【死亡保険金受取人】相続・贈与・所得税計算方法【指定範囲と変更】

保険証券 年金・保険戦略
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死亡保険金受取人について知りたいですか?

生命保険は死亡保険金受取人を誰にするかで税金が変わります。

  • 相続税
  • 贈与税
  • 所得税

の計算方法を、税制を踏まえて説明します。

死亡保険金の

  • 受取人に指定できる範囲や
  • 受取人の変更

について知りたい人は必見です。

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死亡保険金受取人と税金

死亡保険金受取人と税金について説明します。

死亡保険金受取人によって税金が変わる

死亡保険金受取人によって税金が変わるという点を説明します。

生命保険に加入するときは、契約者(申込者)が

  • 被保険者と
  • 受取人

を指定する必要があります。

死亡保険の場合、

  • 契約者と
  • 被保険者

は同一人物の場合も多いです。

しかし

  • 被保険者と
  • 受取人

が同一人物になることは絶対ありません。

というのも、被保険者が死亡することで、受取人が死亡保険金を受け取るからです。

受取人を誰に指定するかで、特に大きな違いが生じるのが税金面においてです。

そのため契約者と被保険者はそれぞれ、

  • 何のために保険に加入し
  • 誰に保険金を残したいのか

という2点を事前に明確にした上で、保険を契約をする必要があります。

死亡保険金などを受け取ったときの税金

死亡保険金などを受け取ったときの税金は、

  • 契約者
  • 被保険者
  • 受取人

によって異なります。

以下に説明する内容は、2019年12月現在の税制による一般的な取り扱いであり、将来税制が改正される可能性もあります。そのため税制に関しての詳細は、最寄りの税務署にお問い合わせください。

「契約者」「被保険者」「受取人」とは

「契約者」「被保険者」「受取人」という3つの言葉は、それぞれどのような意味を持つのかを説明します。

契約者

保険会社と保険契約を結び、契約内容の変更請求権などの契約上の権利と、保険料支払いなどの義務を有する人。

被保険者

保険の対象となる人。死亡保険では被保険者が死亡した場合、死亡保険金が保険会社から受取人に支払われます。

受取人

死亡保険金などを保険会社から受け取る人。被保険者が死亡保険金の受取人になることはできません。

契約者が

  • 被保険者と
  • 受取人

を誰にするか指定します。

死亡保険では、

  • 契約者と
  • 被保険者

または、

  • 契約者と
  • 受取人

を同一人物にすることは可能です。

しかし、

  • 被保険者と
  • 受取人

を同一人物にすることはできません。

死亡保険ではない医療保険などでは、

  • 契約者と
  • 被保険者と
  • 受取人

をすべて同一にすることは可能です。例えば契約者が自分に保険をかけて、病気などで入院した時には、自分で給付金を受け取ることができます。

相続税の課税対象になる場合

相続税の課税対象になる場合を説明します。

  • 契約者と
  • 被保険者

が同一人物の場合、受取人が受け取る保険金は相続税の課税対象になります。相続人が死亡保険金を受け取ったときは、法定相続人1人あたり500万円の非課税限度枠があります。非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

出典

No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁
相続税の計算方法

相続税の課税対象になる場合に行う、相続税の計算方法を説明します。

相続税の課税価格を算出するためには以下の計算を行います。

死亡保険金 -(500万円 × 法定相続人数)= 相続税の課税価格

ただし相続税の計算をする場合、上記に加え、基礎控除 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人数)を差し引いた金額が課税対象となります。

そのため、大きな資産を持っていない場合は相続税が発生せず、非課税となる可能性があります。

課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)

= 課税遺産総額

出典

No.4152 相続税の計算|国税庁

また、相続人が配偶者の場合は、税額軽減があります。そのため、相続した財産が法定相続分を超えていたとしても、1億6,000万円までなら非課税となります。

相続税の課税対象になる、契約者・被保険者・受取人の関係の例

以下の表は相続税の課税対象になる、

  • 契約者
  • 被保険者
  • 受取人

の関係の例です。

契約者(保険料負担者)

被保険者

死亡保険金受取人

贈与税の課税対象になる場合

贈与税の課税対象になる場合について説明します。

保険契約において、

  • 契約者と
  • 被保険者と
  • 受取人

がそれぞれ異なる場合は、贈与税の課税対象になります。

死亡保険金の課税関係の表
被保険者 保険料の負担者 保険金受取人 税金の種類
A B B 所得税
A A B 相続税
A B C 贈与税

贈与税が課税されるのは、上記1の表のように、被保険者、保険料の負担者及び保険金の受取人が全て異なる場合です。

出典

No.1750 死亡保険金を受け取ったとき|国税庁
贈与税の計算方法(暦年課税の場合)

贈与税の計算方法を説明します。

贈与税の計算式は以下のようになります。

受け取った保険金-基礎控除額110万円=贈与財産の課税価格

贈与税の計算では、保険金以外にも贈与として受け取った財産があれば、合算して計算します。1月1日から12月31日までの1年間で、もらった財産の合計額が110万円以下の場合は非課税となります。

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。

出典

No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

「1 暦年課税」より引用

贈与税の課税対象になる、契約者・被保険者・受取人の関係の例

以下の表は、贈与税の課税対象になる

  • 契約者
  • 被保険者
  • 受取人

の関係の例です。

契約者(保険料負担者)

被保険者

死亡保険金受取人

所得税の課税対象になる場合

所得税の課税対象になる場合について説明します。

  • 契約者と
  • 死亡保険金受取人

が同一人物の場合は、一時所得として所得税の課税対象になります。

一時所得の計算方法

一時所得の計算方法を説明します。

一時所得の計算式は以下の通りです。

(死亡保険金 – 支払い保険料累計額 ) – 特別控除額50万円 = 一時所得の金額

総所得金額に算入する額 = 一時所得の金額 × 1/2

死亡保険金を一時金で受領した場合には、一時所得になります。

 一時所得の金額は、その死亡保険金以外に他の一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料又は掛金の額を差し引き、更に一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額を更に1/2にした金額です。

出典

No.1750 死亡保険金を受け取ったとき|国税庁

「死亡保険金を一時金で受領した場合」より引用

一時所得の計算では、保険以外の一時所得も含めて計算します。受け取った保険金が支払った保険料の累計より少ないときは課税されません。

なお、死亡保険金を年金で受領した場合は、公的年金等以外の雑所得になります。

所得税の課税対象になる、契約者・被保険者・受取人の関係の例

以下の表は、所得税の課税対象になる

  • 契約者
  • 被保険者
  • 受取人

の関係の例です。

契約者(保険料負担者)

被保険者

死亡保険金受取人

満期保険金・解約返戻金が所得税の課税対象になる場合

満期保険金・解約返戻金が所得税の課税対象になる場合について説明します。

満期保険金や解約返戻金を受け取る場合の課税についても、

  • 契約者と
  • 受取人

の関係でかかる税金が異なります。

一時所得として所得税の課税対象になるのは、

  • 保険料負担者と
  • 満期金受取人

が同一である場合です。もし満期保険金が支払った保険料より50万円以上増えていなければ、特別控除額50万円により非課税となります。また、保険料負担者以外の人が満期金を受け取れば、贈与税の課税対象になります。

出典

「所得税が課税される場合」を参照

No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき|国税庁
満期保険金・解約返戻金が所得税の課税対象になる、契約者・被保険者・受取人の関係の例

以下の表は、満期保険金や解約返戻金が課税対象になる

  • 契約者
  • 被保険者
  • 受取人

の関係の例です。

契約者(保険料負担者)

被保険者

満期保険金・解約返戻金受取人

解約返戻金を受け取るのは契約者であり、前述の所得税(一時所得)になる場合と同じ計算の仕方をします。 解約返戻金が、支払った保険料累計額より少なければ課税されることはありません。

なお、保険期間が5年以下の場合の満期金や5年以内に解約した場合の返戻金は、源泉分離課税されます。

一時払養老保険等で保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたものは、源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了します(詳細は、コード1520を参照してください)。

引用元

No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき|国税庁

その他、死亡保険金ではなく

などの「身体の障害や傷病を原因として受け取る給付金」や高度障害保険金などについては、受取人が

  • 被保険者本人
  • 配偶者や直系血族
  • 生計を一にする親族

の場合であったとしても、原則として非課税となります。

入院給付金のほか手術給付金通院給付金、障害給付金、介護保険金、高度障害保険金などケガや病気で受け取る給付金などは非課税です。

※非課税のため税金の申告は不要ですが、確定申告で医療費控除を受ける場合は、「負担した医療費」から「受け取った入院給付金など」を差し引きます。

主な非課税となる給付金・保険金

入院給付金 ・手術給付金 ・通院給付金 ・疾病(災害)療養給付金 ・障害保険金(給付金) ・特定損傷給付金
・がん診断給付金 ・特定疾病(三大疾病)保険金 ・先進医療給付金  ・高度障害保険金(給付金)
・リビング・ニーズ特約保険金 ・介護保険金(一時金・年金) など

引用元

入院給付金などには税金がかからない?|税金に関するQ&A|生命保険Q&A|生命保険を知る・学ぶ|公益財団法人 生命保険文化センター
公益財団法人生命保険文化センターは、公正・中立な立場で生活設計と生命保険に関する様々な情報を提供しています。(設立1976年)

 

死亡保険金受取人に指定できる範囲

死亡保険金受取人に指定できる範囲について説明します。

受取人の指定範囲(通常)

通常、死亡保険金受取人に指定できるのは、

  • 戸籍上の配偶者
  • または被保険者の2親等以内の血族

に限定している保険会社が多いです。

受取人の指定範囲(例外)

受取人の指定範囲の例外について説明します。

  • 上記の範囲内に親族がいない場合や、
  • いたとしても受取人に指定できない明確な理由がある場合、

その他の人を受取人に指定することができる可能性があります。 また、

  • 事実婚のパートナーや
  • 同性パートナー

を受取人にすることが可能な保険会社も増加してきています。受取人に指定することが

  • 可能な範囲や
  • 手続き方法

などについては保険会社によって異なります。そのため、気になる人は

  • 担当代理店や
  • 保険会社

に問い合わせてみると良いでしょう。

受取人の複数指定

受取人の複数指定について説明します。

死亡保険金受取人は2人以上でも可能であり、親が複数の子を受取人に指定しているケースは多いです。 受取人が複数の場合は、受け取る割合をそれぞれ指定します。合計が100%であれば指定割合に制限はありません。例えば、

  • 子50%と子50%
  • 妻60%と子40%

などと、それぞれ異なる割合を指定することも可能です。また、死亡保険金受取人を「法定相続人」とすることもできます。

 

死亡保険受取人の変更(名義変更)

死亡保険受取人の変更について説明します。

生命保険では、契約締結後に死亡保険金受取人を変更することが可能です。

受取人を変更する事を、名義変更ともいいます。

受取人変更手続き

契約者は被保険者が亡くなる前(支払事由が発生するまで)であれば、被保険者の同意を得た上で死亡保険金受取人を変更可能です。 この場合、保険会社へ必要書類の提出等の手続きを行う必要があります。

遺言でも受取人の変更は可能

上記の受取人変更手続きの他に、法的に有効な遺言によって死亡保険金受取人を変更することも可能です。しかし、被保険者の同意がなければ効力は生じません。

死亡保険金受取人が亡くなってしまった場合

死亡保険金受取人が亡くなってしまった場合は、速やかに新しい受取人への変更手続きが必要です。もし、変更手続きの前に被保険者が亡くなった場合、法定相続人が死亡保険金受取人となります。法定相続人が2人以上いる場合は、法定相続割合に応じて死亡保険金を受け取ります。

 

死亡保険金受取時のトラブルを回避する必要性

死亡保険金受取時のトラブルを回避する必要性を説明します。

死亡保険金受取人の指定は、契約者が自由に決めることができます。しかし慎重に

  • 受取人と
  • 指定割合

を決めないと、相続人同士で揉め事が生じる恐れがあります。例えば、税金の事を考慮せずに死亡保険金の受け取り割合を指定すれば、受け取った人が不公平に多額の税金を支払うことになるかもしれません。そこで受取人が、死亡保険金を安心して受け取ることかできるような保険契約にしておくことが重要といえます。

ここまで、死亡保険金に関する一般的な税について説明しました。しかし、死亡保険金を

  • 年金払いにして受け取った場合や
  • 法人が受け取った場合

などでは取り扱いが異なります。そのため、詳細については保険会社や税務署などにお問い合わせください。

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