「努力は報われる」という言葉は万人向けではない理由【本当の意味】

努力は報われる キャリア戦略
「努力は報われる」という言葉は万人向けではない理由
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努力は報われる」という言葉について知りたいですか?

多くの人はこの言葉を安易に使いますが、本当に努力は報われるのでしょうか?

「努力は報われる」という言葉は、万人向けではない点を踏まえ、

  • 実はこの言葉は嘘である理由や、
  • 本当の意味

を紹介します。

 

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「努力は報われる」ということわざの例

まず努力は報われるということわざから紹介します。

例えば、宗教に関することわざですが、「叩けよさらば開かれん」ということわざがあります。このことわざの意味は、 積極的に求め、(入り口に)入ろうと努力する者に、神の国の門は開かれるという意味です。あらゆる行動における、積極さを促すたとえに用いられます。つまり努力をし続けることによって最終的には報われるという意味です。

しかし、この言葉は本当でしょうか?

昭和の時代は、残業が当たり前とされており、働くほどに給料がうなぎ上りに上がっていきました。しかし令和の時代はどうでしょうか?短時間で効率よく生産的に働くことによって、初めて給料が上昇していく時代になりました。会社側が従業員に長時間労働を強いることによって、従業員が精神病にでもかかれば、会社が罰せられてしまいます。そのため、従業員は短時間で効率的に働く必要性が出てきます。つまり、努力や根性は、必ずしも報われるわけではない時代に突入したとも言えるのです。

しかし一部の人にとって、このことわざは役立ちます。例えば努力をすることを怠りがちな人にとっては、「ちょっとは努力しなさい。頑張りなさい」という意味で「叩けよさらば開かれん」ということわざが役に立つでしょう。しかし日本の企業で働いている限り、あまりに仕事をサボってばかりいれば、当然ながら上司や同僚から、多大な批判を受けることが予想できます。つまり努力は報われるということわざは、万人向けの言葉ではないのです。

努力が報われないと感じている方は、その方向性を一旦諦めて、別の方向を探してみるのも一つの手です。

自分が勝てる分野を選び、トップアスリートとして成功した為末 大氏によるロングセラー著書「諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない」は、キャリアで悩みを抱えている人にオススメです。

[為末 大]の諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない

為末 大氏は著書の中で、アスリートとしての過去に行ってきた決断を以下のように述べています。

「勝つことを諦めたくないから、勝てる見込みのない一〇〇メートルを諦めて、四〇〇メートルハードルという勝てるフィールドに変えた」

為末大.諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない(Kindleの位置No.172-173)..Kindle版.

多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。だが、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいのではないだろうか。

為末大.諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない(Kindleの位置No.179-180)..Kindle版.

つまり為末 大氏は、陸上競技において、彼が最も勝ちにくいと思われる100メートルリレーを諦めて、彼にとって最も勝ちやすい400メートルハードルにフィールドを変えた結果、成功を掴み取ったのです。

あなたも何かで行き詰まったら、諦めることの定義を再定義しなおすことを検討しましょう。

 

「努力は必ず報われる」という言葉は嘘

努力は必ず報われるという言葉は嘘です。

その根拠を具体的に説明します。

例えば、中途半端な努力をしてしまう傾向がある人は、努力は必ず報われるという言葉を鵜呑みにしないほうがいいでしょう。中途半端な努力をする人についてさらに具体的にいうと、資格勉強を志し、様々な資格勉強に取り掛かるがすぐに挫折してしまい、全て中途半端に終わり、かえって教材費がかさんで無駄金につながるという人です。このような人は努力は、必ず報われると言う言葉の「本当の意味」を理解する必要があります。

努力は必ず報われるというのは、

  • 正しい方向に
  • 正しいやり方で

進んでこそ、初めて報われるものなのです。

具体的に言うと、すでに社会人として働いている人が簿記3級の勉強を始めるのであれば、

  • 将来のビジョンを明確にし、
  • 今の仕事に対し、簿記3級の資格がどのように役立つのかを理解し、
  • 綿密な勉強計画を立てる

このような手順を踏んだ上で、勉強に取り掛かるべきです。手当たり次第に、何となくという気持ちで教材を購入し、勉強を始めてから将来のビジョン考えるのでは、努力は必ず報われるという言葉に反し、無駄骨に終わる可能性が高いです。つまり「努力は必ず報われる」という言葉は、計画性のない一部の人にとっては、嘘であるとも言えます。

倒産しかけていたUSJの業績をV字回復させた経歴を持ち、マーケティング精鋭集団「刀」の代表を務める森岡毅氏は、ベストセラー著書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方成功を引き寄せるマーケティング入門」で以下のように述べています。

目的がないなら戦略は必要ないですし、資源が無限にあるのであれば戦略は必要ないのです。しかし現実は、達成したい目的に対して資源は常に足りないのです。

森岡毅.USJを劇的に変えた、たった1つの考え方成功を引き寄せるマーケティング入門(角川書店単行本)(Kindleの位置No.1202-1204)..Kindle版.

[森岡 毅]のUSJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 (角川書店単行本)

つまり資源が不足している状況で、確実に目標達成をするためには、資源を集中させる必要があります。そのため、すべての努力は報われるのではなく、

  • 十分に計画を立てて、
  • 的を絞って努力を集中させる

ことで、初めて報われるのです。

戦略的な資源の使い方について、詳しくは本書をご一読ください。

 

「努力は必ず報われる」という言葉が嫌いな訳

私は努力は必ず報われるという言葉が大嫌いです。なぜならばこの言葉には、商売人のマーケティングの要素が含まれているからです。努力は必ず報われるという言葉を発する人は、何らかの利益を得ようとしていると私は感じてしまいます。

例えば、大学受験の勉強のために、予備校に通う高校三年生の例で考えてみましょう。どの予備校でも、生徒を指導するためにクラス担任の先生が付くことが多いです。その担任の先生は、生徒の成績が向上することにより評価され、昇進していきます。その担任の先生が生徒に向かって「努力は必ず報われるから頑張ろう」と発言したとします。もちろんこの場面を切り取って考えてみても、間違ったことをしているわけではありません。むしろ正しいこと、つまり生徒にやる気を起こさせていることと見ることができるでしょう。

しかしその考え方は、私は嫌いです。なぜなら、「必ず報われる」と言っておきながら、報われなかった時に、その高校生は大きく落胆してしまう可能性が高いからです。もちろん落胆したことによって、その失敗をバネにして、将来に別の何らかの成功に結びつく可能性があります。しかし、もしその失敗が他の成功に全く結びつかずにマイナスになってしまったのであれば、その高校生が落胆したことが無駄になってしまうことでしょう。

ではどのようにして、その担任の先生は生徒に対して接すれば良いのでしょうか?私は個人的には「努力は必ず報われるわけではない」ということを、まず生徒に伝えるべきだと思います。その上で、

「どの努力は報われて、どの努力は報われないのかという勉強の方法を一緒に学んでいこう!」

などと生徒に指導するべきだと思います。そうすることによって、勉強を頑張ってもなかなか努力は報われない時に、努力は報われない方法を発見できたと生徒は喜ぶはずです。そうすることで、まるで発明王トーマス・エジソンが、白熱電球を発明するために1万回の失敗をした時、「私は失敗したのではなく、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」と名言を残したように、その生徒も学びを得るのです。

正しいコーチングの方法については、

  • Appleのスティーブ・ジョブズ
  • Googleのエリック・シュミット(元会長兼CEO)、ラリー・ペイジ(共同創業者、セルゲイ・ブリン(共同創業者)
  • Microsoftのビル・ゲイツ(創業者)

のへコーチングの方法が記された、ベストセラー書籍「1兆ドルコーチ」がオススメです。

 

「努力は必ず報われる」という言葉の本当の意味

「努力は必ず報われる」という言葉の本当の意味について説明します。

「努力は必ず報われる」という言葉は正しい傾向があるかもしれませんが、いつ報われるのかについてあなたは考えたことがありますか?

努力は必ず報われるというのは、ものすごく時間が経った後に、いつかしら報われるということを言っているのかもしれません。

例えば、中学2年生の女の子が、冬にマラソンの猛特訓をしたとします。その結果、体力がついて、体育の授業でマラソンのタイムを短くすることに成功したとします。この努力は必ず報われるというのは、その後どのような場面で報われるのでしょうか?

もしかしたらその子が大人になって、歳を取り、75歳を過ぎた頃に、初めてその努力が報われるかもしれません。例えば75歳のその子が骨粗鬆症と医師から診断されて、自分が中学時代にマラソンを頑張った結果、タイムを短くすることができた成功体験を思い出し、軽い運動から始めてみようと運動を試み、骨粗鬆症の症状を改善することができた、などです。この事例でも、努力は必ず報われるということは正しいということがわかります。なぜなら、長い期間を経た後であれば、努力はその他の場面で報われる可能性があるからです。

言い換えると、努力がどう報われたのかは、後付で何とでも結びつけることができるということです。努力が40年後に自分に利益をもたらしたとしても、「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざと似たように、本当にその努力が実を結んだのかどうかは検証のしようがありません。つまり「努力は必ず報われる」という言葉の本当の意味は、後付で何とでも結びつけることができるので、努力は必ず報われるという言葉を過剰に信じないほうがいいということです。

このように原因と結果を取り違えてしまう心理的錯覚を回避したい方は、ノーベル経済学賞受賞したダニエル カーネマン氏による世界的な超ロングセラー著書「ファスト&スロー」がオススメです。

統計的な根拠に基づいて判断を下すべきです。

つまり、「努力は必ず報われる」という言葉を耳にしたら、その都度統計的なデータを確認しましょう。

つまり、もちろん慎重に物事に取り組むべきであり、物事に煮詰まっている時に「努力は必ず報われる」という言葉で励ましてあげることはいいことかもしれません。

しかし、安易に物事に取り組もうとしている人に対し、「努力は必ず報われる」という言葉を投げかけるべきではないということです。




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