【刀森岡毅の沖縄テーマパーク計画】地理的戦略とハワイを超える資源

森岡毅 マーケティング・営業戦略
森岡毅 出典:株式会社刀HP
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森岡毅氏の沖縄テーマパーク計画を知りたいですか?

マーケティング精鋭集団「刀」の代表である森岡毅氏は、なぜ沖縄という場所を選択したのかという点を踏まえ、沖縄テーマパーク計画を紹介します。

地理的戦略や資源活用戦略を知りたいマーケティング関係者は必見です。

[森岡 毅, 今西 聖貴]の確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 (角川書店単行本)

 

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森岡毅の沖縄テーマパーク計画

森岡毅氏の沖縄テーマパーク計画について説明します。

森岡毅の沖縄テーマパーク計画とは

森岡毅の沖縄テーマパーク計画とは、どのようなものなのかを説明します。

森岡毅氏は以前USJで働いていた経歴があり、当時から沖縄に新テーマパークを設立する計画を立てていました。

森岡毅の沖縄テーマパーク計画の頓挫と再開

しかし、USJを米国メディア大手のコムキャストに買収されたことにより、経営方針の相違から沖縄テーマパーク計画が頓挫してしまいました。

この構想自体は、国と沖縄県の両方の強い力添えがあり、最終決定の一歩手前までこぎ着けていました。

しかし、調印の直前に予期せぬ出来事が起こったのです。

USJの株主資本の51%が、ゴールドマン・サックスを中心とする旧株主から、米国メディア大手のコムキャストに売却されました。

そして、新たなマジョリティを握ったコムキャストは、結果的に「世界戦略として考えると、沖縄進出は決してベストな選択ではない」と判断しました。

出典

元USJ森岡氏はなぜ「沖縄」に挑戦するのか
業績不振のUSJを劇的なV字回復に導いた、戦略家・マーケターの森岡毅氏の新たな挑戦の一つが明らかになった。舞台は、沖縄本島北部で計画が進む新テーマパーク。沖縄にどのような可能性を見出したのか。森岡氏が単独インタビューに答えた。

一旦立ち消えになった沖縄テーマパーク計画ですが、その後、森岡毅氏は2017年にマーケティング精鋭集団「刀」を設立し、沖縄テーマパーク計画に再度着手したという経緯があります。

2017年にUSJを退社し、マーケティング精鋭集団「刀」を設立。

「マーケティングで日本を元気に」という大義の下、数々のプロジェクトを推進。

USJ時代に断念した沖縄テーマパーク構想に再び着手し注目を集める。

出典

森岡毅.苦しかったときの話をしようか(Kindleの位置No.3295-3297).ダイヤモンド社.Kindle版.

森岡毅氏が2019年に出版したベストセラー書籍「苦しかったときの話をしようか」において、キャリア論を執筆した理由を知りたい方はこちらの記事をどうぞ

【森岡毅】苦しかったときの話をしようか【キャリア論を執筆した訳】
マーケティング精鋭集団「刀」の代表を務める森岡毅氏の著書「苦しかったときの話をしようか」について知りたいですか? 彼が考えるキャリア論とはどんなものかを踏まえ、出版した経緯、前著との共通点をご紹介! 彼が娘に関する本を執筆した別の理由・目的...
沖縄テーマパークの開業場所

そしてついに2019年8月15日に、沖縄テーマパークの開業場所が「オリオン嵐山ゴルフ倶楽部」であると発表されました。

オリオンビールやリウボウなど5社でつくる「ジャパンエンターテイメント」(那覇市)がオリオン子会社のオリオン嵐山ゴルフ倶楽部(沖縄県今帰仁村)の用地に2024年末にもテーマパークを開業する方針であることが15日、分かった。

テーマパークの建設予定地

テーマパークの建設予定地

出典

沖縄に新テーマパーク、元USJの森岡毅氏ら取り組む 2024年末にも開業 | 沖縄タイムス+プラス
オリオンビールやリウボウなど5社でつくる「ジャパンエンターテイメント」(那覇市)がオリオン子会社のオリオン嵐山ゴルフ倶楽部(沖縄県今帰仁村)の用地に2024年末にもテーマパークを開業する方針であることが15日、分かった。

沖縄テーマパークの場所として選ばれた、オリオン嵐山ゴルフ倶楽部の場所をGoogleマップで調べてみると以下のようになります。

オリオン嵐山ゴルフ倶楽部 出典 Googleマップ

オリオン嵐山ゴルフ倶楽部 出典 Googleマップhttps://www.google.com/maps/?hl=ja

沖縄県国頭郡にある今帰仁村の人口は9,252人です。

沖縄県の県庁所在地である那覇市の人口317,405人と比較すると、たった2.9%の人口しかいません。

なぜ森岡毅氏は東京都ではなく、このような地方の田舎に新テーマパークを創設するのかという疑問に関しては、「森岡毅は、なぜ沖縄という場所を選択したのか?」の項で後述します。

また、この沖縄テーマパークは沖縄の自然や文化をテーマとし、2024年末から2025年初旬に開業される予定です。

関係者によると、テーマパークは沖縄の自然や文化をテーマにした内容で検討が進んでいる。

年間200万~400万人の来場を見込んでいる。

ジャパン社は年内に環境調査を始め、24年末から25年初旬までに開業する計画だ。

出典

沖縄タイムス+プラス 「沖縄に新テーマパーク、元USJの森岡毅氏ら取り組む 2024年末にも開業」の記事より引用

森岡毅の沖縄テーマパーク計画と国からの支援

沖縄タイムスの記事によると2018年7月12日、森岡毅氏は沖縄テーマパーク計画の支援を菅官房長官に要請した結果、「国のできる範囲で、全力で支援する」との回答をもらったとのことです。

同計画を巡って、市場分析などを手掛ける「刀」の森岡毅CEOらは12日、国会内で菅義偉官房長官に支援を要請した。

森岡氏は要請後、沖縄タイムスなどの取材に、2020年代前半の開業を目指していることを明らかにした。

菅氏は「国のできる範囲で、全力で支援する」と応じ、道路などインフラ整備が重要との認識で一致したという。

出典

USJ再建の森岡毅氏が描く「沖縄北部テーマパーク」構想 嵐山ゴルフ場など浮上 | 沖縄タイムス+プラス
沖縄県内大手企業などが計画している沖縄本島北部のテーマパーク建設で候補地の一つとして嵐山ゴルフ場(今帰仁村)が挙がっていることが、複数の関係者の話で12日までに分かった。 同計画を巡って、市場分析などを手掛ける「刀」の森岡毅CEOらは12日...

しかし上記の記事を読んだ人は、ある疑問を感じるはずです。

それは、「どうして、わざわざ国が全力で支援してくれるの?」という疑問です。

というのも、例えば私が、「来年から自宅を改装してラーメン屋を田舎にオープンするので、店を手伝って欲しいです」などと菅官房長官に支援を要請したところで、官房長官はそんなに暇ではないため100%無視されるに決まっているからです。

ましてや、「道路などインフラ整備が重要との認識で一致」することは絶対ないでしょう。

そこで次の章では、森岡毅氏が菅官房長官に対しどのような説明を行った結果、「全力で支援する」との回答を得たのかという、森岡毅氏の沖縄テーマパーク計画の戦略について説明していきます。

森岡毅の沖縄テーマパーク計画における「3つの戦略」

森岡毅の沖縄テーマパーク計画における、

という3つの戦略について説明します。

森岡毅の沖縄テーマパーク計画の地理的戦略

森岡毅の沖縄テーマパーク計画の地理的戦略について説明します。

森岡毅は、なぜ沖縄という場所を選択したのか?

しかし森岡毅氏はなぜ沖縄という場所を選択したのかという点で、当初私は疑問を感じました。

というのも、大阪でUSJが成功したので、次は地方ではなく、さらに人口が多い東京に進出することの方が自然だと思われるからです。

それなのに、なぜあえて沖縄を選択したのでしょうか?

日経ビジネスのインタビューで記者からの質問に、森岡毅氏は以下のように回答しています。

そして沖縄には、ハワイを超えるポテンシャルがあります。

その理由の1つは、巨大なマーケットです。

実は3時間を超えると、人間は移動するのが心理的に大きな負担になります。

沖縄を中心に飛行機での移動3時間圏内の円を描くと、その内側には東京はもとより上海や香港、ソウル、台北、東南アジア各国まで、2億6000万人の巨大商圏が存在します。

しかも、その中の富裕層の数は、日本にいる富裕層よりもはるかに多い。

この地理的メリットを考えると、ハワイよりも沖縄に人を呼び込むことの方が、明らかに簡単です。

ハワイの周りの3時間圏内には、巨大人口圏がありませんから。

 

USJ時代に沖縄パーク構想を発表した際、あるメディアに「沖縄県の人口は約140万人しかいないのに、テーマパークを造ると採算が合わないのでは」と指摘されたことがありました。

これは、あまりにも不勉強な話です。

私が見ているのは、県内の140万人だけではありません。

3時間圏内に広がる2億6000万人のマーケットなのです。

出典

日経ビジネス 元USJ森岡氏はなぜ「沖縄」に挑戦するのか

この記事を読んで、私は「なるほど」と納得しました。

つまり森岡毅氏が手掛ける沖縄テーマパークのターゲット層は日本国内だけではなく、海外の富裕層であるということなのです。

海外というのは具体的に、

  • 上海
  • 香港
  • ソウル
  • 台北
  • 東南アジア各国

のことです。

これらの国々の富裕層が、片道三時間以内で日本観光客として沖縄テーマパークに来てもらうのが狙いなのです。

片道三時間以内とは日帰り圏内であるということであり、そのことを森岡毅氏は以下のように説明しています。

人が移動をする上で大きく抵抗感を生じる境界線は、先ほども述べた「3時間」です。

移動時間が3時間以内であれば、「日帰り圏内」でもあり、多くの人はそれほど抵抗なく移動します。

その3時間圏内の人口が2億6000万人に達すると、沖縄への観光客数がハワイを超えるのは必然です。

しかも、アジアは今、高度経済成長期に入っていますから、これから富裕層の数も爆発的に増えていくでしょう。

沖縄はアジアの中で最もブランド力のあるプレミアム観光地、「アジアのハワイ」に早く生まれ変わるべきなのです。

出典

日経ビジネス 元USJ森岡氏はなぜ「沖縄」に挑戦するのか

つまり、日本人の人口が多い東京でなくても、日本人の人口が少ない沖縄の方が、アジアの富裕層を集めるためには有利であるから沖縄を選択したのです。

またさらに具体的に言うと、森岡毅氏は沖縄テーマパークを設立することにより、滞在日数を1日以上延ばすことが出来ると以下のように説明されています。

もし、本島北部にもう1つ強力な観光スポットを造れれば、沖縄を訪れた人の滞在日数を1日以上延ばすことも可能です。

それによって現地での消費額も増加します。

沖縄の観光客数が初めてハワイを超えたといっても、平均滞在日数で見るとハワイが8.95日(17年度)なのに対し、沖縄は半分以下にとどまっています。

ここを改善することが、まさに沖縄観光のカギであり、私が関わる沖縄北部パーク構想の狙いなのです。

出典

日経ビジネス 元USJ森岡氏はなぜ「沖縄」に挑戦するのか

つまり沖縄への観光客の平均滞在日数約3.78日間を1日延ばすことによって、20%程度の観光収入を伸ばすという戦略です。

沖縄の平均滞在日数は16年度が3.78日

出典

沖縄観光客、ハワイ超え 昨年 - 日本経済新聞
沖縄県の2017年の入域観光客数が、同年のハワイの観光客数を初めて上回ったことが分かった。県は既に17年の観光客数を939万人だったと発表済み。1月31日、ハワイの観光当局が17年の実績を公表し、観光客数は938万人だった。ただ平均滞在時間...

定量分析に基づいて需要予測を導き出す方法について、詳細は森岡毅氏の著書「確率思考の戦略論」で説明されていますのでご参照ください。

「アジアナンバーワンのテーマパーク」の意味

森岡毅氏が目指す「アジアナンバーワンのテーマパーク」の意味を説明します。

森岡毅氏の地理的戦略を理解するには、彼がUSJに在籍していた頃から、何を目指して沖縄テーマパークを設立しようと考えていたのかを明確にする必要があります。

日経ビジネスの森岡毅氏のインタビュー記事によると、以下のように記載があります。

私は2010年からUSJの改革に取り組み、最終的にUSJをアジア最大のエンターテインメント・カンパニーにすることを目指していました。

アジアのナンバーワンになるためには、いずれ他の拠点が必要になることは自明だったわけです。

どの拠点に展開するかを考えたとき、新パークの成功確率が最も高いのは沖縄だという結論を出しました。

出典

日経ビジネス 元USJ森岡氏はなぜ「沖縄」に挑戦するのか

つまり、アジアナンバーワンのテーマパークになるためには、大阪にあるUSJだけでは不十分であるということです。

現在のアジアナンバーワンのテーマパークとは、東京ディズニーリゾートのことです。

言い換えると、森岡毅氏はUSJに在籍時から東京ディズニーリゾートを超えるためには大阪のUSJではなく、沖縄テーマパークが必要であり、アジアナンバーワンになるために沖縄テーマパークの建設を目指していたということです。

もちろん、東京ディズニーリゾートを超える施設を建設するには、戦略があるだけでは不十分であり、それだけ多額の資本も必要とされます。

しかし、森岡毅氏が代表を務める株式会社刀の資本金は350億円~467億円であり、このことは森岡毅氏へのインタビュー動画から分かります。

森岡毅氏の古巣である、USJを運営する合同会社ユー・エス・ジェイの資本金の資本金ですら、50億円にすぎません。

資本金50億円

(2018年12月時点)

出典

合同会社ユー・エス・ジェイ会社概要

また、東京ディズニーリゾートを運営する、オリエンタルランドの資本金は632億円です。

資本金

632億112万7千円

(2019年4月1日時点)

出典

オリエンタルランド会社概要

つまり刀の資本金350億円~467億円のイメージとしては、国内テーマパークにおいて

  • No.2であるUSJ(50億円)以上、
  • No.1の東京ディズニーリゾート(632億円)以下

であると言えます。

したがって森岡毅氏は、資金的には沖縄テーマパークを通じ、アジアナンバーワンのテーマパークを実現するのは十分可能なのです。

刀と大和証券との資本提携について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

森岡毅の刀と大和証券の資本提携発表【沖縄テーマパーク計画に投資】
森岡毅氏が率いるマーケティング精鋭集団「刀」と 大和証券グループ の資本提携が、2020年1月30日に発表されました。 これにより刀は投資企業に生まれ変わりましたが、刀と大和証券のプレスリリースを踏まえ、両社は何を目指すのかをご紹介! 沖縄...
テーマパーク推定入場者数世界ランキング

NPO法人であるThemed Entertainment Association(テーマエンターテインメント協会)が作成した2018 Theme Index and Museum Indexによると、東京ディズニーリゾートは、本家アメリカのディズニーリゾートに次ぐ入場者数を誇ります。

テーマパーク推定入場者数 世界ランキング2018

「テーマパーク推定入場者数 世界ランキング2018」で日本は上位を獲得

出典

2018 Theme Index and Museum IndexのP.10より引用

上記の表はテーマパーク推定入場者数世界ランキングですが、東京ディズニーランド・東京ディズニーシー・USJが世界第3位・4位・5位の上位ポジションを獲得しています。

つまり、倒産寸前だったUSJを世界第5位にまでV字回復させた森岡毅氏が、次に狙っているのは、世界第3位を占める東京ディズニーランドを上回ることであり、沖縄テーマパークの年間入場者数1790万人越えを達成することでアジアナンバーワンの座を手にすることなのです。

沖縄県の「入域観光客数と観光収入の推移」

次に沖縄県の「入域観光客数と観光収入の推移」を見ていきましょう。

森岡毅氏は日経ビジネスのインタビューで、沖縄県の観光客数について以下のように発言しています。

──すでに2017年度の沖縄県の入域観光客数は約958万人と過去最高を更新し、初めてハワイを上回っています。

森岡 今から6~7年前になりますが、USJで沖縄パーク構想を立案した際、私は多くの人に「2020年を待たずして、沖縄の観光客数はハワイを超える」と主張していました。

しかし、当時はほとんど誰も信じてくれませんでした。

引用元

日経ビジネス 元USJ森岡氏はなぜ「沖縄」に挑戦するのか

つまり、森岡毅氏はUSJ在籍時の2011年の頃から、沖縄県の観光客数は2020年までにハワイを超えると予想していたということです。

上記の森岡毅氏の観光客数についての発言を元に、沖縄とハワイに関する実際の数字を見てみましょう。

以下のグラフが、1972年から2018年までの沖縄県の「入域観光客数と観光収入の推移」です。

2018年の沖縄県の入域観光客数と観光客数は、それぞれ約1000万人と7335億円でした。

沖縄県 入域観光客数と観光収入の推移

沖縄県 入域観光客数と観光収入の推移

出典

沖縄県庁HP 沖縄県文化観光スポーツ部 観光政策課

平成30年版観光要覧「Ⅰ沖縄観光の概要」より引用

上記のグラフによると、2013年以降は沖縄県の入域観光客数も観光収入も、右肩上がりに上昇しているのが分かります。

ハワイの観光客数と観光収入の推移

次に、ハワイの観光客数と観光収入の推移についてみてみましょう。

ハワイ州観光局の2017年訪問者調査レポートによれば、2017年のハワイへの観光客数は9,404,346人であり、前年2016年の8,934,277人から5.3%上昇していることが分かります。

A total of 9,404,346 visitors came by air service or by cruise ships to the state, an increase of 5.3 percent from the previous record of 8,934,277 visitors in 2016 (Table 1). Total visitor days rose 4.8 percent compared to last year.

出典

ハワイ州観光局HP

2017 Annual Visitor Research Report」P.2より引用

また2017年のハワイの観光収入は$16,809.4であり、2005年から2017年までの推移は以下のグラフをご覧ください。

ハワイ 総観光客数と観光収入の推移

ハワイ 総観光客数と観光収入の推移

出典

ハワイ州観光局HP

2017 Annual Visitor Research Report」P.2より引用

ハワイの観光収入は、ここ12年間は変化が少なく、横ばい状況が続いているといえます。

これらの情報から、沖縄の方がハワイよりも、

  • 観光客数の面でも
  • 観光収入の面でも

順調に伸びてきており、高い成長率を維持していることがわかります。

つまり森岡毅氏が注目している沖縄は定量分析の見地から考えて、「アジアナンバーワンのテーマパーク」にふさわしい、高いポテンシャルを秘めた場所であると言えます。

森岡毅の沖縄テーマパーク計画の資源活用戦略

森岡毅氏の沖縄テーマパーク計画の資源活用戦略について説明します。

森岡毅氏は、人口減少が進む日本の未来に危機感を抱いています。

その危機を打破するのが、沖縄の観光資源であるということについて以下のように発言しています。

──地理的メリット以外で、沖縄がハワイに“勝てる”要素は何でしょうか。

森岡 沖縄が持つポテンシャルの2つ目は、観光資源です。

沖縄にはハワイよりも美しい海がある。

大自然、空、風、文化……、それらが相まって、何とも心地いい独特の時間の流れがあります。

観光資源としての奥行きの深さは計り知れません。

この沖縄が、奇跡的にアジアの中心に位置しているわけです。

 

 そして3つ目は、「Japanブランド」との相乗効果が挙げられます。

極めて清潔で、治安も良好。

これらの要素は、観光客を呼び込むために重要な要素です。

比較的ハワイも治安は安定していますが、日本はそれ以上です。

 

 こうした多くの利点があるにもかかわらず、なぜ、沖縄はハワイよりも稼げないのか。

それは、米国には優れた「戦略」があったのに対し、日本にはほとんどないからです。

だから、沖縄の観光開発には一刻も早く着手しなければなりません。

 

 日本がこれまでのように製造業に大きく依存して稼いでいく時代は、いつまでも続くわけではありません。

急激な人口減少社会の到来が“確定”している中では、外貨を獲得する一つの手段として、観光を大きな産業の柱として育てていく必要があります。

そう考えたとき、私が日本の中で最も成長確率が高い観光地だと見ているのが、沖縄なのです。

出典

日経ビジネス 元USJ森岡氏はなぜ「沖縄」に挑戦するのか

沖縄の観光資源について、以下に詳しく説明していきます。

沖縄の美しい海

森岡毅氏がここで言及している、「沖縄にはハワイよりも美しい海がある」という点について、検証してみましょう。

こちらはハワイの海(ワイキキ海岸)の画像です。

ワイキキ海岸

ワイキキ海岸

出典

「Googleマップ」ワイキキ海岸 〒96815 ハワイ州 ホノルル地点

そして、こちらは沖縄の海です。

沖縄の海

沖縄の海

出典

「Googleマップ」与那覇前浜 〒906-0000 沖縄県宮古島市下地与那覇1199番地点

確かに森岡毅氏が言う通り、ハワイよりも沖縄の海の方が、透明度が若干高いかもしれません。

しかし、どちらの海も負けず劣らず素晴らしい海であることは間違いありません。

そのためこの美しい沖縄の海は、資源として高い価値があるという点は理解できます。

資源を最大限活かす戦略の作り方について、詳細は森岡毅氏の著書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」で説明されていますのでご参照ください。

沖縄の治安の良さPR戦略

また森岡毅氏は、ハワイよりも沖縄の方が優れている点として、治安の良さをあげており、これが沖縄の資源であると主張しています。

海外安全対策情報 : 在ホノルル日本国総領事館によれば、犯罪発生率に関してハワイ州は日本の約4倍とのことです。

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1) FBIの2017年犯罪発生統計によるとハワイ州における凶悪犯罪及び財産犯罪の発生総数は43,969件であり、前年に比較して1,835件減少しました。

内訳を見ますと、財産犯罪(窃盗等)が40,392件で、前年比約1,960件の減少となっています。

また、殺人や強盗などの凶悪・暴力事件は3,577件で、125件増加しています。


 しかしながら、同じ2017年の統計資料で日本全体とハワイ州全体を比較した場合、人口数と犯罪発生総数から割り出した犯罪発生率は、依然としてハワイ州は日本の概ね4倍の数値となります。

(※日本の統計については同年の警察白書掲載資料に依る。日米間では、犯罪構成要件その他の各種条件が異なるため、比較はあくまで一つの目安としてお考えください。)

出典

海外安全対策情報 : 在ホノルル日本国総領事館」より引用

どんなに素晴らしい観光地であったとしても、治安が良い方が、アジアの富裕層に限らず観光客は好んで来てくれるはずです。

もちろんハワイ州には厳しい銃規制があります。

しかし、ハワイ州も銃社会アメリカの例外ではなく、多くの市民が拳銃を所有しているという点で、治安の良さという点では日本に劣ります。

この沖縄の治安の良さを、何らかの形でPRしていく戦略が予想されます。

 

まとめ

森岡毅氏は沖縄テーマパーク計画を通して、日本の未来を変えるつもりです。

その証拠に、日経ビジネスのインタビューで以下のように述べられています。

私は一企業の戦略のためにというより、「日本の将来のためにこそ沖縄の観光地化を早く推進すべき」という強い想いを持ち続けています。

出典

元USJ森岡氏はなぜ「沖縄」に挑戦するのか

森岡毅氏はUSJをV字回復させた経歴を持っていますが、次は沖縄テーマパーク計画を通して日本をV字回復させるつもりなのではないでしょうか。

 

もっと知りたい

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