「原因を取り違える癖」後知恵バイアス!行動経済学を経営に活かす戦略

atamawo kakaeru dansei 行動経済学戦略
失敗経験は人を強くする
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  • 「あの人はこんなにうまくいってるから羨ましい」
  • 「自分のあの行為がいけなかったんだと後悔している」

このように何かに失敗してしまった時や何度やってもうまくいかない時は、原因を自分自身で作り上げてしまっているからかもしれません。

しかし実際のところは、自分が考えていることと実際の原因は、違っていることが多々あります。

というのも、人は感情的に判断してしまう生き物なので、過去の失敗の原因をとり違うことがほとんどだからです。

このことを、心理学の用語で後知恵バイアスといいます。

根拠が明確ではない、誤った迷信の具体例をもとに説明していきます。

 

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後知恵バイアスには注意しよう

失敗した時に後悔するあまり、いっときの感情で原因を取り違えてしまうことがあります。

後知恵バイアスとは、物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向のことです。

必要のない情報があればあるほど、後知恵バイアスは働きます。

証拠となる手がかりが根拠のないものだとしても、自分自身で誤ったストーリーを作り上げてしまうのです。

後知恵バイアスの例

後知恵バイアスの例を紹介します。

商談で身につけていた腕時計の例

例えば、あなたが大事な商談の場面などで身につけていた腕時計があったとします。

あなたはその腕時計をたまたま身につけていただけなのに、商談がたまたま上手くいったことにより、商談が決まるのは縁起がいいからだ思い込んで他の大事な局面でもその腕時計を身につけるようになります。

人間は自分の意図していなかったことがうまくいった時に、勝手に自分の頭の中で原因を探し出そうとします

そして、その原因が全く的外れの原因だったとしても、ストーリーを作り上げてしまう傾向があります。

参考文献

Bitly

「夜蜘蛛を殺してはいけない」という言い伝えの例

例えば私が子供の時夜蜘蛛を殺してはいけないと親に教わりました。

しかし友達の家に泊まりに遊びに行った時に、同居していた友人のおばあちゃんは夜に蜘蛛を見つけた途端、とっさに急いでティッシュで蜘蛛をくるんでゴミ箱に捨ててしまいました。

友人のおばあちゃんに、夜は蜘蛛を殺してはいけないと言うと、その友人のおばあちゃんは、夜に蜘蛛がいることは不吉だから、見つけたら殺さなければいけない言い伝えがある、と言われました。

つたり、私の親が言っていたことと、友人のおばあちゃんが言っていることは正反対のことだったのです。

この言い伝えが出来上がったのは、ただ単に不幸が重なった時に、たまたまその場に蜘蛛が目に付いただけであり、科学的な統計や実証も行っていないと思われます。

このように、身近なあらゆるところに根拠の乏しい言い伝えや迷信は蔓延していると思われます。

 

不安定な精神状態が迷信を生む

自動車販売の営業員が、迷信を信じてしまう事例

その人にとって嫌だった経験の印象が強いほど、頭の中で悪いストーリーをでっち上げてしまう傾向を、ビジネスを例に考えてみます。

あなたが自動車販売の営業員だったとします。

営業職の世界では地道な努力が不可欠です。

というのも、営業員の仕事はお客様に断られることの方が、契約に至る可能性よりも圧倒的に低いからです。

そのため、どれだけ努力してもなかなか前に進まない場面が沢山あります。

契約に至るまでにあまりに進む速度がゆっくりで、地道な作業なのであなたは焦ってしまいます。

人一倍努力したにもかかわらず上手くいかなかった場合は、セールスに失敗した時のショックも大きくしてしまいます。

あなたは立て続けにお客様から断りの言葉をもらい、肉体的にも精神的にも落ち込んでいたとします。

そこでふと足元に目をやると、自分が履いている革靴のつま先部分が擦り切れており、若干みずぼらしくなっている靴を履いていたことにあなたは気が付きました。

自分の靴が擦り切れていたことを、先輩社員や上司に話した結果、あなたの履いている靴が汚れていればお客様に不快なイメージを抱かせ、それがセールスの成果が出ない原因の一つであると言われたとします。

不安定な精神状態が、迷信を生む

ここまでの話を聞いて、あなただったら、靴が汚れていることが契約に至らない原因になってると思いますか?

私なら、契約に至ることと、靴が汚れていることは直接的な原因にはなっていないと思います。

もちろん営業員身なりが清潔感があることは大切なことですが、セールスは身なりが全てであるとは言い切れないからです。

なぜならば、どれだけ営業員の靴が汚れていようが、お客様は営業員の靴を見て契約するのではなく、その営業員が扱っている商品がその顧客にとってどれだけ必要なのかを判断して契約の可否を決めるからです。

言ってみれば、営業員が履いてる靴がどれだけ汚れていようが、どれだけボロボロでみずぼらしくなっていようが、必要とする商品を扱ってさえいれば商品を購入したい顧客もたくさんいるのです。

しかし、その営業員が地道な努力や辛い思いをしているにもかかわらず、セールスの成果が出ていないことで精神的に不安定になり、先輩社員や上司から言われたことにすがりたい気持ちになってしまいます。

その不安定な精神状態が、迷信を生むことにつながります。

そのため、人間は物事がうまくいかない時こそ、迷信をでっち上げてしまう傾向があるということを理解し、誤った結論を導かないように気をつけるようにしましょう。

そうすれば、うまくいかない根本的な原因や正しい対処方法が見つかる可能性を高めることができます。

 

まとめ

人は感情的に判断してしまう生き物なので、証拠となる手がかりが根拠のないものだとしても、自分自身で誤ったストーリーを作り上げてしまう傾向があります。

身近なあらゆるところに根拠の乏しい言い伝えや迷信は蔓延しています。

不安定な精神状態が迷信を生みやすいという傾向を理解し、誤った結論を導かないように気をつけるようにしましょう。

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