ダニングクルーガー効果について知りたいですか?
「自分の能力を高く見積もる癖」であるダニングクルーガー効果について、具体例を挙げ、その対策とともに説明します。
優越の錯覚に関する心理学を、ビジネスに活かしたい経営者やビジネスパーソンは必見です。
ダニングクルーガー効果とは
ダニングクルーガー効果とはどのようなものなのかを説明します。
例えば、
- 「自分ならきっとうまくいくはずだ」
- 「私は他の人より上手にできるはずだ」
などと考え、会社を起業する人は、実はほとんどが錯覚に陥っていると言えます。
なぜならば、3年以内に8割前後の会社が倒産するからです。
それにもかかわらず、会社を起業する人に質問すれば「自分が倒産する確率は20%ぐらいだろう」と甘く見積もるのです。
しかし、この傾向は起業家に限らず、
- サラリーマンや
- 学生、
- 主婦
などあらゆる人に共通して言えることです。
自分の能力を過大評価してしまうことを、心理学の用語でダニングクルーガー効果と呼びます。
出典 ダニングクルーガー効果 (英文記事)
https://pdfs.semanticscholar.org/8226/22ed711dfc0f63a232f31ac3163fb3cb8b55.pdf
ダニングクルーガー効果は認知バイアスの一種であり、認知バイアスについてはこちらの記事で詳しく説明していますので、参考にされてください。

次の項では、ダニングクルーガー効果がビジネスにおいて、具体的にどのような場面で起こるのか、その対策とともに説明していきます。
自分の能力を過大評価しがちな場面の例
自分の能力を過大評価しがちな場面について説明します。
転職をする時
人は自分の能力を高く見積もる癖があるので、転職をすれば問題が解決するどころか、問題が悪化してしまう可能性もあります。
例えば会社を辞める時、ほとんどの人は「別の会社で働いた方が自分の生活はより良くなる」と確信しています。
しかし転職を繰り返すほど条件は悪化するはずです。
なぜならば、採用する側も採用するためのコストや、新人を教育するためのコストが発生するからです。
また転職者自身も、入社後に新たな環境で業務内容を一から覚える必要があるので、前職では発生しなかった「余計なこと」に労力や時間を割かねばなりません。
現在の年収が低くても、転職するべきではない理由について、詳しくはこちらの記事をどうぞ。

もちろん、人によっては転職をした方がいい場合もあり、今の会社でトップの成績を残している人だけが新しい会社で実力を生かすことができます。
しかし能力が低い人ほど、「自分は高い能力があるから、別の仕事についた方が良い」と勘違いしやすい傾向を踏まえ、自分は本当に転職するべきかどうかを冷静に判断しましょう。
高額な商品を買う時
自分にとって高額な商品を買う時は、今購入するべき明確な根拠が必要です。
なぜならば、買った直後に後悔して売却をする場合、購入時の価値を下回る可能性が高いからです。
住宅や土地を購入する場合の例
例えば住宅の場合、新築物件を購入した直後に売却しようとしても、買い手が見つからない限り売却できません。
また、資産価値が最も高い状態は新築物件なので、売却できたとしても購入価格よりも2割くらいの価値が下がってしまいます。
また、日本の土地はこれから上がるか下がるかもわからないし、地震などの天災リスクもあるし、親の介護などが原因で突然移転しなければいけなくなる可能性もあります。
つまり、未来のことは現時点では誰にもわからないはずなのに、自分の判断力やお金を稼ぐ能力を過大視して、30年の住宅ローンを組んでしまうのです。
つまり、高額な商品を購入する時には、自分の判断力に過剰な自信を持つことは高くついてしまうので、優越の錯覚に注意するようにしましょう。
このような失敗を避けたい方は、こちらの記事で紹介している、「ミスが起こりやすい状況」には特に注意するようにしましょう。

会社を起業する時
起業した会社の80%程度の会社が、5年以内に倒産してしまいます。
それにもかかわらず、開業したての飲食店の店主に「あなたは5年以内に自分の会社が倒産する確率がどのぐらいありそうですか?」と質問をした場合、1割か2割ぐらいだろうと楽観的に答えるはずです。
これは経営者の多くが自信過剰である好例と言えます。
なぜなら、将来のことを確実に予測できる人はいないからです。
もちろん、開業したての経営者が、自分の会社が倒産する前提で開業するとしたら、そんなやる気のない会社は、どこも倒産してしまうことでしょう。
例えば2019年の時点で世界最大の株式時価総額を誇るアップルも、 5年以内に倒産する可能性はゼロではありません。
もちろん、倒産する可能性ばかり考えていたら起業なんてできるはずがない、と反論する経営者もいるかもしれません。
しかし現実を直視した上で起業する場合と、現実から目を背けて起業した場合とでは、長い目で見れば事業が成功する可能性は大きく差が出るはずです。
そのため会社を起業するときは自分の能力を過大評価せず、現実を直視した上で計画を立てましょう。
株式投資を行う時
株式投資を短期で売買するデイトレーダーは、長い目で見たら損をします。
なぜならば、
- 短期的な株価の変化は誰も予測ができないし、
- 売買コストが発生する
からです。
株式・投資信託を短期で売買してはいけない理由については、こちらの記事で詳しく説明しています。

また、個別株式銘柄の一括買いはするべきではない理由は、こちらの記事をどうぞ。

それにもかかわらず株式の売買を繰り返すデイトレーダーは、自分にはきっと他の人には分からないものが見えているはずだと信じて疑わないからでしょう。
しかし、自分はきっとうまくいくはずだと考えている人に限って、自分の能力を過大評価しています。
なぜならばプロの機関投資家ですら勝率が50%以下であるにも関わらず、個人投資家であればもっと利益を出す可能性は低いはずです。
それにもかかわらず、多くの人が「自分には経済の波が読める」と勘違いしています 。
こちらの本は、そのような錯覚を断ち切るのに役立ちますので、株式を短期で売買する方にオススメです。
ダニングクルーガー効果を回避するための対策
ダニングクルーガー効果を回避するための対策について説明します。
自分が間違いないと考えていることに対して、自分の反対側に立場に立って自分の意見に反論を考え、それを文字に書き留める習慣を持つことで回避できます。
例えば、あなたが正しいと思ってることを一つ一つ挙げていって、その物事が失敗する可能性や、失敗するストーリーなどを想像します。
そうすることで、自分の思考の穴を見つけることが出来るきっかけになるはずです。
成功のシナリオばかり思い描く状態に陥っているとすれば、その計画はうまくいかないであろうことの裏返しでもあります。
そのため自分が強い自信を持つ物事に対しては、失敗する可能性やストーリーを思い描くことで、問題を回避するきっかけにしていきましょう。
参考文献
第23章 外部情報に基づくアプローチ ─ ─ なぜ予想ははずれるのか
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