西野亮廣の新しいマーケティング手法について知りたいですか?
絵本「えんとつ町のプペル」の無料公開を通し、著者の西野さんがどんな新たなマーケティング手法を行ったのかをご紹介!
クラウドファンディングは資金集めでなく支援者集めという真の狙いを学びたい方必見!
マーケティングについて学びたい方は、理解を深めるためこちらの記事もどうぞ!
西野亮廣の新しいマーケティング手法
西野亮廣さんが手掛けた映画えんとつ町のプペルが、2020年12月25日にアニメ映画版が公開され、大ヒットを記録しています。
著書、革命のファンファーレで西野さんが言ってることを一言で言うと、「今までのマーケティングと、これからのマーケティングは全く違いますよ」ってことを言ってます。
これまでのマーケティングっていうのは皆さんがよく知ってるようなマーケティング手法です。一方で西野さんのやってることは多くの人が知らない方法でマーケティングをしていて、彼は逆の方法でマーケティングをしてるっていう独特の方法です。どんなマーケティング手法なのかを具体的に説明していきます。
西野亮廣とクラウドファンディング【信用=通貨】
まず西野亮廣さんが主張してることは、信用を得ることによってそれがお金に変わるってことを言ってます。何を通して信用がお金に変わるかって言うと、クラウドファンディングです。
クラウドファンディングっていうのは、多くの人からお金を出資してもらって、そのお金で事業を立ち上げます。で、その事業がうまくいったら、例えば利益の◯◯%をその出資してくれた人にお金が入ってくる、っていうような仕組みでクラウドファンディングが成り立ってます。
このクラウドファンディングをうまくやってる人と、上手くやれてない人の圧倒的な差っていうのが、信用力があるかないかで決まるというふうに言ってます。で、現代社会において本当の価値を持つのは、お金なんかじゃないと主張しています。そうじゃなくてその人の信用こそが、お金と同等の価値を持つっていうことを言ってます。信用でお金は買えるけど、お金で信用は買えないという言葉はまさに名言です。
例えばテレビタレントであれば、誰でもクラウドファンディングでお金を募集しさえすればお金が集まるっていうわけじゃないです。っていうのも、テレビタレントの中でもただ単に有名というだけで飯を食ってる人もいれば信頼を積み重ねて飯を食ってる人がいるといいます。例えばタレントのベッキーさんは、ゲスの極み乙女のボーカルとの不倫で人気が下落したが、彼女は認知タレントであって、人気タレントではないからといいます。
【西野亮廣】絵本の無料公開【お金の奴隷解放宣言】
また、西野さんが言うのは、えんとつ町のプペルという絵本を手掛けることで、お金の奴隷解放宣言をすると言ってます。
どういう意味かと言うと、えんとつ町のプペルという絵本を無料で公開するということです。しかも一部のページではなくて全ページを無料公開すると言ってます。
【西野亮廣】絵本の無料公開
えんとつ町のプペルの絵本の無料公開に対して、当初は日本中から非難の声が上がったそうです。作品を無料で公開してしまうと、絵本作り手やクリエイターさんにお金が落ちてこなくなっちゃうじゃないか!だとか、あるいは絵本業界が疲弊しちゃうよ!というふうに批判の声が数万件西野さんのところに届いたといいます。
さらに、実際に西野さんの所以外で活躍されてるイラストレーターさんとか漫画家の方も、無料の絵本公開がどれだけ間違ったことなのかっていう批判を聞かされたらしいです。でも実際、蓋を開けてみると西野さんが絵本を無料公開したことによって、絵本の売上が下がってイラストレーターさんたちにお金が降りてこなくなるんじゃなくて、逆に上がったって言ってます。
そのカラクリを、著書革命のファンファーレの中で説明してるんですね。
じゃあどんな考えで、インターネット上に絵本の全ページを無料公開して、売上が増えたかって言うと、西野さんは「労働に対してお金を支払ってもらうのは当然の権利だ、無料はおかしい」という考えとは逆のことだといいます。
具体的には、価値があるものを無料で公開することによってファンが生まれて、巡り巡ってそのクリエイターさんとか声優さんにお金が落ちてくるっていう考え方です。
例えば有料で絵本を出版したら、作品を閲覧した人が10人いたら、その10人全員からお金をもらうという方法で売上が上がります。一方で、インターネット上に無料で絵本を公開することによって、その作品を閲覧した人が100人いたとしたら100人中99人はお金を払わずに無料で見ることができます。
そのうちたった一人でも絵本に対してお金を支払ってくれる人がいたら、その無料の公開した作品にもお金が落ちてきますよね。その無料でお金をしてくるっていう仕組みは、たった一人お金が払ってくれる人をどれだけ確保できるのかっていう分母を増やすという考え方をします。
【西野亮廣】絵本の無料公開【お金の奴隷解放宣言】
今はインターネット使うことによって、その分母をできるだけ増やすことができるから、分子である「降ってくるお金」を普通の売り方をするよりも、たくさん確保することができるって考え方を西野さんはしています。このことを、「奴隷のお金の奴隷解放宣言」と呼んでいるんです。
他の例を出すと、全てのサービスっていうのは利用したその瞬間にお金を支払うべきだっていう考え方が常識になってる人からは、当然入り口が無料の Twitter とか Google とか Yahoo とかテレビを使うっていうアイデア出てこないはずです。つまり自分の意思じゃなくても金によって選択肢が狭められて行動が制限されてしまってるから、そのルールの外に出ようとはしないから、このような人たちのことを「お金の奴隷」になっている人たちと西野さんは呼んでいます。
一方で無料でえんとつの町のプペルの絵本を公開したことによって、売上は爆発的に伸びて固定給契約だったスタッフの多くの人にボーナスっていう形でお金落ちたっていう風に主張してます。
当然のことながら、無料公開してなかった場合でも同様に売上はある程度出ていた可能性はあると思います。でも少なくとも無料化してしまったら、お金が発生しなくなるという考え方は正しくないってことを、自身で証明したってことになります。
フリーミアム
このえんとつ町のプペルという絵本や個人展覧会などの開催にかかった費用、クラウドファンディングで調達した金額は2019年までの時点で約2億円を突破しています。
■西野のこれまでのクラウドファンディング概要
(1)2013年「キングコング西野亮廣、NYで原画展開催~あたしをNYに連れてって!~」 ⇒¥5,311,000 支援者数585
(2)2015年「キングコング西野の常識破りの手法の絵本作りに支援を!」
⇒¥10,131,400 支援者数3293
(3)2016年「キングコング西野の個展『えんとつ町のプペル展』を入場無料で開催したい!」
⇒¥46,373,152 支援者数6257
(4)2017年「誰でも古本屋を出店できるプラットフォームを作りたい」
⇒¥9,610,136 支援者数1602
(5)2017年「クラウドファンディングで講演会のオファーを受けつけたい」
⇒¥45,950,380 支援者数2288
(6)2017年「キンコン西野の新サービス『レターポット』の開発費用を集めたい」
⇒¥11,220,863 支援者数1667
(7)2018年「【えんとつ町のプペル美術館】をつくりたい!by キンコン西野」(SILKHAT)
⇒¥62,561,500 支援者数2404
(8)2019年「キンコン西野新作個展『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』を開催したい!」(SILKHAT)
⇒¥9,274,000 支援者数 526人 ※現在進行中で、2月18日時点の数字出典
キンコン西野、クラウドファンディングの合計調達額が2億円を突破「皆さんと一緒に」ニュース| お笑いコンビ・キングコング、絵本作家、国内最大のオンラインサロン(西野亮廣エンタメ研究所)主宰者など、さまざまな肩書を持つ西野亮廣(38)が立ち上げた、クラウドファンディングプロジェクトの合計調達金額が2億円を突破した。18日、...
2億円をクラウドファンディングで募集して、お金が集まってそのお金で顧客を呼んだということですね。
クリエイターさんたちをたくさん雇って分業制で絵本を作り上げた結果、思わぬボーナスを得たともいっています。
そして、2020年4月にはさらに、えんとつ町のプペルの映画に関するクラウドファンディングを立ち上げ、32,784,000円の支援金を集めています。(出典)
せっかく数億円かけて作り上げたものを、無料で公開するこの考え方が、新たなマーケティング手法だっていう風に西野さんは主張してます。
考えてみれば Google もそうです。
Google っていうのは検索をすることで、多くの人にとって利益を生んでます。でも Google って言うのは、無料で誰もが使えるものであって、有料のものじゃないです。でも Google って莫大な利益を上げている。じゃあどこで利益あげてるのかって言うと、広告によって利益を上げています。 Google で検索して、例えば美味しいラーメン屋さんで検索すると検索結果の上の方に広告が出てきます。その広告をクリックすることによって広告主はお金を払って記事を読んでもらえる儲けの仕組みが出来上がります。
広告主から Google はお金を得るけれども、 Google で検索する人に対しては無料でサービスを提供する。このやり方をフリーミアムっていう呼び方をします。フリーミアムについては書籍「フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略」で詳しく説明されています。
このフリーミアムの考え方を、 Google ではなくて、えんとつの町のプペルの絵本で実践したのが西野さんです。
【西野亮廣】ネタバレを恐れるな【実力の可視化】
西野さんが主張する考え方で印象に残ったのは、ネタバレを恐れるなっていう言葉です。ネタバレを恐れるなってどういうことかって言うと、多くの人はもう既にネタバレしている状態で、そのネタを確認するために映画館に足を運ぶって主張してます。
じゃあ最近メガヒットを起こした鬼滅の刃に当てはめて説明すると、あれだけ多くの人が映画館に足を運ぶっていうのはなんでかって言うと、ネタバレしてるものに惹きつけられているわけなんですね。主人公の炭治郎が鬼をやっつける、その過程が見たいっていう風に多くの映画鑑賞者は期待して足を運ぶわけですけれども、最後に鬼を倒すっていうのはもう分かりきってる話ですよね。
鬼滅の刃って最後まで既に全巻が出版されています。そのため、映画で公開されている箇所はもうすでに鬼を最終的にやっつけるってことは分かり切ってる前提です。
それなのに、お客さんは映画館に足を運んでるわけですね。じゃあネタバレしているのに、なんで足を運ぶかって言うと、あれだけ多くの人たちが見てるから自分も見に行こうっていう考え方、つまりどんな内容なのか周りの人たちがこんなに感動をしているのは何でなのか、ってのを確認するための作業、つまり足を運ぶわけですね。
その足を運ぶ時にネタが有るから行くんじゃなくて、もうネタバレしている状態でそれ分かった上で足を運んでるわけじゃないですか。だから西野さんが言うにはネタバレを最初にすでにやっておくことによって、実力が可視化されて実力のない人が自然淘汰されていく時代だからこそ、無料化に踏み切ったという風に主張してます。
つまり、えんとつ町のプペルという絵本を通してフリーミアムっていう考え方を実践し、実力を可視化した上で利益をあげるっていう今までにはないマーケティング手法で結果を出したのが西野さんのやり方です
【西野亮廣】著作権を放棄【後からマネタイズ】
もう一つ西野さんのやったことがあります。それはえんとつ町のプペルと絵本を1億円かけて多くのクリエイターの力を借りて制作したにも関わらず、著作権を放棄したということです。
著作権フリーにした上で、誰でもその登場人物のキャラクターなどを自由に使っていいですよという前提で公開してるっていいます。著作権フリーにすることで演劇に使われたり、クリアファイルに使われたり、CM のポスターに起用されたりとか、いろんな広告とかに使用される可能性があるんですけれども、広告費用っていうのは全く入ってこなくなります。
今までのやり方で考えれば、絵本を出版して、そのせっかく作った登場人物のキャラクターの広告費用を得ない状態で出版してるわけですから、広告収入が減ってしまうわけですよね。
でも、それは今までのインターネットがない時代の絵本の売り方だ、っていうふうに西野さんは主張してます。インターネット上に無料で全ページを公開して著作権をフリーにすることによって、今までは10人の人が絵本のキャラクターの著作権を使うためにお金を払って収益を上げていたのを、これからは10人の人じゃなくて、それが1000人に無料公開することによって、分母が増えることで分子も増えるから、後からマネタイズするのはいくらでも簡単にできるようになるよっていう考え方です。
つまり多くの人に無料でなおかつ著作権フリーで、まずストーリーやキャラクターを利用してもらって、その後に有名になったそのキャラクターをお客さんが見るたびに「えんとつの町のプペルっていうのは今人気なんだな」っていうこと認知してもらったり、「映画があるんだったら足を運んでみよう」、っていうふうに結局はお金を得ることにつながるって言ってます。
つまりマネタイズ(=収益を得る)の手法は、今までは早期に回収していたのを、これからはフリーミアム戦略を取ることによって後からお金がついてくる。ただ後からお金が付いてくるけれども、長い目で見たらフリーミアム戦略でマネタイズのタイミングを遅らせた方が、トータルの収益が上がる可能性が高い、っていう風に西野さんは主張してます。それがこれからのマーケティング手法、つまりお金奴隷解放宣言によって出版業界が変わるってことに繋がるんですね。
【革命のファンファーレ】クラウドファンディングで作り手を増やした
もう一つ西野さんがやったマーケティング手法として、作り手を増やしたっていうやり方があります。どうやって作り手を増やしたかって言うと、クラウドファンディングで出資者を増やして、その人達にファンになってもらうっていう方法で作り手を増やしました。もっと具体的に言うと、クラウドファンディングっていうのはお金を募るものなんですが、そのお金を出した側の人たちはきっとそのお金を集めた人に対して応援の言葉をかけるはずだ、っていうふうに事前に想定した上で、西野さんはクラウドファンディングを募っていました。
具体的に言うと、えんとつ町のプペルで実践したクラウドファンディングは2回だっていう風に書いてあります。合計で9550人の人に支援してもらって、合計で5650万円が集まってテレビでも大きく取り上げられたっていう風に書いてあるんですけれども、9550人の人に支援してもらうことによってファンを9550人獲得する事が出来るって言う事にもつながります。
【クラウドファンディング】資金ではなく、支援者を集める
もちろん、クラウドファンディングでいくら集まったかっていうのは大事だけど、何人の人に支援してもらったかという点に価値があるっていう風に言ってます。
例えば二人の人が一冊の本を作った場合は、二人の支援者しかいませんよね。一方でクラウドファンディングで10万人で作った本は、10万人のファンが既にいる状態でスタートしているから売れるだろう!っていうやり方でこの本を売ってるっていいます。
つまりクラウドファンディングを資金調達のツールじゃなくて、応援してくれる人を集めるためのツールとして利用してるっていうマーケティング手法だっていってます。これを聞いた時に、私はなるほどと納得しました。だってクラウドファンディングってお金を集めるものだっていう風に全面的に主張しているにも関わらず、実はその後ろに応援してくれる人の数を増やしてるだけであって、集まったお金の金額はそこまで重要じゃないっていう、パラダイム・シフトのやり方だからです。つまり今までのマーケティングの次の手段っていうのがクラウドファンディングかと思いきや、そのクラウドファンディングを使う目的をずらして、さらに次のマーケティング手法へとステップアップさせているって言うのが西野さんの革命であると言えるでしょう。
コメント