新型コロナウイルスの初期症状「川崎病」について知りたいですか?
「新型コロナウイルスと関連する川崎病に類似した症状」が多数報告されているという点を踏まえ、アメリカと日本の川崎病に関する比較をご紹介!
川崎病とはどのような病気なのかを学びたい方は必見です!
【コロナ初期症状】川崎病 アメリカ
新型コロナウイルスの感染拡大が続くアメリカ・ニューヨーク州のクオモ知事は2020年5月8日、「川崎病」に似た症状が確認された5歳の男の子が死亡したと発表しました。(出典)
クオモ知事は以下のように述べています。
「一般的に新型コロナの感染者の多くは子どもでないことがわかっており、事例としてはまだレアなケース」としながらも、「州内で新型コロナに感染した児童の中に、川崎病に似たような症状と毒素性ショック症候群のような症状で重症になるケースが73も報告されている」(出典)
そしてその後も「川崎病」に似た症状が確認された患者は拡大を続け、2020年5月27日には、患者数が176人にまで達しました。(出典)
そもそも、子どもは新型コロナウイルスに感染したとしても
- 軽症や
- 無症状
で済むとみられていましたが、これまで感染した子どもが複数人死亡しているため死因を調べる方針です。 (出典)
川崎病のような症状の子どもを治療した医師によると、「少なくとも急性期の状況では、川崎病の患者より深刻な症状となっています」とのコメントもあることから(出典)、新型コロナウイルスによる川崎病に似た合併症への対応は、緊急性が高いということがわかります。
なお、このような合併症が確認されているのは15歳以下の児童が多く、2020年5月4日時点の発表は15人だったのが、5月8日には73人に増え、5月12日には約100人に達したということです。(出典)
患者約100人の内訳としては、
- 0歳
- 5%、
- 1~4歳
- 18%、
- 5~9歳
- 29%、
- 10~14歳
- 28%、
- 15~19歳
- 16%、
- 20~21歳
- 4%
であり、5~14歳が半数超を占めています。(出典)
またニューヨークで約20人の子どもを治療した医師は、「非常にまれな事例だ」としながらも「新型コロナウイルスの感染が確認された地域で発生すると確信している」との見解を示しています。(出典)
川崎病とは?
そもそも川崎病とはどのような病気なのかを見てみましょう。
日本では、一年間に1万5千人くらいのお子さんが発病しています。川崎富作博士がこの病気を見つけたので世界的に『川崎病』と呼ばれています。
また、一時小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群とも言われていました。具体的な症状としては、 全身の血管に炎症が起こり、初期症状は
- 発疹と
- 発熱
から始まります。
そして、
- 高熱が出たり
- 皮膚がむけたり
する症状が現れる(出典)というもので、主な症状は、数日以内に出そろってきます。(出典)
この病気の原因はよくわかっていませんが、適切な治療を行えば多くの患者さんは解熱し、元の日常生活ができるようになります。しかし、時に心臓に後遺症が残る場合があります。
初期症状をさらに具体的に言うと、川崎病は急な発熱ではじまることが多く、6つの主要な症状のうち
- 5つ以上、
- または4つに加えて冠動脈病変
が確認された場合に『川崎病』と診断されます(4つ以下の症状で冠動脈病変がない場合や3つ以下の症状で診断される不全型も20%程度あります)。新型コロナウイルスが人から人へ感染しますが、川崎病は人から人へ感染する病気とは考えられていません。(出典)
クオモ知事は同日の会見で、懸念すべき以下の8つの大枠の症状を発表しています。
熱が5日以上続く
(乳児)流動食や液体を飲み込めない、それらを与えづらい、(子ども)液体をうまく飲み込めない
激しい腹痛、下痢、嘔吐
血色がなくなるなど、顔色が悪い。肌に斑点ができる
息切れ、息がしにくい、過呼吸
動悸や胸の痛み
尿の量が少ない、または頻尿になる
無気力、倦怠感、イライラ、混乱症状が見られる
(出典)
子どもに以上のような症状が見られたらすぐに医療機関を受診するようにと、州は人々に注意喚起しています。
【コロナ初期症状】川崎病 日本
次に、新型コロナウイルスの初期症状として、川崎病によく似た症状が日本では確認されているのかどうかについて見てみましょう。
前述のアメリカで報告されている川崎病に類似した症例と同様に、
- 英国
- フランス
- イタリア
- スペイン
などの欧米各国においても、川崎病に類似した症状を呈する小児例が相次いで報告されており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連が指摘されています(出典)。
例えば2020年4月30日の時点において、イギリスの保健当局はこの数週間、「川崎病」に似た症状を示す子どもが病院に搬送されるケースが少数ではあるものの増加していると公表しています。 (出典)
同様の報告はスペインやベルギーなど各国で挙がっていて、このうちフランスでは、今月半ばからこれまでに15ほどの症例の報告がありました。(出典)
これを受けて、日本川崎病学会は2020年5月1日~2日にかけて、同学会運営委員56人を対象にメールによる調査を実施し、結果を5月7日に公表しました。回答数は34件(18都道府県、32施設)でした。(出典)
その調査結果は以下の通りです。
調査結果では、「2020年2月~4月において、例年と比較して川崎病の発生状況に変化はあるか?」という設問に対して、減少19件、変化なし13件、回答なし2件であり、増加との回答はゼロだった。同期間の川崎病例の重症度および重症例の発生状況(複数回答可)に関しては、全37回答のうち変化なし26件、重症例の減少2件で、合わせて75.7%に上った。その他の回答は、静注用免疫グロブリン(IVIG)不応例の増加5件、動脈瘤形成2件、高小林スコア(IVIG不応例を予測するリスクスコア)1件、低月齢症例の増加1件。
小児COVID-19患者の診療の有無は、なしが23件と67.6%を占めた。ありと回答した11件が診療した患者数は合計27人だったが、全てが軽症・無症状で、川崎病を疑う症例はなかった。
川崎病例の中でCOVID-19を疑う症状を示す患者が存在したかについては、34件中33件がなしと回答した。1件だけ、急性期に肺野に浸潤影を認めPCR検査を実施したが結果は陰性とする回答が見られた。
自由回答では、小児科外来および入院患者数自体の減少や、感染症患者・川崎病患者の減少を指摘する声が聞かれた。また、小児COVID-19患者を多く診療している医療機関でも小児の重症例の報告はなく、川崎病に類似する症状も認めていないとの意見も複数あった。一方、川崎病入院例では全例に対して血清保存とPCR検査を実施するようにしたという回答も見られた。
(出典)
つまり、本調査の結果に基づくと、欧米で報告されているような「新型コロナウイルスと関連する川崎病に類似した症状」を有する症例は、日本では認められていないようです。
しかし、欧米諸国と比べると日本の新型コロナウイルスへの感染者数は圧倒的に少なく、今後川崎病に類する症状を伴う「小児新型コロナウイルス患者」が現れる可能性を否定することはできません。(出典)
しかし川崎病にかかる子供の数として、実際の患者数はアメリカではわかっていませんが参考数値としては、毎年5才以下の子どもで川崎病にかかる人数は、
- アメリカ
- 10万人に15-20人
- 日本
- 10万人に約150人
です。(出典)
したがって、日本の方がアメリカよりも、川崎病にかかる子供の比率が約10倍も多いのにも関わらず、アメリカにおいてのみ多数の症例が見られることから、日本人の子供は何らかの理由から「新型コロナウイルスと関連する川崎病に類似した症状」が現れにくいとも現時点では考えられる可能性があります。
日本川崎病学会も「川崎病と新型コロナウイルスとの関連についてはその動向を冷静に注視し、必要に応じ全国調査を考慮したい」としています。(出典)
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