ベストセラー書籍「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」の著者ピーター・ディアマンディスが予測するのは、空飛ぶ車やハイパーループ、ロケットがそこら中で人を運んでいるという未来です。しかしこれらの技術すら無効にする、アバターによるロボット操作も実現するといいます。
2030年の未来には私達がどんな生活をしているのかを、具体的に見ていきましょう。

【2030年:すべてが「加速」する世界】空飛ぶ車
空飛ぶ車というのは自動運転の次に来るものです。
つまり、私たちはまだ自動運転者の恩恵に預かってはいませんが、自動運転車が普及した次に、空飛ぶ車が普及するという未来はすでに予測できているということです。
しかし空飛ぶクルマが市場に浸透するためには2019年時点においてはまだ課題があって、以下三つの条件を満たさなければいけないということです。
- 一つ目は安全性、
- 二つ目は騒音、
- 三つ目は価格
です。

2021年の時点でまだ自動運転が実現してないのに、もう次の空飛ぶ車の話なの?

うん、自動運転は確実に達成できるからね。実は日本でも2020年に、空飛ぶ車の有人試験飛行は行われているんだよ。以下に挙げる動画を見てみて!
課題1 安全性
確かに自動運転車ですら、まだ十分な安全基準を満たしていないので、市場には十分に浸透していません。
しかし、もし今後自動運転車が普及した後は、人間が車を運転すること自体がイレギュラーなことであり、自動運転車に任せずにあえて人間が運転する場合には特殊な免許が必要になるといいます。
つまり安全性を満たすのはもう時間の問題であり、必ず現実可能な未来であると予測されています。したがって空飛ぶ車の条件の一つ目の安全性は、いずれ満たされるであろうと予測できているということです。
課題2 騒音
次に空飛ぶ車が課題としてぶち当たっているのは騒音です。
飛行機も空を飛ぶ時は大きな音がします。空飛ぶ車のせいで騒音が酷いということであれば、社会で普及するのは難しいでしょう。そのため、空飛ぶ車の騒音を減らすために、様々な研究が行われています。

空を飛ぶためには、技術をさらにパワーアップして人を運びつつ空中を移動しなければいけません。そのための課題がまだ残っているようです。
課題3 価格
最後の課題は空飛ぶ車の価格です。
どんなに便利なものであったとしても、一つの乗り物に対して2000万円を支払うとなれば、買う人はお金持ちだけです。しかし技術が向上していくにつれて1台当たりの価格が数百万円に抑えられるようになっていくと言います。例えば2021年には約400万円で購入できるBlackFlyが発売される予定です。

ここまで説明した安全性、騒音、価格の三つの条件を満たす時が空飛ぶ車が普及する時です。それは2030年には実現できているとのことです。
自動運転車はデータ蓄積により進化する
この本が書かれた2019年時点において、自動運転車のポイントはデータにあると著者は主張しています。
多くの人が自動運転車に乗ることによって、標識や交通などの様々なデータが蓄積されていきます。2016年から2018年にかけて、自動運転車が事故を起こしたなどという以下に挙げるようなニュースが世間を騒がせていましたが、あれは自動運転車のシステムに必要なデータを集めていたのです。
2016年2月14日:Googleの自動運転車が路線バスと衝突
2016年5月7日:テスラ車で部分自動運転モード中に死亡事故
2018年3月18日:ウーバー車が自動運転中に歩行者と死亡事故
2018年3月23日:テスラEVが2件目の自動運転モード中の死亡事故
例えばGoogleの自動運転車が起こした事故の記録として残っている、バスの監視カメラ映像はこちらです。
自動運転に必要なデータが、2030年には多くの人が自動運転車に実際に乗ることによって、データの蓄積が加速されていって自動運転車がより便利に進化しています。 そのため一家に一台自動運転車を所有するのではなく無人の自動運転車がタクシーのようにそこら中で回っていて、乗りたい人をピックアップして乗せてくれるというような未来が来ると言います。
つまり自動運転車の走行距離が長くなるほど、それだけ多くのデータが集まるようになります。この事を分かりやすく表現した言葉として、「そのデータこそが無人運転の世界のガソリンになるんだ」と著者は主張しています。
【2030年:すべてが「加速」する世界】ハイパーループ・ロケット
「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」の著者ピーター・ディアマンディスによると、無人運転者の次は、イーロン・マスクのテスラ社が開発するハイパーループという技術やロケットを用いて、さらに高速に移動できるようになることが予測できています。

ハイパーループの想像図 画像出典:Wikipedia
どのようなものなのか詳しく見ていきましょう。
ハイパーループとは
ハイパーループというのはイーロンマスクが開発した以下の画像のようなチューブの中を高速移動するための技術であり、加速のスピードがものすごく高速です。まず出発して一秒足らずで時速160キロの速度に達します。

ハイパーループのチューブレールのイメージ 画像出典:Wikipedia
さらにハイパーループは、出発してからたったの10秒後には時速390 km で移動することができます。 新幹線の時速320 km で走るので新幹線を超える超高速移動が可能になります。
ハイパーループがおよそ時速965kmで実際に走行する映像はこちらです。
このハイパーループという技術が実現するのは、様々な科学的な技術が貢献していますが3 D プリントの技術がそれらが必要とする機材を大量生産することにして一役買っているようです。ハイパーループ構想について、詳細は書籍「イーロン・マスク 未来を創る男」で説明されています。
イーロン・マスクは、日本にいないタイプの次世代経営者のスターです!
具体的に言うと、宇宙ロケット、電気自動車のスポーツカー(テスラモータズ)、太陽光発電……未来の世界を創り出すために、大金を投じ、常に勝負し続ける豪腕経営者です。次世代のスティーブ・ジョブズとも呼ばれています。今後ますます注目される異能の経営者イーロン・マスクについて、詳しくは彼の評伝「イーロン・マスク 未来を創る男」をご覧ください。
ではここまで説明してきた今後の流れを2030年までの未来予測として、まず2023年までにハイパーループが認可を取得し、さらに空の無人運転車のライドシェア(=空飛ぶタクシー)もスタートします。2020年時点の中国の空飛ぶタクシーの映像はこちらです。
そして2025年にはそれらの移動手段が浸透・普及して、旅行のあり方が一変しているのです。
2021年の現在は、例えば東京都の会社通勤のためには、多くの人が電車やバスを使って移動していると思いますが、将来的に満員電車に揺られて会社に通勤する時代は終わりになるかもしれません。
ロケット
しかしハイパーループのその次の段階として、イーロンマスクはロケットによる移動も視野に入れています。
どういうものかと言うと、飛行機のエコノミークラスの値段で、地球のどこへでもロケットに乗って1時間以内に移動することができる未来がくるというのです。 ロケットの移動速度は時速28,000 km です。超硬音速機コンコルドの時速2,200km/hと比較しても桁違いのスピードです。(出典)そのためニューヨークから上海までたった39分で移動することができたり、香港からシンガポールまでたった22分で移動できるようになるということです。
多くの人は未来予測が下手(2006年→2021年 Amazon時価総額176億ドル→1兆6800億ドル)
「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」の著者ピーター・ディアマンディスが指摘しているのは、多くの人は未来を予測するのが下手くそであるという点です。
具体的に言うと2006年には小売業は絶好調でした。例えば小売大手のシアーズの株価の時価総額は143億ドルでターゲットは382億ドル、ウォルマートは1586億ドルでした。しかしその当時は Amazon は176億ドルでした。
しかしそれから11年経って2017年には小売業界は一変しました。
シアーズ、ターゲット、ウォルマートのそれぞれの時価総額は以下のようになりました。
- 9億ドル→倒産
- 556億ドル
- 2436億ドル
たった10年でシアーズ価格94%も減って、ついに倒産してしまいました。ウォルマートは成長していますが、1586億ドルが2436億ドルになっただけです。しかしAmazon時価総額は7000億ドルに達しました。そして、Amazon はさらにその後も成長をつづけ、2021年2月5日現時点において1兆6800億ドルを突破しています。
もし2006年の過去に戻って株式投資を Amazon に投資していたら、2021年の現時点において投資した元本が約100倍になって利益を手にすることができました。
このAmazonの成長を予測できた人はなかなかいないはずです。つまり、多くの人は未来を予測することが非常に苦手です。
そのことから言えることとして、今から10年前の2011年において Amazon が私たちの生活にここまで浸透するとは誰も予測できなかったことと同様に、2030年には私たちの生活が空飛ぶ車やハイパーループさらにはロケット移動などによって、大きく様変わりしている可能性は高いでしょう。
2028年頃に私達はどのような未来の生活を送っているか?【具体例】
「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」の著者ピーター・ディアマンディスによると、具体的に2028年頃に私達はどのような未来の生活を送っているかを紹介します。
40歳の鈴木太郎さんは、朝目が覚めて空飛ぶ車のライドシェア(空飛ぶタクシー)に乗り込みます。 ここまでは目が覚めてから60秒足らずです。そして車に乗って設定すべき項目はたったの三つです。スピード、乗り心地、料金です。
例えばスピードを抑え、乗り心地を優先し、◯◯円の料金を支払うという3点を決めるだけで、他の手間はかからないのです。空飛ぶ無人タクシー車に乗っている間に、勉強していてもいいし、睡眠をとってもいいし、食事をとることもできるでしょう。
つまり、私達が今まで多くの労力や時間を要してきた「車を運転するという負担」や渋滞のストレス等がなくなることによって、別のことをする時間や心のゆとりが生まれます。
今後は医療技術の進歩とともに、人生100年時代と呼ばれるほど寿命が伸びていくことも予想されています。しかし、空飛ぶ車のライドシェアが普及することによって、実際に私たちが生活することができる可処分時間も伸びていくことでしょう。つまり1日24時間は誰にとっても平等ですが、空飛ぶ車のライドシェアが普及することによって、その24時間をより効率的に過ごすことができるようになるという未来が実現するのです。
【2030年:すべてが「加速」する世界】シェアリングカーの次は無人運転車
一家に一台車を所有している2021年現時点において、もし今後、車を所有せずに空飛ぶ無人運転車に乗ればいいということになれば、日本のトヨタやホンダ、日産などの自動車産業も苦境を強いられる可能性があるということも予測できます。
個人が車を所有するというのはここ100年程度で浸透してきましたが、シェアリングカーと言う物がここ10年程度で出てきました。シェアリングカーの概念はこちらの書籍をどうぞ。
しかし、「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」の著者ピーター・ディアマンディスは、もう次を予測していて、無人運転者がシェアリングカーを駆逐するというのです。
そもそもシェアリングカーというのは、自宅に車を置かずに、近くの駐車場に停めてある、複数人でシェアしている車を借りて、乗り終わったら元の駐車場に戻すと言う流れで使用します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

確かに2021年現在において、シェアリングカーは日本でだんだん浸透してきましたが、いずれは無人運転者がタクシーのように近所で回るようになり、シェアリングカーすら不要になる時代が2030年には訪れるといいます。
つまり一家に一台、車を保有するという現在の考え方が、根底からここ10年以内に覆される可能性が高いということです。
【2030年:すべてが「加速」する世界】アバターで移動が不要になる
「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」の著者ピーター・ディアマンディスによると、ここまでの話では人間が移動するための乗り物が、どのように移り変わっていくのかを説明してきました。しかし2030年の未来には移動する行為自体そのものを無くすことができている可能性もあります。
具体的に言うと アバターを使って、別の場所で公演をしたり、業務を遂行することができるようになっているのです。
その方法としては VR のヘッドセットや触感センサーを使います。
VR のヘッドセットとは例えばこのような感じの商品です。
他にも、触感センサーをつけて現実世界で動くことによって、バーチャル世界のアバターもその装置を身につけている人の動きに合わせて動きます。例えば以下のような感じです。
この技術を用いれば、人前で講演を依頼された場合でも、自宅を離れることなく出先で仕事をすることが可能になります。 つまり服を着替えて電車やバス、飛行機などに乗って仕事先に到着すると言う一連の移動に伴う動作が全く不要になるということです。それによって多くの時間が生まれます。
移動せずに出先で仕事をするためにはもう一つ方法があって、人型ロボットをレンタルするという方法です。人型ロボットとは、例えば以下のようなロボットです。
例えば東京に住んでる人が北海道で1分単位でロボットをレンタルすることができ、 VR のヘッドセットや触感センサーを使って出先で仕事をすることが可能になります。
日本全国に自分専用のロボットを配置することによって、私たちの五感すべてが別の場所に瞬時に移動することになります。つまり自分の家を一切離れることなく北海道や大阪、沖縄において歩き回ったり別の人と握手をしたり観光地巡りをしたりすることが可能になるのです。
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