新型コロナウイルスの初期症状「痰がらみ」について知りたいですか?
新型コロナウイルスに感染した場合、痰が絡む症状が現れる割合を踏まえ、一般的な風邪との見分け方をご紹介!
新型コロナに感染して、「痰だけ」初期症状が現れる場合はあるの?と疑問に感じている人は必見です。
「痰がらみ」以外の新型コロナウイルスの初期症状については、こちらの記事をご参照ください。
【コロナ初期症状】痰がらみ
5万例を超える「WHOと中国を含む25か国専門家による報告(2020年2月25日)」によると、新型コロナウイルスにより「痰がらみ」の初期症状がみられた割合は33.4%です。
As of 20 February 2020 and 12 based on 55924 laboratory confirmed cases, typical signs and symptoms include: fever(87.9%), dry cough (67.7%), fatigue (38.1%), sputum production (33.4%), shortness of breath(18.6%), sore throat (13.9%), headache (13.6%), myalgia or arthralgia (14.8%), chills (11.4%),nausea or vomiting (5.0%), nasal congestion (4.8%), diarrhea (3.7%), and hemoptysis (0.9%),and conjunctival congestion (0.8%).
つまり、痰がらみ(33.4%)の症状は、
- 発熱(87.9%)
- 咳(67.7%)
- 倦怠感(38.1%)
に続き、新型コロナウイルスのトップ第4位の位置を占めるほど多く、新型コロナウイルス患者全体の三分の一の比率でみられる症状だということが分かります。発熱・咳・倦怠感について、詳細はこちらの各記事をご覧ください。
しかし、一般的な風邪を引いた場合でも「痰がらみ」の症状はよくみられます。(出典)
そのため、
- 新型コロナウイルスによる「痰がらみ」の初期症状と
- 一般的な風邪による「痰がらみ」の症状
を見分けるにはどうしたらよいのでしょうか?
そもそも、痰は気道から出る分泌物です。痰は健康な人でも常に少しずつ出ていますが、普段は
- 気道表面から再吸収されたり、
- のどまで上がってから無意識に飲み込まれたり
しているのであまり意識されません。(出典)
しかし風邪を引いて、のどの奥から肺までの空気の通り道の粘膜表面に
- 強い刺激や
- 炎症
が長く続くと、痰が増えます。(出典)
したがって、痰が出る仕組みとしては、
- 新型コロナウイルスも
- 一般的な風邪
も同じであり、見分けがつかないのです。
そこで着目すべきポイントは、新型コロナウイルスによる「痰がらみ」の初期症状に、前述の
- 発熱や
- 咳
- 倦怠感
などの他の症状が組み合わさっているかどうかという点です。
厚生労働省の「帰国者・接触者相談センター等にご相談いただく際の目安」によると、以下のような記載があります。
帰国者・接触者相談センター等にご相談いただく際の目安
☆ 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
☆ 重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
※高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方
☆ 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)(出典:厚生労働省)
つまり、もし痰がらみの症状以外にも
- 発熱
- 倦怠感
などの症状がある場合は一般的な風邪ではない可能性があるので、自己判断するのではなく専門家に相談すると良いでしょう。
また上記の目安に併記されている息苦しさについて、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
これらのことから、もし「痰がらみ」の症状が現れた場合は軽視するのではなく、「もしかしたら新型コロナウイルスに感染している可能性もある」と重く受け止め、より注意を払うようにしましょう。そうすることで新型コロナウイルスへの感染に、早期に気がつくことにもつながるはずです。
【コロナ初期症状】痰だけ
ここまでの説明で、新型コロナウイルスによる「痰がらみ」の初期症状は、他の症状と組み合わさっている場合が多いということはご理解いただけたはずです。
しかし中には、新型コロナウイルスに感染しているにもかかわらず、「痰だけ」しか初期症状が現れず、その一方で「他の症状はない」などという場合はあるのだろうか?と疑問に感じる人もいるかもしれません。
そこで具体的に、「痰がらみ」の初期症状が現れた新型コロナウイルス患者4名の具体的な事例をもとに、詳しくみていきましょう。
埼玉県川越市 40代男性の事例
まずは埼玉県川越市の40代男性の事例として、
- 概要と
- 症状・経過
は以下の通りです。
- 年代:40歳代
- 性別:男性
- 職業:会社員
- 居住地:川越市
- 症状・経過
- 4月3日:出勤(マスク着用)。熱感、咽頭痛あり。24時に体温37度。市販薬の解熱鎮痛薬内服。
- 4月4日:出勤なし。体温38.5度。痰が出始める。以前処方された、解熱鎮痛薬内服。夜から味覚・嗅覚障害あり。
- 4月5日:出勤なし。体温37度台前半。症状継続。
- 4月6日:出勤なし。体温36.8度。症状継続しているため、自家用車で市内B医療機関受診(マスク着用)。PCR検体採取。
- 4月7日:出勤なし。体温36.8度。PCR検査の結果、陽性判明。(出典)
この男性は体調不良に陥った翌日に「痰がらみ」の症状が現れましたが、それよりも先に発熱の症状が出ています。つまり、新型コロナウイルスに感染したことにより、「痰」だけの初期症状が現れたとは言えず、例えば
- のどの痛みや
- 嗅覚障害
等も併発しています。
新型コロナウイルスの初期症状の一つである「喉の痛み」についてはこちらの記事をどうぞ。
また、新型コロナウイルス初期症状「味覚・嗅覚障害」について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
埼玉県川越市 50代男性の事例
では次に、埼玉県川越市の50代男性の事例も、「痰がらみ」以外の症状があるのかどうかを見てみましょう。
- 概要と
- 症状・経過
は以下の通りです。
- 年代:50歳代
- 性別:男性
- 職業:歌手
- 居住地:川越市
- 症状・経過
- 4月4日:体温37.8度。咽頭痛、咳、痰あり。体の痛みあり。
- 4月5日:体温36度台~38度台で、上がったり下がったりしていた。
- 4月6日:体温38度台。家族3人で市内C医療機関受診、マスク着用あり。移動は自家用車。胸部レントゲン上所見なし。PCR検体採取。
- 4月7日:体温37.7度。PCR検査の結果、陽性判明。(出典)
この男性も新型コロナウイルスの初期症状「痰がらみ」以外にも、
- 発熱
- 咽頭痛
- 咳
- 体の痛み
などの症状が現れています。したがって、新型コロナウイルスに感染したにもかかわらず、初期症状が「痰だけ」であるとは言えません。
埼玉県和光市 40代男性の事例
次は埼玉県和光市の40代男性の事例で、
- 概要と
- 症状・経過
は以下の通りです。
- 年代:40代
- 性別:男性
- 国籍:日本
- 職業:会社員
- 居住地:和光市
- 症状、経過:
- 4月2日(木曜日)
- 37.0度、咳、痰、下痢県内医療機関受診【マスク着用、自家用車】
- 3日(金曜日)
- 38.5度、咳、痰、下痢
- 4日(土曜日)
- 36.0~37.0度、咳、痰、下痢
- 同居家族が陽性判明
- 5日(日曜日)
- 36.1度
- 帰国者・接触者外来受診【マスク着用、自家用車】、検体採取
- 6日(月曜日)
- PCR検査の結果陽性(出典)
この男性も、新型コロナウイルスの初期症状「痰がらみ」以外に、
- 咳
- 下痢
などの症状が現れています。したがって「痰だけ」の症状であるとは言えません。
新型コロナウイルス初期症状「下痢」について、詳しくはこちらの記事をどうぞ。
北海道室蘭市 70代女性の事例
次は北海道室蘭市の70代女性の事例で、
- 概要と
- 症状・経過
は以下の通りです。
- 年 代
- 70代
- 性 別
- 女性
- 国 籍
- 日本
- 居住地
- 胆振総合振興局管内
- 職 業
- 無職
- 症状・経過
- 2/ 6
- 咳症状、痰
- 2/ 9
- 発熱(37℃)
- 2/10
- 発熱(38.5℃)、咽頭痛、倦怠感
- 管内医療機関A受診・入院
- 2/22
- 道立衛生研究所において、新型コロナウイルスの検査を実施したところ、陽性と判明。(出典:厚生労働省)
この70代女性の事例についても、新型コロナウイルスへの感染が疑われる初期の段階から、「痰がらみ」の症状以外に、咳の症状も見られます。したがって、新型コロナウイルスに感染し、「痰だけ」の症状があるとは言えません。
これらのことから、新型コロナウイルスに感染しているにもかかわらず、「痰だけ」しか初期症状が現れず、その一方で「他の症状はない」などという場合は、事例を見る限りでは少ないように思われます。
新型コロナウイルスの潜伏期間についてはこちらの記事をどうぞ。
また、新型コロナウイルスの初期症状の中でも、特に緊急性の高い13症についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
新型コロナウイルスに感染した場合、「痰がらみ」の初期症状がみられる割合は33.4%であり、新型コロナウイルスの主な症状としては、
- 発熱
- 咳
- 倦怠感
に続き第4位です。
新型コロナウイルスと一般的な風邪の簡易的な見分け方としては、上記の症状と組み合わさっている場合に、感染の疑いの可能性が高いと言えそうです。
また、新型コロナウイルスに感染しているにもかかわらず、「痰だけ」しか初期症状が現れず、その一方で「他の症状はない」などという場合は、事例を見る限りでは少ないようです。
いずれにせよ、痰がらみの咳が出た時には喉が痛くなるので、痰がらみの症状は非常に不快です。
痰を気にしすぎるあまりに、頻繁に強く
- 「痰切り」をしたり
- 「咳払い」をしたり
することで、逆にのどの粘膜を痛めてしまい逆効果なので注意しましょう。(出典)
また新型コロナウイルスを予防するために、「正しいマスク付け方」をこちらの記事でご確認ください。
もっと知りたい
新型コロナウイルスについて、もっと詳しく知りたい方向けのおすすめ記事を紹介します。
新型コロナウイルスによる「目」の初期症状についてはこちらの記事をどうぞ。
新型コロナウイルスの初期症状「下痢・嘔吐」についてはこちらの記事をご覧ください。
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