この記事は、ベストセラー書籍「FIRE最強の早期リタイア術」についての書評のまとめ記事です。
まずこの本に出てくるFIREという言葉の意味は、経済的自立と早期リタイアを意味しており、「Financial Independence, Retire Early」の略です。つまり、多額のお金を貯蓄した上で投資にまわし、不労所得を得ることで早期リタイアするという考え方です。
アメリカでは、30代・40代で早期リタイアする人が話題を集めており、FIRE(ファイア)ムーブメントとも呼ばれます。
日本では2021年現在において、60歳定年制から65歳定年制へと移行しつつあります。しかし30代で早期リタイアするというのはあまりに早すぎる退職時期であるため、FIREとは、まさに逃げ切り型人生を送る方法であると言えます。逃げ切り型人生を競馬にたとえると、スタート時点からスピードを上げて突っ走って先頭に立ち、ゴールするまでずっと先頭にいるような馬の走り方を言います。
そんな逃げ切り型の人生を達成するためにはどうするべきなのかを分かりやすく説明するのが、ベストセラー書籍「FIRE最強の早期リタイア術」です。
この本の著者クリスティー・シェンは、なんと31歳という若さでFIREを達成し、本業を退職しました。そして彼女はその後、世界旅行をし続け、たまに絵本や本書のような金融系の本の執筆をする、という「老後」に入りました。
彼女はお金の心配は不要であり、貯蓄は100万ドル(約1億円)もあります。また、毎年投資資産からお金が湧き出てきており、95%以上の確率で経済面で困ることは無いと言います。
彼女がどんな方法でFIREを達成したのか、FIREを達成するためのコツを詳しくみていきましょう。
【まとめ】FIRE最強の早期リタイア術【大学の学部・学科はコスパで選ぶべき】
まず「FIRE最強の早期リタイア術」の著者クリスティー・シェンは、進路として大学の学部・学科選びはコスパで選ぶべきと主張しています。
ここで言う「コスパ」というのは、進学先としての「大学の学部・学科」ごとの学費の総額と、その後就くであろう職業の、
- 平均的な収入と
- 可能性のある最低収入
とを計算した上で、最も割に合う進学先を選択しろという考えです。
著者は、大学の学部や学科などの専攻を選ぶ時に、情熱に従ってはいけないと主張しています。
多くの人は、進路をコスパで選ぶと聞いて、なんとも夢のない話だと思うかも知れません。しかし、この本の著者の極貧生活を送ったという子供時代を知れば、「夢のない話と批判するのは、逆にこちらが失礼だ」とあなたも考えを改めることでしょう。
進路について著者の主張をまとめると、統計的にみて、自分のやりたい事を仕事にしても、低賃金や幸福ではない生活が待っています。だから、まずはお金を最優先に考えて、お金持ちになった後に自分のやりたいことを仕事にしましょう!ということがこの本の主張です。
大学専攻のコスパの良い選び方について、詳しくは「①【書評】FIRE最強の早期リタイア術【大学専攻のコスパ・借金の怖さ・支出抑制法】」の記事をご参照ください。
【まとめ】FIRE最強の早期リタイア術【持ち家 vs 賃貸住宅】
「FIRE最強の早期リタイア術」の著者クリスティー・シェンは、人生で最も大きな出費である住宅について、明確な指針を示しています。
多くの人はローンを組んで住宅を購入しますが、その後に家を売ったり、老朽化や災害等による屋根や壁等を修繕したりすることにより、費用がかさんでしまい賃貸住宅に住んだ方がよっぽど割安に済んだというケースが多々あります。
そこで、彼女が考案した計算式に当てはめることで、持ち家にするべきか、それとも賃貸住宅にするべきかのボーダーラインが明確になります。
この計算式のことを、150の法則と呼んでいます。
著者は持ち家を安易に購入してはいけないと主張していますが、必ずしも持ち家がダメだと言ってるわけではなく、150の法則に基づいて計算した上で、住宅を購入すべきかを判断するべきと主張しています。つまり単純に賃貸に住めばいいというわけではなくて、割安に売られている住宅は購入して持ち家にするべきだが、よく考えるべきだと言っているのです。
賃貸と持ち家の損益分岐点を学びたい方は、「②【書評】FIRE最強の早期リタイア術【住宅購入・ポートフォリオ】」の記事をご覧ください。
【まとめ】FIRE最強の早期リタイア術【4%ルールとは】
まず「FIRE最強の早期リタイア術」の著者クリスティー・シェンは、4%ルールに当てはめることで、早期リタイア可能な目標金額を算出することが可能だと主張しています。
4%ルールとは、「どのくらいの老後資金を貯めれば、早期リタイアしても大丈夫なのか?」という点を明確にするための法則を指します。
少し具体的に言うと、年間の生活費の支出を4%で割り算することにより、いくら投資元本が貯まれば仕事をリタイアしても、老後生活が安泰になるかを算出することが可能になります。
早期リタイアを検討する際に、なぜ4%ルールに基づいて計算することが重要なのかというと、たとえ多額のお金が貯蓄できていたとしても、多くの人は早期リタイアをしたくても実際には早期リタイアに踏み切れないからです。その理由は2つあります。
まず一つ目の理由は、一度早期リタイアしてしまうと職場復帰することは困難であるためです。
そして二つ目の理由は、今はお金が十分にあるが、早期リタイアした後に、何らかの出費がかさんでしまって、「もし、早期リタイアした後にお金が足りなくなってしまったらどうしよう」と不安になってしまうからです。
4%ルールについて詳しく学びたい方は、「③【書評】FIRE最強の早期リタイア術【4%ルール・現金クッションと利回りシールド・世界旅行は安い】」の記事をご覧ください。
【まとめ】FIRE最強の早期リタイア術【サイドFIRE・パーシャルFIとは】
ベストセラー書籍「FIRE最強の早期リタイア術」で紹介されているサイドFIRE・パーシャルFIとは何かを説明します!
前述の通り、FIREとは、経済的自立と早期リタイアを意味しており、「Financial Independence, Retire Early」の略です。その一方で、サイドFIRE・パーシャルFIとは、完全FIREとまではいかないが、投資から得る不労所得(年収200万程度)と勤労所得(年収100万-200万程度)を組み合わせた上で早期リタイアするというものです。
言い換えると、サイド FIREとパーシャルFIは、セミリタイアのようなもので、「投資収益」+「パートやアルバイト等の勤労所得」の二つの収入源によって生活するという方法です。
FIREを目指し、投資収益だけに頼って老後生活に入ろうとすると、投資元本が5000万円から1億円も必要となります。30代や40代の若年層で、そんな高額な貯蓄を貯められる人はほとんどいないでしょう。そこで、サイド FIREやパーシャルFIという選択肢が現実味を帯びてきます。
サイド FIREやパーシャルFIは、投資収益から得る収入以外にも、YouTuberやブログ運営、小説の執筆等の個人事業や、パート・アルバイト等をしつつ老後を過ごすことをいいます。
例えば時給1100円のパート・アルバイトを、週3日で1日あたり6時間行い、年収100万円を25年間にわたって稼ぐことができれば、合計2500万円分の貯蓄を投資元本から差し引くことができます。つまりサイド FIREやパーシャルFIは、投資収益だけに頼るのではなく、ほどほどに仕事をするというイメージです。
サイド FIREとパーシャルFIの違いは、働くことから得る収入(勤労所得)の大小です。サイドFIREの方がパーシャルFIよりも、勤労所得が少ないです。例えばパーシャルFIは、パートやアルバイトを週に4日するが、サイドFIREは週2日しかしない、ような感じです。
サイド FIREとパーシャルFIのメリット
これらサイド FIREとパーシャルFIのメリットは、痴呆症の防止や健康の維持、夢の実現、税率区分が下がるという点が挙げられます。
完全リタイアしてしまうと、やることがなくなって痴呆症になりかねません。だから、FIREとパーシャルFIにすることで、ほどほどに仕事をした方が健康に良いということです。
また、FIREとパーシャルFIは、子供の頃からやりたかった仕事(夢の仕事)があるが、収入が少ないことが懸念される仕事をするチャンスにもなりえます。例えば小説家などの執筆や、今までの自分の分野とは全く異なる分野の仕事(例えばITエンジニア→ケーキ屋さん等)です。
サイドFIREとパーシャルFIは、税率区分が下がり、税金の面でも恩恵を得られます。というのも、完全FIREを目指すにはかなりの貯蓄額を貯める必要があり、そのためには高額な年収を稼ぐ際に所得税等の税金や社会保険料を収める必要があります。
一方で、サイドFIREとパーシャルFIは完全FIREほど高額な貯蓄が不要であるため、年収が低くても達成可能です。
こられの様々な面から、多くの日本人にとって、完全FIREよりもサイドFIREとパーシャルFIの方が適していると思われます。
サイドFIREとパーシャルFIについて、詳しくは「④【書評】FIRE最強の早期リタイア術【サイドFIRE・パーシャルFIとは】」の記事をご参照ください。
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