新型コロナウイルスの初期症状「下痢」について知りたいですか?
下痢は新型コロナウイルス感染症の初期症状の一つです。
- 下痢の原因を明確化する方法や
- 下痢便の症状を確認する方法
をご紹介!
下痢の症状が現れ、「もしや新型コロナウイルスでは?」と感じている人は必見です!
コロナ初期症状「下痢」割合
新型コロナウイルスの初期症状として、下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度は低いと報告されています。(出典)
例えば、5万例を超える「WHOと中国を含む25か国専門家による報告(2020年2月25日)」によると、新型コロナウイルスの主な症状として3.7%は下痢がみられましたが、
- 87.9%の発熱や
- 67.7%の咳
などには遠く及ばない数字です。
As of 20 February 2020 and 12 based on 55924 laboratory confirmed cases, typical signs and symptoms include: fever(87.9%), dry cough (67.7%), fatigue (38.1%), sputum production (33.4%), shortness of breath(18.6%), sore throat (13.9%), headache (13.6%), myalgia or arthralgia (14.8%), chills (11.4%),nausea or vomiting (5.0%), nasal congestion (4.8%), diarrhea (3.7%), and hemoptysis (0.9%),and conjunctival congestion (0.8%).
新型コロナウイルスに感染した場合に、最もよく見られる初期症状
- 「発熱」
- 「咳」
については以下2つの記事をそれぞれご参照ください。
そのため下痢になったからといって、すぐに新型コロナウイルスであると考えるのは時期尚早です。
また、例えば精神的なストレスが原因で、下痢をすることもあります。(出典)
したがって、例えば新型コロナウイルスの初期症状である
- 発熱や
- 咳
などによってストレスを感じ、下痢につながってしまう可能性もあるでしょう。
そこで、下痢や軟便になったら、まずその原因を明確化する必要があり、その原因によって、対処法は異なってきます。
しかし、これから紹介する方法で下痢の原因を明確化したところで、最終的には新型コロナウイルスに感染しているのかどうかは、検査を行わない限り判明しません。
したがって、ここで紹介する下痢の原因の明確化は、比較的症状が軽い場合に行うべきものであり、下痢が重症化している際に自己判断で済ますべきではありません。そのためもし体調不良を感じたならば、自己判断することなく早めに医師や保健所などの専門家に相談するよう心がけましょう。
新型コロナウイルスによる下痢以外の初期症状について、詳細はこちらの記事をご参照ください。
コロナ初期症状「下痢」原因の明確化
お腹が痛いので、新型コロナウイルスの初期症状である「下痢」なのでは!?などと不安に感じたならば、下痢の原因を明確化する必要があります。
具体的に、下痢の原因を明確化する場合に、どのような方法があるのかを考えてみましょう。
どんな問題解決でも共通しますが、原因を特定するには、問題を細分化し、分析を行う必要があります
下痢の原因を突き止めるために、例えばラッパのマークの正露丸ブランドで有名な大幸薬品株式会社のHPにある、以下のチェック項目を活用して、2、3日前から症状が起こる前後の「思い当たる原因」を探るのが良いでしょう。
- 食あたり
- 賞味期限のきれた食品を食べた
- 調理から時間の経った料理を食べた
- 生もの・半生食(刺身、生カキ、生野菜、鶏肉、卵、牛肉など)を食べた
- お弁当やサンドイッチを食べた
- 水あたり
- いつもと違う飲み水を飲んだ(旅行先の水道水、硬度の高い飲料水など)
- 旅行先で氷の入った飲み物を飲んだ
- 水分を摂りすぎた
- ビール・お酒を飲みすぎた
- 消化不良
- 脂肪分・糖分の多い食べ物(揚げ物、焼肉、牛乳、ケーキ、リンゴジュースなど)を食べすぎた
- 刺激の強い食べ物・飲み物(コーヒー、炭酸飲料など)を食べた
- 香辛料の多い料理を食べた
- 普段食べたことのない食べ物・飲み物を摂取した
- ストレス
- 精神的なストレス(学校・会社に行く前、試験・受験・会議・面接などの大切なイベント前など)
- 身体の冷え(冷房のかけすぎ、気温の変化)
- その他
- 薬(抗生物質など)の服用
- 牛乳や乳製品の摂取
- 風邪(おなかの風邪)
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 腸自体の炎症や腫瘍(クローン病、潰瘍性大腸炎等)などの器質的な疾患
- どれにも該当しない
- どれにも該当しない場合や原因がわからない場合は、 症状をチェック
上部のチェック項目には該当せず、最も下段にある「どれにも該当しない」にだけ当てはまった場合に、初めて「新型コロナウイルス感染症に感染している可能性」を疑うべきです。
このチェックリストで下痢の症状を確認することによって、「もしや新型コロナウイルスに感染したのでは?」と不安でたまらなかったところが、「そういえば、今日の昼に賞味期限切れの刺身を食べたから、食あたりが原因かもしれないな」などと、不安が解消される可能性もあります。
下痢と同様に、
- 新型コロナウイルスの初期症状の一つである「喉の痛み」や、
- 医療機関受診の目安
等について学びたい方はこちらの記事をご参照ください。
コロナ初期症状「下痢」便の状態
下痢の症状が現れた時点で、新型コロナウイルス感染症に感染していると判断するのは時期尚早です。なぜなら軟便・下痢になる原因は他にも複数存在するからです!
そこで、さらに詳しく下痢の症状を確認する必要が出てきます。
コロナ初期症状「下痢」便の水分
体調が悪い時の便を大きく二つに分類すると、
- 便の水分が異常に増え、液状またはそれに近い状態を「下痢便」、
- 通常より少し軟らかい状態を「軟便」
と、二つの種類に分類することができます。下痢便や軟便を繰り返し、腹部不快感や腹痛を伴う状態を「下痢もしくは下痢症」といいます。(出典)
なるほど、ここまでの説明で下痢便と軟便の違いは、水分の量で見分けることができるということがわかりました。
では下痢便と軟便などの体調不良時の便とは反対に、理想とされる便の水分量はどのくらいなのでしょうか?
大幸薬品株式会社のHPによると、理想とされる便の水分量について、以下のように記載されています。
理想的とされるバナナ状の便の水分量は70%~80%ですが、これが80%~90%になると「軟便」、水分量が90%を超えると水様便となり「下痢便」の状態になります。(出典)
これで便の
- 理想状態(70%~80%)と
- 悪い状態(80%~)
の水分量が理解できました。しかし悪い便の状態である
- 軟便や
- 下痢便
と一口に言っても、下痢・軟便の症状としては様々な種類があります。誰しも下痢便の症状になったことあるでしょうが、例えば下痢便の中に血が混じっていたら要注意であるということは容易に理解できるはずです。そこで下痢便にはどのような症状があるのかについてさらに詳しくみていきましょう。
新型コロナウイルスの初期症状「味覚・嗅覚障害」についてはこちらの記事をご参照ください。
コロナ初期症状「下痢」便の症状
大幸薬品株式会社のHPによると、下痢便の症状を確認するために以下の8つのチェックリストが記載されています。
便の状態を観察して、症状をチェックしてください
- 便の色はいつもと同じ、液状またはペースト状態
- 日常的に起こりがちな冷え、ストレス、食あたり、水あたり、消化不良などによる下痢です。市販の下痢止め薬を服用することをおすすめします。
- 便に血が混じっている
- ほとんどが大腸の病気による出血で、大腸の炎症や潰瘍による疾患の可能性があります。痔が原因による出血もあります。また、赤痢、O-157などの感染による重篤な食中毒の疑いもあります。医療機関での受診が必要です。
- 便が黒っぽい
- 食道、胃や十二指腸など上部消化管での出血があると、黒っぽいタール便になります。胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの可能性が考えられますので医療機関での受診が必要です。
- 便に粘液が混じっている
- 下痢の時は腸の粘膜が傷んでいるので、粘液が混じってくることがよくありますので、食あたり、水あたり、消化不良・冷え・ストレスによる下痢と考えられます。
- しかし、粘液の量が多い、粘液便が続く、血液が混じっている場合には医療機関で受診してください。
- 便が白い液状
- 米のとぎ汁状の下痢はコレラ特有の症状です。また、乳幼児での白色の下痢はロタウイルスによる可能性があります。医療機関で受診してください。
- 吐き気・嘔吐がある
- 食あたりの場合には、吐き気・嘔吐を伴う症状もあります。重篤な症状でなければ、まずは市販の下痢止め薬を服用することをおすすめします。
- 発熱がある
- 重篤な食中毒による下痢の可能性があります。医療機関で受診してください。
- 発疹が出ている
- アレルギーによる下痢の可能性があります。原因となる食べ物は控えてください。
- 下痢止め薬を4~5日服用しても改善しない
- 下痢止め薬を服用しても改善しない場合は、器質的な疾患の可能性があります。医療機関で診察してください。
このチェックリストをもとに自分の下痢便の状態を確認し、新型コロナウイルスへの感染が疑われるのかどうかを判断すると良いでしょう。
上記のチェックリストの中で、例えば上から1番目の「便の色はいつもと同じ、液状またはペースト状態」である場合は「市販の下痢止め薬を服用することをおすすめします」との記載がある通り、新型コロナウイルスに感染している可能性は低そうです。しかしだからといって、必ずしも感染していないと断定することができるわけではありませんのでご注意ください。
チェックリストの上から2番目の「便に血が混じっている」については新型コロナウイルスへの感染よりも、大腸の病気として、大腸の炎症や潰瘍の可能性の方が疑われるでしょう。また赤痢やO-157等の食中毒や、痔の可能性も高いでしょう。したがって、いずれにせよ早急に医療機関に相談すべきです。
チェックリストの上から3番目の「便が黒っぽい」という症状も、同様に医療機関に相談するべきです。
というのも、便が黒っぽくなる原因は、
- 胃潰瘍や
- 十二指腸潰瘍、
- ヘリコバクター・ピロリ菌
の感染や消炎鎮痛剤などによって、胃粘膜の強度が落ち、それぞれの部位が胃酸によって損傷した症状であることを示しているからです。
上記の病気が原因で黒い便が出る理由を詳しく説明すると、
- 粘膜の傷が血管に及ぶことで出血を起こしてしまい、
- 血液が胃酸と反応したために黒くなったものが便と共に排出される
ためです。(出典)
つまり、便が黒っぽくなるのは新型コロナウイルスのせいというよりも、
- 胃炎や
- 胃潰瘍、
- 十二指腸潰瘍、
- 胃がん
の可能性が疑われるので早急に医療機関に相談すべきです。(出典)
チェックリストの上から4番目の「便に粘液が混じっている」という症状は、多くの人が経験したことがある便の症状に当てはまるはずです。したがって便に粘液が混じっているからといって、必ずしも新型コロナウイルスであるとは言い切れないでしょう。
しかし、
- 粘液の量が多い
- 粘液便が続く
- 血液が混じっている
という場合には、重症化してしまう可能性があるので、医療機関で受診するようにしましょう。
チェックリストの上から5番目の「便が白い液状」である場合は、新型コロナウイルスよりも、コレラを疑いましょう。米のとぎ汁状の下痢はコレラ特有の症状であり、乳幼児での白色の下痢はロタウイルスによる可能性があります。早急に医療機関に相談するべきです。
チェックリストの上から6番目の「吐き気・嘔吐がある」の場合に該当する場合は、新型コロナウイルスというよりも、腐ったものなどを食べたことが疑わしいです。食中毒には吐き気・嘔吐を伴う症状もあり、重篤な症状でなければ、市販の下痢止め薬を服用するのも一つの手です。
しかしここで言う、「重篤な症状」とはどのようなものなのでしょうか?一部重複してしまいますが、上記のチェックリストの上から4番目の「便に粘液が混じっている」という症状が該当すると思われます。便に粘液が混じっている場合、重症化すると血液が混じっているということもあるようです。したがって、食あたりに関して下痢便に血液が混じっている場合は、ここで言う「重篤な症状」に該当すると思われますので、市販の下痢止め薬で済ませるのではなく、医師に相談するようにしましょう。
チェックリストの上から7番目の「発熱がある」というのは新型コロナウイルスの症状のひとつです。 厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き第2020第1版」によると、新型コロナウイルスの症状に関して以下のように記載があります
多くの症例で発熱,呼吸器症状(咳嗽,咽頭痛,鼻汁,鼻閉など),頭痛,倦怠感などがみられる.
ここに記載されている新型コロナウイルスの初期症状「鼻汁(鼻水)」についてはこちらの記事をどうぞ。
また前述の通り、5万例を超える「WHOと中国を含む25か国専門家による報告(2020年2月25日)」によると、新型コロナウイルスの主な症状として感染した患者全体の3.7%は下痢がみられましたが、87.9%は発熱の症状があります。
As of 20 February 2020 and 12 based on 55924 laboratory confirmed cases, typical signs and symptoms include: fever(87.9%)
つまり、下痢の症状があると同時に発熱の症状があるのであれば、新型コロナウイルスに感染していることを疑う必要があります。
しかし新型コロナウイルスであるかどうかは、最終的には検査をしてみない限り分かりません。少しでも不安に感じるようであれば自己判断するのではなく、医師の診断を仰ぐ必要があります。
風邪やインフルエンザ等の心配があるときには、これまでと同様に、かかりつけ医等に相談すればよいでしょう。一方で、新型コロナウイルスへの感染が心配である場合には、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください。
特に、「帰国者・接触者相談センター等にご相談いただく際の目安」として厚生労働省より公表されている以下の条件に当てはまる方は、同センターに早急に相談するようにしましょう。
帰国者・接触者相談センター等にご相談いただく際の目安
☆ 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
☆ 重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
※高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方
☆ 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)(出典:厚生労働省)
上記目安に出てくる新型コロナウイルス初期症状「倦怠感」について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
チェックリストの上から8番目の「発疹が出ている」場合は、新型コロナウイルスではなく、食物アレルギーなどによる下痢の可能性が疑われます。
しかし下痢止め薬を4・5日服用しても改善しない場合は「器質的な疾患の可能性」があるから医療機関で診察を受ける必要があるとの記載があります。しかし器質的という言葉は多くの人にとって見慣れない言葉だと思われるので、念のためその意味を以下に記載します。
器質的損傷とは、「解剖学的に損傷のカタチが認められるもの」になります。 ある障害や病変の原因などについて,身体の器官のどこかが物質的,物理的に特定できる状態にあるということになります。(出典)
つまり、身体の器官のどこかが傷ついたせいで下痢になってしまっているので、医者に行きましょうということです。
これらのことから、上記8つのチェックリストの中で、上から7番目の発熱を伴う下痢の場合が、最も新型コロナウイルスが疑われる症状であるということがわかります。
しかし、たとえ発熱を伴う下痢ではなかったとしても、安心すべきではありません。なぜなら、未だ新型コロナウイルスについては、医学的に明らかになっていないことが多すぎるためです。
そのため、少しでも不安に感じたならば個人で判断を下すのではなく、専門家の判断を仰ぐようにしましょう。その心がけが新型コロナウイルスへの感染に早急に気がつくことにつながるはずです。
新型コロナウイルスへの感染リスクを増大させないため、正しいマスクの付け方について、こちらの記事で説明していますのでご参照ください。
新型コロナウイルスの初期症状として、若者は軽症で済むかどうかについてはこちらの記事をどうぞ。
新型コロナウイルスの致死率についてはこちらの記事をご覧ください。
新型コロナウイルスの初期症状の中でも、特に緊急性の高い13症についてはこちらの記事をご覧ください。
新型コロナウイルスの初期症状「なし」の場合、どのような問題が生じるかについてはこちらの記事をご参照ください。
新型コロナウイルス初期症状「息苦しい(肺炎)」について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
新型コロナウイルスの初期症状「痰がらみ」についてはこちらの記事をどうぞ。
新型コロナウイルス治療薬について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
新型コロナウイルスの潜伏期間についてはこちらの記事をどうぞ。
コメント
下痢と腹痛に加えて、熱はないものの頭痛がしていて怖かったので、この記事を読んで少し安心しました。。。感染対策はもちろんちゃんとしなきゃいけないけど、気にしすぎなのもよくないと思いました、ありがとうございます。
リナさん
お腹の調子が悪く、頭痛がするとのことで、複数の症状が重なると辛いですよね。
記事をお読み頂き、リナさんが少しでも安心できたのであれば私も嬉しいです。
実は私もそうなのですが、誰しも体調が悪いと気分まで落ち込んでしまいがちなので、もしかしたらマイナス思考にも注意する必要があるかもしれませんね。
もちろん気にし過ぎもよくありませんが、症状が悪化する可能性もゼロではないので、体調不良を軽視せずどうかお大事になされてください。