新型コロナウイルスのPCR検査拒否問題をご存知ですか?
患者がPCR検査を希望しても拒否された事例や、なぜ保健所は拒否するのか?という点をご紹介!
新型コロナ検査件数の日本と世界の比較や、検査件数を増やすとどうなるか疑問に感じている方必見!
コロナ検査拒否問題
新型コロナウイルスの検査拒否問題とは、PCR検査には限りがあるため、患者が検査を希望しても拒否されてしまうというものです。
コロナ検査拒否問題 事例
例えば、石川県在住の40代男性は、2020年3月に37度の微熱と体のだるさを感じ、「だるくて起き上がれない」と帰国者・接触者相談センターに電話で訴えました。しかし、 「該当しないです」とPCR検査拒否をされました。(出典)
なぜなら、
- 2週間以内に外国人と会ったり、
- クラスターが発生した場所に行ったり
していないからであるといいます。(出典)クラスターについて詳しくはこちらの記事をどうぞ。

コロナ検査拒否 なぜ?
次に、なぜ保健所はPCR検査拒否をするのか?という点について考えてみましょう。
もし体調が悪く、咳の症状があれば、誰しも「もしやコロナウイルスに感染したのでは?」などと不安になることでしょう。そこで、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判別するために、PCR検査を受けたいと思う人も中にはいるかもしれませんが、実は PCR 検査は気軽に受けることはできないのです。
というのも、PCR検査は、現状では、新型コロナウイルスを検出できる唯一の検査法であり、必要とされる場合に適切に実施する必要があるからです。(出典:厚生労働省)
確かに、新型コロナウイルスの国内での感染が進行している2020年4月30日現在、感染症を予防する政策の観点からは、全ての人にPCR検査をすることは、このウイルスの対策として有効ではありません。
したがって、新型コロナウイルスの症状が軽い人に PCR 検査をして陽性かどうかを判定させるよりも、肺炎などの症状が現れている重症患者が PCR 検査を行い、アビガンなどの薬を投与する判断基準にする方が有益であるとも言えます。コロナ治療薬について詳しくはこちらの記事をどうぞ。

また、既に
- 大学などの教育機関
- 研究機関
- 民間企業
が懸命に努力していますが、
- 設備や
- 人員
の制約によっても、全ての人にPCR検査をすることはできません。つまり、
- 急激な感染拡大に備え、
- 限られたPCR検査の資源を、重症化のおそれがある方の検査のために集中させる
必要があるともいえるでしょう。
(出典:厚生労働省)
コロナ検査件数
もちろん前述の通り、新型コロナウイルスのPCR検査がしたくても保健所で断られてしまい、やってもらえないと嘆く人がいるのは事実です。
しかし、PCR検査の1日あたりの検査件数は増加しています。
2020年4月30日現在、厚生労働省は、
- 国立感染症研究所・検疫所
- 地方衛生研究所
- 民間検査会社
- 大学
などの協力を得ながら、1日約15,000件のPCR検査能力を確保しており、今後20,000件を目指しています。(出典:厚生労働省)地域の検査能力に限界があるために断られるということがないよう、検査体制の広域的な融通を図り、必要な検査が各地域で確実に実施できるよう、厚生労働省がこれまでにも増して緊密に仲介しています。
かかりつけ医など、身近にいる医師が必要と考える場合には、患者を帰国者・接触者外来へ紹介し、医師の判断を踏まえ、検査を行うこととなります。医師が必要と判断したすべての方がPCR検査を受けることができるよう、かかりつけ医が患者を帰国者・接触者外来へ直接紹介することが可能になっている他、保健所を介する場合でもスムーズに紹介がされるよう促しています。(出典:厚生労働省)
また、感染が疑われる方が検査を受けやすいように、2020年3月6日からPCR検査の医療保険適用が開始されました。(出典:厚生労働省)
「帰国者・接触者相談センター」(24時間対応)から紹介された帰国者・接触者外来で検査が必要とされたときは、保健所を経由することなく、民間の検査機関に直接、検査依頼を行うことが可能となりました。(出典:厚生労働省)
コロナ検査件数 日本と他国の比較
新型コロナウイルスの検査件数について、日本と他国の比較をみていきましょう。
2020年2月18日~4月7日
新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年2月18日から4月7日までの期間において、新型コロナウイルスのPCR検査件数を他の国々と比較してみると、以下の通りです。
- ドイツ
- 150万件
- アメリカ
- 100万件
- 韓国
- 43万件
- 日本
- 9万件
です。
つまり日本は新型コロナウイルスの初動が試される時期に、ドイツの検査件数と比較して、たった6%程度しかありません。
2020年4月28日
では次に、新型コロナウイルスの拡大が世界的に広がった後の2020年4月28日時点の人口1000人当たりの検査件数で比較するため、OECD報告書で各国の検査数に関するグラフを確認してみましょう。
日本のPCR検査数は1000人当たりわずか1.8人でOECD加盟国36カ国中35位です。(最下位はメキシコで0.4人)
日本の1.8人という低い数字は、トップのアイスランドの135人と比べると2桁も少ないです。OECD加盟国平均の23.1人と比べても1桁少ないです。また、韓国の11.7人と比べても、15%程度になっており、少なさが目立ちます。(出典)
なお、前述の通り2020年4月30日時点で日本は、1日約15,000件のPCR検査能力を確保しており、今後20,000件を目指しているといいますが、1週間でせいぜい14万件にすぎません。
他方、ドイツでは1週間に90万件近くの検査が可能であると、当局が2020年4月29日に公表しました。(出典)
このことからも、日本のPCR検査数は他国と比較して少ないことが分かります。
コロナ 検査件数を増やすとどうなる?
では、新型コロナウイルスの検査件数を増やすとどうなるのでしょうか?
千葉大大学院の研究グループによると、十分なPCR検査をしている国ほど新型コロナウイルスによる死亡率は低くなるという解析結果が出ています。(出典)
具体的に言うと研究グループは、地理要因などで比較しやすい欧米の中で、
- 陽性率と
- 1億人あたりの1日の死亡者数
を比較しました。(出典)
積極的にPCR検査をしているノルウェー等の「陽性率が7%未満の国」は、「陽性率が7%以上の国」と比較して、死亡者数は10分の1から5分の1程度でした。
そして陽性率が
- 7~16.9%
- 17~28%
では死亡者数に差はないことから、「陽性率を7%未満にすることが新型コロナウイルスの抑制に重要である」との結論を導いています。(出典)
千葉大大学院の研究グループの樋坂教授は「積極的にPCR検査をすると陽性者がかなり増えるので準備が必要だ。ただし、その多くは軽症者。隔離が必要な人は増えるが、その段階を乗り越えて初めて感染終息に至る。現在、東京でPCR検査を受けた人の陽性率は30%を超えており、厳重な警戒が求められる」と主張しています。(出典)
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