ベストセラー書籍「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」の著者ピーター・ディアマンディスは、将来様々な産業においてAIが応用されることを予測しています。
今までAIがどう進化してきたのかを学ぶことで、今後のAIの進化を予測しやすくなります。
そこで、人工知能による
- 「見る 」
- 「聞く」
- 「読む」
- 「書く」
- 「知識の統合」
の5つの各機能がどのように進化してきたのかを学んでおきましょう!
関連記事
人工知能の進化の仕方
人工知能は常に進化を続けています。どのように進化しているかと言うと、ビッグデータを活用して進化しているから成長スピードが早いのです。例えばショッピングサイトの Amazon で自分が欲しいと思っていた商品を提案してくれたりする機能こそが AI によるものです。AI が最も威力を発揮できるのは、人間では全く気づかないような情報同士の関連性を見つける能力にあります。
具体例を挙げると、大量に Facebook や Twitter やブログなどに投稿されている犬の動画や写真は、実は AI による画像認識技術や状況識別能力などを向上させるのに適したものです。これらの情報が増えるほど、人工知能はより優れたものになります。
他にもビッグデータが人工知能の進化に寄与している例を挙げると、例えば Facebook で多くの人が「いいね」や「悲しいね」などをクリックすることにより、 AI は感情を理解するようになり進化します。異なった見方をするならば、 SNS は他人の幸せそうなところばかりを見せることで人間を落ち込ませているツールだ、などと社会的に批判をされることもあります。
しかしそれとは反対に、実は SNS はビッグデータにより人工知能を、より賢く、優れたものにパワーアップさせているツールでもあるのです。
関連記事
人工知能の5つの進化過程
では、今後人工知能がどう進化していくのかを予測するためには、これまでの人工知能の進化の過程を振り返って、深く理解する必要があります。
具体的に言うと、人工知能の専門家たちは、人工知能を産業に応用するための分析を行う時には、人工知能による
- 「見る 」
- 「聞く」
- 「読む」
- 「書く」
- 「知識の統合」
の5個のタスクに分割します。
2021年の現段階で、今後はどのように人工知能が進化していくのかを予測するためには、この五つのタスクの歴史を一つずつ理解することが重要です。
見る
まず一つ目の人工知能による「見る」という機能は、様々なイノベーションが長きにわたって試されており、それによって多くの情報が蓄積されてきました。
例えば1995年は人工知能が、はがきや手紙などに記載された郵便番号を読み取れるようになりました。
そして2011年には、43種類の交通標識を、人間を上回る99.46%の精度で認識できるようになりました。これら一時停止や徐行などの道路標識を認識する技術は、後に発展する自動運転車において不可欠な機能でもありますね。
そして2012年にはネコや車、鳥・花など、複数の1000種類以上に及ぶ画像の分類を人間が行うよりも優れた能力を、AIは獲得するようになりました。
次の年の2012年には、このような 画像認識のAI技術 は100人以上の人々の中から、特定人物を認識したり、遠方から人の唇の動きから、何を言っているのかを読み取ったり、細かい表情などを元に、その人がどんな感情を抱いているのかを読み取れるようになりました。つまり、2011年に道路標識を読み取れるようになったかと思いきや、翌年には動いている人の言動まで読み取れるようになったということですので驚きですね!
さらにこの頃には、ドローンを飛ばしている際に、たとえ木々などが生い茂っている場所であったとしても、その森林を走り抜けている人を追跡できるようになりました。これは高い画像認識技術に到達したということです。
聞く
次に人工知能による「聞く」という機能の進歩は、 Amazon Echo や Google Home 等のスマートスピーカーで、その便利さを実感してる人は多いことでしょう。Google Homeを使えば、例えば YouTube を再生している際に、以下の動画にもあるように、音声で指示すること一時停止や巻き戻しなどができます。
Google ホームのスマートスピーカーに常時 ON の状態で、ユーザーが発声するのを常に待機して聞き取っています。 他にも、自宅に Google Home があると、電卓機能を口頭で使用できたり、口頭で簡単なGoogle検索ができて 調べ物をすることができます。
|
これは人工知能による「聞く」技術の向上によるものです。
読む
次に「読む」という機能も科学的に進歩しました。 具体的に言うと、iPhone や Android 端末で読み上げ機能を使用し、ICレコーダーで読み上げ音声を録音することにより、 Amazon Kindle の電子書籍が、たちまちオーディオブックに早変わりします。つまり人が朗読するオーディオブックとほぼ同等のオーディオブックを、自作で安価に作成できるようになったのです。
Kindle読み上げ音声をICレコーダーで録音しオーディオブック化する方法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
書く
そして人工知能による「書く」という機能に関しては、 AI 技術を用いて、人間が全く手を下さずに記事を作成できるようになりました。例えば雑誌フォーブスは、企業レポートや野球記事を AI に書かせているといいます。
また Google ドキュメントを用いて文章を作成する際に、人間が誤った文章、漢字の文字などを入力してしまうと、瞬時に訂正文の候補を提案してくれます。また日本では2016年に、日本経済新聞が主催する星新一賞において、 AI が作成した小説が選考に残りました。
知識の統合
そして最後に、人工知能による「知識の統合」に関する機能は、チェスや囲碁の強さに当てはめて説明していきます。
チェス
1997年には、IBMが開発したチェス専用のスーパーコンピュータ「ディープブルー」が、当時のチェスの世界チャンピオンであったガルリ・カスパロフを倒し勝利しました。
なお、ガルリ・カスパロフは以下のようにものすごい人です!
ガルリ・キーモヴィチ・カスパロフは、アゼルバイジャンのバクー出身の元チェス選手。15年もの間チェスの世界チャンピオンのタイトルを保持し続けた人物。1948年にFIDEによる選手権制度が始まってからでは最長記録である。
一般的に言って、チェスの複雑性は10の40乗だと言います。10の40乗という計算方法は、10×10=100、そして100×100=10000、そして・・・という感じに40回掛け算を繰り返すということです。チェスがどのぐらい複雑なゲームなのかを分かりやすく説明すると、地球に存在する70億を超える人間たちが一度にペアを組んでチェスをスタートした場合であったとしても、全てのチェスの手を考え終えるためには、何兆年もかかるということです。しかし人工知能はそれを一瞬にしてやってのけたのです。
囲碁
人工知能による「知識の統合」に関する機能を、人工知能による囲碁の強さの進化過程に当てはめて理解しましょう。
アルファ碁
2016年は Google のアルファ碁が、囲碁の世界王者である李世ドルを倒しました。
李世ドルもすごい人であり、 Wikipedia によると以下の通りです。
李 世乭[注釈 1](イ・セドル、이세돌、1983年3月2日 – )は韓国の元囲碁棋士。李昌鎬に次ぐ国際棋戦の優勝数回を誇り、2000年代半ばから2010年代前半における世界最強の棋士と目されている。兄は棋士・李相勲。
囲碁はチェスよりも複雑であり、10の360乗の計算が必要です。要するに、囲碁をAI にやらせるというのは、チェスとは比にならないほど複雑なわけです。それにも関わらず、 Google のアルファ碁は、囲碁を分析しつくし、 AI がやってのけてしまったのです。
そもそも、囲碁を打つ認知能力を持っているのは、コンピューターではなく人です。人が囲碁を打つための能力を身につけるためにかかった期間は20万年です。 一方で、人が身に着けた能力を、人工知能はたった20年で達成してしまいました。つまり、人工知能は人間よりもすごいスピードで進化していることがわかります。
アルファ碁ゼロ
でもここで終わりではなく、人工知能は更に進化しています。アルファ碁が世界王者である李世ドルを破った2016年3月から数ヶ月経った後に、Google はアルファ碁の訓練方法をパワーアップさせて、「アルファ碁ゼロ」を発表しました。一世代前の機種であるアルファ碁は、機械学習を通じて、 過去に人間が囲碁を打ってきた何千手を記録することにより、様々な囲碁の配置の最適な手段を学ぶことで成長しました。
しかし一方で、アルファ碁ゼロは当初入力されたデータはひとつもありません。だからゼロという名前がついているのです。 自ら囲碁を打つと言う機械学習を通じてアルファ碁ゼロは成長し、アルファ碁ゼロが完成してからたった3日で、一世代前の機種であるアルファ碁を(100勝0敗で)倒すという偉業をやってのけたのです。
つまりこれだけ人工知能は進化するスピードがとてつもなく速いということです。
更にその後アルファ碁ゼロは、世界のトップ棋士60名に勝利したと言います。 つまりアルファ碁ゼロは、機械学習を始めてたった40日で世界最強となったと言うから驚きです。
人工知能の強化学習
2017年5月に Google の科学者は同じ強化学習を作成し、ある人工知能に、別の人工知能の開発をさせました。 この人工知能が作った人工知能は、リアルタイム画像認識の作業において人間が作った人工知能を上回る認識性能を獲得しました。
人工知能が現場で応用される
2018年はこのような人工知能が実験室に止まらずに、実際の作業現場などで応用されるようになりました。
救急救命室
例えば米国において、救急救命室で人工知能が使用されるように許可されました。例えば心不全や呼吸不全によって突然死に至ってしまう人を予測することに関し、人間の医師たちが下す判断を上回る成果を出せるためです。
また Facebook においてはユーザーが自殺するリスクを判断するために、 人工知能が用いられるようになりました。
さらに、米国国防総省の兵士のうつ病や PTSD(心的外傷後ストレス障害)の初期の状況を察知するのに、人工知能を用いられるようになりました。
このようにして、人工知能は Amazon などの小売業やエンタメ業界、また金融や法律業界、さらには医療や、自宅の Google Home や、自動運転などの車や、テレビや電話産業にも進出しました。
選挙
2018年には AI (松田みちひと立候補者)が 日本の多摩市長選挙に出馬したことも記憶に新しいです。(出典)
AI (松田みちひと立候補者)は当選しませんでしたが、得票数として約4,000票も集めました。つまり、多くの人が驚くほどの人気を博する結果となりました。
コメント