認知バイアスについて知りたいですか?
認知バイアスというのは、無意識的に発生してしまう思考の癖です。
「自分のことを、客観的に考えることができない」認知バイアスの事例や対策を、ダニング・クルーガー効果とハロー効果を元に説明します。
仕事や経営に活かしたい人は必見です。
認知バイアスとは?
認知バイアスというのは、どんな人であれ、無意識的に発生してしまう思考の偏りや癖のことを言います。
人間は自分が考えていることは、事実とは異なっている場合が多々あります。
また、自分が思い込んでいることや勘違いしていることには一定の傾向があり、その傾向を統計学に基づいて算出した一定の法則が認知バイアスです。
認知バイアスへの対策
実は人というのは、自分自身を客観的に捉えることが苦手な生き物です。
例えば、自分が自分のことを高く評価していたとしても、周りの人から見た時には、自分が考えている評価と全く異なる評価になってしまうことがあります。
その対策として、認知バイアスに関する知識を事前に学ぶことにより、
- 冷静に他人のことを観察することや、
- 自分自身が偏った考え方をしていると気がつく
こともできます。
その結果、あなたが生きる上で、損失や失敗を回避することにもつながるでしょう。
認知バイアスの例
それでは、「ダニエルクルーガー効果」と「ハロー効果」という、二つの認知バイアスの例を紹介します。
この二つの認知バイアスを事前に理解しておくことにより、同様の場面に遭遇した時に、思考の癖に流されることなく意思決定できるようになります。
ダニング・クルーガー効果
まず1つ目の、ダニング・クルーガー効果から説明します。
自分の能力が低い人ほど、自己を過大評価してしまう傾向があります。
この傾向は、特定の分野に限る訳ではなく、
- 勉強
- 運動
- 仕事
- 恋愛
など、さまざまな分野や場面で見られる傾向です。
一方で、能力が高い人ほど、自分を過小評価してしまいます。
これらの傾向を、1999年にこの効果を定義したコーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーの名前から、ダニング・クルーガー効果と言います。
ダニング・クルーガー効果は心理学の分野において有名な認知バイアスであり、「他人と自分自身を誤って評価するかどうか」という実験が行われた結果によって、
- 能力の低い人は、自分を過大評価してしまう一方で、
- 能力の高い人は、自分を過小評価してしまう
という人間の思考の癖が判明しました。
また、この傾向は、優越の錯覚とも呼ばれています。
ダニング・クルーガー効果の具体例
ダニングクルーガー効果の具体例を、二つの点から紹介していきます。
自分の能力が低いと、自己評価を正しくできない
能力が低い人は、世間のことに関して無知です。
これは、
- 「自分の能力を過大評価しているから、能力が低い」のではありません。そうではなく、
- 「自分の能力が低いから、自己評価を正しくできない」
と言えます。
そのため、能力が高い人ほど謙虚である、という現象が発生します。
株式取引の例
株式投資を始めたばかりの初心者が一つの例として当てはまります。
株式投資において、特に初心者は「自分は他の人達よりも有利な情報を握っている」と勘違いして、株式の短期売買を繰り返します。
その結果、負ける可能性が高い勝負をし続ける訳なので、ほとんどの初心者トレーダーは株取引で損をしてしまいます。
一方でプロのトレーダーの認識としては、株式投資というものは、
- 短期的な未来を正確に予測することは不可能であり
- 必ず勝てる法則など存在しない
- 統計学に基づいて判断する必要がある
などということを理解しています。
その結果、銘柄の分散や時間の分散を行うことでリスクを低減し、大きな損失を回避することができます。
株式や投資信託の短期売買を避けるべき理由について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
人が成長するために、ダニング・クルーガー効果は必要
しかし、自分の能力を誤って評価することは、必ずしも悪いことであるとは限りません。
例えば、能力の低い人は自分は優秀だと勘違いしてしまうので、それがやる気に繋がることもあります。
当然のことながら、世の中には能力が高い人ばかりではないので、時には人が成長するために、ダニング・クルーガー効果は必要不可欠な要素であるとも言えます。
具体的に言うと、たくさん努力しているのに、周りから正しく評価されないという人がいたとします。
その場合、もしかしたら今までダニング・クルーガー効果が働いていたから、「たくさん努力していたと勘違いしていただけであり、実は自分は大した努力をしていなかったのではないか」、ということを疑いましょう。
また、管理職にある人は、自分の部下や後輩たちのやる気を削いでしまわないように、ダニング・クルーガー効果が持続するよう気をつける必要があります。
ダニング・クルーガー効果を仕事や経営に活かす方法については、こちらの記事をどうぞ。
ハロー効果
人間は、対象となる人の全体をくまなく判断した上で、その人がどのような人物なのかということを判断することはありません。
その人の特徴や目立っている部分に注目して、人物の全体像を判断しています。
このような傾向のことをハロー効果と呼びます。
ハロー効果の具体例
例えば「人は見た目では決まらない」などと言いつつ、
- 美しい女性につい目がいってしまったり、
- 多少多めに見てあげたくなる
のが心情です。
詰まるところ、相手の顔や服装によってその人の性格や能力、または知能を判断してしまうことが、ハロー効果によるものなのです。
窃盗罪を犯した時の見た目による刑罰の差
例えばイケメン男子が窃盗罪を犯してしまった時に、きっと本人にも何らかの理由があったんだろうと、兄が軽くなってしまう傾向があります。
一方でブサイクな男性が同様に、窃盗罪を犯した時には、こんな奴が人を欺くとは許せないと、刑罰が重くなってしまいます。
このように人は見た目では判断されるはずがないと思っているような場面で、実は見た目によって重大な差が生じてしまうことがあれば、それはハロー効果が原因であると言えます。
コメント