日本でコロナの重症化率・死亡率が低い理由を知りたいですか?
2020年7月19日時点の日本のコロナ感染者数の現状や、コロナとインフルエンザとの違いを踏まえ、コロナ第二波が来た場合の影響予測や抗体について説明します。
日本人のコロナ自然免疫の仮説を学びたい方必見!
2020年7月から新型コロナウイルス感染者数が急増している
まず2020年7月17日の時点で、東京を中心に新型コロナウイルスの PCR 検査で陽性判定がでる人が急増していると以下のように説明しています。
東京都を中心に新型コロナウイルスの検査で陽性と判明する人が増加している。東京都は15日、警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。ただ、無症状者や軽症者が多く、専門家の間でもレベルを引き上げるかどうかでは意見が割れたという。また、2月から現在までの5カ月余りの間に日本で新型コロナにより亡くなった人は1000人に及ばず、例年のインフルエンザ死亡の3分の1にとどまる。新型コロナウイルスの流行当初の予測や欧米の被害実態とも大きなギャップがある。
確かに新型コロナウイルスの感染状況としては日本全国で7月に入ってから感染者数が急増しています。日本全国の感染者数の推移は以下の通りです。
このグラフを見ると、7月に入ってからコロナ感染者数が急増し7月18日には過去3番目の新規感染者数の水準となっています。
これらのコロナ感染拡大に伴って、Go Toキャンペーンも東京だけが延期となってしまいました。Go Toキャンペーンについて詳しくはこちらの記事をご参照ください
- 【Go Toキャンペーン】なぜ東京除外(大阪は?)【eatも委託先延期】
- 【GO TOキャンペーンへの批判】市長や知事やTwitter民が中止を呼びかけ
- 【Go Toキャンペーンとは】いつからいつまで?【よくある質問注意点】
- 【Go Toイベント・飲食・商店街キャンペーン】観光庁【コロナ】
- 【家族の絆とGo To Travelキャンペーン】どんな人が活用すべき?
7月に入ってから新規感染者数が増加した理由や、その問題点についてはこちらの記事をどうぞ。
また2020年7月18日時点の、過去2ヶ月間の東京都の新型コロナウイルス新規感染者数の推移は以下の通りです。
2020年7月15日には東京都の警戒レベルを最上位レベルである4段階目の「感染が拡大していると思われる」に引き上げましたが、新型コロナウイルスに感染した患者の中で
- 軽症者や
- 無症状患者
が多かったので、専門家の間でもそのレベルの変更には意見が分かれたとのことです。実はコロナ対策においてこの「無症状患者」というのが非常に厄介で、感染が拡大する理由の一つでもあります。
新型コロナウイルスの初期症状「なし」の場合、どのような問題が生じるかという点や
- 新型コロナ初期症状「なし」と診断される割合や、
- 感染封じ込めが困難になる問題、
- 無症状者でもうつる可能性
について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
またここで言及されているコロナの死亡者数が1000人に及ばないという点ですが、日本が新型コロナウイルス対策で成功している理由について詳細はこちらの記事をどうぞ。
新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスとの違い
また新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスとの違いについて、国際医療福祉大学の高橋泰教授はインタビューの中で以下のように説明しています。
――新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの違いをご説明ください。
病原体が体内に入ると、まず貪食細胞(マクロファージ)などを中心とする自然免疫が働く。次に数日かかって獲得免疫が動き出し、抗体ができる。
(注)自然免疫: 侵入してきた病原体を感知し排除しようとする生体の仕組み。外敵への攻撃能力はあまり高くないが、常時体内を巡回している警察官に相当する。
獲得免疫:病原体を他のものと区別して見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会ったときに効果的に排除する仕組み。1種類の外敵にしか対応しないが殺傷能力の高い抗体というミサイルで敵を殲滅する軍隊に相当する。
インフルエンザの場合は、ウイルス自体の毒性が強く、すぐに、鼻汁、咳、筋肉痛、熱と明らかな症状が出る。暴れまくるので、生体(人の体)はすぐに抗体、いわば軍隊の発動を命令し、発症後2日~1週間で獲得免疫が立ち上がり、抗体ができてくる。よって、抗体検査を行えば、ほぼ全ケースで「陽性」となる。多くのケースにおいて生体側が獲得免疫で抑え込み、1週間~10日の短期で治癒する。だが、抑え込みに失敗すると肺炎が広がり、死に至ることもある。
■毒性が弱いので獲得免疫がなかなか立ち上がらない
新型コロナはどうか。今年5月6日のJAMA Published online(The Journal of the American Medical Association、『アメリカ医師会雑誌』)に発表された「新型コロナの診断テストの解釈」という論文に、新型コロナは抗体の発動が非常に遅いことが報告された。
私の研究チームはこの現象を、新型コロナは毒性が弱いため、生体が抗体を出すほどの外敵ではなく自然免疫での処理で十分と判断しているのではないかと解釈し、「なかなか獲得免疫が動き出さないが、その間に自然免疫が新型コロナを処理してしまい、治ってしまうことが多い」という仮説を立てた。
こうした仮説で想定した状態が実際に存在するなら、この時期の人は無症状または風邪のような症状であり、自身が新型コロナに感染したという自覚がないうちに治ってしまう。もしこの時期にPCR検査を行えれば、新型コロナは体にいるのでPCR陽性となることもある。一方、まだ抗体はできていないので、抗体検査を行えば当然「陰性」となる。そして、その後、症状が進んで獲得免疫が発動しても新型コロナを抑え込めなかったごく一部の人でサイトカイン・ストームが起きてしまい、死に至ることもある。
(注)サイトカイン・ストーム:免疫システムの暴走。免疫細胞の制御ができなくなり、正常な細胞まで免疫が攻撃して死に至ることもある。
この高橋泰教授のコロナとインフルエンザの違いの説明を読むと、様々な専門用語が並んでいますが、素人にとっても理解しやすいようにわかりやすく説明されています。
要するにインフルエンザの場合は、毒性が強いから感染したらすぐ症状が出るから、人は抗体を獲得してインフルエンザを体内でやっつけることができます。しかし一方で新型コロナウイルスの場合は、毒性が弱いから感染してもすぐ症状が出にくく、人の体が緊急事態であると判断しないから抗体を獲得しにくい。だから新型コロナウイルスの症状が悪化してしまった時に、免疫が正常な細胞まで攻撃してしまうという異常事態に至ってしまうから、新型コロナは怖い病気だということです。
新型コロナウイルスの初期症状についてはこちらの記事をどうぞ。
日本にコロナ第二波がきたらどうなる?
また高橋教授は日本にコロナ第二波が来た場合どうなるのかという予想について、新型コロナウイルスの抗体に関する仮説を通じて以下のように言及しています。
抗体検査を行ったところ、ロンドンで16.7%、ニューヨークは12.3%、東京が0.1%だった。これをインフルエンザと同じような感染症モデルで考えると、東京では感染防止は完璧だったが、抗体を持つ人が少ないので、次に防御に失敗したら多くの死者が出る、という解釈になる。このような解釈には、強い疑義を持つ必要がある。
日本は強力なロックダウンを実施しておらず、新型コロナに暴露した人が欧米より極端に少ないとは考えにくい。むしろ先に述べた「これまで多くの人が新型コロナにすでに感染しているが、自然免疫でほとんどの人が治っている」という仮説に立って、抗体ができる前に治っているので、抗体陽性者が少ないと考えるほうが自然であろう。
この仮説を用いれば、無症状のPCR陽性者が数多く発生している現状の説明もできる。第2波が来ても、自然免疫の強さは日本人にとって強い助けとなり、再び欧米より被害が軽くなるという考え方が成り立つ。
この話をまとめると、日本にコロナの第二波が来た時どうなるかについては、以下二つの見方があるとのことです。
一つは日本人は抗体を持つ人が少ないから、第二波が来て新型コロナウイルスが蔓延したら多数の死者が出るということです。しかしこの考えは誤りである可能性があり、日本人は新型コロナウイルスの抗体はないけど、自然免疫が強いから第二波が来てもきっと大丈夫だろうということです。この二つは何も仮説なので現段階ではどちら正しいということは証明することはできませんが、抗体を持っている人の比率として
- ロンドンの16.7%と
- 東京の0.1%
を比較すると、東京の方が圧倒的にコロナの抗体を持っている人の割合が少ないことは間違いありません。したがって何らかの自然免疫があるから大丈夫と安心するのではなく、一層の警戒が必要であるともいえるかもしれません。新型コロナウイルスを予防するためのマスクの正しい付け方についてはこちらの記事をご参照ください。
米国と日本のコロナ感染者数や死亡者数の比較について、詳細はこちらの記事をどうぞ。
コメント