【2020少子化社会対策大綱】経緯として2015大綱を理解しよう

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【2020少子化社会対策大綱】経緯として2015大綱を理解しよう
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2020少子化社会対策大綱を作成した経緯を説明します。

少子化社会対策大綱は5年ごとに作成されています。したがって、2020年少子化社会対策大綱を理解するには、それまでに作成された大綱も理解する必要があります。そこで、2015年大綱を踏まえ、政府が今後社会をどう変革していくつもりかをご紹介!

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【2020少子化社会対策大綱】経緯

政府は2020少子化社会対策大綱を作成した経緯として、以下のように説明しています。

 

(大綱の検討経緯)

2015 年3月の少子化社会対策大綱の策定から5年目となる 2019 年3月以降、内閣府特命担当大臣(少子化対策)の下、有識者から構成される「第4次少子化社会対策大綱策定のための検討会」を開催し、新たな大綱の策定に向けた議論を行ってきた。検討会は、7回にわたる幅広い関係者からの意見聴取や議論を経て、2019年 12 月に「第4次少子化社会対策大綱の策定に向けた提言」を取りまとめた。

(出典:内閣府HP 「少子化社会対策大綱-令和2年5月29日閣議決定」

 

補足すると、ここに出てくる、2019年 12 月に政府が作成した「第4次少子化社会対策大綱の策定に向けた提言の概要」はこちらになります。

第4次少子化社会対策大綱の策定に向けた提言の概要

第4次少子化社会対策大綱の策定に向けた提言の概要

(出典:内閣府HP 「第4次少子化社会対策大綱の策定に向けた提言(概要)」

 

これを見てみると、「第4次少子化社会対策大綱の策定に向けた提言」において、政府は出生率1.8という目標を掲げていました。しかし2018年の日本の出生率は1.42で未達だったので、さらに「国民が一致団結して改善する必要がありますよ!」というものです。このまま低出生率が続いた場合、2065年頃まで何が起こるのかを、時系列に沿って体系的に学びたい方はこちらの書籍をどうぞ。

2015年に定めた少子化社会対策大綱について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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そして、2020少子化社会対策大綱を作成した経緯については、以下のように説明が続いています。

 

提言では、前大綱に基づく取組に加え、「ニッポン一億総活躍プラン」、「子育て安心プラン」、「新しい経済政策パッケージ」、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」、「第4次男女共同参画基本計画」など、少子化対策に関わる取組を不断に進めてきたにもかかわらず、依然として個々人の結婚や子供についての希望がかなえられていない状況があり、より一層の努力が必要であることなどについて指摘がなされた。

政府としては、この提言を真摯に受け止め、総合的な見地から検討・調整を図り、本大綱を策定する。

(出典:内閣府HP 「少子化社会対策大綱-令和2年5月29日閣議決定」

 

つまるところ、2020少子化社会対策大綱を理解するためには、まず前回の2015年少子化社会対策大綱の内容も理解する必要があるということです。そこで、2015少子化社会対策大綱に定めた、

  • 「ニッポン一億総活躍プラン」、
  • 「子育て安心プラン」、
  • 「新しい経済政策パッケージ」、
  • 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」、
  • 「第4次男女共同参画基本計画」

という5つの施策を、それぞれどんなものだったのか確認していきましょう。

現状の日本の少子化対策がうまくいっていない理由について、詳細はこちらの書籍をご参照ください。

 

【2015少子化社会対策大綱】ニッポン一億総活躍プラン

まず2015少子化社会対策大綱における「ニッポン一億総活躍プラン」というのは、高齢者社会対策の一つです。具体的には、政府が介護離職ゼロに向けて、介護人材の処遇について他の産業との賃金差がなくなるように、キャリアアップの仕組みを構築するというものです。詳しくは「高齢社会対策の実施の状況」をご参照ください。

また政府は「子育て安心プラン」として、2020年度末までに待機児童を解消するという目標を掲げています。「子育て安心プラン」を含めた、大まかな政府の基本目標を把握したい方は「【2020少子化社会対策大綱】政府の少子化対策の基本目標とは?」の記事をご参照ください。

具体的に、「子育て安心プラン」の概要はこちらです。

 

子育て安心プラン

子育て安心プラン

(出典:首相官邸HP「子育て安心プラン」)

 

ここにでてくる「平成32年度末」までに達成するとは、西暦でいうと2020年12月末までということです。なお、2013年から待機児童解消加速化プラン施策を5年間に渡って実行してきて、2019年でも待機児童ゼロは達成できていません。

さらに、待機児童ゼロを維持しつつ2022年までには女性の就業率を80%まで上げるということです。

ちなみに、総務省が2019年7月30日に発表した「2019年6月の労働力調査」によると、2019年の女性の就業率として、女性の生産年齢人口(15~64歳)の就業率は71.3%で、前年同月に比べて1.9ポイント上昇し、過去最高になりました。

 

女性の生産年齢人口(15~64歳)の就業率は71.3%で、前年同月に比べて1.9ポイント上昇し過去最高になった。年代別では15~24歳は50.5%と、同年代の男性を上回る。25~34歳は78.1%、35~44歳は77.8%と10年前より10ポイント以上高い。

(出典:日本経済新聞「女性就業者、初の3000万人突破 6月労働力調査」

 

確かに前年同月に比べて1.9%改善していますが、あと1年で残りの8.7%が上昇するとは思えないので、「子育て安心プラン」として策定した「2022年までには女性の就業率を80%まで上げる」という目標は達成できない可能性が高いです。しかし、徐々に改善されてきていることがわかります。

次に、「新しい経済政策パッケージ」とは、

  • 人づくり革命と
  • 生産性革命

という2つを指します。人づくり革命というのは例えば、

  • 幼児教育の無償化
  • 私立高等学校の授業料の実質無償化
  • 介護人材の処遇改善

などが挙げられます。

また生産性革命というのは、

  • 中小企業・小規模事業者の投資促進と賃上げ環境の整備
  • 事業承継の集中支援
  • Society 5.0の実現

などが挙げられます。

生産性革命について詳しく知りたい方は、こちらの3つの記事をご参照ください。

 

【2015少子化社会対策大綱】まち・ひと・しごと創生総合戦略

そして、2015少子化社会対策大綱における「まち・ひと・しごと創生総合戦略」というのは、「活力ある日本社会」を維持するため、

  • 「稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする」
  • 「地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる」
  • 「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」
  • 「ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる」

という4つを基本目標として、さらに、

  • 「多様な人材の活躍を推進する」
  • 「新しい時代の流れを力にする」

という2つの目標を追加した、合計6つの目標を元に政策を進めるというものです。

出典:首相官邸

人口減少を食い止めるために、日本人が取るべき戦略について学びたい方は、こちらのベストセラー書籍をご覧ください。

 

【2015少子化社会対策大綱】第4次男女共同参画基本計画

最後に、2015少子化社会対策大綱における「第4次男女共同参画基本計画」というのは、例えば、

  • 男性中心型の労働慣行を変革することや
  • 女性が活躍する社会
  • 男女の賃金格差なくす
  • 働きたい女性が仕事と子育て・介護等の二者択一を迫られることなく働き続けられる社会
  • 女性に対する暴力を根絶する
  • 女性の貧困をなくす

などを実現する計画のことです。

(出典:男女共同参画局「第4次男女共同参画基本計画(平成27年12月25日決定)」

2020少子化社会対策大綱を踏まえ、日本が少子化対策に今すぐ取り組むべき理由、参考にすべき海外の事例を学びたい方は「【2020少子化社会対策大綱】海外の成功失敗事例と日本【出生率】」の記事をご覧ください。

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【2020年少子化社会対策大綱】経緯 まとめ

さらに、2020年少子化社会対策大綱は以下のように続き、文章をまとめています。

 

また、新型コロナウイルス感染症の流行は、結婚、妊娠・出産、子育ての当事者にも多大な影響を与えており、安心して子供を生み育てられる環境を整備することの重要性を改めて浮き彫りにした。こうした状況に対応するため、非常時の対応として、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」や「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」などに基づき、学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備、子育て世帯への臨時特別給付金の支給、妊産婦に対する感染対策の徹底や妊娠中の女性労働者に配慮した休みやすい環境整備、子どもの見守り体制の強化、電話やオンラインも活用した妊産婦や乳幼児に対する相談支援や保健指導、テレワークの強力な推進等に、関係機関と協力して取り組むとともに、今後も事態の推移を見極め、必要に応じて柔軟に対応する。あわせて、本大綱の推進に当たっては、平常時と併せて非常時の対応にも留意しながら、事態の収束後に見込まれる社会経済や国民生活の変容も見通しつつ、テレワークを始めとする多様で柔軟な働き方の推進、地域における子育て支援の充実、男性の家事・育児参画の促進、地方創生と連携した取組の推進等に総合的に取り組んでいく。

(出典:内閣府HP 「少子化社会対策大綱-令和2年5月29日閣議決定」

 

新型コロナウイルスが蔓延したことで保育園が休みになり、「子育てをしながらテレワークなんてできない」などという声が相次ぎました。特に夫のほうが年収が高いことが多いなどの理由から、妻は主に

  • 子供の面倒を見つつ
  • 食事を作らなければいけない
  • 洗濯掃除などの家事をしなければいけない

などの影響により子育て負担が増えていました。さらに小学校が休校になることでも、子育て世代の負担は増えました。だから、子育て世帯への臨時特別給付金の支給が必要だったと指摘しています。

また、

  • 妊産婦に対する感染症対策
  • 妊娠中の女性に配慮したおやすみな水環境の整備
  • 子供を見守る体制強化
  • 電話やインターネットを活用した妊産婦や乳幼児に対する相談窓口の開設
  • 政府がテレワークをするように企業を後押し

するなどに取り組み、特にテレワークを多くの労働者が導入し柔軟な働き方を実現することを政府が推進していきます、と主張しています。

また政府は、

  • 男性の家事育児参画のために育児休業を取得しやすいように働きかけたり、
  • 都市一極集中ではなく、地方創生と連携した取り組みを推進したり

していきます、とも言っています。

このように、様々な面から少子化を阻止する試みをしなければ、日本は確実に衰退していくことでしょう。そこで、人口減少社会の今後について学びたい方はこちらの書籍をご参照ください。

2020少子化社会対策大綱をもとに、日本の少子化はどのような状況にあるのかや、少子化の原因について学びたい方は「【2020少子化社会対策大綱】少子化の原因と結論【わかりやすく】」の記事をご参照ください。

【2020少子化社会対策大綱】少子化の原因と結論【わかりやすく】
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