クラスターとはどのようなものかご存知ですか?
2020年5月12日愛媛県で新型コロナウイルスによる約20人の集団感染が発生しました。
クラスターが発生した松山市の牧病院の事例を元に、クラスターとはどのようなものかご紹介!
新型コロナ感染拡大防止について学びたい方必見!
クラスターとは
2020年5月14日に全国で緊急事態宣言が解除されている中、クラスターが発生したということで大きな話題となっています。(出典)緊急事態宣言の詳細は「【コロナ緊急事態宣言】発令と内容【休業しない事業者の問題と対策】」をご覧ください。
そもそも、クラスターとはどのようなものなのでしょうか?
まず新型コロナウイルス関連で使われている「クラスター」と言う用語の意味とは、
- 新型コロナウイルス感染者の集団や
- 集団感染
を指しています。(出典)
実は多くのクラスターの事例では、新型コロナウイルスの感染症は周囲の人にほとんど感染させていません。その一方で、特定の人から多くの人に感染が拡大したと疑われる事例が存在し、一部の地域で小規模な患者クラスター(集団)が発生しているのです。(出典:厚生労働省)
しかしたとえ、新型コロナウイルスの初期症状「なし」と診断されても、不特定多数の人に対し、無意識のうちに感染させてしまうリスクがあり、前述の牧病院のクラスターの患者の大半が、軽症か無症状であることも事実です。(出典)
- 新型コロナ初期症状「なし」と診断される割合や、
- 感染封じ込めが困難になる問題、
- 無症状者でもうつる可能性
について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
国内では、散発的に小規模に複数の新型コロナウイルス患者が発生している例がみられます。
したがって日本では、濃厚接触者を中心に感染経路を追跡調査することにより感染拡大を防いでいます。(出典:厚生労働省)
なお、ここでいう「濃厚接触者」とは、国立感染症研究所によると以下の定義です。
●「濃厚接触者」とは、「患者(確定例)」の感染可能期間に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。
・ 患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
・ 適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者
・ 患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
・ その他: 手で触れることの出来る距離(目安として 1 メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と 15 分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。(出典:国立感染症研究所 感染症疫学センター「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)」)
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために重要なことは、今後の国内での感染の拡大を最小限に抑えるため、小規模な患者の集団(クラスター)が次の集団を生み出すことを防止することであるとも言えます。
クラスターの事例
では、実際にクラスターが発生してしまった、愛媛県松山市内の病院の事例を詳しく見ていきましょう。
2020年5月12日、愛媛県松山市内にある牧病院の
- 入院患者や
- 職員
など、合わせて20人が新型コロナウイルスに感染していたことが新たに確認されました。(出典)
この病院では、
- 介護職員として勤務する男性と
- その同僚
の感染が、すでに確認されており、愛媛県は病院内で集団感染(クラスター)が起きたとしています。
具体的に言うと、新たに感染が確認されたのは牧病院に
- 入院する50代から90代までの患者など11人と、
- この病院で看護や介護の職員として勤務している30代から50代までの男女6人
の合わせて17人です。(出典)
松山市内の牧病院のホームページでは、この度のクラスター発生に関し、以下のように公表しています。
このたび、5月12日に当院職員の新型コロナウイルス感染が判明いたしました。
当該職員の発症状況につきましては、愛媛県ならびに松山市の発表の通りです。今月11日に体調不良を覚え、同日から職場を休んでおりましたところ、12日にPCR検査陽性の判定を受けました。
今後、松山市保健所にご助言をいただきながら、同一病棟の職員や入院患者様との接触状況を確認するとともに、感染状況の調査を進めて参ります。
今後、必要に応じて、随時情報を公表して参ります。
当該職員は、病棟業務に従事しており、外来やその他の業務には関わっておりませんが、このような事態ですので、今後2週間を目途に外来を全面的に休止致します。
前述の通り、新型コロナウイルスのクラスターが発生した場合は、濃厚接触者を中心に感染経路を追跡調査をします。
具体的に言うと、
- 愛媛県と
- 松山市
は、この感染した男性と接触した可能性がある病院の
- 職員や
- 患者
などの検査も行いました。(出典)
また、感染者は精神科病棟に集中しており、職員や患者の家族約30人を対象に、
- 接触状況や
- 行動歴
の調査を進めています。(出典)
その結果、2020年5月13日に公表されている
- 同僚の40代の女性と
- 男性の家族の10代の女性
の感染に加え、13日の夜になって新たに17人の感染が確認されました。
これらのことから愛媛県は、この病院で集団感染(クラスター)が起きたと結論付けています。また、牧病院のHPでも、
- 同一病棟の職員や
- 入院患者
との接触状況を確認するとの記載があります。
2020年5月14日、政府は新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、感染拡大に一定の歯止めがかかっている39県の解除を同法に基づく諮問委員会に諮問しました。その結果、緊急事態宣言の解除の承認がされました。(出典)
しかし、愛媛県については新たに上記の集団感染が起きたとして感染経路の確認など調査の徹底をすれば解除しても構わない、という「条件付き解除」とされました。(出典)
今後も全国で新型コロナウイルスのクラスターが頻繁に発生すれば、もしかしたら二度三度と、緊急事態宣言が発令されてしまうことに繋がる可能性もあります。というのも、安倍総理は2020年5月14日の会見で、「感染者の増加スピードが高まってくれば残念ながら2度目の緊急事態宣言もあり得る」と言及しているためです。(出典)
したがって、
- クラスターの発生と
- 緊急事態宣言
は、切っても切れない関係にあるとも言えるでしょう。
牧病院では、介護職員として勤務している30代の男性が発熱などの症状を訴え、その後、今月12日になって感染が確認されました。新型コロナウイルスの初期症状「発熱」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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