森岡毅の長期戦略に基づく計画法
森岡毅さんの長期戦略に基づく計画法の例を紹介します。
森岡毅が、ハリーポッターの施設に450億円もの投資を促した理由
2017年7月に、森岡毅さんが当時の社長グレン・ガンペルに「ハリーポッターの施設に450億円もの投資」を促した理由を説明します。
20年という長期間で元が取れるか
USJをV字回復させた森岡毅さんはかなり先のことまで推測した上で、戦略を策定しています。
具体的に言うとハリーポッターのアトラクションを建設する前から、どのぐらいハリーポッターが継続可能かに注目して、ハリーポッターのアトラクション施設「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」の日本誘致を建設しています。
この件に関し、20年という長期間で元が取れるかどうかを視野に入れて、建設に着手しています。
ハリーポッターの施設には450億円もの費用がかかるので、その元を取るために10年後に知名度や人気が廃れていったのでは、せっかく建設したアトラクションが無駄になってしまうと考え、ナンバーワンブランドであるハリーポッターにお金を投資したと、森岡さんの著書で述べられています。
名作ETは10年も持たずにテーマパークから消えた
例えばその例として ET を例に挙げています。
スピルバーグ監督の名作 ET は、たった10年も持たずにテーマパークから消えることになったようです。
何百億円もお金を使って、10年後にテーマパークから姿を消すような中途半端なアトラクションではなく、ハリーポッターのような優秀なテーマに巨額投資をして、長期的に必ず勝てる勝負で戦いに行くことを森岡さんは選んだということを彼の著書の中で以下のように触れています。
中途半端な強さの映画ブランドは、すぐに経年劣化して、結果的に効率的な投資になりません。世代を超える不朽の名作と言われる作品の中から、さらに本当に経年劣化しにくいブランドを注意深く選んでいく必要があります。
出典
「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」 著者 森岡毅 P.205より引用
10年・20年という長期で見て、元が取れるかどうかが重要
森岡さんのように、もしあなたが何かに投資することを考えているのであれば、10年・20年という長期で見て、元が取れるかどうかを念頭に選択するべきだと思われます。
なぜならば、超数学的思考力を持つ森岡さんですら長期間でものを考えることでUSJを復活できたのに、一般人の私たちが3年やそこらで元を取れる短期計画を立てることはできないはずだからです。
森岡さんのように知名度の低いアトラクションを一つ45億円で10個作るよりも、必ず元が取れる知名度が高いアトラクションを一つ450億で作った方が、長期で見たら元が取れるという選択肢に至ったように、あなたも選択と集中を繰り返しましょう。
小さく数十億単位をポンポンと放り込むよりも、設備投資資金を集めて数年に一度まとめて大きく使った方が投資効率が良いことを理論付けました。
出典
「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」 著者 森岡毅 P.216より引用
長期的に戦略を練ったからこそ短期的にも成功した
森岡さんは人口減少問題から、USJの関西依存体質を脱却して集客を全国に伸ばす必要があると考えました。
そして、そのためには、目玉となるハリーポッターのテーマパークが必要と考えたとのことです。
人口減少に着目した
森岡毅さんが日本の人口減少に着目し、長期計画に基づき巨額投資を行ったという点を説明します。
具体的にいうと、日本は人口がどんどん減っていくので、テーマパークに来園するお客様が20年後には、現在の日本の人口が1割から2割近くも減ってしまうという分析に森岡毅さんはたどり着きました。
著書の中では、人口減少について以下のようにも触れています。
「今この珠を打ちに行かなければ、後々もっと難しい珠を打たなくてはならないときが必ずやってくる」
出典
「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」 著者 森岡毅 P.205より引用
もし今ここで大きな賭けに出ない限り、後々苦労するだろうと考えた結果、ハリーポッターのテーマパークへの巨額投資に踏み切りました。
つまり、森岡さんは短期的にも大きな成果を残しましたが、長期的に戦略を練ったからこそ短期的にも成功したとも言えます。
大反対する社長を納得させた、人口推移を踏まえたプレゼン
ますます先細っていく関西の市場規模の中で、ハリーポッターのテーマパークは必ず必要であると、森岡さんは当時のUSJの社長に向けてプレゼンを繰り返したに違いありません。
たしかに20年という長期で計画を考えなければ、450億円もの費用をかけてまで投資に踏み切る社長はいないはずです。
しかし、当初はUSJの社長も大反対しました。
そこで、以前失敗に終わったかのようにみえた140億円もかけたスパイダーマンの施設は、実は成功であったということを、森岡さんが数学的分析に基づいて社長にプレゼンしたと以下のような記載があります。
そこで私は、自分の得意の数学的分析で、140億円もかけたスパイダーマンが実はUSJで最も成功したアトラクションの1つであることをしょうめいするところから始めました。
出典
「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」 著者 森岡毅 P.215より引用
さらに、ハリーポッターの450億円の投資が回収できると言う根拠を数字に基づいて、社長にプレゼンしたようです。
その結果、社長もやる気になり、その計画にかけてみようと同意したようです。
もっと知りたい
森岡毅さんの長期計画法についてもっと詳しく知りたい方向けに、おすすめ記事を紹介します。
あなたがもし今後何かの計画を立てとしたら、将来20年の人口推移も踏まえた上で将来の計画を立てる必要があります。
なぜなら、森岡さんほどのマーケッターですら人口推移に基づいて人生を賭けたプレゼンテーションに望んだのですから、あなたの人生計画を立てる際に人口推移を考慮しない理由はないはずです 。
高齢化社会の現状
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