険料が異なってくるからです。 具体例を挙げて説明していきます。

なお、既に医療保険に加入している場合は、入院給付金の支払限度日数は保険証券に記載がされているので、保険証券をご確認ください。

入院給付金の支払限度日数が長いほど保険料も高くなる

入院給付金の支払限度日数が長いほど保険料も高くなる、ということについて説明します。

病気や怪我で入院した場合、1回の入院での支払限度日数は、

  • 30日
  • 60日
  • 120日
  • 180日
  • 入院日数無制限

などと医療保険の商品ごとに定められています。

上記の支払限度日数の中で、支払い方法や他の給付金等の条件が同じであれば、保険料が最も高額となるのは、入院日数無制限の場合です。というのも、支払限度日数が長くなるほど、保障も手厚くなることを意味するからです。例えば30日の支払限度日数の入院保障に加入中に、脳梗塞で110日間入院したとします。その場合、30日分しか入院給付金を受け取ることができないので、日数差の80日分の入院給付金を受け取ることができません。しかし支払限度日数が、

  • 120日
  • 180日
  • 入院日数無制限

のいずれかで加入していた場合、110日分は全て入院給付金の対象となり、より多額の入院給付金を受け取ることができます。

なお、がん保険における「がん入院給付金」による入院保障は、入院日数無制限となっているものが一般的です。

また「生活習慣病入院給付金」は、支払限度日数を複数の中から選択できる保険もあります。

  • がんや
  • 生活習慣病

等の病気は、他の病気と比較して早退的に長期入院が必要となる場合もあるため、支払限度日数のバリエーションが豊かです。

同じ病気やケガで入院を複数回した場合

同じ病気やケガで入院を複数回した場合の、入院給付金の支払いについて説明します。

ここで言う同じ病気や怪我というのは、例えば「右足を複雑骨折してしまい入院した。そして入院を開始してから30日後に、やっと退院できたかと思いきや、再度右足の同じ部分を骨折して再度入院してしまった」、などというケースが当てはまります。

上記のケースのように、入院給付金は同じ病気やケガで2回以上入院したとしても、

  • それぞれの入院の原因が同一である場合
  • あるいは、それぞれの入院の原因に医学上重要な関係がある場合

には、複数回の入院を「1回の入院」として日数を計算します。

したがって、もし同じ病気やケガで2回入院した場合、入院給付金は1回目と2回目の入院を合計した上限日数までしか支払われないということです。つまり、支払限度日数を超えた分は保障されないという点には注意が必要です。

ただし、退院してから180日以上経過後に2回目の入院をした場合は、別の入院としてそれぞれの入院ごとに上限日数まで入院給付金が支払われます。例えば、最後の退院日の翌日から181日以上経過した後の入院は、別の入院となり、入院給付金を受け取ることが可能となります。

免責日数とは

免責日数とはどのようなものかを説明します。

医療保険の商品によっては、保険金や給付金が支払われない免責期間として、免責日数が設定されている場合があります。

免責日数の種類

入院給付金の免責日数の種類を、具体例を挙げて説明します。

例えば、「免責日数が4日間」と設定されている場合、5日以上継続して入院しなければ、入院給付金は支払われません。

また、「5日以上の継続入院で1日目から支給」と設定されている場合、5日間入院すれば1日目から5日分の入院給付金を受け取ることができます。

これ以外にも、免責日数が設定されておらず、日帰り入院であっても保障されるというタイプの医療保険もあります。

もちろん、免責日数がない方が入院保障としては手厚いと言えます。しかしその代わり、保険料がより高額になってしまいます。

入院日数の平均

入院日数の平均について説明します。

入院保障の免責日数について検討する場合は、入院日数の平均を把握しておく必要があります。

厚生労働省の「平成26年 患者調査」によると、退院患者の平均在院日数は31.9日です。ちなみに、「在院日数」と「入院日数」は同じ意味です。さらに細分化した、傷病別・年齢階級別平均在院日数などについては後述します。

「疾病入院給付金」と「災害入院給付金」の違い

医療保険における、「疾病入院給付金」と「災害入院給付金」の違いについて説明します。

一般的に、医療保険の入院給付金には、

  • 疾病入院給付金」と
  • 災害入院給付金」

の2種類があります。

疾病入院給付金」は、病気で入院した場合に支払われる給付金を指します。

一方、「災害入院給付金」は、急激かつ偶発的な外来的な事故(災害)でケガをし、入院した場合に支払われる給付金を指します。災害の具体的としては、

  • 交通事故
  • スポーツ中の事故
  • 日常生活における転倒によるケガ
  • 火災によるケガ

などが該当します。

病気とケガが入院中に併発した場合

病気とケガが入院中に併発した場合の、入院給付金の支払いについて説明します。

もしケガの治療をするための入院中に病気が発覚し、病気の治療も必要になった場合には、ケガによる入院とみなされ「災害入院給付金」が支払われます。

しかし、ケガの治療が終わった後も入院をしており、治療を継続する場合には、その後の入院には「疾病入院給付金」が支払われるので、少しややこしいです。

一方、例えば病気治療のための入院中に、転倒するなどによって骨折をし、ケガの治療も同時に行うようになった場合には、病気による入院とみなされるため「疾病入院給付金」が支払われます。そして病気治療が終わったあとも、ケガによる入院治療を継続する場合には、その後の入院に対しては「災害入院給付金」が支払われます。

つまり、たとえ病気とケガの両方を同時に治療する場合であったとしても、

  • 疾病入院給付金」と
  • 災害入院給付金」

が同時に支払われことはなく、どちらか片方のみが支払われるということです。

 

平均入院日数

平均入院日数について、傷病別や年齢階層別等に細分化されたデータに基づいて説明します。

病気やケガで入院した場合に心配なのは、病院での不自由な生活だけでなく、長期入院による治療費や差額ベッド代などで経済的な負担が重くなることがあげられます。厚生労働省の「平成26年 患者調査」によると、退院患者の平均在院日数は31.9日となっています。

傷病別にみると、一番長いもので「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が546.1日、続いて「血管性及び詳細不明の認知症」が376.5日、「アルツハイマー病」が266.3日となっています。

傷病別・年齢階級別平均在院日数

(単位:日)

主な傷病

総数

男性

女性

0~14歳

15~34歳

35~64歳

65歳

以上

75歳

以上

全体

31.9

29.8

33.9

8.4

12.0

24.4

41.7

47.6

結核

58.7

61.4

54.5

32.8

40.7

65.2

58.4

58.6

ウィルス肝炎

16.3

13.6

19.2

5.1

12.5

12.5

21.4

38.2

胃の悪性新生物

19.3

17.8

23.2

5.5

12.1

13.9

21.0

25.7

結腸及び直腸の悪性新生物

18.0

17.1

19.2

8.0

10.8

13.5

20.0

24.5

肝及び肝内胆管の悪性新生物

18.8

18.9

18.8

47.8

12.1

15.8

19.3

21.6

気管、気管支及び肺の悪性新生物

20.9

19.0

25.2

10.1

9.8

16.7

22.3

26.9

糖尿病

35.5

27.5

45.4

13.0

14.1

20.0

47.4

65.2

血管性及び詳細不明の認知症

376.5

290.4

439.7

231.0

267.5

380.7

383.1

統合失調症等

546.1

630.5

473.8

91.4

93.3

334.1

1,295.8

1,470.9

気分(感情)障害

113.4

113.6

113.3

41.1

45.7

93.7

157.0

161.3

アルツハイマー病

266.3

210.5

300.8

217.8

267.4

257.6

高血圧性疾患

60.5

29.4

80.5

8.9

11.0

13.8

68.4

83.3

心疾患

20.3

13.8

30.1

30.5

10.2

9.0

23.7

30.5

脳血管疾患

89.5

70.0

112.3

20.7

44.6

46.9

100.7

116.0

肝疾患

25.8

23.7

28.5

9.3

10.7

17.1

33.2

40.7

骨折

37.9

28.9

43.4

5.3

14.4

21.9

47.7

51.9

注:

1.2014年9月1日~30日に退院した者を対象としたもの。

2.総数には、年齢不詳を含む。

3.統合失調症には、統合失調症型障害と妄想性障害を含む。

4.心疾患は高血圧性のものを除く。

5.気分(感情)障害には、躁うつ病を含む。

出典

厚生労働省「患者調査」/平成26年

近年、医療技術の進歩とともに入院日数の短期化が進んでいますが、高齢になるほど入院日数が長期化する傾向があります。相対的に若い年代の人は入院日数が短いですが、例えば35歳の人が統合失調症で入院した場合、平均在院日数は334.1となっており、病気によっては入院が長期化してしまうことがわかります。1回の支払限度日数を何日にするべきか悩んだ時は、これらのデータを参考に検討するのがよいでしょう。

なお、支払限度日数は、1回の入院についてだけではありません。保険期間中の通算の入院限度日数も、商品によって1,000日、1,095日などと定められています。 しかし例えば1095日間も通算の入院限度日数を超えてしまう人は、医療保険加入者全体の中でもかなりの少数派です。したがって、通算の入院限度日数は1回の支払限度日数ほどは気にしなくていいでしょう。

一時金として支払われる入院給付金

一時金として支払われる入院給付金について説明します。

通常、入院給付金は、入院日数に応じて保障されます。したがって、入院日数が長引くほど、受け取ることができる入院給付金の総額は高くなります。

しかし長期で入院するとなれば、病気や怪我が重症である場合が多く、入院した時点で多少のまとまったお金が必要となる場合もあるでしょう。そこで、一時金として支払われる入院給付金であれば、入院日数にかかわらず入院の初期段階で発生する支出に備えたいというニーズにも対応することができます。

また入院給付金と入院時金が組み合わさった、

  • 「入院日額+入院一時金」や
  • 「入院一時金のみ」
  • 「短期入院の場合は、入院一時金のみ」

などと、入院日額で支払われるもの以外にも、様々な保険商品があります。

入院しても支払われない場合

入院給付金が入院しても支払われない場合について説明します。

入院給付金は、病気やケガの治療を目的とする入院をした場合に支払われます。そのため、

  • 健康診断や
  • 人間ドック

などの

  • 健康管理や
  • 検査

を目的とする入院や、

出産に伴う入院で、

  • 正常妊娠や
  • 自然分娩

の場合は、入院給付金の支払い対象にはなりません。ただし、

  • 帝王切開や
  • 子宮外妊娠

などの、異常妊娠・異常分娩の場合には、入院給付金の支払い対象となります。通常、

  • 公的医療保険制度(健康保険)の適用になるものは支払い対象になりますが、
  • 公的医療保険が適用外のものは支払い対象にならない

と考えるとよいでしょう。

なお、それ以外にも免責事由に該当する場合は、給付金が支払われません。免責について詳細はこちらをご覧ください。

 

入院給付金日額をいくらに設定するべきか

入院給付金日額をいくらに設定するべきか、という点について説明します。

入院時にかかる費用

入院時にかかる費用について説明します。

入院給付金日額をいくらに設定するかべきかを検討するためには、実際に入院した場合に、どのくらいのお金がかかるのかを把握する必要があります。入院に伴う支出としては、

  • 公的医療保険制度の医療費の自己負担分
  • 先進医療など公的医療保険制度適用外の医療費
  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代
  • 衣類や日用品
    • パジャマ
    • タオル
    • 洗面用具
  • 家族がお見舞いをするための交通費や外食費
  • 人によっては、インターネット通信のための無線ルーター契約や、TVカード

などが挙げられます。また、入院により働けない間の収入減も発生します。例えば自営業で、お寿司屋さんを個人経営している社長が1ヶ月間入院したとします。その場合、入院することにより一ヶ月間も店を閉めることになるので、一時的な顧客離れなどの悪影響も考慮する必要があります。また、もし不在の間に別の人を雇い店を運営するのであれば、そのぶんの給料支払いも高額になるでしょう。

一方で、会社員や公務員の方の場合は、病気やケガが原因で働けなくなったとしても、自営業の方ほど経済的損失は少ないでしょう。なぜなら、最長で約1年半にわたり公的医療保険制度から、直前の給与の67%(3分の2)に相当する傷病手当金を受け取ることができるからです。したがって、収入減を一定の範囲でカバーすることが可能なのです。そこで、入院した場合にかかる費用が

  • 公的医療保険制度や
  • 医療保険の入院給付金以外の保障で、

どのようにカバーできるかも確認して検討するようにしましょう。

関連ページ

民間の医療保険と公的医療保険(健康保険)の違い【高額療養費制度】
多くの人は、民間の医療保険と公的医療保険を混同してしまいがちです。 なぜならば、医療保険を使う機会がないので、実際に病気になってみないことには実感して理解することができないからです。 そこでそれぞれを理解するため、民間の医療保険と公的医療保...

しかし、必ずしも入院時にかかる費用のすべてを、入院給付金で備える必要はありません。たとえば、

  • 医療費の自己負担分の中に含まれる、手術代については、多くの医療保険の基本保障として備わっている手術給付金で、
  • 先進医療を受けた場合の技術料の実費分としての医療費は、先進医療特約を付加することで

医療費による出費をカバーすることができます。

関連ページ:先進医療の費用と種類

公的医療保険の医療費の自己負担

入院した際にかかる費用として、公的医療保険の医療費の自己負担について詳しく説明します。

年齢別の公的医療保険の医療費の自己負担割合については以下の通りです。

  • 0歳~6歳(義務教育就学前)
    • 2割
  • 義務教育就学後~69歳まで
    • 3割
  • 70歳~74歳まで
    • 現役並み所得者
      • 3割
    • 現役並み所得者以外
      • 1~2割

ここで言う現役並み所得者とは、標準報酬月額が28万円以上の人を指します。ただし、

  • 単身世帯で年収383万円未満、
  • 夫婦世帯で年収520万円未満

の人は除きます。

つまり、70歳未満の公的医療保険制度の医療費の自己負担割合は、実際にかかった医療費の3割で済みます。しかし、それでも高額な治療を受けると、自己負担額も高額になる可能性もあります。もし1ヶ月に300万円もかかる治療を受けた場合、100万円も支払わなければいけないとすれば多くの人は経済困難に陥ってしまうことでしょう。そこで、高額療養費制度により、1か月の医療費の自己負担額の上限が定められています。

詳しくは「公的医療保険は、高額療養費制度で高額な医療費は激減する」をご覧ください。

例えば70歳未満の方の場合、自己負担限度額は所得区分ごとに、以下のように定められています。

70歳未満の方の区分

平成27年1月診療分から

所得区分

自己負担限度額

多数該当※2

①区分ア

(標準報酬月額83万円以上の方)

(報酬月額81万円以上の方)

252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1%

140,100円

②区分イ

(標準報酬月額53万円~79万円の方)

(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)

167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1%

93,000円

③区分ウ

(標準報酬月額28万円~50万円の方)

(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)

80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%

44,400円

④区分エ

(標準報酬月額26万円以下の方)

(報酬月額27万円未満の方)

57,600円

44,400円

⑤区分オ(低所得者)

(被保険者が市区町村民税の非課税者等)

35,400円

24,600円

※1総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。

※2診療を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。

注)「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。

標準報酬月額についてはこちらをご参照ください

出典

高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

上記の所得区分のうちで、たとえば「区分エ」の標準報酬月額26万円以下の方が、ひと月に200万円の医療費がかかった場合で考えてみましょう。上記の表によれば、自己負担限度額は57,600円となります。

1ヶ月間を30日とすれば、高額療養費制度の適用後の1日あたりの医療費の自己負担金額は、たったの1,920円です。

関連ページ:高額療養費の計算

つまり、高額療養費制度があるため、公的医療保険が適用となる治療費に関しては、心配する必要性は低いと言えます。しかしそれ以外にも様々な費用が発生する可能性があります。詳しく見ていきましょう。

差額ベッド代

差額ベッド代について説明します。

差額ベッド代は、

  • 面積が6.4平方メートル以上
  • 4床以下の部屋

など、一定の条件を満たした病室への入院時にかかる費用です。例えば、四人部屋から

  • 2人部屋や
  • 個室

等に移動した場合に費用が発生します。差額ベッド代は、公的医療保険制度の適用外であり、全額自己負担になってしまいます。厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」によれば、平成29年7月1日時点における差額ベッド代の1日あたりの平均額は以下のとおりです。

1日あたりの差額ベッド代平均

 

1日あたりの差額ベッド代平均

1人部屋

7,837円

2人部屋

3,119円

3人部屋

2,798円

4人部屋

2,440円

平均

6,188円

  • 参考
    • 差額ベット代
      • 最低額
        • 50円
      • 最高額
        • 378,000円

しかし中には、大部屋で十分なので、差額ベッド代など必要ないという人もいるかもしれません。しかし今後日本社会は高齢化が進むことにより病院のベッドが不足する可能性もあります。そうなった時は皆お金がないのでお部屋を希望する人が多数存在するはずです。その結果、個室しか空いていないので大部屋ではなく個室に入ってくださいと言われてしまう可能性もあるでしょう。実際、現段階ですら大学病院などでは、「大部屋ではなく、個室しか空いていないため、差額ベッド代を支払った上で個室に入ってください」などと言われてしまう場合があります。

このように、入院給付金の金額を決めるときには、治療費だけではなく、差額ベッド代も考慮しておく必要があります。 しかし例外的に、差額ベッド代を支払う必要がない場合も存在します。例えば、以下のいずれかに該当する場合、差額ベッド代を支払う必要はありません。

差額ベッド代を支払う必要がない場合

  • 病状が非常に重い場合
    • 治療において、差額ベッド代のかかる部屋が必要な場合
  • 病棟の一部工事を行うなど病院側の都合による場合
  • 病院から同意書の確認をされていない場合

入院生活中の食事代・衣類や日用品、家族のお見舞いの交通費や外食費など

70歳未満の人が入院した場合、患者の食事代に関しては、1食あたり460円が自己負担額です(住民税非課税世帯を除く)。1日3食とすれば、1日にかかる食事代は1,380円です。それ以外にも、入院生活中の(最小限の)娯楽のための

  • 雑誌・新聞代
  • テレビカード代
  • インターネット通信代

などの衣類や日用品の費用などもかかります。家族がお見舞いにくると交通費や外食代なども必要になるでしょう。

入院時の1日あたりの自己負担額平均

入院時の1日あたりの自己負担額平均について説明します。

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」/令和元年度によれば、入院時の1日あたりの自己負担額平均は約2.3万円であり、費用分布のグラフは以下のとおりです。

入院1日あたりの自己負担額平均

入院1日あたりの自己負担額平均

出典

生命保険文化センター

「生活保障に関する調査」/令和元年度

費用の分布をみると、「10,000円~15,000円未満」が24.2%と一番多くなっています。その一方で、「40,000円以上」も16.0%と高い割合を示しています。つまり、もし30日間入院するとなれば、自己負担額平均である約2.3万円と仮定しても、自己負担金額合計は69万円にものぼります。したがって、入院した際には、たとえ

  • 公的医療保険制度(1~3割自己負担)や
  • 高額療養費制度(自己負担上限額)

を利用したとしても、自己負担額は高額になってしまう可能性があることがわかります。なお、ここでいう自己負担金額には、前述の

  • 医療費の自己負担額(高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額)
  • 差額ベッド代
  • 食事代
  • 日用品費
  • 衣類
  • 家族のお見舞いの交通費や外食費用

などが含まれています。

「直近の入院時の1日あたりの自己負担額」と「逸失収入の総額」

「直近の入院時の1日あたりの自己負担額」と「逸失収入の総額」について説明します。

令和元年度 生活保障に関する調査(速報版)」によれば、逸失収入があった人の直近の入院時の逸失収入の平均は32万円です。また、逸失収入の総額を入院日数で割った1日あたりの逸失収入は、平均で19,500円となります。

直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額としては、入院経験がある人の、直近の入院における自己負担費用と逸失収入の総額の平均は30.4万円となっています。また、その分布をみると、

  • 「10~20万円未満」
    • 31.0%、
  • 「5~10万円未満」
    • 18.5%、
  • 「30~50万円未満」
    • 14.3%

となっています。

直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額

直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額

画像出典

生命保険文化センター

令和元年度 生活保障に関する調査(速報版)

入院給付金をいくらに設定するべきか?

入院給付金はいくらに設定すべきか?という点について説明します。

医療保険の入院給付金によって、

  • 入院時にかかる費用の全額や
  • 逸失収入の全額

をカバーする必要はありません。なぜなら医療保険に、想定し得るすべてのリスクに対して幅広く保障を充実させようとすれば、その分毎月支払う保険料が高くなります。その結果、家計を圧迫してしまうことになり、保険貧乏になってしまったら元も子もありません。そのため医療保険によって、必要な保障の一部を確保し、実際の入院時に不足する金額は貯蓄でカバーするという方法が現実的であると思われます。

具体例を挙げると、

医療費の自己負担額を、公的医療保険制度の高額療養費制度の1か月の限度額から、1日あたり約3,000円と想定します。

また、その他の食事代や日用品費、家族の交通費などへの備えとして1日2,000~3,000円程度と想定します。

このようにざっくりとした費用を見込むことで、入院給付金額の合計として、1日あたり5,000~6,000円を最低限確保する必要があるなどと考えるのはいかがでしょうか。あるいは、

  • 差額ベッド代や
  • 逸失収入額

などを家庭や経済状況に応じて上乗せするのであれば、

10,000円~15,000円くらいまでを入院給付金の額に設定するのもいいかもしれません。

健康保険から支給される傷病手当金がない自営業の方は、入院給付金額を

  • 入院時にかかる費用に対し、
  • さらに逸失収入分を加えて

設定すれば、より安心できるでしょう。

一方で、会社員や公務員の方は、傷病手当金によって逸失収入をある程度カバーできると想定するのであれば、入院時にかかる費用を賄うために必要な入院給付金額を、個人事業主と比較して低めに設定するといいかもしれません。

また、

  • 夫婦共働きなのか
  • 子供は何人いるのか
  • 住宅ローンはあと何年に起こっているのか

等を考慮した家計の状況と、毎月支払う保険料のバランスも重要です。もし経済的にゆとりがある家計であれば、医療保険の保障を充実させて高い保険料を支払っていくことは可能です。一方で、経済的にゆとりのない家計では、保険料が日々の暮らしを圧迫してしまう恐れもあります。しかしながら、経済的にゆとりのない家計のほうが、大きな病気やケガをしてしまった場合の大きな出費に対し、保険で備える必要性はより高いというのも事実です。そこで、毎月の保険料支払額が家計を圧迫しない程度にとどめておきつつ、

  • 学資保険や
  • 個人年金保険

等を活用し、

貯蓄を増やす工夫をするのもよいでしょう。

 

まとめ

入院給付金額は、

  • 支払限度日数や
  • 免責日数
  • 平均在院日数

に注目して設定する必要があります。

  • 個人事業主や
  • 法人の代表者

等は、傷病手当金を受け取ることができません。そのため、会社員や公務員と比較して、入院給付金額をより高く設定してもいいかもしれません。

入院給付金日額をいくらにするのかを検討する際は、公的医療保険が対象外となる

  • 差額ベッド代や
  • 日用品や娯楽費などの雑費

を考慮する必要があります。なぜなら、公的医療保険の対象となる治療費は、高額療養費制度が適用されることもあり、必ずしも大きな負担になるとは言えない場合が多いからです。

また、

  • 個人事業主や
  • 法人の代表者

などは、

逸失収入分を加味した上で、入院給付金を設定すると良いでしょう。

「入院給付金については理解できたが、実際のところ、どの保険に加入すればいいのか分からない」という方も多いかもしれません。そのような場合は保険のプロに無料相談してみるのも一つの手です。

来店型の保険ショップで「保険相談」を希望される方はこちらをご覧ください。

ゼクシィ保険ショップ

好きな時間に、好きな場所で「保険相談」を希望される方はこちらをご覧ください。

保険チャンネル

コメント