コロナと熱中症対策について知りたいですか?
2020年夏はコロナによる外出自粛で熱中症になりやすく、病床も不足する恐れがあります。
そこで暑さ指数(WBGT)に注目し、コロナと同時に熱中症の予防をしましょう。熱中症予防には温度より湿度が重要な理由を学びたい方必見!
コロナを予防すると同時に、熱中症も効果的に予防したい方はこちらの記事も併せてご参照ください。

【コロナと熱中症対策】暑さ指数(WBGT)
新型コロナウイルスの影響で、ただでさえ病院のベッドが不足しているので、もし熱中症で入院する患者が増加した場合、医療崩壊につながります。そのため最悪の場合、外出自粛をして医療崩壊を防ぐために、緊急事態宣言が再度発令されてしまう恐れもあります。そこで熱中症を回避するには、暑さ指数(WBGT)に注目する必要があります。
熱中症対策として、厚生労働省が提案する「新しい生活様式」についてはこちらの記事をご参照ください。

暑さ指数(WBGT)とは?
まず暑さ指数(WBGT)とはどのようなものなのか説明します。
環境省のホームページには以下のような説明があります。
暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。
(出典:環境省)
この説明から、暑さ指数は温度とは異なる数値であり、体に与える影響が大きいのは
- 湿度
- 日射
- 気温
の3つだということがわかります。なお、暑さ指数は気温と同じ単位「℃」で表記していますが、気温以外の要素も含んでいるので、混同してしまわないように注意が必要です。
また、この指数は最近できたものではなく、1954年のかなり昔からあるものです。暑さ指数の歴史について、詳しくは以下の通りです。
1954年(昭和29年)
アメリカのYaglouとMinardが暑さ指数(WBGT)を提案。
アメリカ・サウスカロライナ州パリスアイランドの海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために開発されました。パリスアイランドは湿度が高い上に、海兵隊の訓練は厳しく、訓練中は服装や装備にも厳しい制約があったために、熱中症になりやすかったことが暑さ指数(WBGT)の提案につながったようです。
(出典:環境省)
なるほど、暑さ指数というのは、アメリカの海兵隊が厳しい訓練の中で、熱中症の問題を解決するために開発された、実践的な指数であるということです。このことからも、熱中症を回避するために、昔から海軍での効果が実証されている暑さ指数に注目することによって、熱中症予防の高い効果が得られる可能性があると言えそうです。
隠れ脱水や、熱中症発生から死亡までの時間を踏まえ、どうすれば熱中症を回避できるかについて、詳細はこちらの記事をご参照ください。

暑さ指数は湿度で7割決まる
環境省のホームページで、暑さ指数(WBGT)の実況と予測を確認することができますので、さっそく自分が住んでいる地域の、現在の暑さ指数を確認してみましょう。
この暑さ指数を導き出す数式を具体的に言うと、以下のような式で表すことができます。
(出典:環境省)
これは、熱中症になるかどうかに関し、湿度が70%という大部分を占めているのであって、気温の影響は小さいということを示しています。言い換えると、温度は湿度に対してたった14%しか人体に熱中症の影響を及ぼさないということなのです。「湿度が高い時は、熱中症に気をつけろ!」というスローガンが出来そうです。なお、暑さ指数の算出式について、詳しくは屋外と屋内は以下のように若干異なります。
暑さ指数(WBGT)の算出式
屋外での算出式
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度屋内での算出式
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
※単位は摂氏度(℃)になります(出典:環境省)
なお、暑さ指数を計算する際は、こちらのtestpage.jpサイトの計算ツールが便利です。温度や湿度などを変化させてみたとき、暑さ指数がどのくらい変化するのか確認したい場合などに使えるかもしれません。
多くの人は気温にばかり目を囚われてしまい、湿度には注意を払っていません。実際に、毎日の天気予報は温度ばかりを大きく取り上げるので、湿度をチェックしている人は少ないかもしれません。しかし新型コロナウイルスと熱中症を同時に予防する必要がある2020年夏は、温度だけではなく湿度にも注目することで、両方を同時に予防できるようにしましょう。
新型コロナウイルス拡大防止により外出自粛をすると、日光を浴びなくなりビタミンD不足になる問題についてはこちらの記事をご参照ください。

なぜ、暑さ指数は湿度で7割決まるの?
では具体的に、なぜ暑さ指数の構成要素のうち、湿度が70%もの比重を占めているのでしょうか?
熱中症が湿度により左右されてしまうという点について、環境省によると以下のような説明があります。

湿度が高い場所では汗が蒸発しにくいので、体から空気へ熱を放出する能力が減少してしまうんだ。それで熱中症になりやすくなるんだよ!
なるほど、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなります。その結果、体温も下がりにくくなり、熱中症にかかる可能性が上がってしまうということです。
2020年夏は新型コロナウイルスを予防するためにマスクを装着することで、さらに体温が上昇してしまい、熱中症にかかりやすくなります。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

熱中症は湿度(暑さ指数)によって左右される
では具体的な事例を挙げて、熱中症は湿度の高低によって左右されるという点を説明します。
事例1
以下の事例は、2011年7月6日と9日の東京の気候の状況の比較です。
(出典:環境省)
この二つの日を比べてみると最高気温は32.5℃で全く同じです。しかし最小湿度を比べてみると、7月6日の41%に対し、7月9日の56%の方が、15%湿度が高くなっています。
その結果、熱中症搬送数が7月6日の50人に対し、7月9日は94人と約2倍の患者数となりました。暑さ指数ランクを見てみると、7月6日の警戒に対し、7月9日は厳重警戒となっているので、湿度が15%上昇することにより、暑さ指数ランクが上がっているということがわかります。
事例2
暑さ指数が熱中症対策として有効な指標であるということを示す事例を、もう一つ見てみましょう。下の表は 2011年7月18日と8月15日の東京の気候状況です。
(出典:環境省)
まず7月18日と8月15日で比較すると、気温は8月15日の方が低いです。一方で、最小湿度は8月15日の方が高いです。気温の高さだけで見た場合、8月15日の方が重症患者は多くでなりそうですが、暑さ指数( WBGT)を 導き出す公式に当てはめた場合、湿度が温度に対して7倍もの影響力を持っているため、8月15日の方が7月18日よりも暑さ指数( WBGT)が高くなります。
その結果、熱中症搬送者数は、7月18日の50人に対して、8月15日は100人と大幅に多くなっていることがわかります。この事例からも、気温よりも湿度が熱中症と深く関わっており、熱中症予防するためには湿度に注目するべきであるということがご理解いただけたと思います。
コロナと熱中症対策への心構えについてはこちらの記事をどうぞ。

暑さ指数ランクは4種類
なお、ここで出てくる暑さ指数ランクは4種類あり、厳重警戒というのは上から二つ目で、一番上には危険と言うランクがまだあります。
(出典:環境省)
実際に暑さ指数(WBGT)がどのぐらいになったら危険と言えるのか、少し詳しく確認してみましょう。
暑さ指数が28℃を超えると、重症患者が一気に増えます。以下のグラフでも確認することができますのでご覧ください。
(出典:環境省)
このグラフを見てみると、暑さ指数が28℃を超えた途端に、一気に熱中症患者発生率が急増しています。 これを2020年夏に当てはめて考えてみると、暑さ指数が28℃を超えたら、
- 新型コロナウイルスの入院患者と
- 熱中症の入院患者
の両方が急増してしまい、病床が不足するリスクが高くなるということです。
従って2020年の夏は、暑さ指数28℃を超えたら、新型コロナウイルスにもより一層の注意を払う必要性が出てくるでしょう。
夏用マスクは熱中症リスクを効果的に減少させます。ユニクロのエアリズムマスクの3つの特徴についてはこちらの記事をどうぞ。

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