医者や弁護士は儲からない職業であると、多くの人は知りません。
より詳しく言えば、医者や弁護士は学費や税金を考えると割に合わない職業です。
その理由を説明していきます。
医者の場合
まず、医者を目指す学生は、医学部の大学を卒業して就職する必要があり、文系や理系の大学と比較して多額の学費がかかります。
例えば文系の大学費用4年間の合計が397万円に対し、医師系学部の大学費用6年間の合計の学費は2,356万円です。
- 文科系学部の学費
- 4年合計:397万
- 理科系学部の学費
- 4年合計:541万
- 医歯系学部の学費
- 6年合計:2,356万
平成30年度の授業料をもとに計算
出典
大学の学費は4年間でどれくらいかかる? 国公立と私立の比較と諸経費について | マイナビ学生の窓口大学の4年間の学費平均は【国立】242万円【公立】254万円【私立文系】396万円【私立理系】539万円【私立医歯系】2337万円(平成29年度文部科学省調査より)となっています。また、大学生活を送るためには、学費だけではなく通学にかかる電...
つまり文系と医学部の学費を比較すると、1959
万円もの差になるので、医者の卵たちの大部分は在学中に奨学金を借りたり、学生ローンを組んで学費を工面する必要があります。
そのため、医師がどれだけ年収が高い職業であろうとも、学生ローンを借りてしまった場合、借金の利息がついて、支払いが困難になってしまいます。
ちなみに学生ローンの業者が設定している平均的な金利は、年間で14%から16%程度です。
例えば1000万円を借りた場合、1年後に140万円の借金が増えることになります。
当然のことですが、医師免許を取得した瞬間に、1000万円を全額返済できるわけではなく、10年間や、20年間をかけて借金返済は継続するものです。
その結果、借金の利息が膨れ上がってしまい、借金貧乏に陥ってしまう可能性が高いです。
そのため、学費を考えると医師を目指すことは割に合わないので、医者は儲からない職業であると言えます。
累進課税の落とし穴
そして、大学を卒業した後に病院に勤務しますが、医者は多くの給料を稼いだとしても累進課税により、低い給料の人たちよりも高額な税金をとられます。
そのため、結局は手取り額給料でみたら、医者は一般的な文系サラリーマンより少し多いくらいの給料しか得ることができません。
それにもかかわらず、税率を考慮せず、ただ単に額面上の稼いだお金だけを比較する人がほとんどです。
どの職業であれ、給料にはそのサービスを行うためにかかった原価、ここでいうと大学の医学部の学費が上乗せされています。
医学部の大学費用が高いから自ずと給料も高くなるだけであって、仮に大学費用を差し引いて給料を計算したら、医者や弁護士は一般サラリーマンと同等の給料しか得られない職業です。
そのため、「医者は儲かるから」という安易な考えで、医者という職業の優位性を過大評価することは避けるべきです。
収入が増えれば税金も増える
では具体的に、税金の面を詳しく考えてみます。
日本は累進課税なので、所得が増えれば増えるほど、
- 所得税
- 住民税
- 健康保険料
などが増えていきます。
所得税や健康保険料は絶対額が増えるだけではなく、課税される率も上がっていくので、低所得者と比較して、収入から税金を差し引いた手取り額では貰える割合が低くなります。
累進課税について、詳しくはこちらの記事をどうぞ
所得税の税率(平成27年分以降)
課税される所得金額
税率
控除額
195万円以下
5%
0円
195万円を超え 330万円以下
10%
97,500円
330万円を超え 695万円以下
20%
427,500円
695万円を超え 900万円以下
23%
636,000円
900万円を超え 1,800万円以下
33%
1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下
40%
2,796,000円
4,000万円超
45%
4,796,000円
(注) 例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
700万円×0.23-63万6千円=97万4千円
出典
No.2260 所得税の税率|国税庁
医学部の大学に通うための学費は文系と比較して、より多額の費用がかかるにもかかわらず、医者が病院に就職後に文系と同じ給料を得ていたのでは割に合いません。
そのため、医者は文系サラリーマンと比較して高い給料を得る可能性があります。
しかし高額な給料に乗じて累進課税で税率も加算されてしまうので、必ずしも家計が潤う職業であるとは言えません。
中には、大学医学部の学生時代にかかった、高額な奨学金の返済をし続ける医者もたくさんいます。
また、総合病院などは、夜勤と残業が長時間あるため、給料1時間あたりの時給換算をしてみた場合に高くなる傾向があるだけです。
そのため文系のサラリーマンと医者の給料比較において、
- 高額な大学医学部の学費
- 夜勤と長時間労働
- 税金
などを差し引きして考えた場合、医者より文系のサラリーマンの方が割に合う職業であったなどという可能性すらあります。
そのため、一口に医者が美味しい職業であるとは決して言えません。
弁護士の場合
弁護士の場合も考えてみましょう。
まず司法試験に合格するまでに浪人を重ねて、5年・10年かかる人もいるので、勉強に専念するためその間は定職につくことは難しく、その期間は無収入になります。
司法資格に合格したとしても、独立した弁護士の多くは個人事業主として活動しています。
そのため収入が不安定であり、特に開業した初期の頃は所得が一般企業に勤めるサラリーマンよりも少なくなる場合が大半です。
個人事業主とサラリーマンの比較については、こちらの記事をどうぞ。
また、中には人とのコミュニケーションが苦手で顧客を集めることができず、極めて低賃金で働いている弁護士も多数います。
そして、弁護士法人に所属して給与所得を得ている弁護士であっても、年収300万ほどで働いている弁護士も多くいます。
その要因は多数ありますが、司法試験の難易度が下がったせいで弁護士が急増しているので、法律案件の数に対して弁護士数が多いので過当競争が発生している点が大きいです。
例えば、過払い金の問題処理に対しては、過去に国が過払い金は取り戻せると判決を下した問題なので、法律家ではない一般の人であったとしても少し考えれば分かるような問題です。
つまり弁護士資格がなくても、難しい法律の知識は一切不要で理解できる問題だと思います。
それにもかかわらず、大々的に広告を打たなければ弁護士も顧客を集めることができないぐらい、弁護士同士の過当競争にさらされています。
その結果、弁護士は安請け合いをせざるを得ないので、一般のサラリーマンとほぼ同等の給料しか得られない弁護士が増えます。
訴訟大国アメリカは、人種や宗教が異なる国家なので裁判をすぐに行う人が多く、弁護士の需要があります。
一方で、日本は文化的にみて衝突を避ける考えから裁判を行う人は少なく、弁護士の需要がアメリカよりも少ないです。(詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ。)
そのため、今後日本で弁護士の需要が上がり、弁護士の仕事が増えていくとは到底思えません。
そのため一般人は、高額な報酬を弁護士に支払って問題を解決してもらうよりも、
- 旧来の弁護士の専売特許とされていた法律知識の一部分を、インターネットで情報収集して自分で考える
- 簡単な法律の知識をコツコツ勉強して身につけていく
などを行い、生き残るために情報弱者に付け込む質の低い弁護士達の言いなりにならないことが、これからの時代は必要であると言えます。
この記事に関連する内容なので、興味のある方は参考にされてください。
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